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器から広がる食卓の風景

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

新しいお皿を買うと、どんな料理をしようか、何を盛りつけようか、イメージが膨らむ。

朝の目玉焼き、お昼のパスタ、夜のスープ。家族のため、友人のため、そして自分のために。

良い器は、そんなふうに暮らしを想像させる力があると思います。

yumiko iihoshi porcelain(ユミコ イイホシ ポーセリン)は、そっと日常に寄り添いながら、心を満たしてくれる器を届けている会社です。

今回は東京と大阪の直営店で働くスタッフを募集します。

 

代官山駅から歩いて5分ほど。

おしゃれなショップやカフェが並ぶ閑静なまちの一角にyumiko iihoshi porcelain の東京店がある。

お店の中に入ると、器が丁寧に陳列されていて、お店というよりギャラリーに近い雰囲気。

並んだ器たちは、yumiko iihoshi porcelainの代表で、作家のイイホシユミコさんがデザインとプロデュースを手掛け、日本各地の窯元さんに製作を依頼している。

コンセプトは「手づくりとプロダクトの境界にあるもの」。

量産でありながら温かみがあり、そっと寄り添うデザイン。やわらかさと強さが共存しているような印象を受ける。

「気がつけば手にとっている、そんな食器をつくりたいです」

そう話してくれたのは、yumiko iihoshi porcelain代表のイイホシユミコさん。今回は、写真は撮らずにお話だけ聞かせてもらった。

イイホシさんと食器との出会いは、食器を使うことが大好きなお母さんの存在がきっかけだった。

季節の混ぜご飯を筒型の容器に入れてみたり、夕食を松花堂弁当の箱につめてみたり。同じ料理でも食器によって印象が変わる。そんな食器の「効果」が子ども心にすごく魅力的だった。

短大を卒業してから輸入雑貨を扱う仕事に就いたイイホシさん。働くうちに、食器をつくる仕事がしたいという思いが強くなり、30歳で美大の陶芸科に。

卒業後、2007年にyumiko iihoshi porcelainを立ち上げる。

2013年に初の直営店を大阪に、つづく2014年には東京にオープン。そして2020年に代官山に移転オープンしたのが、カフェスペースもあるこの東京店。

実際に器を使ってみることで、暮らしのなかでどんなふうに器が生きていくか、想像してもらうために新たにカフェをつくった。

「最近はホテルからご注文をいただいたり、カフェやレストランで使っていただいたり。すごく幸せなことだなと思っています」

その一つの例として見せてくれたのが「SHIONARI」というシリーズ。

ホテル「メズム東京、オートグラフ コレクション」とのコラボレーションから生まれたもので、ビュッフェ用の食器製作の依頼からはじまった。

「ビュッフェって、めいっぱい盛りつける方、ちょこっとだけ盛りつける方、いろいろな方がいらっしゃいます。どんなお料理を盛っても、自然と生まれる余白が美しく見えるように考えました」

持ちやすさ、重さ、割れにくさ。業務用だからこそ、求められることもある。

「あとホテルが海に近いので、料理をとってテーブルに並べたとき、波みたいに見えるように考えました」

お皿1枚でも美しいし、並べると波を打っているようですね。

「そうなんです。料理がどう盛りつけられて、お皿がどう置かれるのか。使ってもらう場面を想像して形にしていきました」

イイホシさんが食器をつくるときには、まず使うシーンを具体的にイメージしてから、形を定めていく。徹底的に使い手のことを考えた器は、デザインだけでなく使い勝手もいい。

木村硝子店とダブルネームで製作したシリーズ「dishes」は、大きさやフチの角度の差で表情が変わることを考えてつくったシリーズ。

「フチの角度やサイズを少しずつ変えて、いくつも型をつくっています。サイズが1cm違うだけで、盛りつけたときの見え方が全然違うんですよ」

10oz、12oz、14ozというように、オンス別に現在約30種類を展開する木村硝子店のグラス「コンパクト」。その考え方を取り入れた。

高台のないシンプルな形のお皿。手を動かして形を決めていく。

「お話をいただいて、木村硝子店さんと一緒に製作するならどのような食器になるのか、使い心地がいいのか、いろいろ考えました。シンプルだからこそ、形や色の違いがより見えるようになる。盛りつけたときの面白さを出せた器かなと思っています」

使う人やシーンに寄り添うイイホシさんの姿勢は、自ら店頭に立ったときも変わらない。

「お客さまから『これに何を盛りつけたらいいですか?』と聞かれることがすごく多いんです。そのときに伝えているのは、凝った料理でも、普段の朝のパンや目玉焼きでも、できるだけお客さまの生活のなかで自然とイメージが湧くようなご提案をしています」

「食器棚ってスペースが限られていますよね。だから使い勝手がよいものにしたいと思っていて。『生活のなかにこれを取り入れたら、毎日の食卓がますます豊かなものになるかも』というお客さまの期待に応えられるように、製作も接客もできたらいいなと思っています」

誰かのため、自分のための食卓が、器を通して見えてくる。食器をつくることからお客さんに届けるところまで、イイホシさんの思いはまっすぐにつながっている。

 

そんな思いが届いて、働くようになったのが東京店の神戸さん。関西出身で、以前はコーヒーショップで働いていた。

「大学生のころ、旅行中に行った浅草のカフェでyumiko iihoshi porcelainのお皿に出会って。あ、素敵なお皿だなって。それからずっと心の片隅に残っていて」

「卒業したあとコーヒーショップで働いていたんですが、そのお店がすごくいそがしくて。通勤に片道1時間以上かかっていたので、職場の近くに引っ越したんです」

一人暮らしをはじめたときに買ったのがyumiko iihoshi porcelainのお皿だった。

「それから結婚して上京して、どこで働こうかなと思ったときに真っ先に思いついたのがyumiko iihoshi porcelainで」

スタッフ募集を見つけてすぐに応募したところ、晴れて採用された。

「このブランドの器が好き!っていう気持ちが先行していたんですが、働いてからもその気持ちは変わらずで」

「直営店なので、直接ブランドの世界に触れられると思って来てくださるお客さまの期待に応えられるように、しっかりとした接客をしたいと思っています」

Instagramを見てはじめて食器を買いに来られる方から、長年愛用してくださっている方まで。いろいろな背景を持ったお客さんが訪れる。

「お客さまによって接客の仕方も違うんですが、一人ひとりに寄り添ったご提案ができるように、丁寧にお話を伺っています。あとは、まずお手にとってみてください、というのもよくお伝えしていて。重みや手触りから、使うイメージが広がっていくと思うんです」

神戸さん自身も、日々ほかのスタッフから食器の使い方を吸収しているそう。その1つがOval Plate(オーバル プレート)のSサイズ。この色は伊勢丹新宿店限定のもので、最近、フルーツ皿として毎朝使っている。

「もともとは形が好きで買ったんですけど、先輩スタッフがお客さまにフルーツやナッツをのせることをご提案していて。それを聞いて私も取り入れてみたんです」

楕円のお皿にフルーツをのせて食べると、慌ただしい朝も丁寧な気持ちになる。

自分自身も器を楽しみながら、それをお客さんに伝えることが大切なのだと思う。

 

器を自由に楽しく使いこなしているのが、大阪店で働くマネージャーの岡田さん。

前職では15年間雑貨メーカーで働いていた。40歳を迎える前に、人生を見直そうと考えて仕事をやめ、その後イイホシさんとご縁があり、yumiko iihoshi porcelainで働くことに。

「できるだけいろいろな器を使っています。実際に使ってみると、お皿の大きさや形で料理の見え方がまったく違うんですよ」

入社したときは、器のことをまったく知らなかった。働きはじめてから少しずつ揃えていき、器で料理の印象が大きく変化するのが面白かった。

「たとえば、お茶碗ってお茶碗じゃなくてもいいんですよ」

と、いうと?

「それまでは、お茶碗にはご飯、お椀にはお味噌汁って使い方を決めてしまっていたんです。でもここで働きはじめてから、あ、別に名前に縛られなくてもいいんだって気づかせてもらって」

「いろんな器に日々触れるなかで、感覚が変わっていったんだと思います。いつもおかずを盛りつけるお皿にご飯を盛ってもいい。そんな自由な提案をお客さまにもしていきたいです」

大阪店の運営を務める岡田さん。一日の流れはどんな感じでしょう?

「掃除をして、店内の商品をすべて拭いて整える。そこからお店の一日がはじまります。その後はメールを確認して、注文があれば出荷作業。お店がオープンしてからは、接客をしたり、納品されたものを検品して棚に並べたり。新商品やシーズンイベントを意識して、どうしたらお客さまに興味をもっていただけるか考えながら、売り場を整えていきます」

「営業時間が終わってからは、レジを締めて、日報のメールを送ります。あとは、次の日に備えて商品の準備をしたり。コツコツと丁寧に積み重ねていく業務が多いです」

プロダクトのイメージから、ふわっとした柔らかいイメージを持つ方も多いかもしれないけれど、重いものを運んだりと、力仕事も多い。

「運営スタッフとして、大阪店だけでなく、阪急うめだ本店売り場の売上や在庫、人材の管理はもちろん、店頭のレイアウトや商品陳列など、お店づくりに関わることすべてをやっているので、そこが大変さでもあり、自分で判断できる面白さでもあります」

自分たちらしさを大切に、柔軟に対応したいというイイホシさんの思いから、細かな業務のマニュアルは用意していない。日々の業務のなかで発生するさまざまな事柄に対して、自ら状況を読んで判断し、柔軟に対応することが求められる。

「間違えないことより、間違ったときにそこからどう立て直して進んでいけるかを日々意識しています。イイホシからはよく『事故に遭ってください』と言われていて」

事故?

「失敗を恐れず、自分で考えて、まずやってみる。そんなふうに前向きに仕事に挑んでくれる人だったら、合っていると思います」

 

最後に、イイホシさんにどんな人と働きたいかを聞いてみました。

「商品の梱包や検品作業から、企画、店舗の運営など、行う仕事の幅は広いです。だからこそ、どんなことにも好奇心を持ち、一緒に面白がって想像できる人と仕事ができればうれしいですね」

お客さんと食器、そこからの物語を思い描いていくこと。

yumiko iihoshi porcelainでの仕事は、食器を楽しむことから使う人の日常に寄り添う仕事だと思いました。

(2022/2/1 取材 荻谷有花)

※撮影時はマスクを外していただきました。

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