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止まらない想い
泊まるに限らないホテルへ
伊豆ではじめる新規事業

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

静岡県・伊豆半島。

もともとは本島から数百kmも離れた海底火山群でした。いまからおよそ60万年前、プレートの北上にともなって本島に衝突し、現在の形になったと言われています。地質学的に特異な環境は、ジオパークにも認定されるほど。

今回紹介するのは、その伊豆半島東部にある老舗ホテル「熱川プリンスホテル」。

1959年の創業以来、個性豊かな湯船と開放感のある屋上露天風呂が人気で、長年旅行者に愛されてきました。

変わりゆく時代にあわせて、昨年からは宿泊者はもちろん、地域の人も気軽に参加できるようなカルチャーサロン「ミヂカル(mizi-cul)」をオープン。

いろんな人が出会い、お互いに学び合えるハブとなる場所を目指して活動しています。

今回募集するのは、新規事業担当スタッフ。

ミヂカルの企画・運営を担いつつ、商品開発や新たなサービスなど、宿泊業にとどまらない付加価値を生み出すことを目指します。

好奇心旺盛で、いろいろなことに興味がある人に、ぜひおすすめしたい仕事です。

 

東京から電車に乗って2時間ほどの場所にある伊豆熱川駅。

駅のホームから見えるのは桜だろうか。前回訪れたときは冬の時期だったので気づかなかったけれど、晴れやかな空にきれいなピンク色がよく映えている。

駅を降りて、あたりを散策してみる。

まちなかでよく見つけたのが、“温泉やぐら”と呼ばれる鉄塔。

源泉を掘るときに建てられるもので、熱川には13ほどの温泉やぐらが建っている。源泉は約100度と超高温。湯けむりが空へもくもくとあがっていく。

散策するうちに、まちを一望できるところを発見。

温泉やぐらから立ち上る湯けむり、白を基調とした年季を感じる旅館やホテル、南国の植物、明るい海、遠くに見える伊豆大島。

レトロな雰囲気と南国のビーチ感を味わえる熱川は、こぢんまりとしていて、ゆったりとした時間が流れている。

熱川プリンスホテルは、駅から歩いて10分ほどの山の上。

ロビーに着くと、代表の嶋田さんが迎えてくれた。

ミヂカルは、宿泊者も地域の人も、伊豆の魅力を身近に感じることができるカルチャーサロン。

団体旅行が中心だった時代から、個人旅行のスタイルが増え、旅行者のニーズがどんどん多様化するいま。従来のサービスだけでない、新しい価値をもっと提供していきたいと嶋田さんが考えたのがきっかけ。

ハワイでフラダンスを学んだ講師による講座や、陶芸作家による陶芸教室など。宿泊者にとっては自分磨きの場として、地域の方にとっては地元の魅力の再発見や交流の場として。

伊豆の各地で活躍するプレイヤーを集めて講師をお願いし、健康・美容、食、ものづくり、癒しにまつわる、さまざまな講座を開いてきた。

「まずは講師を引き受けてくださる地域の方を探すところからはじめて、だんだんと縁が広がってきました。講座の参加者は、いまのところ近隣の方が多いですね」

ミヂカルをはじめて、8ヶ月。外部のアンバサダーと業務契約を結び、SNSでの情報発信や、講座の企画・運営をおこなってきた。結果、旅行新聞社主催の「日本ツーリズム・オブ・ザ・イヤー2022」にて優秀賞を受賞するなど、認知度は上がってきている。

「とはいえ、もっと宿泊の方にも参加してもらえるようにしたいんです」

「今は旅行支援制度のおかげもあって、宿泊のお客さんは戻りつつあります。ただ、これが落ち着いたタイミングが本当の勝負というか。お客さんに選んでもらえるかどうか、これからはっきりしてくるように感じていますね」

中心となってミヂカルを進めてきたのは、嶋田さんを中心とした社内外の4人。

日々企画・運営しているものの、社内での浸透度はまだ低い。また、近々外部のアンバサダーとの契約も終了するため、今後は社内メンバーを中心にプロジェクトを育てていきたい。

「これからミヂカルの講座ももっと盛り上げていきたいし、参加者も増やしていきたい。講師との関わりのなかで、オリジナル商品やサービスの開発も進めて、新たに事業展開できればと考えていて」

「欲張りかもしれないんですけど」と言いつつ、今後挑戦したいことについて前のめりに話してくれる嶋田さん。

「1泊2食付きだけではなく、せっかくここまで足を運んでくれた人に、伊豆でしか味わえないようなことを経験したり、学んだりしてもらいたいんです。ミヂカル以外にも、お客さまに提供できることはアイディア次第でまだまだあると思っていて」

今回募集する人には、ミヂカルのプロジェクトにかかわりつつ、そのほかの新規事業にも挑戦してほしい。

たとえば、ロビーラウンジやお土産処の利活用。これまで団体客向けのサービスだった空間を、より有意義に使ってもらうにはどうしたらいいか。

すでに昨年、お酒などを提供していたラウンジをワーキングルームにリニューアルする取り組みもはじまっている。宿泊業に限らず、広い視野で新しいことに着目することができるといいと思う。

 

取材に行ったこの日は、ちょうどフラワーアーティストの後藤さんによるフラワーデザインワークショップが開かれていた。

「ぼくが担当している講座では、単に形をつくるのではなく、植生を紐解きながらデザインしています。伊豆の植生って南方系のものが多いので、そういった花材をぼくが採ってきて、生徒さんたちには植物それぞれの自然な向きを見てもらいながら、作品をつくってもらっています」

フラワーアーティストのほかにも、カフェの経営やフォトグラファー、イラストレーター、グラフィックデザイナーなど、多彩に活動している後藤さん。

もともと伊豆の河津町出身。高校卒業後はフラワーアーティストになるべく東京の専門学校に通い、フラワーアレンジメントのコンテストで日本一を獲った後、伊豆に帰ってきた。

「こっちに戻ってきたのは、まちへ恩返ししたいみたいなところが大きくて。どの田舎も似たような感じだと思うんですけど、まちで生まれ育った子どもたちが、一度まちを出たら帰ってこないことがいまは多いんです」

「自分は小さいときに伊豆の自然に遊んでもらって、楽しさも危なさも教えてもらったけど、いまは自然に関わる機会をつくる大人が少ない。小さいときの経験があったからこそ自然を活かした仕事に就きたいと思って、フラワーアーティストをさせてもらっています」

後藤さんからは、地元に貢献したいという気持ちを強く感じる。

「ミヂカルが熱川だけにとどまらず、伊豆のいろんな地域から人を呼んだりして活動しているところが、俺はすごく好きなんですよ」

「参加者からしたら、伊豆半島中の講師が集まって、ひとつの場所でいろんなものを学ぶことができるって魅力的だと思うし、伊豆を盛り上げたいと思っている僕ら講師陣からしても貴重な場所で。すごく素敵な取り組みだと思って、参加させてもらっています」

 

伊豆に対する熱い想いを、堂々と、そして丁寧に話してくれる後藤さん。

そんな後藤さんを講師として招待したのが、嶋田さんと一緒に新規プロジェクトに関わってきた今野さん。

もともと印刷業界で働いていて、移住を機に熱川プリンスホテルに昨年入社。ミヂカルの講座の企画から、講師を探し、交渉して運営するところまで担当している。

ミヂカルの課題のひとつとしてあげてくれたのが、講座の集客。

「始めたばかりのプロジェクトなので、もともと難しいのはわかっていました。でも、土曜も日曜も人が入らないときがあって、想定していた以上に難しさを感じている部分もあります」

「都会に比べてそもそも人口が少ないので、できるだけ確度を高められるように、サイトの内容を見直してみるとか、細かい作業はいろいろやっています。常に自分は何をしたらいいかシュミレーションするんですけど、やっぱり誰かと意見を交わせたほうがよりいいアイディアも出せるのかなと」

たとえば、SNSの投稿やタグ付けを積極的におこなったり、熱川のまちにクローズアップしたコンテンツをつくり、まちを訪れる人の全体数を増やすチャレンジをしてみたり。

一人では思いつかないようなことも、二人で壁打ちするなかで浮かんでくることはたくさんあると思う。

「私が考えるミヂカルって、単に知識を学ぶだけじゃなくて。人と人とのつながりをつくっていく場所だと思うんです」

参加者同士はもちろん、講師と参加者がつながり、まちに新しいものが生まれていく。そんなふうに、地域のハブとして機能するようにしていきたい。

今野さんにとって、この仕事のやりがいはどんなところなんだろう。

「いろいろな人に会えるので面白いですよ。たとえば、わさび農家で手伝いながら、オリーブをご自身で育てている方がいらっしゃって。何かそれで金儲けをしたいのではなく、純粋にその美味しさをみんなに知ってほしい、ただそれだけなんですって」

「実直に一生懸命働いている姿を見ると、自分もこのまちで何か貢献できたらいいなと思うようになります」と今野さん。

「それと、多くの人と会うことで自分にとっての学びも多くあります。たとえば講師の方々と企画を検討するときに、専門的な知識だけでなく、これまでの経験や経緯も伺うことで、自分の見聞も広まっていく感じがあって。日々、成長させてもらっているんです」

 

代表の嶋田さんは、「今までのホテル像を変えていかないといけない」と話していた。

自分たちでターゲットを設定して宿泊を提案したり、他部署のスタッフもどんどん巻き込んで、新しいことにチャレンジする土壌を整えたり。

はじまったばかりの試みやこれからはじめる試みなど、来る人次第でどんな色にも染められる環境だと思う。

このまちも熱川プリンスホテルも、もっと魅力的になる可能性を秘めている。

この場所で何ができるか。ゼロから一緒に考えて進んでいける人を求めています。

(2023/03/20取材 杉本丞)

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