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木を活かしきる
カリモク家具の原点

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家やオフィスに置かれている、テーブルや椅子、棚。

木製家具の材料が山から伐り出された木だとは知っていても、家具になるまでにどんな過程を経ているかは、知る機会が少ないと思います。

伐り出された丸太は、山林近くの製材所で板状に。そこからさまざまな工場へ運ばれ、最終製品にあわせた形へ加工されます。

日本を代表する家具メーカー「カリモク家具」。今回紹介するのは、その品質を支えるカリモクグループの資材会社である、知多カリモク株式会社です。

国内外の製材所から仕入れた板材を加工し、家具のパーツとなる材料を生産しています。

今回は、工場の事務方として、板材の調達や生産計画の管理、材料面からの商品開発に関わる生産管理職を募集します。

基本的なPCスキルがあれば、経験は求めません。

安定した家具づくりを支えていくため、やるべきことにコツコツ取り組んでいく。日々の仕事を積み重ねるなかに、やりがいを見つけられる人に合う仕事だと思います。

 

名古屋駅から鈍行を乗り継ぎ、30分ほど。知多半島の付け根あたりにある東浦駅で降りる。

小さな無人駅ではあるものの、電子化が進んでいて、遠隔で駅員とつないで窓口対応も受けられる。住宅街が広がるまちは、大通り沿いにお店が並んでいて、住みやすそう。

駅から車で向かうこと10分、カリモク家具の本社やグループ会社のある工業地帯へ。

知多カリモクの敷地では、手入れの行き届いた立派な庭が真っ先に目に入る。工場にこんな庭があるのは、木を扱う会社ならではという感じ。

いくつかの棟を抜け、敷地の一番奥にある事務所へ。

つくりは普通のオフィスだけれど、カウンターやテーブル、壁材など、いたるところが木製で温かみのある空間だ。

打ち合わせルームで話を聞いたのは、取締役の三輪さん。

知多カリモクに入社して30年近く。マレーシアと北海道の資材工場での勤務や、グループ会社での研究職などを経験してきた。

80年以上の歴史を持つ、カリモク家具。カリモクグループは、材料を供給する資材会社、家具をつくるメーカー、全国の販売店への卸売を担う営業部などで構成されている。

「カリモクグループでつくる家具の木材料の大半は、グループ内の4つの資材会社からまかなっています。会社も分けて、大々的に資材部門を設けている家具メーカーは、ほかにはあまりないと思いますよ」

主要な木材は、ウォールナットやオークなど。北米やヨーロッパから板材を仕入れるケースも多い。

それに加えて、カリモク家具が取り組みはじめているのが、国産材の有効活用。

少量・多種の木々で構成され、小径木(しょうけいぼく)と呼ばれる細く小さい木も多い日本の里山林。木が大きく幅の広い木材が採れる外国産と比べると、使い勝手の面からあまり活用が進んでいないのが現状だそう。

「ただ、家具には大小さまざまな部品があるので、細く曲がった板でも十分に活用できる。適材適所で材料を使いこんでいくことで、多様な木々を活かすことにつなげていきたいと思っています 」

カリモク家具では、定番商品で使われるナラやクリのほか、一般的に家具にはあまり使われないヒノキなどの針葉樹、ウルシなどのめずらしい樹種まで、全国30ヶ所の森から60種類近くの木材を調達している。

自社グループで資材工場を持っているからこそ、手の込んだ材料加工にも力を注ぐことができる。

たとえば「フィンガージョイント」という加工では、短い木材の木口面をジグザグにカットして組み合わせることで、強度を保ちながら長さを確保。曲がっていたり、節が入っていたりして、必要な規格に満たず使われてこなかった未利用材を活かすことができる。

無垢材のような仕上がりを求めるお客さんには、フィンガージョイントの表面に薄い一枚板を貼ることもある。見た目も強度も変わらずに、端材などを無駄なく使うことができる。

「こういった木材活用のストーリーは、どんどん発信していきたいし、発信するべきだとも思っています。我々の使っている木材の量は、家具業界では多いほうでも、森林全体で見れば微々たるもの。こういう使い道があると伝えることで、同業他社や、木材を扱うほかの業界にも広がっていってほしい」

「同時にお客さまにも、ストーリーに共感するとか、こういうデザインも好きだっていう人が増えていったらうれしい。そういう意識を広げていくことで、木材の循環を促す後押しができたら、と思っています」

 

今回募集する生産管理課は、知多カリモクの総合窓口のような役割。社員の多くが工場で働くなかで、事務関係の仕事のほとんどを担っている。

グループ会社のメーカーからの受注をもとに、工場の生産計画を立てる生産管理業務のほか、国内外の製材所からの材料調達、新商品開発に材料面から関わることもある。

スタッフはそれぞれメインの仕事をもちながら、お互いの仕事もサポートできる体制をとっている。

入社8年目の平野さんは、生産管理業務を経て、今は国産材の調達とマレーシア工場との窓口を主に担当している。

「実家のすぐ裏には山があって、ずっと木は身近なものでした。大学でも木材の勉強をしていて、就職活動の時期に、偶然カリモク家具の記事を新聞で見かけたんです」

未利用材を活用している、「Karimoku New Standard」というコレクションについての記事。「今まで見向きもされなかった小径木に、デザインの力で付加価値を与えるコレクション」という副社長の言葉が印象に残り、この会社で働きたいと思ったそう。

「入社当初は、今は電子化されている現場への指示書がすべて紙だったので、その仕分けだけでものすごく時間がかかりました。でも、だんだんとよく出る材料や商品名を覚えてきて。日々目の前のことをやっているうちに、少しずつ全体像が見えてきました」

「最近は国産材の仕入れに関わっているので、産地の製材所の人たちと話すのが楽しいんです。今まであまり需要のなかった木材に、『これも使えるんだね』って喜んでもらえることもあって、うれしいですね」

工場を案内してもらうと、とくに目を引くのは、屋外に積み上げられたたくさんの板の山。

仕入れたばかりの木々は、全体の50%ほど水分を含んでいるそうで、それを数ヶ月から半年かけて約20%になるまで自然乾燥していく。

その後、人工乾燥で8%まで水分を飛ばしたあと、いよいよ家具の材料を切り出していく。

一番奥が見えないほど広い工場の中では、それぞれの機械から加工音が鳴り響いている。

「メーカーから、必要な材料の発注が来ます。納期に間に合うように、どの機械を使って、どの規格の板を何枚切り出すか。生産管理がすべて計画を立てて、現場に指示を出していきます」

木は生きもので、節の位置や色味が一つひとつ違うから、一枚の板を均等に切ればいいわけではない。

この板からはどんな材料がどれだけ取れるか。作業をする人が材料を目にした段階で判断して、切り出していくという職人技。

「単に指示を出すだけでなく、どんな加工をしていくか、現場と相談しながら何回も試作を重ねることもあります」

たとえば椅子の背もたれ用に、水と熱を加えて板を曲げる加工を施すとき。樹種によって問題なく曲がるものと、割れてしまうものがあったそう。試作の結果、割れてしまうほうは、3枚に薄くスライスしたあと、接着しながら曲げるとうまくいくことがわかった。

事務方と言っても、現場と直接関わる機会は多い。自分の出した指示が問題なく完了するまで、責任を持って見届けていく。

平野さんは、どんなときにやりがいを感じますか?

「部品を生産するために工程を考えて、工場に負荷がないように生産指示を出していくっていうのがうまくいったとき。やった!って思いますね」

 

生産管理課を統括している横田さんも、話を続ける。

「短い納期で複雑な作業が必要なときは、どう指示を出すとやりやすいかなって考えて生産計画を組み立てて。問題なく終わったときは安心しますよ。ちょうど今も進んでいるんですけど、現場から連絡がこないから、きっと大丈夫なんだろうなと思っています」

北米やヨーロッパからの材料調達も担当している横田さん。学生時代は設計を学んでいたものの、手を動かすものづくりが好きだったことから、家具に興味を持ち、知多カリモクへ入社した。

メーカーには欠かせない、新商品の開発。そのとき必ずついてまわるのが、どんな材料を使うのか?ということ。横田さんは、商品開発に関わることも多いそう。

「調達のしやすさ、価格、見た目や加工性。メーカーの設計担当とあらゆる面を検討して、それぞれの企画や商品にあった材料を選んでいきます。とくに量産品には、生産が途切れないよう継続的に調達できる材料を選ばなければいけません」

カリモク家具として発表する商品のほかに、クライアントワークとして一風変わった取り組みをすることも。

最近では、「樹木との共生」をテーマに掲げる資生堂の化粧品ブランド「BAUM」のパッケージの木製パーツ部分を、家具の端材を利用して製造。

どんな仕様なら強度が確保できるのか、生産管理課がブランド立ち上げから関わり検討していった。

「ほかにも、自社で山をもつ会社さんから、その山の木を使ってオフィスに置く家具をつくりたいと依頼を受けたこともありました。こういうお声がけが増えたのは、カリモク家具が国産材の有効活用を掲げて、発信するようになったからだと思います」

「ただ、こういう仕事はイレギュラーなもの。普段は同じ仕事を淡々と続けていくことも多いし、大変なこともありますよ」

どんなときが大変ですか?

「生産計画を立てても、すべてが予定通りに進むわけではなくて。自然のものを扱っているので、加工したあとに節があるとか、木目がわるいとか。そういった理由でつくり直すこともあります」

「それも納期があるから急ぎのことが多い。厳しくても、どうにか調整しなきゃならないから、メーカーと現場との板挟みになることも多いです。真面目に捉えすぎずに、仕事だからと割り切って受け流す力も多少は必要ですね」

現場にお願いすることが多いから、逆に現場から頼まれたことにはすぐ対応することで、日々気持ちよく協力しあえる関係を築いているのだそう。

「たとえばトラブル対応とか、そのときは楽しいと思えなくても、乗り切ったあとに、よくやったなって達成感が出てくる仕事もあるんですよ。そういうものが蓄積されて、自分の糧になっているんだろうなと思います」

日々の仕事のなかに、小さなよろこびを見出して続けていくことは、簡単そうでとてもむずかしいこと。

目の前の仕事にしっかり向き合う人たちの力が集まることで、良質なカリモクの家具が世に送り出されていくんだと感じました。

(2023/3/27取材 増田早紀)

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