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TISTOU(ティストゥー)は、ベルギーのプランターや家具、チェコの照明などを扱う日本の輸入総代理店。
扱うものの判断軸は、商品の美しさとたのしさ、そのつくり手が一緒に仕事をしていきたい人かどうか。
つくり手も、お客さんも、自分たちも。共感し合える人たちとの関係を大切に仕事をしています。
今回募集するのは、プランターのブランドDOMANI(ドマーニ)と、フラワーベースのHenry Dean(ヘンリーディーン)をメインに担当する人。
商品の発注から展示会やSNSでの伝え方、日本中の販売店とのやりとりや個人のお客さんへの対応まで、ブランドに関わる仕事を幅広く担うことになります。やってみようと思う心意気があれば、経験は問いません。
好きなものについて、とことん話したい。
関わりを続けたい人たちと、気持ちよくいい仕事をしたい。
TISTOUは、そんな人が集まる場所だと思います。
拠点があるのは、静岡県静岡市と東京都蔵前の2ヶ所。
都営浅草線の蔵前駅から、大きなプランターを目指して大通りを歩いていくと、すぐにTISTOUのショールーム兼オフィスに到着。
扉を開けると、春が近いことを感じるたくさんの花々、さまざまな色や形のフラワーベースが出迎えてくれた。
「まずは一息、お茶を飲んでからはじめましょうか」
最初に話を聞かせてもらったのは、スタッフから「ボス」と呼ばれている代表の平田さん。
無邪気な雰囲気もありつつ、頼れる姉さんという印象も受ける。
花屋になりたいと、世界一と言われるベルギーの花屋で働いた時期もあったという平田さん。
3年の修行を経て、「自分の天職は花屋ではない」と感じ帰国。各地を巡るなかで、日本の花屋にはフラワーベースが置いていないことに気がついた。
「プラスチックのバケツを使ったりしていて、そもそもフラワーベースが売っていないんですよ。だったら私が輸入しようと思って。仲のよかったDOMANIのデザイナーに連絡をとって、日本各地の花屋さんにカタログを持ち込んで。右も左もわからないところからはじまったのがTISTOUです」
その後つくり手との出会いが重なり、アウトドア家具のextremis、チェコの照明ブランドBROKISなど、少しずつ扱うブランドが増えてきた。
一見バラバラに見えるけれど、共通しているのは製品の美しさとたのしさ。そしてなにより、一緒に仕事をしたいと思うつくり手のものかどうか。
たとえばベルギーのHenry Deanは、50年前から、扱いがむずかしいと言われるリサイクルガラスを主な原料に使っているフラワーベースのブランド。
昔ながらの手吹きガラスの手法で、気泡が入ったり、柄が出たりと、1点1点違った愛らしさのあるものをつくっている。
「すごく手間がかかるつくり方をしているんですよ。もちろん環境に配慮してはいるものの、彼らは『リサイクルガラスでつくったほうがおもしろいものができるじゃん』っていう考え方をしている。私たちも、売れそうだからというより、尊敬できる人たちのものをちゃんと伝えたいって思っているんです」
会社をはじめて25年。
今ではフラワーベースにこだわって家に花を飾る人や、たくさんのグリーンを取り入れるオフィスも増えてきた。
「これからも、まだまだたのしい暮らしができることを伝えていきたい。自分たちがいいと思うものを伝えて、心地いい人の居場所をつくっていきたいんです。おもしろい!って思うものと出会って、ついついブランドが増えちゃうんですけどね」
扱っている8つの各ブランドで、それぞれに本国へ発注したり、日本各地の販売店からの問い合わせに対応したり、展示会を企画して開催している。ときには直接納品したり、商品のメンテナンスに向かうこともある。
最近はオフィスやホテル、商標施設へ空間づくりの提案を行うことも増えていて、同時多発で起きるさまざまな仕事を、静岡8名、蔵前9名のメンバーで協力しながら進めている。
先日は蔵前のオフィスの1階で翌日の展示会の準備をしながら、2階では「Sensu(センス)」というパラソルのお披露目会を開催。
イベントのテーマに合わせて、スタッフはみんな着物でお客さんをお迎えし、Sensuの下で扇子を投げるというイベントを行ったそう。
「新作を出すときには、みんなでどうしようかって何度も相談します。ただ商品を見てもらうだけじゃなくて、印象に残ること、たのしいことをやりたいじゃないですか」
アイデアを思いついたり困ったことがあれば、すぐスタッフに相談するようにしているそう。
取材中も、スタッフ同士が声をかけあって、立ち話のようなミーティングがはじまる様子を何度も見かけた。
「自分たちで考えて、自分たちでやってみることが多いんです。そうするとできることが増えて、やりたいことも増えてきちゃう。結果大変になるんだけど、それをおもしろがってくれる人たちが集まっているのは、本当にありがとうって思ってます」
入社してからできることが増えたというスタッフの1人が、Henry Dean、そしてプランターのブランドDOMANIを担当している黒木さん。
今は育休中ではあるものの、時折会社に顔を出しに来ているそう。
客室乗務員として働いていた黒木さんが日本仕事百貨でTISTOUの記事を見つけ、転職したのは4年前のこと。
商品撮影の段取りも、展示会のレイアウトを考えるのも、営業としてお客さんと話すことも。すべてが経験のないことばかり。
周りのみんなと相談しながらできることを増やし、従来のようにイベントや営業ができなかったコロナ禍には、オンラインでの接客対応や受注システムの見直しなども担当したそう。
「わからないことばかりでした。だけど、誰かが動かないと、なにも良くなっていかないかなって。できることが増えていくのが、なんか、たのしいんですよ」
黒木さんのように、TISTOUのメンバーは現状に満足せず、自分からよりよくしていこうという姿勢を常に持っているように感じる。
なぜ、そこまでしようと思えるんだろう。
「みんなもボスも、一緒に考えようって言ってくれるんですよね。もちろん間違えることもありますが、愛を持って指導し続けてくれる。考えてみたことを、じゃあやってみたら?って任せてくれる環境が、うれしいのかもしれません」
ほかのスタッフと協力しながら、Henry DeanとDOMANIの担当として商品撮影の段取り、お客さんとの商談など、幅広い仕事をしている黒木さん。
なかでも発注はたのしい時間なんだそう。
「展示会やお電話で、お客さんに欲しい色を直接聞くようにしています。あとは毎年同じ色ばかりだとたのしみがなくなっちゃうので、サプライズがあるようにしたいなって思っています」
「納品した箱を開けて実物を見るのが、スタッフみんなのたのしみだって言ってくださるお店の方もいて。おしゃべりが好きなお客さんも多いので、LINEで新色の画像を送って、いいねいいねって盛り上がったりするんです」
お客さんと、けっこう親密なやりとりをするんですね。
「ふつうは戦略的にコミュニケーションをとっていくのかもしれませんが、私、そういうのがちょっと苦手で。単純に、一緒にワクワクしたい、仲良くなりたいって思っているんですよね。私自身が、Henry Deanの虜なんです」
新しく入る人は、黒木さんと同じようにHenry Dean、そしてDOMANIに関わる仕事をメインで担当してもらうことになる。
DOMANIについて話を聞かせてくれた増井さんは、一見、朴訥とした印象を受ける方。
10年ほど前、通りかかった花屋さんで見つけたDOMANIのプランターに一目惚れ。これを扱う会社で働きたいと手紙を送ったのが、TISTOUとの出会いだった。
「実際にハンガリーの工場に行って、つくる工程を見せてもらいました。嘘みたいに一つひとつ、そこまでするのかってくらいに手間をかけているんですよ。プランターにここまで向き合ってるブランドって、なかなかないと思います」
欲しい土がないから、粘土をつくるところからはじめる。マットな質感の釉薬が見つからないから、自分たちでつくってみる。
自分たちが理想とするものをつくるため、探究心を大切にしているブランドなんだそう。
「ズルはしないっていうか、いいものをつくるために妥協しない姿勢が伝わってくる。日本の輸入総代理店として、遠い国でものづくりをしている彼らのことをより深く伝えていかないとって思うんですよね」
増井さんは発注や展示会の準備、営業としてお客さんとのやりとりをしながら、静岡の倉庫管理のマネージャーを担うなど、幅広い仕事を担当している。
どの仕事も、スピード感を持って進んでいくことが多いそう。
「できることをやっているうちに、なんか、自然と役割が増えてきた感じですね。毎シーズン、商品をより伝えるには?お客さんがより選びやすくするには?って話しながらいろんなことを変えていくので、正直大変です。やっぱりお客さんがよろこんでくれるので、やってよかったと思えるんですけどね」
主な商談相手は、花屋さんやグリーンショップ、建築家やインテリアデザイナーなど、植物や空間の仕事をするプロの方々。
新作を紹介する展示会では、ほかのスタッフから、「こだわりのあるお客さんは、増井さんに任せれば大丈夫」と言われるほど、それぞれのお客さんのことを熟知しているらしい。
「以前はどの色を買ってもらったとか、好みはだいたい把握しています。商品を一緒に見て、やっぱりいいよねって共感してくれるとうれしいですよね。話してるうちに、そういう視点もあったのかって、僕自身に発見があったりもします。接客ではあるけど、仕事って感じもないんです」
同じものを好きな仲間とおしゃべりしているというか、同志と語り合っているような感覚というか?
「そうそう。TISTOUに入った当初は、単純にDOMANIがつくるものが好きでした。今はそれ以上に、DOMANIに対する愛の塊で仕事をしている僕と共感し合えるお客さんが好きなんです。リモートでも買えるのに、わざわざ北海道から来て、静岡と蔵前のショールームに足を運んでくださる方もいるんですよ」
「『DOMANIは孤高の存在であってほしい』って言われたこともあって。今はいろいろなデザインのものがあるけれど、ほかのものの追随を許さないものであり続けてほしいって。安いものではないので、お客さん自身にも熱量がないとお店用に仕入れたり、空間づくりの提案に入れられないと思うんです。そこまで大切にしてもらえるなら、こっちもちゃんと伝えなきゃって気持ちになるんですよね」
TISTOUで働く人たちは、つくり手のこと、商品のこと、そしてお客さんのことを、すごくうれしそうに話すのが印象的でした。
周りの人たちも自分たちも、たのしんで仕事をする。
「伝える」という役割を全うするため、話し合って、手を動かして、困ったことは笑い飛ばしながら進んでいく。
そんな頼もしい人たちと働くことにピンときたら、ぜひご連絡ください。
(2023/2/24 取材 中嶋希実)