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わかったつもりも
無関心もいやだ
環境問題に良質なカオスを

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この仕事をしていると、世の中にはたくさんの仕事があると気づかされます。

今回紹介する仕事もそう。環境問題という大きな課題に対して、地域の住民たち、行政、企業などさまざまな関係者の間に立って伴走している人たちです。

一般社団法人環境パートナーシップ会議。

今回は、社団法人の中の2つのチームで働くスタッフを募集します。

ひとつは、全国各地で地域の環境保全活動を支援している「地方環境パートナーシップオフィス(EPO)」。全国に8箇所あるうちの関東EPOが、今回入る人の拠点になります。

もうひとつは、EPOを統括する「地球環境パートナーシッププラザ(GEOC)」です。

持続可能な社会を目指し、地域住民やNPO・NGOなど、多様な主体をつなぐ役割を果たすことで、課題解決に貢献する。

環境問題の解決に挑む人たちをサポートしたい。そんな人にはとても合っている仕事だと思います。

 

東京・青山。

環境パートナーシップ会議の拠点は、青山学院大学のすぐ近く、国連大学の敷地内にある。

中に入ると、天井が高く、木でつくられた空間が広がっている。

壁にはこどもエコクラブがつくった新聞が貼ってあり、環境に関わる本もたくさん並んでいて、自由に閲覧できるみたい。

迎えてくれたのは、環境パートナーシップ会議の副代表を務める星野さん。

設立のきっかけは、1992年にブラジルで開催された地球サミット。

地球環境問題に政府や企業だけでなく、市民やNPO・NGOも一緒になって取り組むべきだ。そんな流れから、「パートナーシップ」という言葉が注目された。

そこで、日本で環境問題に取り組む主体をつなぐための場として設置されたのがGEOC。環境パートナーシップ会議は、その運営に関わろうとするメンバーによって2006年に設立された。

環境パートナーシップ会議の事業は、GEOCの管理運営をはじめ、Webサイトのコンテンツ作成、環境系ボランティアの紹介に、セミナーの企画など。

最近はSDGsや生物多様性など、環境省が推進したいトピックスを社会に発信するための企画づくりも増えている。

「みんなで協力してやっていこうというパートナーシップの考え方についても、だんだんと浸透してきたのかなと。そういう意味では、わたしたちが活動してきた甲斐はあったんじゃないかなと思っているところです。SDGs達成にも欠かせないパートナーシップですが、私たちは、あらゆる機会、多様な人が参画する、コミットできるようなパートナーシップをプロデュ-スしています。」

他人事ではなく自分ごととして参画し、協力して活動する。その考え方をもっと浸透させることが、これからのチャレンジです、と副代表理事の星野さんは語る。

 

GEOCは主に情報発信などを担っているけれど、もう一つの役割が、日本全国に8か所ある地方環境パートナーシップオフィス(EPO)の統括。

EPOはどういう組織なのか。関東EPOに所属して10年目になる高橋さんに聞いた。

「環境省の区分に従っているので、関東EPOは、新潟、山梨、静岡まで含んでいます。北海道、東北、関東、中部、近畿、中国、四国、九州の8ヶ所にEPOがありますね」

長野県出身の高橋さん。田舎での暮らしに憧れて、新潟で農協職員として働いていた。

「農村のコミュニティにめちゃめちゃ親和性を感じて。『そうそう、こういうこと』って思ったんです。暮らしていく安心感ってこういうことだなって」

「おいしい食べ物や、それを育む豊かな自然があって、いろんな年代の人がいて。なんやかんや言いながらも、いいこともわるいことも共有するコミュニティがいいなと思っていたんですね」

知り合いから紹介されたのをきっかけに、環境パートナーシップ会議に入社。関東EPO担当に配属された。人と人をつなぐ仕事に魅力を感じたそう。

「関東EPOのオフィスは、GEOCから歩いて数分のところにあります。EPOの仕事は外に出ることが多いので、たぶん月の半分くらいは出張していますね」

現在のEPOの主な役割は、地域で行われる環境に関わる多様な事業やプロジェクトに伴走すること。環境省がEPOの支援を前提とした事業を公募することもあり、行政やNPO、DMO(観光地域づくり法人)といった推進主体が決まったら、EPOのスタッフはその地域に何度も足を運ぶことになる。

環境省の事業をどのように地域の人に理解してもらうか、いかにモチベーション高く取り組んでもらうか。そういったことを判断して、総合的にサポートしていく。

「地域の人たちの熱量ってグラデーションがあるんですよね。環境問題に対して関心のある人もいれば、そうじゃない人もいるし、ほかの人がやるなら… みたいな人もいる。地域内だけで進めると分断が生まれやすいんです」

そこで必要となるのは、いわゆるファシリテーターやコーディネーター、アクセラレーターなどの役割を担える人。いろいろな顔を使い分けて主体性を引き出していく。

印象に残っている案件について聞くと、箱根での話をしてくれた。

「箱根DMOさんに伴走支援したのが印象に残っていて。箱根は観光ブランディングが成功している地域なんですけど、その中心にいるのがDMOの人たち。その人たちと一緒に、持続可能な箱根にしていくためにはどんな観光業のあり方が望まれるのか、ということを一緒に考えていきました」

地域に入るうえでまず大切なのが、「赤の他人」から「友だち」になること。

頻繁に会いに行ったり、飲みの席に加わったり。そのなかで、なにを切り口にすれば環境問題に目を向けてもらえるかを考えていく。

「箱根は観光業に着目している人たちが多いので、たとえばSDGsやESGの話を切り口にしたら興味を持ってくれるかなとか。地域の人たちが見えていない景色に、どう気づいてもらうかを考えていきます」

「会う回数を重ねていくと、なんかこう、心開いてくれたなっていう瞬間がわかるようになるんですよね」

なるほど… そこからもう一歩踏み込んでいける、と。

「密に話せるようになると、伝えるというよりも、一緒に考える関係性になれるんです。そうしてわたしたちの視野や視座を共有することが、この仕事の肝かなと思います」

箱根の例では、森林資源の捉え方がひとつの課題だった。箱根は国立公園のなかにあるのだから、環境に配慮した取り組みを特別しなくても、脱炭素に貢献していると考えている人が多かった。

そこで高橋さんはDMOと相談し、環境省の担当者に依頼をしてデータを見てもらうことに。その結果、箱根の森は管理が行き届いていないぶん、老木が多く、CO2の排出量が多いことが明らかになった。

「地域のおじさんたちは、『小田原のぶんまでCO2を吸ってるはずだから』くらいに思ってるわけですよ」

「でもデータを見たら、みんなもう大騒ぎで。背広きた人たちがざわざわして、『え、木も俺らと同じぐらいの年齢ってこと?』って(笑)。そんなふうに、環境リテラシーを少しずつ身につけてもらう工夫をしていきます」

その後、箱根では観光客によるごみの問題が議題に上がり、ゼロウェイストの取り組みがはじまりつつある。

今は高橋さんひとりで担当している案件もあるけれど、本来は2人+フォロー1人くらいで案件を進めていくそう。

関東EPOに入る人は、まずは高橋さんを見本にして仕事を覚えていくことになると思う。

「勘違いしやすいのが、地域の人がやりたいことをそのまま応援するわけじゃない、っていうこと。やりたいことやできることでカバーしあいながら、地域の持続可能性を高めるという、本来の目的にチューニングしていくのがこの仕事なので」

「いろんな地域を見て、どっぷり浸かることができる。それは醍醐味だと思います」

実際に地域に入ると、地域のやりたいことと、行政や国の意向がズレていたり、立場の違いで思いがすれ違ったりしていることが多い。

いろんな声があるなかで、どう落とし所を見つけるか。板挟みになりながらチューニングしていくプロセスは、大変なことも多いと思う。

「答えがすぐに出ないことへの耐性、みたいなものは必要かなと。みんなが答えを探して不安になっているところをさらに撹拌する、みたいな。質の良いカオスをつくって、結果いい方向へまとまるように見守るっていうのが、わたしたちの仕事かなと思います」

 

続いて話を聞いたのが、EPOを統括しているGEOCの江口さん。働き始めて11年目になる。

「原体験はとくにないんですけど、中学生くらいから漠然と環境問題に関心がありました」

大学も自然環境系を専攻。在学中は環境ボランティアの団体で活動していた。その団体の縁でGEOCにも出会い、学生アルバイトをしていた時期もあった。

卒業後は2年ほど造園業のベンチャー企業で働き、その後GEOCへ。

「ぼくはEPOの一段上のレイヤーのGEOCに所属しているので、各地域のEPOの情報を収集して取りまとめ、環境省とのコミュニケーションをとる。それが主な役割になります」

GEOCのスタッフも出張の機会はあるものの、比較的東京で働いていることが多い。

実務的には、報告書の作成や、会議を開くための調整、情報共有、合意形成など。現場で起きていることを、環境省にどう伝えるか。言葉や文字を日々扱ってやりとりする仕事だ。

「各地方のEPOのほか、そのEPOが支援している現場に行くこともあって。環境問題に真摯に向き合って、主体的に取り組んでいる本当に素敵な方が全国にはたくさんいるんですよね。そういった方に出会えること自体が、わたしにとってはありがたいし、役得だなと思ってます」

「人を好きな人がいいと思います。いろんな人に会うぶん、とにかく人疲れするんですよね。人とのコミュニケーションの楽しさを見出せる人と一緒に働きたいなと思います」

 

最後に話を聞いたのが、働き始めて約1年半という鈴木さん。育休で休みをとっていたそうで、つい最近戻ってきた。

GEOCに入る人にとっては、一番近い先輩になる。

小さいときは野球少年だった鈴木さん。前職では教員をしていた。

転機となったのはコロナ禍。勤務していた学校が休校になり、時間に余裕ができたとき、以前から気になっていた気候変動について学ぶように。

「環境が破壊されて、この先の社会が持続していけないと。恥ずかしながら、そこで初めて強い危機感をおぼえたんです」

「今自分が携わっている学校教育的なアプローチだけでは間に合わない。もっと直接的に環境問題にアプローチできる仕事がしたいと思って、ここで働くことにしました」

現在は高橋さんに同行して現場を体験したり、江口さんと次の会合の準備をしたりと、さまざまなことを学んでいる。

「ぼくは具体的なものに触れて感性が動くタイプで。これからもEPOの支援している地域の方々に会いに行き、そこでの具体的な取組や課題を直接感じて、どうにか環境政策へとつなげられたらと思ってます」

 

最後に、副代表の星野さんの言葉を紹介します。

「やっぱり人と人の仕事なんで。それを喜べるっていうのは大事だと思っていて」

「こんな仕事がちゃんと生業としてあるんだって知ってほしい。みんなが知ってる仕事じゃないけれど、社会に求められていて、しかも面白い。それが一番ですね」

 

10月13日(金)には、みなさんが働いているGEOCで、しごとバーを開催します。

テーマは、「環境と地域の架け橋って? ともに歩む、中間支援の手」。仕事に興味を持った人も、環境保全に興味がある人も。ぜひ足を運んでみてください。詳細はこちらから。

※こちらのイベントは終了いたしました

(2023/9/14 取材 稲本琢仙)

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