求人 NEW

変わりゆく暮らしを
包み込む器
MUJIのリノベーション

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

「白って、ものすごく力を持った色なんですね。さらに塗装で仕上げることで、クロスにはない温かみのある光のなめ方をする。窓から入った光が空間の奥まで、風とともに届いていきます」

大きな空間を通り抜ける、風と光。写真を見ただけでも、きっと居心地がいいんだろうなと想像できる。

極めてシンプルで、どんな暮らしも受け止められる。だからこそ、美しく、むずかしい。

MUJI HOUSEのリノベーションには、そんな魅力があります。

「無印良品」で知られる良品計画グループで、家づくりに取り組んでいるのが株式会社MUJI HOUSE。

今回募集するのは、中古マンションのリノベーションに取り組む設計スタッフです。

目には見えない性能にこだわったうえで、目に見える意匠は住まい手が柔軟に編集できるようシンプルなものに。無印良品の家具と組み合わせながら、長く使い続けられる空間を提案しています。

ベースとなる仕様が決まっていること、チームで取り組む体制が確立されていることから、一般的な設計職と比較すると残業も少なく、働きやすい環境です。

MUJI HOUSEのリノベーションが大切にしていることを、まずは知ってもらいたいです。

 

関東に3ケ所、大阪に1ケ所ある、MUJI HOUSEのリノベーションのモデルルーム。

今回は、表参道駅から歩いて5分ほどの青山店へ。アパレルショップやセレクトショップなど、洗練された雰囲気のお店が並ぶ小道の一角にある。

エレベーターでビルの2階に上がると、目の前に入り口が現れる。

わたしも無印良品の愛用者。見慣れた商品が並ぶディスプレイに、なんだかほっとする。

モデルルームの一角で、まず話を聞いたのはリノベーション事業部・部長の豊田さん。

10年前にMUJI HOUSEのリノベーション事業を立ち上げた方。

お客さんの声をもとに、さまざまな新商品を生み出してきた無印良品。総アイテム数は、現在約7000品目にものぼる。

家づくりに取り組むことになったきっかけも、「数ある無印良品の商品を包み込む”器”がほしい」というお客さんからの声だった。

約20年前、木造戸建ての新築住宅からスタートし、徐々にリノベーションも展開。その原点となったのが、UR都市機構との団地リノベーションプロジェクト。

「高齢化が進む団地をリノベーションして若い人を呼び込もうという取り組みでした。大阪の20数戸からスタートし、関東、名古屋、福岡とどんどん広がって手応えを感じて、多くの人から支持されるということがわかった」

「このプロジェクトにあたって、キッチンや畳などのオリジナルパーツをいくつも開発しました。それらを使いながら、団地のリノベーションで得たノウハウを活かして、エンドユーザー向けのサービスを立ち上げたのが2015年です」

自宅マンションの改修をしたい。新たに中古マンションを購入し、リノベーションして住みたい。

そんな人たちに向けてスタートしたサービスが、「MUJI INFILL 0(ムジ インフィル ゼロ)』。

まず初めに、空間をスケルトンに戻してから、リノベーションを実施。そうすることで、構造や設備に問題はないか、建物の安全性能を十分に確認したうえで工事を進めることができる。

手がけるのは、新耐震基準を満たす物件のみ。近年当たり前になった高断熱仕様も、時代に先駆けて立ち上げ時から取り入れてきた。

「当時、他社の事例を見たときに、デザインは素晴らしいけれど、性能や居心地の良さはまだまだ追求できるんじゃないか、という印象を受けて」

「見た目だけではなく、一見わかりにくい裏側まで整えることがリノベーション業界には必要だと考えて、このサービスが生まれました」

何十年も先まで、長く快適に過ごせる家をつくりたい。

それは、目に見える部分にも通ずる想い。

施工事例を見せてもらうと、いわゆるリノベーションらしい造作家具やカラフルなタイルを取り入れたデザインではなく、白が基調のシンプルな内装がメイン。

大きな空間を無印良品の家具で仕切り、それぞれのスペースに機能を持たせている。こういった間取りが実現できるのも、家のどこにいても快適に過ごせる断熱性能が保証されているおかげだという。

「戸建て住宅からずっと一貫しているコンセプトは、『永く使える、変えられる』。そこに住む人たちの暮らし方は常に変わっていくものなので、私たちは”可変性”をとても大事にしています」

可変性、ですか。

「5年10年先、家族の人数や趣味が変わったとしても、対応できる家にしましょうと。リノベーションでベースとなる家をつくり、暮らしは家具で編集していく。長い目で見た家づくりに取り組んでいます」

 

実際の設計は、どんなふうに進めていくのだろう。

教えてくれたのは、もうすぐ入社2年になる渡邉さん。10人いる設計メンバーのひとりで、新しく入る人にとって身近な先輩になる方。

大学で建築を専攻し、ハウスメーカーやリノベーション会社を経て、MUJI HOUSEへ。

以前の会社では、流行の仕様やお客さんが”今”やりたいことを取り入れて設計していくのが当たり前だった。

「楽しさはあったけれど、洋服や雑貨ならともかく、何十年も続く暮らしの選び方として正解なのかなっていう疑問もあって」

「一度シンプルな内装の案件を担当したとき、ずっと見ていられるほど雑味のない空間で。自分の好きな家具を際立たせているお客さまを見て、すごく豊かな暮らしだなと思ったんです」

そんな経験もあり、MUJI HOUSEの家づくりに共感できた。

MUJI HOUSEのリノベーションでは、設計スタッフとお客さんとの打ち合わせは、計4回。

最初は、営業スタッフのヒアリング内容をもとに間取りの異なる図面を3案作成し、初回の打ち合わせにのぞむそう。

お客さんと直接会話をしながら大まかな方向性を決め、打ち合わせを重ねながら少しずつ要望を空間に落とし込んでいく。

「うちは建材や内装の仕様がある程度は決まっているので、そこで悩むことがあまりなくて。空間の使い方そのものを、時間をかけて考えることができます」

「自分の暮らしに本当に必要なものは何か、この先の10年20年どういう暮らしをするか。長く使える暮らしのベースを、一緒に整えていくようなイメージです。そうやってじっくりプランを考えるから、完成後もとても満足していただいている印象です」

ただ、設計者が個性を発揮できることも、リノベーションの醍醐味のひとつに感じる。もっと個性的な空間をつくりたいと思うことはないのでしょうか?

「たしかに、つくる空間のカラーが似ているので、最初は飽きちゃうんじゃないかなって思っていたんです」

「でも実際は『もっとできるようにならなきゃ』って、あらためて設計を学べている感覚のほうが強いですね。シンプルだからこそ、ごまかせない。この一室の箱をどうプランニングするか、設計力を問われているように感じます」

引き渡し後、半年後点検でお客さんの家を訪問するのが好きだという渡邉さん。

「その方の色が表れるのを見るのが、すごく楽しいんです。『ものが多いから心配』っておっしゃっていたお客さまが、点検のときに『この家具できれいに収まりました!』ってうれしそうに教えてくれたり」

「あるお客さんは、透明の間仕切り扉に自分の好きなアーティストさんの大きなファブリックを飾っていて。シンプルな空間だからこそ出せる個性があるんだなって思いました」

MUJI HOUSEのリノベーションは、チームで取り組む体制が整っている。営業や工事担当とも丁寧に連携しているので、トラブルやクレームにつながることはほとんどない。

「住んでから気持ちいいだけじゃなくて、打ち合わせ中も楽しく安心してもらえることが大事だと思っていて」

「プランの提案中は、ほかの設計担当から意見をもらう機会が何度もあります。中堅くらいの経験者として入社したわたしでも、相談できるし意見をもらえて、成長できるのはありがたい。逆に若いスタッフは、チームで考えられるので心強いと思います」

各自が抱える案件は、常時6件ほど。打ち合わせが進行中のものから、すでに施工に取り掛かっているものまで、案件のフェーズが被らないように振り分けられる。

 

その割り振りや、チームマネジメントを担当しているのが、設計部門のマネージャーである萬田さん。

「基本的な仕様が似ているからこそ、それぞれの事例を活かし合えるのがうちの設計の特徴だと思います」

「たとえば、どこに梁があって、その梁に対してキッチンをどこに置くと気持ちいいか。図面だけではわからないんです。その後完成品を見て、結果をフィードバックして、また次に活かしていく」

自分の担当案件だけでなく、ほかの人の案件も図面と完成現場を見る機会をつくっているので、かなりの事例を自分のなかに蓄積できる。

そうすることで、全体の設計力をブラッシュアップしている。

「壁の位置を梁と同じにするのか、出すのか引くのか。それだけで全体の印象が変わります。さらに、そこにプロジェクターを投影するとか、ご本人の暮らし方にもリンクさせる必要がある」

「当たり前のことなんですけど、その当たり前の壁の位置はどこが適切なのか、本当に散々考えますよ」

住まい手目線だと、そこまで考えるんだと驚くようなことまで、丁寧に空間をつくっていく。

萬田さんは、どんな人と一緒に働きたいですか?

「うちのリノベーションってバランスが難しくて。つくっているのは商品で、設計者の作品じゃない。色が出過ぎちゃダメなんですよね、たぶん。でも、設計としてやりがいを持ちながら、長く働き続けてほしくて」

「やっぱり、自分の表現ができる人に来てほしいと思っています。そういう人がつくるベーシックな商品って、きっと強いと思うので」

 

最後に、ふたたび豊田さん。

「私が思う一番大きなやりがいって、無印良品という看板を背負って設計ができることだと思うんです」

多くのユーザー数がいて、社会的な影響力も大きい。中古マンションのリノベーション需要が伸びるなかで、「無印良品が取り組んでいる」というインパクトは少なからずある。

「良くも悪くも責任はあるけれど、我々は正しいものをつくっていると自負しています。まだ手探りですけど、新しいMUJI HOUSEの形を一緒に考えてくれるような人に来てほしいですね」

自分の仕事がダイレクトにブランドづくりに関わる実感は、きっとやりがいにつながるはず。

大きな企業ではあるものの、まだまだ発展途上の事業。守りではなく攻めの姿勢で、ともに

ブランドを育てていきたい人が仲間になってくれたらうれしいです。

(2024/08/30取材 増田早紀)

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