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どんぐりを拾って
クッキーにするまで
人と森をつなぐお菓子づくり

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

「私たちは、お菓子屋さんだという気持ちはまったくないんです。森の恵みを表現しようとしたら、それがたまたまクッキー缶だった。チョコレートでも、お饅頭でもよかったんです」 

 そう話すのは、銀の森コーポレーション社長の渡邉さん。 

「森の恵みを届けたい」という想いを軸に、森でとれる木の実や果物をつかったパティスリー「PATISSERIE GIN NO MORI」を手がけています。 

 一番人気のクッキー缶「プティボワ」は、ふたを開けたときの感動と美味しさが話題をよび、2018年の発売当初から今なお売上を伸ばしています。 

 この商品を、より多くの人に届けていくために。今回生産管理の担当を募集することになりました。 

 工場勤務やお菓子づくりの経験がなくても大丈夫。やる気と熱意をもって働いてくれる方を探しています。 

 

名古屋駅から電車で1時間ほどゆられ、JR恵那駅へ。さらに車を10分走らせると、食の複合施設「恵那銀の森」に到着する。 

 中にはたくさんの木々が植えられていて、小さな森のよう。 

すでに葉が落ちてしまっているけれど、花が咲き木々が生い茂っている時期はもっと気持ちがいいだろうな。 

敷地内を歩いていくと、いろいろなお店が見えてきた。 

のぞきたくなる気持ちを抑え、園内にあるオフィスへ。社長の渡邉さんが出迎えてくれた。 

「銀の森は、洋菓子や和菓子屋さん、お食事処やセレクトショップなど、全部で6店舗からなる食の複合施設です。お客さんには、森でもあり庭でもあるこの園内で、自然を感じながら自由に過ごしていただいています」 

「この土地、もともとは何もない場所だったんですよ。11年前に山から木を移植して。最初は、葉もつかず棒のような木が立っているだけでしたから、『全然森じゃないね』ってお客さんには言われていましたね」 

土をつくり木を運んで、根付くよう丁寧に育てていくのは、時間も労力もかかる。どうして森をつくろうと思ったんだろう。 

「たしかに、商品を売りたいだけだったら、お店があれば森なんていらないですよね。ただ私たちは、森の恵みをお客さんに届けたいんです」 

森の恵み。 

「食の素材って、たどっていけばすべて森の恵みから生まれているもの。私たちは森に生かされているなと思っていて。いただいているものを少しでも返せるように、私たちは、森と人の接点をつくる窓口でありたいと思っています」 

身近に自然がないお客さんも、銀の森を訪れることで、気軽に森の良さを感じてもらうことができる。 

銀の森は、森に触れる一歩目の場所になっている。 

森の恵みを表現した商品をつくろうと、2018年にオープンしたのが「PATISSERIE GIN NO MORI」。 

今回募集する人は、このお店のお菓子づくりに携わることになる。 

ヘーゼルナッツや木苺、ケシの実など、森でとれる木の実や果物をつかった焼き菓子をつくっていて、2022年には東京や名古屋に専門店もオープンした。 

一番の人気商品は「プティボワ」。 

最大19種類のクッキーが、可愛らしい缶にぎっしりと詰められている。 

「このクッキーには、どんぐりの粉が使われているんですよ」 

どんぐりって、食べられるんですか? 

「そう。食べれるの?って思いますよね。僕も開発部から提案をもらったときは、かなり不安で。だけど、試作品を実際に食べてみたらサクサクほろほろで、ほろ苦い味わいがすごくいい感じだったんですよ」 

「皆さん知っているどんぐりだからこそ、森を表現するのに良いかもしれないと思いました。ただ、そこからが大変で。どんぐりを扱っている会社なんてありませんから、全部自分たちで調達する必要があったんです」 

どんぐりを拾う活動をしている団体を探しては、全国各地を訪れて交渉し、数年かけて地道にネットワークを築いていったそう。 

「今では、年配の方から小さい子どもたちまで、いろんな地域の方にプティボワの材料となるどんぐりを拾っていただいていますね」 

「地元の幼稚園や保育園の子どもたちにどんぐりを拾ってもらい、その一部を育てる活動もしていて。5年前に子どもたちが植えた実は、もう大人の背丈を超えるほどに成長しているんですよ」 

渡邉さんの話を聞いていると、プティボワという商品も、森と人をつなげる手段の一つなのだと感じる。 

「2020年にゴルフ場の跡地を買って、そこに100年かけて森を再生していく事業も始めています。新しく来る方も、森への想いに共感してくれる人だとよりうれしいですね」 

 

PATISSERIE GIN NO MORIの商品は、銀の森の敷地内の工場でつくられている。 

工場長の吉田さんは、プティボワの開発当初から携わっている方。 

「プティボワのクッキーも、最初は全部手づくりだったんですよ。生地を混ぜて、伸ばして、型を抜いて。少しずつ注文が増えて、手作業だけでは生産が追いつかなくなって、試行錯誤しながら一部機械化も進めてきました」 

「すべて機械化したら、生産量をもっと増やすことはできます。でも、それではプティボワの良さがなくなってしまうと思うんですよね」 

たとえば、缶にクッキーを詰める工程。 

プティボワでは、仕切りを使うことなく、大きさの違うクッキーをうまく組み合わせることで綺麗におさめているそう。 

厚みの微妙な違いを考慮しながら、丁寧にクッキーを詰められるのは、繊細な人の手だからこそ。 

クッキー缶を開けたときの感動は、そこから生まれているんだと思う。 

「ありがたいことに、発売当初から順調に売上が伸びていて。新店舗もオープンし販路先も増えて、今まさに事業拡大のターニングポイントを迎えているところなんです」 

「生産数を伸ばしていくため、一緒に前向きに取り組んでくれる人の力が必要だと感じていて。今回募集する人には、事業拡大に向けた作業工程の見直しや改善などを担ってもらえたらと思っています」 

作業をより効率的に進め、働く人に無理なく生産数を増やしていきたい。そのために、まずは現状を把握することから取り組んでほしい、と吉田さん。 

「プティボワのクッキーだけでも、全部で50種類くらいあるんですよ。まずは、それぞれのクッキーをつくるのにどんな工程があるのか洗い出して、一つの要素にどのくらい時間がかかっているのか、データをとっていくところからかなと」 

機械化されている工程のほか、手作業の部分についても数値化していきたい。 

作業する人によって生じる違いをどう数字に落とし込んでいくのかも、考えていく必要がありそうだ。 

「すべての工程を数値化できたら、それをもとに製造数の向上を目指していきたい。数値化することで、製造スケジュールを無駄なく組み合わせたり、作業スケジュールを誰でも制作できるように仕組み化したりできたらいいいなと思っいて 

「今って、1ヶ月で何個つくれるのかの判断や、週・日毎の作業スケジュールの作成、パートさんの割り振りも、ぜんぶ長年いる社員の経験に頼っているんですよね」 

パートさんは20。できる作業もかかる時間も、人それぞれ違う。 

作業台や機械もずっと空いている状態ではなく、いくつかの商品と共用しているそう。 

機械の空き具合を把握し、作業と人の組み合わせを考えながら、製造計画や作業スケジュールを作成するのは、なかなかできることではないし、時間もかかる。 

これを見える化して生産計画を仕組化できたら、かなり大きな作業改善につながると思う。 

「生産作業全体を俯瞰で見ていくなかで、改善できそうな工程やボトルネックとなっている部分も探してもらえたら。今の工程に無駄があるかもしれないですし、作業の組み合わせを変えることで、解消できることもあるかもしれません」 

物事の全体感を捉えたり、複雑化しているタスクを整理したり、組み合わせを工夫したり。 

環境を整えることや、マルチタスクをさばくのが好きな人に向いているように感じる。 

今回の募集は、工場勤務の経験がある人はもちろん、未経験の人も歓迎だという。 

「機械と手作業が混ざる特殊な環境なので、ここでのやり方を学んでいただくという意味で、経験は関係ないと感じていて」 

「今いるパートさんは、初期からいる方も多い。自分たちがプティボワをここまで大きくしたという誇りもある。だからこそ、上から人をマネジメントするのではなく、一緒に汗水流しながら、みんなと同じ目線に立って働いてくれる人に来てもらえたらと思っています」 

いろんな人の想いが積み重なり、プティボワはどんどん大きくなっているところ。より成長させていく過程に携わることに、きっとやりがいも感じられると思う。 

「手作業から、機械を導入したりしながらここまできました。今は、生産の土台を頑張ってつくるフェーズだと思っていて。それができたら、海外にだってこの商品を広めていけるんじゃないかなと思うんです」 

 

これからもっと生産数を上げていくことを、つくり手の人たちはどのように感じているんだろう。 

たくさんの人に商品を届けられる一方で、つくる数が増えることへの疲弊感はないのかな。 

そんな疑問を、吉田さんと同じく初期からプティボワをつくっている、加藤さんに投げかけてみた。 

「もちろん大変ではあるんですけど、同時に楽しさも感じていて。たとえばクッキーを詰める作業も、詰めれば詰めるほど楽しいんですよね」 

「同じ担当の人たちと、作業中によく褒めあっているんですよ。『すごいね』『いやいや、そっちのほうがすごいよ』って」 

ああ、それはいいですね。 

「何かあれば指摘もしあえるし、穏やかな関係性が築けているなと感じています。今は発注などの事務作業も担当しているんですが、『助かるよ』とか『うまく回してくれてありがとう』ってよく声をかけてもらえて。それがすごく支えになっていますね」 

工場での製造作業のほか、1ヶ月の販売数の管理やスケジュール作成なども担当している加藤さん。 

今回募集する人は、まずは加藤さんと一緒に数値化などに取り組んでいくことになる。 

すでに工場内外の人と関係の深い加藤さんとともに動くことで、新しく入る人も安心して輪に加わっていけると思う。 

「ゆくゆくは、それぞれの作業のやり方を覚えて、工場内の作業も一緒に担当してもらえたらいいなって。自分の作業が終わったから帰る、じゃなくて、終わってない作業があったら、みんなでやろうって声をかけあえるような雰囲気をつくっていけたらうれしいですね」 

お客さんを笑顔にする商品を届けたいなら、つくっている人たち自身も楽しく働けていることが大切。 

その一歩目は、働いている人たちの顔と名前を覚え、自分からコミュニケーションをとって、関係性をつくることだと思う。 

「プティボワを食べたお客さんから、よく感想のハガキが届くんです。工場の廊下に貼られたお客さんのハガキを読んでいると、すごくうれしいし、やりがいになります」 

プティボワをたくさんの人に届け、森と人がつながるきっかけを増やしていく。 

その土台づくりを担うことは、誰かの笑顔はもちろん、100年後の森づくりにもつながっていると思います。 

人と森のために、楽しく頑張りたい人をお待ちしています。 

(2022/12/13 取材 鈴木花菜)

※撮影時はマスクを外していただきました。 

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