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コツコツ、ちまちま
一粒の光にこだわって

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

コツコツ、地道に、真面目に。今回紹介するのは、そんな性格を生かせる仕事です。

直径2mmの小さな世界で工夫を続けるメーカー、トーホー株式会社でグラスビーズの製造を担う人を募集します。

アクセサリーなどの材料に使う、色とりどりのビーズ。どうやってつくられているか知っていますか?

溶けたガラスを細長いストローのような形に伸ばし、細かくカットして粒状に。そのあと、着色やメッキなどの加工を加えて、さまざまな表情を出しています。

工場の2階から1階へ長〜い管を垂らすように成形する工程は、さながら流しそうめんのよう。カットするために束ねた管は、色とりどりのパスタのよう…。

見ているだけなら、そんな気楽なことも言えますが、かなり集中力を要する仕事です。

というのも、ビーズは最終的にたくさん繋げて使うため、色や形が揃っていることがとても重要。機械に頼らず、人の目と、手と、感覚を働かせてつくりあげた高品質なTOHOBEADSは、国内外に多くのファンがいます。

広島市の北部、自然豊かな地域から海を超えて、ドレスを彩る刺繍に使われたり、手芸やアート作品に生まれ変わったり。世界中のものづくりにつながる仕事です。

かなりニッチな業界なので、“経験者”として入社した先輩は一人もいません。大切なのは、細かな仕事に根気強く取り組める性格です。



TOHOBEADSの工場があるのは、広島駅から路線バスで1時間ほどの安佐北区・大林。近くには紅葉した山が見えた。

バス停から歩いてすぐのところにあるTOHOBEADSの工場は、かなり敷地が広い。

もともとここは工場だけでなく、ビーズの文化や魅力を伝える「TOHOBEADS Styleガラスの里」というミュージアムが併設されていて、一般の人も観光に訪れていた。

ミュージアムは3年前に閉館しているものの、代表の山仲巌さんの案内で少しだけ中を見せてもらった。

遺跡から発掘された古代のビーズや、現代作家のビーズ作品など、いろんな資料が保管されている。

「今グラスビーズをつくっている地域は、主に日本と、中国とチェコ、インドくらい。日本でビーズの製造を続けているのは3社だけ。昔は日本国内にも、もっとビーズづくりをやっている人がいたんですけどね」

昭和初期の広島では、帯締めやバッグのような服飾雑貨の生産が盛んで、その材料となるビーズの製造も地元で行われるようになった。当時は農家の兼業として、分業でビーズづくりをしていたという。

トーホー株式会社が創業したのは、戦後復興の最中の昭和26年。山仲さんの祖父母が、それまで家内制手工業だったビーズづくりを、工場として量産できる体制を整えたのがはじまり。

「うちは原爆ドームから自転車で10分くらいのところにありましたから、焼け出されて何もない時代だったと思いますよ。そんななかでビーズって、キラキラしていてきれいでしょう。それでご婦人方の装いが華やかになったら世の中が明るくなるって、うちのじいさんは思ったらしいんです」

あるときはウェディングドレスの刺繍で晴れの日を彩ったり、またあるときは夢中になれる趣味のパーツとして楽しみを広げたり。TOHOBEADSは創業者が目指した通り、いつも人のよろこびのそばにあった。

人手のかかる製造を海外などの下請けに出すことなく、自分たちで品質を守り続けたことで、トーホービーズのクオリティは国際的にも評価されるように。

コロナ以前はよく“Beader”と呼ばれるビーズ愛好家が、海外から団体で工場見学に訪れていたという。

「ビーズの製造って、ものすごく面倒くさくて。同じ条件でガラスを溶かしても、同じ色が出せなかったり、均一の大きさにそろえるのが難しかったり。同じ品番のものを買えば同じものが手に入るっていうのは、当たり前のことではないんですよね」

TOHOBEADSが製造するビーズは、サイズや色などの違いも含めると約1万種類。

お客さんからのリクエストがあれば、新商品の開発にも挑戦する。

「以前、ファッションデザイナーの桂由美先生から『光るウェディングドレスをつくりたい』って言われたことがあって。ビーズのなかにLEDを通せば光らせることはできるけど、それだと粒が大きくなってしまう。だから、ビーズ自体を光らせてほしいって」

「最初は、そんな無茶な…と思いましたよ(笑)。だけど、最終的には紫外線を吸収する蓄光顔料っていうのをビーズに練りこんで完成させて。暗い工場の中でポッと光ったときには、スタッフもみんな感動しましたよね」

最初から「できない」とは言いたくない。そんなプライドが支えになって、新しいものが生まれていく。

最近も新しく、刺繍用ミシンの太い針が通るように、穴の大きなビーズを開発したところ。穴を大きくするということは、その分生地を薄くする必要があるので加工は難しい。それでも、量産に適した形をつくれば、販路が大きく広がる。

「自分たちで思いつくことには限りがあるけど、外からアイデアをもらえば、もっといろんな楽しみを見つけられますよね。いろんな人とつながりを持つことで、ビーズの世界を広げていきたいなと思っています」

12年前に3代目として会社を引き継いだ山仲さんは、工場周辺の地域の人との交流も大切にしている。

この大林地区は、数年前の豪雨で被害を受け、住民が主体となって山の手入れに力を入れようとしているところ。

その自治会の活動を応援しようと、山仲さんはミュージアムだった敷地をお祭りの会場として提供したり、地域のSDGsをPRするためのバッジをビーズでつくったり。

近所の小学生たちは工場の中を通って学校に通うなど、TOHOBEADSの工場は普段から地域に親しまれている。スタッフも地元の人が多いので、この土地に縁のない人が入ってきても、コミュニティに打ち解けやすいと思う。

「大林の人たちは、移住者も歓迎してくれると思います。今は大学生の農業体験をサポートしていて、もし『こういうのどかな土地で、畑仕事をやってみたい』なんていう人がいたら放っておかない。土地を探すところから面倒見てくれますよ」

「ここは本当に田舎ですけど、つくるものは海外にも広く届けられる。ローカルに根ざして世界とつながれるって、なかなか面白い環境でしょう。本当に未経験者で構わないから、一歩一歩着実に、コツコツやりたいっていう人が入ってくれたらと思います」



入社して21年目になる製造・開発課長の坂さんも、入社するまでビーズがどうやってつくられるか知らなかったという。

「入ってすぐのころは作業の補助をしながら、必要な知識を身につけさせてもらいました。ビーズの製造工程は細かく分かれているので、まずは一通りやってみて、得意分野に分かれていくのがいいかなと思います」

もともと化学系のエンジニアリング会社で働いていた坂さんは、現在は製造課課長として、グラスビーズ製造全般の管理職をしている。

「最初は、既存の品番の課題解決みたいなことからはじめました。たとえばメッキが剥げやすいとか、気温によって色が曇ってしまうとか、そういう欠点を改善する方法を探るんです。ガラス加工の技術をいろいろ調べながら、テストを繰り返していくような感じです」

「僕は最初ビーズ工場って、女性の繊細な手で作業するような現場を想像していたんですけど、意外とたくましいというか。機械を触ったり、ガラスを伸ばしたり、職人っぽい仕事もありますし」

やっぱり化学とか、工業系の知識はあったほうがいいのでしょうか。

「いや、そんなことはない。どっちかというと、大事なのは性格かな。ビーズってすごく小さいものなので、細かい色の違いや形のズレを、『まあいっか』って思うと、品質のバラツキになってしまう。僕はここに来るまで、自分は細かい性格で嫌だなと思っていたんですけど、ビーズづくりにはそれが生かせるんですよ」

細かく見極めようとする姿勢は大切な一方で、気にしすぎは要注意。

人の手でつくる以上、失敗はつきものなので、目の前の結果に一喜一憂せず、コツコツ進めていく気持ちとのバランスが大事だという。

「うまくいっても、失敗しても、『よし、次行こう』くらいのテンションがいいと思います。ビーズづくりって2mmの世界ですから、『すごいものができたぞー!』って興奮するようなシーンは多分ないんですけど、やった分だけ確実に前には進んでいる。それが70年積み重なって、今があるんでしょうね」

「地道に少しずつ、自分にできることを増やしていけばいい。周りと壁をつくらずに、穏やかにやろうと思える人なら、一緒に働くみんなも協力してくれると思うから」



トーホー株式会社には今、国内5つの拠点があり、営業や企画などの業務を分担している。この大林の拠点には、60名のスタッフが在籍し、製造のほか、出荷などの業務を担う人もいる。

最後に話を聞かせてくれた中野さんは、出荷や生産管理の担当。この日「少し緊張しています」という彼女を励まそうと、周りの先輩たちが代わる代わる声をかけていて、普段の様子が垣間見えたような気がした。

中野さんは普段、在庫を見ながら出荷の手配をしたり、製造のスケジュールを調整したり。営業と工場をつなぐ窓口のような役割を担っている。

「最初は、現場でベテランの方に話しかけるのも緊張していたんですけど、話しかけてみたら、みんな優しく接してくれました。品番を言うだけで話が通じるし、納期の相談もすぐ返事をもらえるので、助かっています」

入社して2年目になる中野さん。働きはじめたころは、扱うビーズの種類の多さにびっくりしたという。

海外の出荷先も多いので、横文字の取引先名を覚えるのも大変だった。

「最初は、うまくやらなきゃって焦っていたんですが、あるとき先輩から『ミスをしたら、それをきっかけに覚えるから大丈夫。ゆっくりでいいんだよ』って言ってもらって。固く考えていた気持ちがほぐれたのを覚えています。私も、そういう声をかけられるようになりたいです」

ほんの小さなガラスの粒が服となり、アクセサリーとなり、いろんなシーンで人のよろこびにつながっていく。

近道しようと思わず、一歩ずつ着実に。

「真面目にコツコツ」という性格が、純粋に評価される職場だと思います。

(2021/11/25 取材 高橋佑香子)
※撮影時はマスクを外していただきました。

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