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創業百余年
良い道具を伝える店
それが、原点

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

店先に大きな黒い暖簾を掛けるところから、釜浅商店の一日ははじまります。

この土地で料理道具を販売して、100年以上。毎日こんなふうに、お店を守ってきたのだと思います。

東京・合羽橋道具街にある、釜浅商店。

「良理道具(りょうりどうぐ) 良い道具には良い理(ことわり)がある」というコンセプトを掲げ、自分たちの商品を“良理道具”と定義。

代名詞の釜・かまどから、庖丁や鍋、バットやボールのような調理道具の一つひとつまで、本当に良いと思えるものを扱ってきました。

今回募集するのは、そんな良理道具をお客さんに案内していく販売スタッフ。

求められるのは、広く深く知識を身につけ、プロの料理人から家庭で料理をするお客さんまで、どんな人からも信頼してもらえるような接客です。一朝一夕でできるものではありませんが、真摯に仕事と向き合う姿勢があれば、少しずつ身についていくはず。

料理や食べることが好きな人にとっては、道具からその楽しみが広がっていく仕事だと思います。

地下鉄銀座線の田原町駅から歩いて5分ほどの、合羽橋道具街。

天井高くまで食器が積まれた老舗や、洗練された雰囲気のセレクトショップ、箸や食品サンプルの専門店など、個性豊かなお店ばかりで目移りしてしまう。

釜浅商店は、細い通りを挟んで2棟のビルから成っている。

一方は多種多様な料理道具を、もう一方は庖丁を専門に扱う売り場。後者は2年前に建て替えたばかりの新しい空間で、さまざまなタイプの庖丁が並んでいる。

開店前の庖丁売場におじゃますると、ちょうど全員集まっての朝礼がはじまるところだった。

全体での業務連絡のあとは、細かな情報共有のため売り場ごとの朝礼へ。

その後、掃除や商品の整理などをそれぞれが行って、10時に開店。

落ち着いた頃合いを見て、料理道具売場マネージャーの河野さんに話を聞いた。以前は飲食店で働いていて、釜浅商店に入社して10年になる。

「食べることとつくること、それと喋ることも好きで、ここで働きはじめました」

その言葉通り、どんな話もわかりやすく教えてくれる。

「入社したときからずっと、僕たちは料理道具をお客さまに伝えていく“案内人”なんだと教わってきました」

現在、4代目の熊澤大介さんが代表を務める釜浅商店。

店内には、職人さんが手がけた道具もあれば、工業品も並んでいる。いずれも自分たちが自信を持って勧められる商品だという。

河野さんたち接客スタッフは、お客さんの要望に沿った商品を数あるなかから提案していく。

「お客さまにはリピーターも多くて、特にプロの方は長い付き合いになります。合羽橋のなかでも釜浅商店を目当てに、そのなかでも自分を目がけて来てくれることもあって、すごくうれしいですね」

「全国各地にお客さまがいるので、旅行がてらお店を訪ねるのも楽しみなんです」

釜浅商店の看板商品のひとつは、炭火焼き料理に使われる「耐火レンガコンロ」。

焼き鳥や鰻などの定番料理に特化したタイプや、和食洋食問わずに使用できるタイプなどさまざまな展開があり、店舗のスペースに合わせた特注品も多いそう。

「これがお店に並んでいるって、一般の方は驚きますよね。お客さまの要望をもとにメーカーに問い合わせて、見積もりを出して。ほかの商品よりも手間がかかるけれど、売れたらそのぶん喜びもあります」

河野さんが以前接客したのは、イタリアンレストランを経営するあるお客さん。特注でコンロのサイズを大きくし、さらにオプションで、肉の調理に特化したパーツを取り付けたいという要望があった。

メーカーとも相談して図面を起こしたものの、最終的にお客さんの都合でキャンセルになってしまったという。

「お客さまは、『いろいろ対応してくれたのに本当にごめん、でも必ずまた行くから』って。当時はそこで終わったんですけど、2年後に同じものを買いに戻って来てくれたんですよ。そのときはうれしかったですね。『本当に来てくださったんですね!』って」

道具の「使い手」であるお客さんと日々向き合う一方で、特注対応やオリジナル商品の開発など、「つくり手」とのやりとりも多い。

特に、一つひとつ手作業で特注品に対応してもらう職人さんとは、電話で相談する機会も多いのだとか。

職人さんって、少し気難しそうなイメージがありますが、実際はどんな人たちですか?

「意外と気さくな方が多いんですよ。みなさんものをつくるのが大好きなので、相談にはいつも真剣に応えてくれます。たとえ技術的に難しそうでも、納期が短くても、まずは何でも素直に相談することが、一番の敬意だと思っています」

お客さんの要望を右から左に伝えるだけではなく、どうすれば実現できると思うのか、必ず自分の考えも添える。

つくり手と使い手の間に立つ存在として、丁寧に橋渡しすることを心がけているという。

「僕らはものをつくることはできないけれど、お客さまの話を聞くことはできる。職人さんにも『良いものを仕上げてくれて、お客さまがすごく感謝していましたよ』って、ちゃんと伝えるようにしています。それを続けることで、信頼が生まれていくんだと思います」

単に取引をするのではなく、信頼できる関係性をつくっていきたいから、と河野さんは話していた。

どんな相手にも真摯に向き合って、話をする。

料理道具売場のリーダーを務める田中さんは、そんな釜浅商店の姿勢を入社前から感じていたそう。

「D&DEPARTMENTのインショップで、偶然河野が接客してくれたんですよ。そこで初めて釜浅商店を知って。僕は買うつもりはなかったけれど、気になっていた南部鉄器について聞いたら懇切丁寧に説明してくれて(笑)、こんなに親身になってくれるんだと、すごく印象に残っていました」

以前は広告代理店で働いていた田中さん。好きだった料理を生かせる仕事をしたいと、転職活動中のできごとだった。その後訪れた店舗の雰囲気にも惹かれ、入社を決めたそう。

最初に苦戦したのは、商品知識を頭に入れること。

特にプロのお客さんからの質問に対して、なんとなくの回答は通用しない。

新人のころは、自分の知識が本当に正しいのか確認しないまま伝えてしまう癖があり、よく先輩に怒られていたという。

「お店に出て、お客さまに間違った情報を与えてしまうのが怖くなった時期もあって。そのころに、耐火レンガコンロを探していた福岡のお客さまを接客しました」

河野さんの話にも出てきた、耐火レンガコンロ。釜浅商店では、「これが売れて一人前」なんだとか。

そのお客さんは、緻密な寸法まで含めて、はっきりとした要望を持っていた。

すべて自力で対応するのはむずかしかったものの、先輩に相談しつつ、わからない部分はお客さんと連絡を取りながら、無事納品につながったという。

「道具を日々使っているお客さまがどんなものを求めているのか。丁寧にヒアリングをして、情報を自分のなかに蓄積していくことが大切なんだと、そのときに実感しました」

「そのお客さまをきっかけに自信もついて、率先してどんな仕事にも取り組むようになりましたね」

お店を見学していると、一際大きな声で接客しているのが、田中さん。リーダーとなった今は、後輩を指導する立場でもある。

釜浅商店では、先輩のサポートのもと、新人でもすぐに接客に入るという。

まずはお客さんからの要望や質問をしっかり受け止め、応えるために調べたり先輩に聞いたりすること。日々それを繰り返すことが、一番の近道だからだ。

「7年目の今でも、わからないことはあります。でも、わからないって言えるのは、うちではすごく大事なこと。そのままにせず、必ず先輩に確認するというのを徹底しています」

店舗での販売の基礎が固まったら、それ以外にもさまざまな仕事に取り組んでいく。

催事や料理イベントの企画のほか、採用や広報のような役割を担うことも。

実は副業として、銭湯の朝清掃の仕事をしている田中さん。昨年末には、その銭湯の一角で釜浅商店のポップアップイベントを開催した。

「企画から準備、運営まで、全部自分が取り仕切って。夢中になりすぎて5キロ痩せてました(笑)」

「催事の仕事は、釜浅商店を知らない人たちに知ってもらえたり、自分自身で売場をつくり上げたり、会社外の人たちと協力して形にする魅力もあって、店舗とはまた違う楽しさを感じますね」

最後に話を聞いた谷さんは、海外向けの案件で活躍している。

海外にも多くのお客さんがいる釜浅商店。パリにも店舗を構え、コロナ禍以前は北米でもイベントを行うなど、積極的に海外へ展開してきた。

そこに惹かれて、半年ほど前に入社した谷さん。得意の英語を生かした仕事ができているそう。

「外国人のお客さまって、英語で接客してもらえると緊張がほぐれるのか、距離が縮まることが多いんです。どんなお客さまに対しても、一つひとつ丁寧に説明して、納得した上で買ってもらえるところが釜浅商店の良さだと思います」

「理想はもちろんお店に来てもらうこと。ただ、今は特にそれが難しいので、オンラインでの接客をはじめています」

商品をワンクリックで購入するだけのサイトではなく、オンラインでも釜浅商店らしさを出すために。

お客さんとビデオ通話でつなぎ、実際の商品を見せつつ細かい相談に応えているという。

「海外のお客さまには七輪が人気ですね。日本料理店や焼肉店を開業する、プロの方がまとめ買いされるケースが多いです」

「僕が担当して、初めて南アフリカ共和国の販売店に卸したこともありました。在庫の確保から輸送の手配まで担当するので、販売といっても接客だけでなく、ご要望のヒアリングからお手元にお届けするまでの一連をプランするような仕事です」

入社半年でも、任される裁量は大きいんですね。

「もちろんまだわからないことだらけなので、そこは先輩に教えてもらったり、都度調べたり。会社が小規模なぶん、一人ひとりの行動が会社全体に与える影響は、良くも悪くも大きいですね。新人でも、一緒に会社を発展させていける楽しさがあるんじゃないかなと思います」

入社前から、お客さんとして釜浅商店を訪れていた谷さん。自前のフライパンや鰹節削り器などを愛用しているそう。

釜浅商店のSNSを覗くと、谷さんが自作の料理とともに道具を紹介する投稿も。料理、お上手なんですね。

「いや、そこまででは…(笑)。ただ、道具が違うと明らかに料理が美味しくなるんです。小分けパックの鰹節は便利でいいけれど、やっぱり削ると全然味が違うし。スタッフには道具の貸出もあるので、自分で使って感じたことをお客さまに伝えられるのはいいですね」

取材での真剣な話のあと、近所の美味しいお店のことを楽しそうに話しながら、持ち場に向かっていったみなさん。

休憩中の話題もプライベートで行って美味しかったお店の話が大半で、みんなでご飯に行くときは、たくさんの候補から話し合ってお店を決めるんだとか。

日々好きなことに触れられる仕事は、きっと長く続けていけるもの。

釜浅商店の長い歴史は、働く人たちの「楽しい」「面白い」という気持ちがあって、つながれてきたものなのかもしれません。

(2022/1/19取材 増田早紀)
※撮影時はマスクを外していただきました。

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