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【西粟倉11の挑戦:その2】
デザインの領域を超えて
田舎から世界へ

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

「探しているのは、デザインでいろんな領域に関わりたいと思っている人。だって、なんでもデザインできるほうが楽しいし、それを面白がってくれる人に来てほしいかな」

デザインの仕事は、細分化されていて職人気質。そんなイメージを持つ人も多いかもしれません。

ただ、一人でできることには限りがあります。得意分野を持ち寄り、自由な発想と行動で領域を行き来する。そんなデザイナーが集まりチームになれば、仕事の幅はぐっと広がるように思います。

nottuo(ノッツォ)株式会社は、岡山・西粟倉村と東京・両国に拠点を置くデザイン事務所。

「世界一かっこいい田舎のデザイン会社になる」というビジョンを掲げ、ブランディングデザインを行っています。

今回は西粟倉村をベースに活動するwebデザイナーを募集します。実務経験が1年以上あると望ましいですが、能力があればカバーできるとのこと。

まずは地域おこし協力隊としてこの業務に携わりながら、3年の任期終了後にnottuoのメンバーとして会社に入ります。


Zoomをつないだ先に見えるオフィスには、暖かな木漏れ日が差し込んでいた。外から時折、鳥のさえずりも聞こえる。

この冬、フルリノベーションしたばかりだという西粟倉村の本社事務所。地元の大工さんや近隣の業者さんに施工をお願いし、素材には村の杉や檜を使用。2階に新社屋、1階には自社でデザインした商品が並ぶショップを構えた。

画面越しに心地よさがこちらまで伝わってくる。

話を聞かせてくれたのは、デザイナーの鈴木さん。

「フリーランスでデザイナーを長年やってきたんですけど。このままの生き方を維持するのか、チームをつくってまだ見ぬ景色を見るのか。そう考えたとき、僕は後者のほうが面白そうかなって」

2015年に法人化してからは、建築士とグラフィックデザイナーが加わった。

紙媒体やウェブ、プロダクトや空間設計まで。手がけるプロジェクトの幅は広がり続けている。

たとえば、神奈川・武蔵新城にある洋菓子店「Baba de Marie」のブランディングでは、ロゴマークやウェブサイト、制服等のスタイリングや店舗設計まですべてのデザインを手がけることに。

ブランディングをするなかで鈴木さんが大切にしているのは、「クライアントらしさ」を引き出すコミュニケーション。

「営業とデザイナーで役割が分かれているみたいな仕事の進め方じゃなくて。依頼してくれた人の温度感、言葉にならない感情的な部分も、直接拾い上げてデザインしていきたい」

敷地内には、ちょこんとタバコの自動販売機がある。クライアントとの話し合いのなかで撤去の話もでたものの、残すことにしたそう。

「タバコを買うお客さんに向けて、甘いだけではなく、おつまみのような感覚で買って帰れる商品をつくったらどうだろう」

そんな鈴木さんの提案から、新しいお菓子も誕生した。

相手がなにに困っているか、なにを必要としているのか。うわべのコミュニケーションでは触れられないところにまで、鈴木さんたちは迫っていく。

Baba de Marieの案件では、最終的にクライアントの住居空間の設計まで行ったというからおもしろい。


nottuoには、領域を超えたデザインの実践を積むための「drill」制度という取り組みがある。クライアントワークとは切り離し、興味のある分野を実験的に表現する場、とのこと。

菓子屋ミーもそのひとつだ。

「架空のお菓子屋さんなんです(笑)。実働しているのは嫁さんなんですけど、お菓子づくりが好きで。田舎暮らしとお菓子だったり、おしゃれだったり、ファッションだったり。スモールスタートで自分の好きなものだけ発信したらどうなるだろう。インフルエンサーってつくれるのかなっていう実験ですね」

田舎暮らしとなにかを掛け算する。そんな発想は、村の暮らしのなかでふと思ったことがきっかけで生まれたもの。

「田舎に住むことで、好きなことやおしゃれ、ファッションを諦める必要ってあるのかな。逆にそれを楽しんで発信することができたら、田舎に行ったらいろんなものを諦めなきゃいけないっていう人たちのインサイトをくすぐれるんじゃないかなと思ったんです」

二拠点といっても、以前は案件のボリュームから東京に比重を置いていた。

昨年の緊急事態宣言以降は、西粟倉村にもっと軸足を置こうと決めたという。

「西粟倉で迎える朝。あの日の出前のうす暗がりの静けさっていったら、これはなんて贅沢な環境なんだろうって」

好きな場所で、好きなことを仕事にする。そんなライフスタイルや働き方は理想的にも思える。

ただ、鈴木さんは飄々とした感じで体現しているけれど、競争の少ない地域でクオリティとスピードを落とさずに仕事をするのは簡単なことではないと思う。自由にデザインの領域を横断することだって、捉え方によっては「そこまでやるの?」と思う人もいるはず。

鈴木さん自身、大変だなあと感じる瞬間ってないですか?

「ああ、たとえばdrillのなかで、自分たちでものをつくると製造業の大変さがわかったりしますよね。いわゆる効率とか合理性を求めるなら、ほかにもっとやり方はあるだろうし。それでもうちは、先入観から放たれて、より楽しいと思うことを求めていきたくて」

「西粟倉村から海外目指すぞ、世界一狙うぞとか言い張っているんですけど。そう聞いておもしろいなって思ってくれる人に来てほしいですね」

実際に海外からのオファーはあって、最近ではdrillの家具や器がシンガポールのバイヤーの目に留まり、現地で受注会が開催されたという。

年を重ねたり、いろんな経験を積んだりするうちに、「こうでなきゃ」と思い込んでしまうことってあります。

でも、どんな仕事にも本当は正攻法なんてなくて、いろんなやり方があっていいし、制約だと思っていることは可能性かもしれない。デザインという手段で、そのことを楽しみながら追求しているのがnottuoという会社なのだと思いました。

(2021/1/26 オンライン取材 惣田美和子)
※写真はご提供いただいたものを使用しています。




※特集ページでは、西粟倉村という地域のこと、村内のほかの企業についても紹介しています。合わせてご覧ください。
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