求人 NEW

やきものの地で
編集者になる
うつわから広げるものがたり

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

その土地にいるからこそ、見えるもの、聞ける話ってあると思います。

長崎県・波佐見町は、約400年前からまち全体で陶磁器をつくってきた「やきもののまち」。

このまちで、うつわに関するさまざまな物語を伝えているのが、webメディア「Hasami Life(ハサミライフ)」。4年前に開設し、2万人以上のファンがいるサイトです。

今回は、Hasami Lifeの編集者を募集します。

職人さんの思いから、波佐見焼を使っている料理家さんの話まで。切り口はあなた次第。

「波佐見」を軸に、興味のあることを取材して伝えていく仕事です。

ライター経験のある方はもちろん、未経験でもやる気があれば、記事の書き方やメディアの運営を学んでいけると思います。

 

波佐見町は、長崎空港から車で50分ほど。

まちを散策していると、世界中の珍しい窯を再現した広場があったり、地面に陶磁器のかけらが埋め込まれていたり。

カフェのコップや、食堂のタバコの灰皿にまで波佐見焼が使われていて、生活のいたるところにやきものが溶け込んでいるんだなと感じる。

そんなまちで80年近く、波佐見焼の卸業を営んできたのが西海陶器株式会社。

波佐見焼のブランドを全国区に押し上げた地元の大手企業で、Hasami Lifeを運営している会社でもある。

まちの中心部にある本社に到着したのは、ちょうどお昼どき。取材前に社員のみなさんとランチを食べることに。

「これからご飯?一緒に行こうかなー」。代表の児玉さんも飛び入り参加して、近くのお寿司屋さんに向かう。

おすすめしてもらった長崎ちゃんぽんとお寿司のセットを食べながら、代表の児玉さんに話を聞く。

「Hasami Lifeは、自社の商品の紹介や売り上げのためじゃなくて、まちや波佐見焼全体を盛り上げたいっていう思いで立ち上げたサイトなんです」

サイトを立ち上げた4年前は、ちょうど波佐見の知名度が全国で高まりはじめていたころ。当時はいろんな企業や個人がそれぞれ情報を発信していて、波佐見についての情報がまとまって掲載されているものがなかった。

そこでつくったのが、Hasami Life。

自社製品を販売するECサイトとしての役割もありながら、掲載されている読み物は自社商品とは直接関係のない窯元の職人さんの話や、長崎ちゃんぽんの麺の工場見学などさまざま。

自社の利益ではなく、まち全体のために。素敵だけどなかなかできない考え方だと思う。

「まずは地域や、やきもの業界全体を盛り上げる。それがひいては西海陶器の利益になるっていう考え方を大切にしているんです」

「Hasami Lifeが地元の物語を発信することで、まちが賑わって波佐見焼に興味持つ人が増えたらいい。それが巡り巡って会社のためになればいいと思っています」

そんな思いがこめられたHasami Lifeの編集部は、社内の編集担当が1名と、外部のライター2名などで構成されていて、週に1本のペースで記事を公開している。

今回は社内の担当者の退職にあわせて、新たに人を募集することになった。

「新しく入ってくれる人も、会社の利益につながるようなコンテンツにしなきゃという意識は持たなくていい。好きなように波佐見の魅力を伝えてほしいです」

 

新しく入る人は、外部のライターさんたちと協力しながらサイトを運営することになる。

その一人が、Hasami Lifeの立ち上げ当初からサイト運営に携わってきたフリーライターの長嶺さん。青森を拠点に活動しているため、リモートで話を聞く。

「飛行機の機内紙の取材でたまたま波佐見に行ったことがあって。そのときに見た棚田の景色がすごく綺麗で、いい空気が流れているまちだなって思ったんです」

「ちょうどそのころに、Hasami Lifeに関わってほしいというお話をもらったんですよ。それで、このまちのことならやってみたいと思って引き受けたのが始まりです」

出版社の編集者を経験したのちに独立、レシピ本の企画など、食や暮らしを中心に取材をしてきた長嶺さん。

Hasami Lifeでは、記事の校正や企画案のアドバイスなど、サイト運営を支えてきた。

「私がやりたいことよりも、現地にいる西海陶器の担当者さんがやりたいことを、かたちにできたらいいなと思って関わってきました」

「たとえば新しく入る方が経験者でたくさん書きたい人だったら、私は編集を中心に担当してもいい。どんな人が来るかによって、関わり方はだいぶ変わると思います」

ときには自ら波佐見に訪れて取材をすることもあるそう。

編集者やライターとしての経験も豊富な長嶺さんがいることは、新しく入る人にとっても心強いと思う。

サイトが出来てから4年。立ち上げ当初から関わっている長嶺さんに、大切にしていることを聞いてみた。

「波佐見の熱が伝わる記事を目指すっていう姿勢は変わってないと思います」

熱が伝わる記事。

「実際に現場に行って、人と会って。自分の目で見たからこそ伝えられる熱量があると思っていて。うわべだけかっこいい文章を書いても、読者にバレると思うんです。だから素直な気持ちで書いた文章を発信し続けていきたいと思っています」

たとえば、波佐見の窯元を巡って職人さんたちの話を聞く「窯元探訪」という企画。

「窯元の人に直接会って、お話をしっかり聞いて記事を書き上げるんです。だからこそ、ものづくりの技術だけじゃなくて、その人の素の部分や考え方とか、大事にしていることが垣間見えるシリーズだなと思います」

「記事を読んでくれた人のうちの1人でも、この窯元に行ってみたいなとか、イベントに参加してみようかなとか。実際にまちに足を運んでもらえたらうれしいなって思います」

地域に根差したメディアだからこそ、まちの空気が伝わる記事を大切にしているんだろうな。

最後に、どんな人と働きたいか聞いてみる。

「私、仕事に関しては意外と厳しいんですよ」と笑う長嶺さん。

「やっぱりライターをするからには、やる気はあってほしいな。あとは好奇心が旺盛で、話を聞くのが好きな人。波佐見焼に興味があって、知りたいと思ってくれる人が来てくれるといいですね」

 

「まだまだ書きたい記事がいっぱいあるんです」

次から次に企画案を話してくれて、やきものが好きな気持ちが伝わってくるのは、社内で唯一の編集者の田添さん。

1月から新しいステップに向けて転職する予定で、Hasami Lifeを離れることになる。

「実は2年前にここに来るまでは、記事を書いたことも写真を撮ったこともなくって。ゼロからのスタートだったんです」

最初は、外部ライターさんの取材に同行して写真を撮ったり、取材の仕方を学んだりしながら、少しずつ自分で記事を書けるようになっていったそう。

今では記事の企画を提案して、いろんなところへ取材に出かけている。

「今は『ディープなやきもの』っていうテーマで取材をしていて。パッド印刷という技術を紹介する記事を書いています。窯業をやりたい人にとっても勉強になるし、関係のない人も、こんな技術あるんだって知れる、そんな記事にしたいです」

やきものをテーマにした取材といっても、歴史や技術、つくっている人の物語など切り口はさまざま。自分が面白いと思ったことを調べたり、会ってみたい人に直接会いに行ったりして話を聞けるのは楽しそう。

「やっぱり、ずっと会社にいるよりも、外に出て、人の話を聞いて、新しいことをたくさん知れるのは楽しいですね」

さまざまな記事を書いてきたなかでも特に印象に残っているのは、出土碗(しゅつどわん)に関する記事。

「土から掘り出されたお碗のことなんです。こんな感じで大量のお碗が地面に埋まっているんですよ」と写真をみせてくれる。

統制経済でつくれるやきものの数が制限されていた戦時中。つくりすぎてしまった食器は、土に埋められていたそう。

地面の下に眠っていた食器を掘り起こして販売しようというイベントに参加して、実際にお碗を掘り返した。

「洋服も泥だらけになって。赤土だから全然取れないんです(笑)。あたり一面が茶碗で、茶碗の雪崩が起きることもあって、すごかったです」

茶碗を埋めた張本人にもインタビューをして、記事にまとめた。

「記事の公開と一緒に、サイトで出土碗も販売しました。商品の歴史や人々の思いを伝えたことで、いろんな人が興味を持って、お碗を買ってくれたのがうれしかったです」

実際にイベントに参加してまちの人の声を聞いたり、体を動かしたり。自分自身で体験したからこそ伝えられる面白さがある。

一方で、はじめて波佐見に来る人は知り合いもいないし、取材のテーマを見つけるのも難しいと思います。

「社内の営業部とかには、職人さんと知り合いの人が多いんです。私も、初めて会う職人さんは社内の人に紹介してもらったり、取材に同行してもらったりしています。みんな、お願いしたら快く協力してくれますよ」

社内編集者は、営業部の配属になるそう。取材がないときは商品の梱包作業の手伝いをしたり、商品の撮影を手伝ったりと、チームで一緒に仕事をすることもある。

希望すれば会社の寮に入ることもできるし、社内旅行などイベントも定期的に開かれているそう。

社内の人とのコミュニケーションはとりやすいし、波佐見に縁がなくても、馴染みやすい環境だと思う。

最後に、波佐見での暮らしはどうでしょう。

「自然も豊かだし、美味しいご飯屋さんも多いです。習い事も充実しているので、器に興味がある人は陶芸教室に行くのも楽しいかも」

残業も少なく、午後5時には仕事が終わるので、退社後に隣町に遊びにいったり、習い事をしたりしている人も多い。

「波佐見の人って、フレンドリーな人が多いんです。だから人と関わりを持つのが好きな人は楽しいと思います」

 

波佐見のまちに住みながら、自分の目で見て、感じたことを、伝えていく。

ライターとして、自分の感覚を素直に表現して働ける環境だと思います。

やきものや波佐見に興味がある人は、ぜひ一度Hasami Lifeをのぞいてみてください。

やきものから広がる物語は無限大。目の付けどころ次第で、いろんなテーマの取材ができる。

そんな可能性にワクワクすると思います。

(2023/11/14 取材 高井瞳)

この企業の再募集通知を受ける

おすすめの記事