求人 NEW

生えてくるデザイン
話して、試して
よく見て、つくる

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

今ここにあるもの、そこにいる人の関係性から考える。

話して、試して、よく観察して、またつくってみる。

繰り返しているうちに、人や空間に馴染むデザインが生えてくる。

そんなものづくりをしているチームを紹介します。

株式会社モノサスは、Web制作やマーケティング、食にまつわることなど、さまざまな事業に取り組んでいる会社です。

既存の事業ありきではなく、そこにいる人たちがやりたいことや得意なことをプロジェクトにして、新しい仕事をつくっていく。やっていることや働いている場所はそれぞれでも、ゆるやかにつながりながら、一緒に生きているような集まりになりつつあります。

今回は、そんなメンバーが生み出すプロジェクトにデザイナー、プロデューサーやディレクターとして関わっていく人を募集します。

一緒につくっていきたいのは、オーダーに応えるビジュアルをつくるというより、ハンズオンで試しながらつくっていくデザイン。

グラフィックデザインやエディトリアルデザインに携わってきた経験があり、人と関わりながらものづくりをしていくことを楽しめる人を探しています。



向かったのは東京・代々木。

にぎやかな駅前を抜けて10分ほど歩くと、静かな住宅街のなかでドーナツをほおばる人たちの姿に出会う。

ここは、モノサスの食に関わるチームが運営するドーナツと食料品のお店「FarmMart & Friends」。

奥に進み、緑が元気な中庭を抜けたところにあるオフィスで話を聞かせてくれたのは、2024年からモノサスの代表になった眞鍋さん。

「父親がずっと自動車工場をやっていて、ものづくりの現場が身近にあったんだよね。いろんな道具が整理整頓されて並んでいて、溶接したり、塗装したり。働いてるおじちゃんに相談して、自分で自転車を改造したりもして。ものづくりをするのは、昔から好きだったんだろうね」

大学でアメリカに渡りさまざまなものづくりに触れるなかで、プロダクトデザイナーを目指していた時期もある。

好きなものをつくるというより、雑誌や専門書を読み漁りながら、多様な角度からデザインについて学んだそう。

「理論的なことは理解できる、自分でもやってみたい。だけど、自分にはものづくりのセンスがないことに気がついてしまって。それならデザイナーと関わる仕事がしたいと思って、広告業界に入ったんだよね」

「『問題を解決するための手段』であるデザインというものに、すごく憧れがあったんだと思う。自分で手を動かすセンスがないならプロジェクトを動かす立場で。どんなものでもつくれるようになれれば、ちょっと違う道からでもそこに行けるだろうと思ったんだよ」

創業した代表が同級生だったことをきっかけに、モノサスに入社したのは11年前。

プロデューサーとしてWeb制作などの仕事を動かすことと並行して、いつかやってみたいと思っていた食の事業、フードハブ・プロジェクトを徳島の神山町で関連会社として、社食を専門とするチーム 、MONOSUS社食研を東京で立ち上げた。

経営に関わるようになってからは、メンバーが働きやすくなるよう人事制度を整備したり、全員が集まる会議のあり方を変えたり。会社の文化や関係性をやわらかくするような仕組みづくりを続けてきた。

関わってきたことのひとつが、モノサスのWebサイト。

開いてみると、どんな仕事をしているかだけでなく、メンバーのインタビューやコラムなど、関わる人たちの様子を感じることができる。

「このサイトは、モノサスの文化を耕していくため、愛着を育てていく装置になっていると思うんだよ。8年前にリニューアルしてから、内容も運用方法も、デザインもだいぶ試行錯誤を続けてきた感じはあるんだけど」

「このサイトに限らず、到達点はなんとなく見えているけど、プロセスは会話しながら変え続けるっていうつくり方が多くて。いい言い方をするとアジャイルとかブリコラージュとか言うけど、まあ大変ではあるよね」

方針を立ててクリエイターに手を動かしてもらうというよりも、一緒に話して実際に手を動かしてみながら、最適なかたちを探していく。

時間も手間もかかるけれど、そうするからこそできるものがある。

「そこにあるもの、関係性から生え出てくるものづくりが、良くも悪くもスタイルになってきていて。デザインも何度も試して変えていかざるを得なくなったりする。そこを一緒に楽しんでもらえる人と仕事ができるといいなって」

モノサスの社内には、今、主にWeb制作をするデザイナーが5人ほど働いている。

今回あらたにデザイナーを募集するきっかけのひとつが、ここ3年ほどで広がってきた食の事業。

FarmMart & Friendsや九段食堂と名付けた社食のお店など、いくつかの店舗の立ち上げや運営が進むなかで、店内のサインや生産者の紹介の仕方、空間全体のデザインなど、一緒に考えていきたいことがたくさんある。

「スクリーンの中だけで考えるんじゃなくて、手書きでやってみるとか、印刷して実際にお店に置いてみるとか。手を使って考えられる人と仕事ができるといいよなって思っていて。お店って、そこで試してみないとわからないことばかりだから」

「食のことに限らず、モノサス全体でもデザインに力を入れていきたい。そういう体制ができつつあると思うんだよ」



眞鍋さんが頼りにしている人のひとりが、デザイナーでありフロントエンド開発者の竹田さん。

自分はアカデミックな文脈からは外れた”野良”のデザイナーだと話す竹田さん。話を聞いていると、本を読んだり足を使って実物を見たりしながら、さまざまな視点や考え方を学び、取り入れてきた人だということが感じられる。

プログラムコードから思考するデザインスタジオ・HAUSとして、2023年の春からモノサスにジョイン。公共施設や学術機関のデザインシステムから美術作品のテクニカルサポートまで、幅広く担当する経験を活かし、いちユニットとしてモノサスの仕事の幅を広げている。

関わった仕事のひとつとして紹介してくれたのが、モノサスオリジナルビールのラベルデザイン。

中心になっているメンバーからコンセプトや経緯を聞き、一緒にビールをつくりに行ったりしながら4つの案を提案したそう。

そのうちのひとつは、完成したビジュアルを提案するのではなく、ビールのアルコール度数や苦みなどの数値を入力すると、それらのデータに基づいたビジュアルが生成されるというアイディアだった。

「モチーフを出してそのなかから決めてもらうこともあるけど、デザインの仕組みそのものを提案するので、そこから選びましょうというやり方があってもいい。そのほうが使う人にとって自分のものになっていくんじゃないかと思って」

デザイン案を出すというより、考え方を提示する。

ビールをつくったメンバーだけでなく、ほかのデザイナーたちに見てもらったり、お店の販売メンバーから意見をもらったり。印刷して瓶に貼ってみたり、店頭に並べてみたりもした。

さまざまなことを試し、話し、調整していくなかでデザインが定まっていく。

「単にいい見た目のものをつくるだけではなくて、コンセプトやロジックの設計に近いのかもしれません。まずセットアップして、その先は許容する。だからその人たちのものになっていく。そのほうがデザインという言葉の本来の意味に近い感じがするし、自分たちっぽいアプローチのような気がします」

眞鍋さんのプロジェクトの進め方も、竹田さんのデザインのつくり方も。いわゆる“デザイナーの仕事”よりも、人と関わる頻度が増え、関わりが深くなる。

食まわりのデザインをつくるとき、その場づくりや調整役を担っているのが種本さん。

FarmMart & Friendsの立ち上げに関わったり、フードハブ・プロジェクトの広報やコーディネートなど、幅広い仕事を担当している。

小売店で販売の経験をしたあと、知り合いの紹介で眞鍋さんと出会い、農業を次世代につなぐためにさまざまな活動をしているフードハブ・プロジェクトへ。

商品のパッケージづくりを進めたり、紙もののディレクションをしたり。FarmMart & Friendsを立ち上げるときには、建築家をはじめ、さまざまな人とやりとりしながらお店をつくっていった。

経験がないなかで、どうやってものづくりに関わってきたんだろう。

「いきなり広報やデザインの仕事を任されたわけではなくて、最初はわりとお店に立っていたんです。つくっている現場のすぐ側にいることで、だんだん自分の体感がつくられていくというか」

「農業をしている人やパン職人、料理人としてものづくりをしている人たちの仕事って、本当にすばらしいんですよ。彼らからいかに言葉を引き出して、その仕事を伝えられるか。自分があいだに立つことでできることがあるんだと、少しずつわかるようになってきました」

今進めているプロジェクトのひとつが、あたらしいパウンドケーキの開発。

パッケージは笑達さんという、土や手を使いながら作品をつくっていく方に描いてもらうことになった。

「オンラインで話して頼むというよりも、ちゃんと会って、自分たちのこと、相手の作家性を理解したいというのがあるんですよね。今回も笑達さんのアトリエに伺って、一緒にごはんをつくって食べて。試作のパウンドケーキも食べてもらって、そこから感じたことを作品にしてもらっています」

課題になったのが、ダイナミックさが特徴でもある笑達さんの作品で、小さなパッケージをどうつくっていくのかということ。

平面の作品を縮小して貼り付けていく進め方もできたかもしれないけれど、選んだのは、パッケージと同じ大きさの木のブロックに作品を描いてもらう方法。

仕事を依頼するというよりも、関係を深め、どうしたらつくり手がより活きるのかを試しながら、形にしていく。

「食材やパウンドケーキをつくっている人、ものづくりをしている人たちって、すごく情熱を持っているんですよね。その情熱に対して、関わる人たちがそれぞれの領域で力を発揮していく。熱量が上がっていく過程が、すごく楽しいんです」

「そうやってできていったものって、完成してお店で届ける段階になったときにも、格段に愛着が湧くんですよ。より売りたい、届けたいと思える。ものをいかに大切に扱えるかって、すごく大事なことだと思うんですよね」

人の関わりが増えるだけ、調整役の仕事は増えていくと思う。

「もう、大変なんですよ」と笑いながら話す種本さん。

それでもものづくりを続けていく力はどこからやってくるんだろう。

「うーん、仲間を増やしたい。そのための活動をしているんだと思います」

仲間を増やしたい。

「買うこと、食べることで、おいしいものを育ててくれる人、つくってくれる人にちゃんと還元できる、支え合える。おいしいねって関わり続けられる人を増やしていくのが、自分にできることなのかなって」

ここでのデザインの役割は、単に見た目をよくするのでなく、仕組みや関係、そして文化や社会をつくっていくようなものになっているんだと思います。

大切なのはきっと、経験よりも気が合う仲間になれるかどうか。

ここでものづくりをしていくことにいい予感がしたら、ぜひ、モノサスのメンバーと話をしてみてください。

(2023/11/16、2024/1/21 取材 中嶋希実)

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