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幸せをデザインする
世界にひとつのジュエリー

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

先日、結婚指輪を購入しました。

結婚指輪についていろいろ調べているときに感じたのは、自分たちで一からデザインを決められるところは意外と少ないということ。

愛知県豊橋市にある「ジュエリークルール」は、結婚指輪をはじめとしたジュエリーを、ひとつずつフルオーダーで製作しているお店です。

ふたりだけのデザインを考えていく過程では、お互いの好みの似ているところはもちろん、違いも見えてくる。

その両方を活かした“ふたりらしいリング”ってなんだろう?と考えるのは、これから人生をともに歩んでいくふたりにとって、とても大切な時間のように感じます。

今回は、ジュエリーのデザインをお客さんと一緒に考えるスタッフと、ジュエリーの加工作業やリングの制作体験を担当するスタッフを募集します。

「目の前のおふたりだけのためにデザインや制作をするからこそ、味わえるやりがいがある」と、クルールのみなさんは話していました。

接客、制作どちらも経験は問いません。目の前のお客さんに向けたものづくりをしたいという人に、ぜひ読み進めてほしいです。

 

東京駅から新幹線に乗って、約1時間半。

豊橋駅で降り、駅前の大通りに沿って進む。そこから、一本左に曲がりさらにまっすぐ歩いていくと、15分ほどで「couleur」と書かれた看板が見えてきた。

お店は、淡いピンクでかわいらしい外壁。ドアを開けて中に入ると、スタッフのみなさんは奥にある工房で作業しているみたい。

「こんにちは」と声をかけるとすぐ、代表の黄木(おおぎ)さんがこちらに来てくれた。

ジュエリークルールを訪ねるのは、3ヶ月ぶり。前回取材に来たご縁から、今年の夏に個人的に訪れて、結婚指輪をつくっていただいていた。

指輪、すごく気に入っているんです。

「それは良かった!デザインが決まったときに、おふたりの顔がパッと明るくなったのをよく覚えていますよ」

ジュエリークルールは、黄木さんが2011年に立ち上げたお店。婚約指輪や結婚指輪を中心に、デザインから制作まで一貫してジュエリーをつくっている。

リングは、すべてフルオーダー。その場でお客さんの希望を聞きながら、2〜3時間かけてデザインしていく。

「ご来店いただいた段階では、『シンプルなものがいいかなあ』というように、あまり具体的なイメージを持たれていない方がほとんどで。お客さまとお話しながら、ラフ案をつくっていきます。なによりも、観察力が大切だなと感じていて」

観察力?

「まずは、ウエディング雑誌にのっている既製品のデザインや、見本のリングを見ていただくんですが、どの商品をどんな表情で、どのくらい見ているのか。細かいところまでチェックしていますね」

「何ページ目にどういうデザインのリングがのっているのか、すべて覚えているので。このページはすぐにめくったから、ダイヤがたくさんついたデザインはお好みではないのかなとか、目星をつけていきます」

リングには、「エタニティ」や「コンビ」、「ミル打ち」や「槌目」など、さまざまな種類の形状や加工方法がある。

じっくり見ているページに載っているのは、どの加工・形状のものなのか。そんな視点から、デザインのアイデアを絞っていくこともある。

「どうしたら、おふたりの満足にたどり着くのか。自分の意見を伝えるのが苦手な方でも、いくつかデザインを描いて反応を見たりしながら、できる限り好みを引き出すようにしています」

ある程度好みがわかったあと、どうやってふたりだけのデザインを生み出していくんでしょう?

「そこからは、ある程度の経験があってこそ、なせる技かもしれないですね。さまざまなデザインの知識と、おふたりの好みのポイントを見極める観察力。その両方が必要なんです」

たとえば、と見せてくれたのは、先日完成したという結婚指輪の写真。

「おふたりがすごく気に入った既製品のリングがあったんです。だけど、話を聞いていくうちに、その通りのデザインではなく、どこかにオリジナリティを出したいというのもわかってきて」

素材を変えることで色の違いを出すこともできるし、表面に凹凸をつくったりツヤ消しをしたりなど、仕上げの方法によっても指輪の雰囲気は大きく変わってくる。

黄木さんは、いろいろな選択肢を提示していった。

「『アシンメトリーになるように、ラインにひねりを加えるのも面白いかもしれませんね』という話をしたら、おふたりの表情が一番輝いたんですよ。それで、“アシンメトリー”をポイントに、さらに提案を重ねて宝石など細かいデザインを詰めていきました」

デザインというと、0からアイデアを生み出していくイメージが強かったけど、自分のなかに引き出しをいくつも用意しておくことが大切なんですね。

「そうですね。大勢に向けたデザインだったら、0から1にする能力が必要なんですが、うちの場合は目の前のお客さまが喜んでくれることを目指しているので。その場でいろんな提案をして、おふたりを理解していくのが一番大事かなと思います」

「おふたりのことだけを考えながらデザインしたもので、喜んでくださる。それを直接見られるのは、やっぱりうれしいです。オーダーメイドでつくっているからこそ、得られる感覚だと思いますね」

オーダーの数は、結婚指輪だけでも1ヶ月で10本ほど。接客の合間に、1ヶ月半かけて制作している。

今回は、年々増加している依頼にもっと応えていけるよう、デザインの提案や事務作業を担うスタッフを募集することに。

まずは予約管理や納品業務、SNS発信等をおこないながら、接客やデザインづくりを学んでいき、最終的にはデザイン提案を一人でできるようになってもらいたい。

慣れるまでは、黄木さんも打ち合わせに同席してくれるとのことですが、未経験でも大丈夫なんでしょうか?

「宝石や加工の種類、どんなデザインのリングがあるのか。知識はあればあるほどお客さまの安心感につながっていくので、覚えていただきたいことはたくさんあります。ただ、それも入社後に学んでいけば大丈夫ですよ」

スキルよりも「お客さまのためにちょっとでもいいものをつくりたい」といった気持ちがある人に来てほしいと、黄木さんは言う。



「うちの仕事って、個人の裁量が大きいから楽をすることもできるんです。でも、楽をすると仕事がつまらない。たとえば、お客さまが気にいってくれた!と思ったところから、さらに喜んでもらえる提案は何かないかって考えるみたいな。なるべくいいものを目指して頑張りたいっていう人だと、仕事も楽しいんじゃないかな」

 

今回は、ジュエリーの加工を担当するスタッフもあわせて募集する。

現在、黄木さんとともに加工業務を担っているのが、入社3年目の宮澤さん。新しく入る人は、このふたりに加わることになる。

「制作体験やジュエリーの加工以外にも、いろんな業務があります。写真を撮ってSNSにアップしたり、ショップカードをつくったり。やったことない仕事でも『調べてやってみて』ってよく頼まれるのは、小さい職場ならではかもしれないですね」

もともと黄木さんの制作教室に通っていたという宮澤さん。それでも、入社したときは知識も技術も不十分だったそう。

「金属の棒を溶接したり磨いたり。制作体験でつくっていただくリングを自分で何回もつくって練習しました。難しい技術もいくつかあったんですけど、実際にお客さまをご案内するようになってからは、接客のほうが難しいなと感じていて」

「リング制作体験の2時間、どうやったら楽しく過ごしてもらえるんだろうって、すごく考えながら接する。どんな距離感や手伝い方が心地いいのかはお客さまによって違うので、毎回案内の方法が変わるんですよね」

説明の仕方や、サポートに入る頻度など。目の前のお客さんをよく観察しながら、細かな作業一つひとつに気を配ることで、「楽しかった」という思い出につながっていく。

「2ヶ月くらい前から予約して、すごく楽しみにご来店くださることも多いんです。手づくりしたこのリングでプロポーズするとか、おふたりの記念日にペアリングをつくられるとか。一生に一度の、特別な思い出になるものづくりに携わっているんだなって感じます」

新しく入る人も、まずは宮澤さんのように制作体験を運営できるようになるところから。その後、制作体験の合間にそのほかの加工技術について練習していく。

宮澤さんも、制作体験のほか、簡単な修理やクリーニングなども担当しているそう。

「毎回違うデザインのジェエリーに触れることができるので、見ていて楽しいですね。いろんな技術が駆使されているので、いつかは自分もこんなリングがつくれるようになりたいなって思います」

「ただ、フルオーダーでつくっているからこそ、さまざまな加工技術を習得していく必要があって。それは大変ですね」

つくりかたはもちろん、修理やクリーニングにおける注意点、使う道具など。リングによって異なるため、一つひとつ覚えていく必要がある。

「工房には、本当にいろんな道具があって。もう数えきれないくらい。たとえば、リングを磨く道具だけでもこれだけ種類があります」

少しずつだけど、大きさや形状、硬さが違うみたい。どう使い分けているんでしょう?

「細かいところを磨きやすいとか、広い面に素早くアプローチできるとか。それぞれの道具に特徴があるんです。毎回、リングの形状や装飾にあわせて、どの道具を使うか判断しています」

「お客さまにとって思い入れのあるジュエリーなどを修理するときは、いつも以上に緊張するんです。プレッシャーのなか、日々たくさんのリングを扱うのは忍耐力も必要で。うまく切り替えることも大事かもしれないですね」

たとえば、出勤してからみんなで必ずおこなう掃除や朝の体操も、良い気分転換になっているそう。

「ラジオ体操からストレッチ、軽いダンスとか。黄木さんも全力で踊っています (笑)。少人数の職場なので、忙しいときでも明るくがんばれる人が来てくれたらうれしいです」

幅広い技術を身につけていく必要があるぶん、新しく入る人も、なかなか自分の成長を感じづらい時期もあるかもしれない。

それでも、目の前の仕事一つひとつ着実に取り組んでいけば、必ず技術は向上していく。

「少しずつ失敗が減って、1時間かかっていた作業が50分でできるようになって。ちょっとしたことなんですけど、よし!ってなるというか(笑)。それに、やっぱり加工している時間そのものが楽しいんですよね」

「時間をかけてようやく仕上げることができて、お客さんに喜んでいただけたときは『ああ、頑張ってよかったな』って思います。あの満足感は、ここでのものづくりならではかもしれないです」

 

販売スタッフも加工スタッフも、日々訪れるお客さんのために、自分の知識や技術を磨いていく点は同じように感じました。

目の前のふたりのことだけを考えながら、プロとしてベストを尽くす。時間と手間を大切にしたものづくりを楽しめる人だったら、きっとやりがいのある環境だと思います。

(2021/11/17 取材 鈴木花菜)

※撮影時はマスクを外していただきました。

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