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夕陽きらめくこの島から
はたらく人も住む人も
楽しくなるまちをつくる

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

生まれ育った場所ではなくても。「ただいま」と言える場所があることは、心のよりどころになると思います。

「何度も通ううちに、島の人から『おかえり』と言ってもらえるようになる。それがうれしいんですよね」

そう話すのは、株式会社バルニバービのみなさん。レストランやカフェなど、飲食店の企画経営を軸に、近年では全国の自治体と協力して、食を通じた地方再生・地方創生を目指す、地方創再生プロジェクトに取り組んでいます。

なかでも力を注いでいるのが、瀬戸内海に浮かぶ食の宝庫、淡路島。

レストラン、ホテル、回転すし屋、物販店に、廃校をリノベーションした複合施設「SAKIA」など。「Frogs Farm ATMOSPHERE」と呼ばれるこの一帯では、19種類の滞在コンテンツが稼働し、「住みたくなるまち」づくりを進めています。

今回は、この「住みたくなるまち」をかなえるための具体的なアイデアを出しながら、ディレクターのような立場でプロジェクトをつくり、推進していく人を募集します。

淡路島に暮らしてもいいし、大阪や東京に暮らしながら淡路島に通ってもいい。働き方も正社員に限らず、業務委託でも検討したいとのこと。将来的には淡路島だけでなく、同時に進行している他地域のプロジェクトにも関わることになります。

アイデアと勇気さえあれば何にでも挑戦できる環境だと思います。読み進めながら、自分なりの関わり方を想像してみてください。

 

神戸から三宮へ向かい、バスに乗り込む。乗車して1時間ほど。「ガーブコスタオレンジ前」のバス停で降りると、瀬戸内海を一望できる。

穏やかな夕暮れの風景に癒されながら、この日はホテルへ。

翌日、待ち合わせ場所で待っていると、代表の佐藤さんが現れた。

「外で話しましょうか。僕、太陽が大好きなので」

30歳のとき、バルニバービを立ち上げた佐藤さん。大阪・南船場のレストランからはじまり、さまざまなかたちの飲食店を全国に展開してきた。

創業から30年たち、事業も広がってきたけれど、目指しているものは昔から変わらない。

「20代のころ、パリで暮らしていたときに、カフェの文化に衝撃を受けて。気楽に食事を楽しめるまちの台所でもあり、人と人が交流できる憩いの場でもある。これを日本でもつくりたいと思ったんですよね」

生活のベースにある食にこそ、人と人、人と地域をつなぐ力があるのではないか。

地方創再生プロジェクトの第一歩として出店を決めた淡路島。最初に開業したレストラン&カフェ「ガーブコスタオレンジ」は、島を訪れる観光客にも、まちの人にも楽しんでほしいという想いで立ち上げた。

「数年前までこのエリアは、海岸に野原が広がる、車が行き交うだけの場所でした。社員にも『こんなところに人なんて来ない』と言われるくらいで」

穏やかな瀬戸内海に面した、西向きの海岸。海を見てぼーっとするだけでも楽しいし、ひと泳ぎしてからカフェタイムでも、夕陽を眺めて食事もいい。

伝わっていないだけで、わざわざ来たくなる魅力は十分にある。ここでの過ごし方をしっかりと提案し発信していけば、きっとその価値は伝わる。そんな確信があった。

「1号店がある南船場も、当時は人通りの少ないエリアでした。お客さんに喜んでもらうことを一生懸命考えて店づくりをしているうちに、行列ができて。元気がないと言われている地域でも、おもしろいと感じるものがあれば人は集まるんです」

その言葉通り、2019年のオープン初日から店には行列が。今ではこのエリアで一日過ごす人もいるくらい、にぎやかな場所になった。

「土日は観光客でいっぱいになりますけど、平日は地元の方もよく来てくれますよ。『このごろ暇やろ?(笑)』って、愛情込めてね」

「ここで使っている食材は、ほとんどが島のものなんです。どうしても手に入らないものはほかの地域から仕入れているけれど、野菜はほぼ地元。淡路島の野菜はおいしいと昔から評価が高いし、瀬戸内海であがる白身魚も世界一と言われてますから、最高ですよ」

ひとつのお店からはじまり、さまざまな飲食店やホテル、ピクニックエリア、バーなども展開。ランチやアウトドアから夜の滞在までも、いろんな目的で楽しめる場所になっている。

「地元の水産会社さんが『寿司屋をやりたい』と相談してくれて、バルニバービでは初の回転寿司もオープンしました。ほかにも海を眺めながらBBQを楽しめる場所やラーメン屋もつくって。ずっと同じようなお店があるだけではお客さんが飽きてしまうので」

食材の仕入れを通じて築いてきた関係のおかげで、オープンして間もない時期から地元の人が遊びに来てくれるし、新しい取り組みもすすんで応援してくれるそうだ。

2022年春には、廃校になった小学校の校舎を活用した複合施設「SAKIA」をオープン。

「一時的な滞在から、中長期的な滞在にもつながれば」と、佐藤さんが校舎を購入したことをきっかけに生まれた施設。コワーキングスペースやカフェのほか、子ども向けの図書館、プログラミングを体験できるスペースなどが設けられている。

「SAKIA祭り」と呼ばれるお祭りは、年2回のペースで開催。バルニバービが地元の人と一緒につくる一大イベントだ。

島内の飲食店が出店するマルシェや、淡路島に移住した芸人のトークイベント、地元の民謡にあわせた音頭や三味線演奏など。プログラムを眺めるだけでも、島をさまざまな角度から楽しめるような時間になっていることがうかがえる。

食が入口ではあるものの、飲食店の枠にとどまらない発想でプロジェクトをすすめているバルニバービ。「こんなものがあったらいいよね」という前向きな考えで企画が生まれているように感じる。

なにが佐藤さんを動かしているんでしょうか?

「食事はお腹いっぱいになると終わりだし、観光地だって夕方になるとお客さんが帰ってしまうところが大半でしょう。それじゃあ、地域は活性化しない」

「そこにいるだけで一日中楽しめるような、住みたくなるまちをつくることが僕らのやるべきことだと思うんです」

2023年には島根県出雲市にホテル、ヴィラ、レストラン、飲食物販を備えたパーキングエリアからなる「WINDY FARM ATMOSPHERE」をオープン。

淡路島での取り組みに注目した自治体からの問い合わせで実現したプロジェクトで、今後はほか地域にも取り組みを展開していく予定。

食をきっかけに、目の前の人たちが楽しく暮らしていける未来を、佐藤さんは常に頭のなかで思い描いている。

「僕は自称CMOなんですよ。チーフ・妄想・オフィサー(笑)。僕はどんどんアイデアを出していくから、まずは一緒に妄想を膨らませてほしい。そして、実現するための方法を一緒に考えてほしいと思っています」

今回募集するのは、一緒に「住みたくなるまち」を形にしていってくれる人。

「得意や好きをもとに、仕事を一緒につくっていく人と働きたいんです」と、佐藤さん。

たとえば勉強を教えるのが得意な人は、SAKIAで子どもに勉強を教えてもいい。農業をやりたい人は、市民農園をつくる計画があるので、その運営を考えてもいい。

すでに動いている企画を形にすることからはじめることも、まったく新しいところからアイデアを出すこともできる。地域でなにかしてみたいことがある人にとっては、どんどん挑戦していける環境だと思う。

 

仕事と暮らし、自由に夢を描けそうな一方で、経験のないものを形にすることは簡単なことではないはず。飛び込むことに不安を感じる人もいるかもしれない。

淡路島のプロジェクトに初期から関わっている企画本部の北尾さんは、新しく入る人にとって心強い存在になると思う。

「まさか淡路島でこんなに仕事するとは思ってなかったです。私は大阪市内から週1回の頻度で通っていますが、慣れたら1時間ちょっとで来られる。意外と近いんですよ」

20年ほど前、バルニバービが運営するレストランのアルバイトからスタートし、その後正社員へ。地方創再生プロジェクトでは、ホテル、こども図書館、レストラン、物販店などの立ち上げに関わってきた。

「地方創生に強い興味があったわけではないんです。けれど、ここは山も海も美しいし、地域の方との交流もあって刺激的で。オフィス間を移動するだけでは生まれてこない発想が出てくることもあるので、働いていてより楽しくなったと思います」

出勤前にサーフィンをしたり、息抜きに釣りに出かけたり。海も山も近いから、ちょっと足を伸ばすだけでリフレッシュできる。

地域の人とピクニックに出かけるスタッフもいるのだとか。

「コロナ禍による地方への注目もあって、お客さんは絶えない状態です。『じゃあ次、なにがあったら楽しいだろう?』と、常に話しています。住みたくなるまちをつくるなかで、雇用も生まれる。それが地方創再生にもつながると思うんです」

「プロジェクトを進めていくには、地域の人とバルニバービをつなぐ存在が重要になると思っていて。いまのメンバーが淡路島へ来られるのは、多くて週に1回。新しく加わる人には、もっと深く地域の方と関わってもらえたらありがたいですね」

淡路島で日々店舗を運営するスタッフたちが、島に暮らす人とこまめにコミュニケーションを重ねてきたことで、バルニバービの取り組みをおもしろがってくれる人が増えつつある。

今回仲間に加わる人は、淡路島で暮らしてもいいし、大阪や東京を拠点に淡路島と行き来しつつ働くこともできる。どんな形であっても、積極的に地域の人と話す機会をつくるなど、コツコツと関係を築いていくことが大切だ。

佐藤さんはどんどんアイデアが膨らむ方ですが、一緒に働くのは大変じゃないですか?

「うちのスタッフは、代表の突飛なアイデアに対しても『まぁ、なんとでもなるかな』と捉える人が多い気がしますね。経験したことがないことに対して、しない理由を探すんじゃなく、どうしたらできるかを全力で考える。発想の転換ができないと、プロジェクトを一緒に進めるのは厳しいと思います」

「うちは今も佐藤が現場に立つこともあるくらい、現場を知ることを大切にしています。やっぱりお客さんと、一緒にはたらく仲間を笑顔にするために仕事をしているので、その接点をないがしろにしてはいけない。新しく入る人にも、そこは大切にしてもらいたいと思います」

企画も運営も、みんなで知恵を出しあって形にしていくスタンス。なにかひとつでも「やってみたい!」という気持ちがあれば、経験は問わず飛び込んできてほしいと、北尾さんは話していた。

 

取材を終えると、「おでんの試作があるので、食べていきませんか?」と佐藤さんから声をかけられ、スタッフの方々といただくことに。

「海を見ながらおでんって、ここでしかできないよね」「柚子胡椒つけたらもっとおいしくなるよ」

プロジェクトはどんどん広がっているけれど、やっぱりバルニバービの根っこには「食」があるんだな。そう感じたひとときでした。

はじめてのことばかりでも、おいしいものをみんなで分かち合うことでつながっている。その土台があるからこそ、さまざまな挑戦をしていけるのかもしれません。

(2021/9/18 取材、2023/9/15 更新 阿部夏海)

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