求人 NEW

少しずつ直し
少しずつ良くする
老舗はそうして続いてきた

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

ひたすら頑丈につくられた道具より、傷んでも手入れをしながら使える道具のほうが、きっと長持ちする。

それは仕事も、同じこと。

小さな違和感や課題を、気軽に話して改善していける環境は、事業をじっくり育てていくための土台になる。今回紹介する会社も、きっとそんなふうに、長いあいだ歩みを進めてきたのだと思います。

京橋白木株式会社は、創業125年を超える老舗問屋です。

日本仕事百貨では先日、「うつわ御結」という小売事業を紹介しましたが、もともとは飲食店に対する卸売業を続けてきた会社。

厨房で使う大きな寸胴鍋から、テーブルを彩るうつわ、ラップや竹串などの消耗品まで、ありとあらゆる商材を扱っています。

今回は、この京橋白木で働く事務スタッフを募集します。

営業担当や、お客さん、ロジスティクスの担当者など、さまざまな人とコミュニケーションをとりながら、出荷が円滑に行われるようサポートする仕事です。

東京・江戸川区。都営新宿線の終点から数えて3駅目の、瑞江(みずえ)という駅で降りる。

新しいマンションもあれば、大きな畑付きの日本家屋もあって、人の暮らしが脈々と続いてきたことを感じさせる街。

駅から10分ほど歩くと、京橋白木の倉庫を発見。

まずはビニール製の扉を開けて倉庫のなかへ。

奥までずらりと並んだ棚には、業務用のキッチンペーパーやラップなど、厨房で使う消耗品を中心に在庫が置かれ、その傍らではピッキング作業をしている人がいる。

2階の事務所を訪ねると、入り口の脇にある木製のトレーラーハウスへと案内してもらった。

なかには食器類がディスプレイされていて、ちょっとしたショップのような感じ。奥には、金継ぎに使う道具もある。

まずは代表の竹下さんに、この場所について聞いてみる。

「もともと社内で打ち合わせできるスペースがなくて。トレーラーハウスなら、いざというとき牽引して動かせていいなと思って購入したんですよ」

「とはいえ、いつも打ち合わせがあるわけじゃないし、ご近所の方が立ち寄れるショップを兼ねてみようっていう話になり、いつの間にか、常務が奥で金継ぎ工房を始めて(笑)。最近はショップより、金継ぎの問い合わせのほうが多いみたいです」

京橋白木はもともと、竹下さんの曽祖父が荒物雑貨の問屋として創業。戦後は大企業の総務や社員食堂で使う道具類を卸すようになり、そこから外食産業へと市場を移してきた。

現在取り扱う商材は約4万点。メーカーからの取り寄せも含めると、その数は10万にのぼる。

「お取引させてもらっているのは、おもに和食店、レストランといった業態。全国に何百店舗も展開するようなナショナルチェーンというより、10〜50店舗規模の“目的店”が多いです」

目的店というのは、機能店と対比して使われる言葉で、後者が価格や利便性を売りに集客するのに対し、目的店は味や専門性などのこだわりでファンを増やしていく業態。

京橋白木の取引先も、明確なコンセプトをもとにお店づくりをしているブランドが多い。

「今後、外食の頻度は減るかもしれないけど、体験の質にこだわる人が増えていく。お店選びも『この店でいいか』ではなく、『この店がいい』という基準にシフトすると思うので、チェーンのなかでも目的店は、ニーズが増えていくと思います」

「とくに本部機能を構築する手前の規模のお店では、ちょっとアナログな対応が必要な部分もあって、我々のようなサプライヤーがお役に立ちやすいんです」

注文されたものを納めるだけでなく、コストダウンの工夫を提案していくのも、問屋として腕の見せ所。

「消耗品って、似たような品質でもメーカーによって価格が全然違っていて。短期的に見れば、高いものを勧めたほうが収益は上がるけど、ちょっと損をしても長く信頼を築けるほうがいいじゃないですか」

つねに相手の利益になることを。

その意識が根付いているからか、京橋白木は、取引先1件1件との付き合いが長いという。結果として、自社のビジネスも125年にわたって続いてきた。

「実は昔は、ちょっと売上至上主義に寄った時代もあったんですよ。ノルマを課すと、スタッフが無理をして、それが取引先の負担にもなり、最後は信頼を失ってしまう。スタッフの雰囲気もギスギスして、なんのために仕事をしているかわからないようなときもありました」

先代から受け継いだ会社を、よりよく磨いていけるように、竹下さんはいくつかの方針を決めた。

ひとつは情報をオープンにすること。もうひとつは、チーム制を導入すること。

京橋白木では、40名弱のスタッフを約10人ずつのチームに振り分け、朝礼やミーティングも基本的にはチームごとに進めるようにしている。

「一緒に仕事をする上で、お互いのことを知るって大事なので、できるだけ雑談の時間をつくろうと思って。朝礼で、何か一言ずつ話す時間を持つようにしたんです」

一緒に暮らす家族のこと、育てているサボテンのこと、料理の話題など、仕事とは違う一面を知ることが、円滑なチームワークの第一歩になる。

最初は「毎日やろう!」と意気込んだものの、さすがにみんなネタが尽き、今は週に1回ほどのペースで無理なく続けている。

「チーム制をはじめてから、スタッフが『こういうことをやってみたい』と手を上げてくれることも増えました。ここでお店をやるっていうのも、実はスタッフの提案で。それは、すごくいい傾向だと思います」

以前はこの倉庫がある江戸川区と、ショールームがある八丁堀、ふたつの拠点に機能が分散していた。2年前からほぼすべての業務をここに集約し、コミュニケーションのとりやすい環境づくりに努めている。

その流れに先駆けて動いたのが、入社5年目になる相樂さん。

「以前は八丁堀にいたんですが、やっぱり営業さんと離れているとコミュニケーションがとりづらくて。自分から『こっちで働いていいですか?』って相談して、移動したんです」

相樂さんが担っているのは、営業サポートという仕事。注文を受けた際に、その情報が客先にきちんと届くように、伝票作成や出荷指示などを細やかに進めていく役割だ。

営業担当は外出することが多いので、日中は電話対応など、お客さんとのコミュニケーション窓口にもなる。

取引先は、忙しい飲食の現場。急な注文を電話で受け付けたり、発注漏れの疑いがあれば自分から確認をとったり。想像力を働かせながらフォローしていく場面も多い。

「入社したばかりのころは、電話での対応が結構難しくて。飲食店さんの名前が聞き取れなかったり、厨房で使う機器の名前が覚えられなかったり。あと相手は“たわし”って言っているけど、商品名が“たわし”ではないみたいなこともよくあります」

わかったつもりで対応してしまうと、ミスにつながる。取引先、先輩、ほかの部署の人、どんな相手でも、わからないことは、きちんとその場で確認する姿勢が大事。

「相手が必ず正式名称を覚えてくれているとは限らないし、お店独自の呼び方があることもあって。電話などでメモを取るときは、必ず聞いた言葉をそのまま書きとるようにしています。自分で勝手に変換すると、間違えてしまうこともあるので」

“独自の呼び方”からどうやって目的の商品を見つけるんですか?

「システムに発注履歴も残っているし、あとは『このお店では、この商品を、こう呼ぶ』っていう一覧表もあって。それは私が入る以前から先輩たちがつくってくれていました」

先輩の足跡が業務の道標になるのは、歴史の長い会社ならでは。

京橋白木に入る以前、創業から間もない企業で働いていた相樂さん。そこでは新しい会社ゆえに、参考にできる“前例”がないことに不安を感じることもあったという。

「事務の仕事って、ある程度覚えてしまえば誰でもできるんですが、誰がやっても同じだと思われてはいけない。言われた以上のことをして、次も『相樂さん、お願いね』って言われるようになりたいです」

「そういう意味では、少しお節介なくらいで丁度いいのかもしれません。今いるメンバーもみんな『営業さん、あれ忘れていないかな? 抜けていないかな?』って、面倒見がいい人ばかりです」

入社2年目の菅原さんも、そんな気遣い上手。システムの使い方や情報共有の仕方など、日々の気づきをヒントに、仕事の進め方を工夫してきた。

前職でも卸の会社で、営業と営業事務を兼務するポジションで働いていた菅原さん。京橋白木に転職した理由のひとつは、営業よりも営業事務のほうに自分の適性を感じたから。

「最初は、歴史が長い会社って昔ながらのルールがあったりするのかな?って、ちょっと不安だったんですが、全然そんなことはなかったです。むしろ新しいことに取り組むのが好きな会社で、意見を言ったら受け入れてもらえる雰囲気があります」

たとえば、どんな提案がありましたか?

「ファックスなどアナログなやり方を減らしてみたり、注文の納期がわかりやすいようにシステムの登録方法を変えてみたり。普段困っていることをすぐに、改善につなげていけるのはいいなと思います」

事務の仕事でとくに大変なのは、月末の請求書業務。

忙しいときは、自分の仕事だけでなく、隣のメンバーのことも気遣いながら全体をうまく回していけるといい。

事務チームの中心となって働く相樂さんと菅原さん。実は今後、ふたりとも産休に入る予定なのだそう。

新しく入る人が机を並べて一緒に働けるのは、少し先になるかもしれない。

その間も心強い存在なのが、事務と仕入れを兼務する藤沼さん。入社して16年目になるというベテランの先輩にも、少し話を聞かせてもらいました。

「うちは定着率が高い会社だと思いますよ。10年以上働いている人は多いです。とにかくストレスが少ないんですよ」

そう太鼓判を押せる環境って、なかなかないですよね。

「もちろん、悩ましいことはありますよ。ちょうど今も、仕入先から値上げのお知らせが来て、どうしようかなとは思っています(笑)。ただノルマに追われることはないし、チームのみんなも話しやすいので、その点は、新しく入る人にも安心してほしいですね」

仕事だから責任が伴う緊張感はきっとある。予期せぬ出来事に焦ったり、落ち込んだり。

それでもデスクの半径5mが穏やかなら、まずは安心して目の前の業務に向き合える。もっと良くしていこうという意欲もわく。

明日も機嫌よく、会社に行こうと思える。

長く会社が続いていく理由は、案外そういうシンプルなものなのかもしれません。

(2022/2/15 取材 高橋佑香子)
※撮影時はマスクを外していただきました。

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