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【西粟倉11の挑戦:その10】
森づくりに余白を生むために
ロジカルな発想力を

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

たとえば、書類を封筒にひたすら入れていく作業があったとして。

封筒の上下、裏表、置く向きひとつで作業効率は変わる。大量に発送する場合は特に、この小さな工夫が、後で大きな差になります。

「100年後の森づくり」を目指すような、長期にわたるプロジェクトも同じ。日々の何気ない仕事を効率化していくことで、100年後の風景はきっと大きく変わってくる。

今回紹介するのは、岡山・西粟倉村で森林の管理計画を担う株式会社百森。民間企業が森林管理を行う、全国的にもめずらしいチームです。

ここで、エンジニアとして社内業務の効率化をはかる人を募集します。

まずは地域おこし協力隊として3年間活動し、その後は正式なスタッフになる道もあります。一方、村内では今、IT人材が不足しているらしく、自ら個人事業主として独立するという選択肢もあります。

林業についての知識や経験は不問です。IT業界での経験やスキルを、未来の自然環境のために生かしたいという興味がわいたら、ぜひ読んでみてください。


今回オンラインで話を聞いたのは、百森の田畑さん。

「前はあわくら温泉駅の待合室の一角を拠点にしていたんですけど、最近、旧森林組合の事務所へ引っ越して。やっと事務所っぽい感じになりました」

百森はこの西粟倉村で起業して4年目という若い企業。

もともと村では、2008年にスタートした森づくりの取り組み「百年の森林構想」をより継続的なものにしていくため、民間で森林管理や計画を担うプレイヤーを探していた。

そんな思いに応える形で手を挙げたのが、現在百森の共同代表を務める田畑さんと中井さんだった。おふたりは小学校の同級生で、田畑さんはITベンチャー、中井さんは再生可能エネルギーに関わる仕事をしていた。

西粟倉村での起業をサポートする「ローカルベンチャースクール」を経て、2017年に事業をスタート。

現在は村有林も含めた2600haほどのフィールドで、山主さんとコミュニケーションをとって森を預かったり、林業の施業者さんに作業を依頼したり。俯瞰的な立場で森林の調査や管理、計画づくりを担っている。

「今回新しく入る人に期待したい役割はふたつあって。ひとつはエンジニアとして、森林管理に関わるアプリケーションやシステムをアップデートしていくことです」

百森ではこれまでも、森林の所有者や現地調査の情報を管理するソフト「百森ちゃん」や施業者のためにオフラインでも使える日報サービスなど、林業に特化したITサービスをつくってきた。

システムを導入して事務作業を効率化するのは、できるだけ現場にいる時間を増やすためだという。

みなさんは普段、どんな視点で現場を見ているんですか。

「まずは、スギやヒノキなどの木材の畑として適切な間伐が行われているかをチェックします。もう一つは、安全や生物多様性が守られる環境かどうか。作業道の転圧とか、広葉樹が伐採されてないかとか。今後は、それぞれの項目について評価基準を体系化していきたいと思っています」

施業者の声を理解するためにも、現場に出向く時間は大切なもの。

山主さんと直接話すなかで得られる気づきもある。

「年配の方からは、『子どものころはみんな山で遊んでいた』とか『川に魚が泳いでいて』っていう話をよく聞きます。以前はもっと人と自然が近しい関係だったんでしょうね。村の共有財産みたいな感じで」

「僕たちは百年後の子どもたちから『村に森があってよかったね』って言われるようにしたい。そのためには、森を管理するだけじゃなく、村の自然や生物多様性、エネルギーなど、いろんな関係性のなかで森を考えていく必要があると思います」

今後は、子どものための体験会やツアーなど、村内の企業と合同で企画を進めていきたいという。

今は8人の少数精鋭チームである百森。

ここからさらに守備範囲を広げ、連携を強めていくには、業務をさらに効率化して余白を増やす必要がある。

そこで求められるのが、今回入る人のふたつめの仕事。百森社内のさまざまな業務をスピーディに進めていくための仕組みづくりだ。

「今、社内にも森にも、いろいろなカオスがある」という田畑さん。具体的にはどんな課題があるのでしょうか。

「ひとつは、環境が変わりやすいこと。たとえば山から下りてきた丸太の収益分配をするにも、丸太の太さに応じて計算方法が変わるし、所有権の扱いや、取引のルールそのものが頻繁に変わるから、毎月の計算処理がめちゃめちゃ複雑で大変なんです」

「これに似たような業務が、社内にはたくさんあって。それぞれ効率化する方法を見つけられたら、事業全体のスピード感も大きく変わってくると思います」

ロジカルに考えて、効率的なシステムを構築する。たしかにエンジニアの仕事そのものと言えるかもしれません。

今回入る人は地域おこし協力隊のため、村のなかに住所を置く必要はあるけれど、リモートワークでフルフレックスという働き方も選択できる。

さらに村のなかでは今、ITを専門とした事業者が少なく、「村のIT屋さん」が求められている。興味があれば、複業でほかのプロジェクトに関わることも可能とのこと。

村や森全体がひとつの会社のような面もある西粟倉村。会社の情報システム担当的なポジションで、村のいろんな人と関わってみるのもおもしろそうです。

森や村の未来に向けて、自分の経験が目に見えて生かされていく。そんな生き方もあるのだと知りました。

(2021/2/8 オンライン取材 高橋佑香子)
※写真はご提供いただいたものを使用しています。




※特集ページでは、西粟倉村という地域のこと、村内のほかの企業についても紹介しています。合わせてご覧ください。
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