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指輪づくりは思い出づくり
ふたりに寄り添う
クラフトマン

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

「“夫婦はじめての共同作業”と聞いて、なにを思い浮かべます? ケーキ入刀… もそうなんですが、うちに来てくれるお客さまにとっては、結婚指輪作りが夫婦のはじまりなんです」

そう話すのは、鎌倉彫金工房代表の嶋﨑さん。

鎌倉彫金工房では、自分たちで結婚指輪を手づくりすることができます。

なかには少し大変な作業もあるけれど、手間をかけて1から作るからこそ、完成した指輪は二人にとって世界にひとつだけの大切な宝物になる。

指輪と共に楽しい思い出を持って帰ってもらえるように、インストラクターとしてお客さんをサポートするスタッフを募集します。

未経験でも大丈夫。ものづくりと、人が好き。そんな気持ちを持っている人なら、きっと気持ちよく働けると思います。

 

鎌倉駅西口の改札を出ると、左手に「御成通り商店街」が真っすぐ伸びている。

可愛らしい雑貨店やカフェが通り沿いに並んでいて、観光客で賑わう東口と比べるとどこか落ち着いてのんびりとした雰囲気。

ゆっくり歩いて5分ほどで、鎌倉彫金工房の御成町店にたどり着いた。

木のドアを開けてなかに入ると、スタッフの皆さんが出迎えてくれる。

間もなくお客さんが来店する時間とのことで、事務所のある2階で代表の嶋﨑さんに話を聞くことに。

鎌倉彫金工房は、嶋﨑さんが2012年に立ち上げた会社。結婚指輪をはじめとしたペアリングをお客さん自ら作ることができる、体験型のサービスを提供している。

現在は鎌倉と横浜に3つ店舗を構えていて、25名のスタッフが働いている。

「最初は僕ひとりでやっていて、そこから少しずつ会社も大きくなってきました。次の4月で10年ですか。つい最近、創業したばかりの頃にうちで結婚指輪を作ってくれた方が、10年の節目にもう一度ふたりで指輪を作りたいって来てくれて。長くやっているとそんなこともあるんですよね」

昔からものをつくることが好きで、ジュエリーの専門学校に通っていたという嶋﨑さん。

卒業後は京都にある手作り体験も出来る彫金工房で働いたのち、ジュエリーの業界を知るためにジュエリーメーカーへ転職し、指輪を制作していた。

「もともと独立したい気持ちはあったんですが、なかなか勇気が出なくて。子どもを授かったタイミングで、今始めないと時間がないなと踏ん切りがついたんです。そのときに、自分でやるなら最初に働いたような体験型の工房がいいなと思って」

「ただつくるだけじゃなくて、お客さまが喜んでくれているところまで見届けたかったんですよ。そのほうが僕はやっていて楽しいなって。それにお客さまも、指輪を自分たちで作れたら、思い出も一緒に持って帰ってもらえるなって思いました」

鎌倉彫金工房では、完成まで一通りの作業をお客さん自身が体験することができる。

素材やデザインを選んで、1本の棒を熱して曲げるところから、叩いて磨きあげるまで。2〜3時間かけて自分たちの手で作っていく。

スタッフは、インストラクターとして工程の一つひとつをそばで見守り、適宜仕上がりを手早くチェック。必要に応じて修正し、きれいに仕上がるようサポートする。

「他の体験型の工房と比べると、うちはかなりお客さまに作業していただいていますね。できる限り長く指輪に触れていただくことで、『自分たちで作った指輪だ』って、より感じてもらえると思うんです」

「そのぶん僕たちスタッフは短い時間でお手伝いをする必要があって。なるべく黒子になりきってサポートができるよう、ある程度高い技術を持った状態で接客に入るようにしています」

スタッフは、未経験から指輪作りを習得した人がほとんど。

一人で完璧な指輪が作れるようになるまで、3か月くらいは指輪制作の接客には入らず、まずは徹底的に指輪作りの基礎を磨いていくんだとか。

「興味関心がある人だったら、技術の習得に関してはあまり心配しなくていいかなと思います。うちでは指輪の加工と接客の両方を担当してもらうことになるので、どちらの業務も好きで楽しんでくれる人が来てくれたらうれしいですね」

 

指輪作りの技術はどうやって学んでいくんだろう。入社して8ヶ月の森崎さんに教えてもらう。

入社して最初の目標は、最初から完成まで30分以内でシルバーリングを作ること。

事務作業や見学対応などをしながら、日々練習を重ねていく。

「ジュエリーの専門学校に通っていたので、指輪作りの工程は学んでいたんです。だけど、ここでは基礎だけを徹底してやっていくことになるので、ひとつのことを極める大変さがありました」

とくに難しかったのが、指輪の内側を削る作業。

きれいに磨けると鏡のように光るものの、少しでも傷が残っていたり、力加減や削る角度に差があったりすると、光をかざしたときに曇ってしまう。

完成したと思って先輩に見せにいくと、まだまだ傷や磨き残しがあってやり直し… という繰り返しだったそう。

「最初の頃は、うまくできないし時間もかかっちゃうし…。お金をいただいているのに役に立てていないなって感じてしまって、よく落ち込んでいましたね。劇的にうまくなることはないので、少しずつ、ですね」

「そこを乗り越えるとできることが増えていって、ちょっとずつ楽しくなってくるんですよ。それに、できないときも助けてくれる先輩がいっぱいいて。周りの方にたくさん支えていただいているなって思います」

接客が入っていない時間は、石留めなどの加工を練習したり、お客さんが作った指輪を預ってダイヤモンドを入れる作業をしたり。日々指輪作りの技術を磨いていく。

そんな話をしていると、隣の作業場から大きな笑い声が聞こえてきた。

各自で黙々と作業している様子を想像していたけれど、みなさん楽しそうですね。

「割とこんな感じです(笑)。指輪の加工作業や練習は、音楽をかけたり話したりながら、みんなでわいわい取り組んでいますね」

入社してから3ヶ月。技術の練習と接客のロールプレイングを重ねたのち、森崎さんはシルバーリングの接客デビューを迎えた。

「すごく緊張しました。はじめてのお客さまは、高校生の若いおふたりで。デザインやリングの幅まで、今でもよく覚えています。終わったときに、『楽しかったです』って伝えてくれて、泣きそうになりましたね。私はずっと緊張しっぱなしだったんですけど、楽しんでくれてたんだ、よかった〜って」

「今月からは、ブライダルリングのお客さまも担当できるようになりました。ブライダルリングは扱う素材も増えるし、加工方法の幅も広がるので、一定のスキルがないと難しくて。ずっと接客の合間に練習してきたので、担当できるようになったのがうれしいです」

 

最後に話を聞いたのは、入社3年目の神原(こうばら)さん。日本仕事百貨の記事をきっかけに入社し、今は横浜元町店で働いている。

「前職ではお花屋さんで結婚式の装花を担当していました。ものをつくる仕事、とくに誰かのために何かをつくることが好きで。前の仕事もすごく楽しかったんですけど、彫金にもずっと憧れがあったんです」

「ものづくりって経験が問われる職場が多いから、日本仕事百貨の記事をたまたま読んだときは『本当に未経験でできるの…?』ってびっくりして。これを逃したら一生彫金の仕事はできないかもと思って、応募しました」

接客は、午前と午後に3時間ずつ、1回につき2組を同時に担当している。

基本的な作業工程や説明以外に、決められたマニュアルはないそう。

お客さんに達成感や満足感を感じてもらうためには、どんな伝え方、進め方がいいのか。日々試行錯誤しながら、自分にあったスタイルを探している。

「作業をただ伝えるだけだと、先生と生徒みたいな距離感になっちゃう。先輩と何が違うんだろうと思ってよく観察していたら、自分のこともよく話しているって気がついたんです。『この作業、私も苦手なんです』とかって」

作業している様子を見ながら、お客さんの気持ちを想像して声かけをすること。何よりも自分自身が楽しんで、自ら心を開いていくこと。

二人にとって楽しい時間となるよう、日頃から心がけているポイントをたくさん教えてくれた。

「自分の友達や家族に教えるつもりで接しています。朝ちょっと気分が上がらない日も、接客に入るとすごく楽しくて。接客が終わるといつも、お客さまのことがすごく好きになるんですよ」

「だから、『楽しかったです』って言っていただけると、ああ、よかった!って思います。自分の技術を磨いたり指輪を加工したりしているときの楽しさとはまた違う、誰かの役に立てているっていうやりがいもあって。つくりたい欲と、両方満たされていますね」

ついこの間、うれしい出来事があったんだとか。

「2年くらい前に結婚指輪を担当した方が、アフターケアで磨き直しに来てくれたんです。そのときに、私宛にお手紙と写真をいただいて。『このお店で指輪を作って本当によかった』って、びっしりお礼の言葉を書いてくださっていたんです」

「手紙の最後には『10年後にもう一度、二人で指輪を作るのが目標です。そのときは、ぜひまた担当してくださいね』とも言ってくれていて。たった3時間の体験が、おふたりにとって本当に大切な思い出になっていて、そこに私も関われているんだなあって。すごくうれしかったですね」

話を聞いていると、日々幸せなお客さんと接しているからか、働いている皆さんからも幸せオーラを感じます。

取材中にそんな感想を伝えると、嶋﨑さんがポツリ。

「自分が幸せじゃないと、お客さまも幸せにはできないからね。だから、スタッフのみんなが気持ちよく働けるように、職場環境を整えていくのが僕の仕事なんです」

「これはぜひ記事に書いてほしいっていうことがあって。実は、創業してからの10年間でうちを辞めたのはたった2人だけなんですよ。その方々も、家庭の事情などやむを得ない理由で。みんなが続けてくれているのは、本当に僕の自慢ですね」

働くスタッフが、気持ちよく、長く働けるように。

月に一度全店舗を休みにして、試験や研修をしたり、会社の今後や働き方、福利厚生などについて全員で話し合う時間をつくったりしているそう。

そこで出た意見はできる範囲で形にしていて、最近はとあるスタッフのリクエストから、フルタイム累計5年勤務で1ヶ月の“大人の夏休み”休暇が与えられるようになったんだとか。

森崎さんと神原さんも、「このミーティングがあるから、みんなでお店をつくっている感覚がある」と言っていました。

技術の習得も、お客さんの笑顔も、お店の雰囲気も。みんなでつくっているこそ、幸せが循環している場所なんだと思います。

(2021/10/13 取材 鈴木花菜)

※撮影時はマスクを外していただきました。

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