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東京・自由が丘にある小さなお店、カタカナ。
「日本のカッコイイを集めたお土産屋さん」をコンセプトに掲げ、つくり手の顔が見える雑貨や洋服を、想いをこめて販売してきました。
自由が丘の店舗とオンラインストアを軸に、順調に成長中。
新たなエリアに店舗拡大するのではなく、自分たちの手の届く範囲を徹底的に磨きあげる。これから先も、そんな姿勢で成長していこうとしています。
だからこそ、まだカタカナのことを知らない人たちに、自分たちのことを伝えて好きになってもらいたい。カタカナのファンを増やしたい。
「伝える」ことに会社全体で力を入れていくタイミングで、その中心となる広報スタッフを募集します。
広報と言っても、いわゆる広報職の経験は不問。お店の仕事も担います。カタカナの世界観や置いてあるもの、働く人たちの空気感に共鳴できる人と、一緒につくりあげていきたい。
あわせて、専属のショップスタッフも募集します。こちらも「伝える」役割の最前線。
リアルな店舗をなにより大切にする会社なので、カタカナの軸を支えていくと言える仕事です。
自由が丘駅の南口から歩いて数分の場所にあるカタカナ。
多くの人で賑わう繁華街があるのは駅の反対側。こちらは、少し落ち着いた雰囲気が漂う。
代表の河野さんと合流し、お店の近くに昨年オープンした、ギャラリー「katakana shin」へ。
普段は展示やイベントに使われているスペース。企画がない今は、なににもじゃまされずに話ができる静かな雰囲気だ。
ぽつりぽつりと、頭の中にあるものを整理するように、河野さんは話しはじめた。
「カタカナをはじめる前は、アパレル企業でサラリーマンを20年近くやっていて。そこは自分たちの商品とサービスでお客さまを惹きつけよう、という考え方で、広報としての発信にはあえて力を入れない会社でした」
「それがベースにあるから、カタカナでも『接客を通じてものの背景をきちんと伝える』ということに力を注いできました。ただ、これからはカタカナというお店、僕たちタンケン社という会社を、もう少し外に向かって発信していく必要があるのかなと思うようになって」
カタカナは来年で15周年。
コロナ禍以降はオンラインストアが好調で、会社もひとまわり大きくなった。日本仕事百貨をきっかけに入社したスタッフたちも働いている。
「今いるスタッフの多くは、コロナ以降の入社なんです。毎年4月の年度初めに、僕は文章を書いてみんなの前で読むんですけど、今年はあらためて会社の理念を共有したいと思って」
「…読んでもいいですか? ちょっと長いんですけど」
そう言って、河野さんは「カタカナの歩む道」という文章を読んでくれた。
東日本大震災後、メイドインジャパンが注目されるなかで、需要が高まり複数店舗を運営していたときのこと。目が回るほど忙しいのに、なかなか売り上げが伸びなかったこと。だんだんと働くみんなの笑顔がなくなっていったこと。
そんな時期を経て、いま会社が大きく伸びていること。
“この会社がものすごく成長して、10億、100億の会社になったとしても、そこで働く人たちの笑顔がなければ何の意味もない。そして、できあがったのがこの理念です。『素直な心で笑顔を追い求め続ける』”
“素直な心で笑顔を追い求めた先に何があるのか。今、僕はそれを探しています。もうすぐ見つかりそうな予感がします”
店舗数を増やし、各地に展開していくのが、スタンダードな成長のあり方のひとつ。
出店依頼は多いものの、もうスタッフの笑顔をなくしたくないと思う河野さんは、それとは違う成長を描こうとしている。
「僕たちは、カタカナ大阪店とか札幌店を新しくつくるよりも、遠方の人が『自由が丘に行きたいお店があるから、今度の連休は東京に旅行したいな』って思ってくれるような、目的地になるお店をつくりたい」
目的地になるお店。
「それって、お店の力で実現できることだと思うんです。お店を磨いて輝かせて、お客さまにいつも笑顔になっていただける場所をつくる。簡単なことではないけれど、お店の底力で、自由が丘という地域ごと魅力的にしていきたいですね」
これまで、地域の常連さんたちに支えられてきたカタカナ。これからは、自分たちの活動を通じて、より地域全体を魅力的にしていきたい。
昨年は、自由が丘駅前で「道くさマルシェ」というイベントを開催。カタカナの呼びかけに集まった出展者とともに、小さなクラフトフェアでまちを盛り上げた。
もっともっと、自由が丘に暮らす人や訪れる人たちに、「自由が丘=カタカナ」のイメージを広げていけるといい。
「カタカナのことをまだ知らない人はたくさんいるんです。そのなかに、きっとカタカナのことを好きになってくれる人も、たくさんいると思っています」
「広報スタッフには、世の中にいるものづくりが好きな人や、本当にいいものを探している人たちに、きちんと届けるきっかけをつくってほしいな、と思っています」
つくり手と使い手をつなぐ、「伝え手」として。自分たちにできることを工夫し、ブラッシュアップしていきたい。
「いずれはプレスリリースを出してみるとか、遠くに発信するタイミングも来るとは思うんです。でもまずはお店を軸に、顔の見える人たちに向けて、深く心に入っていくように伝えること。遠回りかもしれないけれど、一つひとつ丁寧にやっていくことで、カタカナらしい広報がつくれるのかなと思います」
だから、広報としてキャリアを持っている人よりも、未経験でもカタカナのことを好きになれる人と一緒に働きたい。
きっとバズりたいわけではないですよね? と聞くと、「そうそう!」と同意する河野さん。
カタカナらしい伝え方ってなんだろう。考えながら、一緒に見つけていってほしい。
「今回入る人、一人に広報を任せるわけではなくて。その方をきっかけにみんなで話しながら、新しい取り組みをはじめられたらいいなと思うんです」
そう話すのは、入社8年目の脇田さん。ショップスタッフを経験したのち、まったくの未経験からオンラインストアをここまで成長させた、と河野さんから聞いている。
「全然。本当にみなさんの力あってなんですよ」と、ニコニコと笑う脇田さん。
話を聞いたのは、店舗から歩いて10分ほどの、一軒家を改装したオンラインチームの拠点。
脇田さんはオンラインストアの店長でありながら、広報の仕事の一つであるInstagramなどのSNS更新とDM作成も兼務している。
広報スタッフは脇田さんからこれらの仕事を引き継ぐ予定。イメージとしては、週の半分は広報業務、もう半分はショップスタッフ、というような働き方になる。
「SNSは2週間に一度行う企画の広報と、新商品の案内を投稿するだけで、今は精一杯なんです。ものについて、しっかり伝えることは継続しながら、もっと働く人の顔が見えたり、自由が丘のまちを伝えたり。そういう投稿も増やせたらいいなって」
「お店に立つと、わたしのインスタの投稿を見てお店に来ましたっていうお客さまと出会えて、買ってくださるんです、実際に。それが本当によろこびで。自分で発信したことのリアクションを直接もらえるのは、この規模ならではだと思います」
広報スタッフも、きっと同じようなやりがいを感じられると思う。
SNS以外にも、たとえばnoteで発信してみたり、サイトの読みものを充実させたり。あるいは、原点にかえって地域でポスティングをしてみたり。
やりたいことはいろいろ思いつくけれど、何からどんな方法で進めるか、はっきりとは決まっていない。
「SNSもお店もオンラインストアも、お散歩をするように行き来して、お客さまにお買いものを楽しんでほしい。そういう想いが背景にあるので、オンラインの雰囲気をお店の温かみがある感じに近づけたいなって。広報の方と一緒に、つくりあげていけたらと思います」
「うちを通じて、自分の好きなものに出会ってもらう。人とものが出会うきっかけになれたらすごくうれしいですよね」
なにかひとつでもお気に入りのものが家にあると、豊かな時間を過ごせる。好きな作家さんの食器だとご飯がおいしく感じたり、その雑貨と同じ空間にいるだけで癒されたり。
「ここで働くなら、一からものをつくることに興味があるとか、それを人に伝えてみたいとか、そういう気持ちが大事かなって。ものってどうやってできるんだろう、誰がつくってるんだろうって無意識に考えちゃうような人が、きっと楽しいと思います」
カタカナの根っこにあるのは、さまざまなものと人が交わるお店。
どのスタッフもお店の仕事を通じて、カタカナが大切にするものを自分のなかに落とし込み、各々の仕事で表現している。
オンラインチームの坂元さんも、1〜2週間に一度は欠かさずお店に立っている。以前は舞台装飾をつくる会社で働いていて、日本仕事百貨の記事をきっかけに1年前に入社した。
「今の世の中って、一つひとつを大事にするよりも、気分に合わせて使い捨てるようにものが使われることが多いのかなって。生活のなかで愛着を持って使えるものをもっと考えてみたくて、カタカナで働きたいと思いました」
カタカナのお客さんには、スタッフとの話を楽しみながら買いたい人もいれば、自分一人でじっくり選びたい人もいる。
接客経験のなかった坂元さんは、苦戦することも多かった。
「どれくらいお話するのがいいのか見極めるのがむずかしくて、今も先輩方を見ながら勉強しているところです。わたし自身も、グイグイ接客をされるのはあまり得意じゃなくて。そういう人でもいやじゃない接客はどんなものか、まだ模索中ですね」
2週間に一度企画が変わり、常連さんが何回来ても楽しめるような動きが常にあるお店。
この日は、ドットのバッグを集めたイベントが開催中。一番目立つところには、この3日間限定だという、カラフルな傘が並んでいる。
「いいものをしっかり伝えて、ちゃんと『いい』と思ったお客さまに買っていただきたい。お店に入るうちに、ちょっとずつ、カタカナのあり方がわかってきたように思います。オンラインでも、同じ気持ちでお客さまに寄り添えたらいいなと思うんです」
最近、坂元さんが担当したのが、MUYAというアパレルブランドの商品ページ作成。
katakana shinでの展示販売のイベントと連動して、Web上でも特集を組んだ。
「いつもはわかりやすさを重視してページをつくるんですけど、今回はお店のスタッフからのリクエストもあって、ブランドが持つイメージや想いを崩さないようなページづくりを心がけました」
ブランドの背景の紹介から入るページ構成は、世界観に没入できるようなつくり。
「どういう気持ちでつくられて、どんな人に使っていってもらいたいか。考えながら記事を書きました。shinの静かな雰囲気のなかでお買いものするのと、同じような気持ちになっていただけたらと思ってつくっています」
お店とオンラインを行き来するような。カタカナがこれから力を入れていきたい「伝える」は、すでにはじまっています。
これまでのカタカナを大切に、そしてもっと大きくなっていくために。ここで力を発揮したいと思う人が応募してくれたらうれしいです。
(2024/4/26 取材 増田早紀)