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木村硝子店のグラスを初めて使ったとき、グラスで飲み物の質感がこんなにも変わるんだと驚きました。
ガラスが薄く、液体を直接持っているような軽やかさ。口当たりの繊細さ。手づくりのガラスの良さを知る人たちから、木村硝子店のグラスは根強い人気があります。
創業以来、主に自社デザイングラスの卸販売を行ってきた木村硝子店。現在は本社に併設された直営店のほか、ネットショップでも商品を購入することができます。
今回募集するのは、東京・湯島の本社で働く商品管理スタッフ。商品のピッキングや梱包、発送などを担います。
たくさんの商品を運ぶ、体力が必要な仕事。いかに効率的に仕事を進めるか、一人ひとりが日々考えながら、のびのびと働いています。
その背景には、代表の木村さん独特の採用に対する考え方があるそう。実際に働いている人も、その考え方に惹かれたという人がとても多い。
まずは木村さんの考え方に触れてみてほしいです。
木村硝子店の事務所は、湯島駅から歩いて5分ほどの場所にある。
一階の店舗は、緊急事態宣言を受けて休業中。二階のショールームに上がって少し待つと、代表の木村さんが迎えてくれた。
「今までに6回かな、日本仕事百貨で募集をして。ありがたいことに、その人たちがすごくよく働いてくれて、うまく回っててさ」
「ただ今度、うちの出荷の要になってる人が産休に入ることになって。取引も増えてきているから、出荷に特化したスタッフを新たに募集したいと思ってるんです」
飲食店などへの卸業を軸に、店舗やネットショップでの販売もしている木村硝子店。
そのすべての受注、梱包、発送業務を担っているのが、出荷チームだ。
「一般的に言ったら裏方的な仕事なんだけど、うちの場合は裏方というより主役で。そこをしっかり押さえてないと商売が成り立たない。そこにやりがいを感じてくれる人だったらありがたいね」
「仕事中なんかは無駄口叩こうが全然構わないし、楽しくやってくれればいいと思ってる。俺なんか何も口出ししないんだけど、みんなすごく効率的に仕事してくれてるんだよね。しかも雰囲気もまあまあいい感じで。なんでかわかんないんだけど(笑)」
楽しくやって、効率もいい… なんだか理想的な仕事場ですね。
「若い子たちがよく働いてくれてるんだよね。でも一応、人を選ぶときに気をつけていることはある。喋っていてこの人いいなとか、話が合うな、みたいな。そういう人を選んでるね」
「昔入った人だと、面接で5時間話した人もいた。入れたいけど、なにか決め手がないかなって思いながら話してたら、その人が行きたいっていうレストランが、僕がよく行くレストランだった。それで決まり」
レストランが決め手だったと。
「そうそう、趣味が合うっていうのかな。もちろん完全に合うことはないけど、だいたい向いてる方向が同じだから。そういう人たちが集まると、一緒に仕事していて楽しいよね。こんなものさしで人を採用しているところもないかもしれないけど」
「こういう社長が集めた人たちだからさ。ほかの職場に比べると、合いやすい人が集まっていればいいなと思うんだよ。今のところはそれがうまくいっている気がするね」
出会い頭にいい直感が働けば、あとはうまくいく。ある意味放任主義のようにも見えるけれど、スタッフを信頼しているようにも感じるし、それが結果的にいい雰囲気を生み出しているのだからすごい。
木村さんの話す、趣味が合う人たち。どんな人が働いているのか、まずは出荷チームの中津さんに話を聞いてみる。
中津さんは入社して15年目になるベテラン社員。一昨年の12月から産休に入っていて、現在も休職中だそう。
まずは、おめでとうございます。
「ありがとうございます! 産休後もできるだけ早く復帰したいとは思っていて。私の仕事は後輩が引き継いでくれる予定ですが、今は出荷チーム全体で人が足りていないので、いい人が入ってくれたらいいなと思ってます」
出荷チームのリーダー的な存在の中津さん。
メールやファックスなど、さまざまなフォーマットで送られてくる受注情報をまとめ、統一のフォーマットに直して各スタッフに割り振るという、重要な役割を担っている。
出荷チームのスタッフは、割り振られた注文書に応じて倉庫から商品をピックアップし、梱包。発送伝票を貼り付けて配達業者に引き渡すまでが一連の流れだ。
「みんな一日の終わり時間は把握しているので、それに間に合うように考えて手を動かしている感じですね。今この作業をしていて本当に終わるのかっていうのを、自問自答しながらやる、っていうのかな」
たとえば、注文書が5枚あったとき。どの注文書から手をつけて、どの商品から出したら効率がよく、さらにどの階段を使ってどういう順番でピッキングしたら一番早いか。
常に先々のことまで考えながら動くことで、可能な限り作業を効率的に終わらせることを目指している。
とはいえ、倉庫は2フロアあり、商品が所狭しと積み上げられている状態。ここから目当てのものを探し出して運ぶとなると、なかなか大変そうだ。
「体力は必要な仕事だと思います。私はもともと運動部だったし、体を動かすのが大好きだから、片手で何箱持てるとか、いかに最少の歩数でピッキングするかとか。いま思い出すと恥ずかしいんですけど、そういうことを考えながらやってましたね(笑)。体力も知識もついて、だんだんとできることが増えていくのが面白いなって」
商品を持って階段を上り下りすることもあるため、見た目以上にきついところはあると思う。
梱包も単純にダンボールに詰めるだけでなく、ギフト用に包装したり、専用の箱があったりと、細かいところまで気は抜けない。
「日々の出荷作業のほかにも、1週間後の大口出荷に合わせて事前に在庫数を確認するとか、返品されたものを処理するとか。細かい仕事も出荷チームが担っているので、それに取り掛かる時間をつくるためにも、効率よく仕事をまわしていく必要があるんです」
現在出荷チームは、中津さん含めて5人。営業の役割をしながら出荷の仕事に携わっている人もいるため、出荷に特化しているのは3人だけなのだそう。
日々の出荷と細かい業務、どちらもギリギリで回している状態なので、新しい人を迎えることで、余裕を持って業務に取り組めるようにしていきたい。
「どうしたら効率的に仕事が進むかとか、毎日みんなで改善しながら動いているので、風通しはいいと思います。社長も自由にやらせてくれるから、私はすごく居心地が良くて」
「木村硝子店って聞くと、華やかなイメージを持っている人が多いと思うんです。出荷は、お客さんと話すこともない、陰の存在。だけど、木村を支えているのも間違いなく出荷なんです。そこにやりがいを持ってくれるような人が来てくれたらいいですね」
最後に話を聞いたのは、入社して6年目になる上塚さん。日本仕事百貨を通して入社したそう。
「記事を読んで、社長の雰囲気が面白そうだなって。入ってからは、体力がすごく必要だなと感じました。最初の頃はとくに、毎日足にきてましたね」
「当時は中津さんが厳しかったんですよ(笑)。走れ!って言われて、階段もダッシュで上ったりして。あぶないから今はみんな歩いて運んでますけどね」
最初は、商品の名前や位置を覚えるところから。わからないものは、検索すればどこに置いてあるかすぐわかるようになっているけれど、頭で把握していたほうが効率はいい。
「中津さんって何を聞いても答えてくれるんですよ。こんなに種類があるなかで、このグラスなんですかって聞いたら、すぐ名前が出てくる。やばい、プロだ…!って。足を引っ張りたくないので、少しでも近づけるようにと、いろいろ努力してきました」
どんなことをしていたんですか?
「グラスを拭いているときに、このグラスの名前はなんだって自分に質問して、わからなかったらカタログを見て調べる、とか。あとこれは、ほかの人に内緒にしていたんですけど… 倉庫の見取り図を自分で描いて、みんな帰ったあとに『これはここにある…』って一人でやったりとか…(笑)」
すると、隣で聞いていた中津さんから、「えー、そんなことしてたの!」と驚きの声が。
「目立ってなにかするのが、あんまり好きじゃなくて(笑)。経験値には勝てないことってあると思うので、そうやって小さいところから努力したり、先輩の話から吸収したりすることが大事だと思うんです。中津さんと喋ってるときも、なんでもない雑談もたくさんしますけど、それもひっくるめて自分の肥やしにしたいなと」
「一つひとつは本当にちょっとしたことなんですけど、その積み重ねでだんだんとわかるようになってきましたね」
取材中も、上塚さんと中津さんの掛け合いが面白くて、ついつい脱線しながら聞いてしまう。先輩後輩にかかわらず、雑談も真面目な話も、気兼ねなくできる雰囲気を感じる。
「たまに、大口の出荷があるんですよ。いろんな商品を詰め合わせて、20箱ぶん梱包しないといけないとか。それを一個も間違えずできたら、やっぱりうれしい」
「ちょっとしたことなんですけど、それを喜べるか喜べないかって、けっこう大事なんじゃないかと思っていて。日々取り組んでいるなかで、自分を面白くさせてあげる力、っていうのかな」
自分を面白くさせる力、ですか。
「自分を面白くさせるのって、自分しかいないと思うんです。一個の商品を覚えて、次きたら最速で取りにいけるようになるとか。小さなことでもできるようになったら最高じゃないですか」
「そういう楽しみを見つけたら、毎日本当に面白いですよ。出荷っていうと毎日同じことの繰り返しのように聞こえるけど、中身はぜんぜん違うので。一緒に前向いて働ける人が来てくれたらうれしいですね」
木村さんの話す、趣味の合う人。それってどういうことだろうと取材中も考えながら聞いていたけれど、正直、最後まではっきりしたことはわかりませんでした。
ただ一つ感じたのは、みなさん自分自身を楽しくさせることが得意で、自分の仕事に誇りを持っているということ。
ここだったら自分も楽しく働けそうだなと感じたら、ぜひ木村さんと話してみてください。
(2021/9/3 取材、2023/1/9 更新 稲本琢仙)
※撮影時はマスクを外していただきました。