「健やかに、そして美しく」
新しいはちみつのカタチを提案するブランド「Tamitu」が、大切にしている言葉です。
「心と身体の心地よさは、人それぞれ違う。見た目や数値でパッとわかるものではなく、自然で、無理のないこと。それぞれが自分に合ったバランスを模索していくことが大事なんです」
ブランドディレクターの水谷さんはそう話します。
はちみつを通して、今を生きる人の日常にそっと寄り添いたい。そして、ここで働く人たちも、仕事を通して自分自身の新しい一面に出会ってほしい。
Tamituは、そんな想いがぎゅっと詰まったブランドです。

ブランドを代表する「Herbal Honey」は、純粋なはちみつに、ハーブやスパイスを調合したもの。
一般的なはちみつと異なり、冷たい水にもサッと溶けやすい。
炭酸水やミルクに溶かしてドリンクをつくったり、料理の味付けに使ったりと、毎日の生活に手軽に取り入れることができます。
今回は表参道の店舗スタッフのほかに、企画や販促、EC運営を担う仲間を募集します。
けやき並木の参道を横目に、表参道駅からTamituの事務所に歩いて向かう。
春めいてきて、少し歩くと汗ばむような陽気。
ブランドディレクターの水谷さんが冷たいお茶を用意して待っていてくれた。

Tamituは、水谷さんの家業でもあり、大正元年から続く老舗・水谷養蜂園から生まれたブランド。
「家に砂糖がなくて。幼いころから、はちみつはそばにありました。今でも体は丈夫ですし、肌もそんなに荒れたこともなくて。はちみつのおかげだったのかなと思います」
「ちなみに、はちみつってふだんどれくらい食べますか?」
毎朝ヨーグルトにかけて食べています。
「素晴らしいですね!実はそれ、少数派なんです」
「日本人が年間に消費するはちみつの量は、平均300グラムくらい。市販の小ぶりな瓶1本分くらいで、日常的に使っている人はまだまだ少ないんですよ」
はちみつは、古来から薬として重宝されてきた。
ミツバチの酵素によって糖類がすでに分解されているため、エネルギーとして体に吸収されやすい。毎日摂り続けることで、少しずつ体をつくってくれる。

「スーパーの売り場では、ジャムと同じコーナーに置かれていますよね。私としては、醤油や味噌と同じように、当たり前に食卓に並ぶ調味料へと広げていきたい」
「料理の基本である“さしすせそ”を、“はしすせそ”にしたいんです」
日常の食生活に溶け込む存在にしたい。
その想いを形にするうえで、ひとつの壁があった。
純粋なはちみつは冷たい水に溶けにくく、冷えると結晶化して固まってしまう。
レモネードはお湯で溶かす必要があるし、ドレッシングをつくろうとしてもオイルとうまく混ざらない。
暮らしにとり入れるには、どうしても手間がかかる。
「養蜂園の娘である私でさえ、固まったはちみつを湯煎するのはめんどくさい!と思っていたので、世間ではもっとですよね。使う人の目線に立った提案が必要だと思いました」
試行錯誤を経て完成したのが、冷たい水にもサッと溶ける「Herbal Honey」。
アカシア蜜に数種類のハーブやスパイスを調合したエッセンスをベースに、フレーバーごとに異なるはちみつを掛け合わせている。
ミルクや炭酸水に割って飲むこともできるし、サラダなどにかける調味料としても、用途は幅広い。
ブランドを代表するフレーバーが、“000”。
ベースとなるダマスクローズのはちみつに、スペアミント、クローブ、八角などのスパイスを調合している。華やかさのなかにある、ピリッとしたスパイシーさが特徴。

「ただ華やかなだけでなく、きらっと光るものがある。私の思う『健やかに、そして美しく』を体現した味だと思っています」
水谷さんが見せてくれたのは、祖母であり、かつて養蜂園の3代目として活躍した水谷太美(たみ)さんが遺した筆文字。
Tamituというブランド名も、その名前に由来している。

「凛としているけれど、柔軟性もある。この文字が表す空気からインスピレーションを受け、健やかさの先に美しさがつながっているというブランドの核ができたんです」
はちみつという文化を日本に、そして世界へと広げていきたい。急拡大ではなく、一つひとつ丁寧な積み上げの延長として。
ここ数年は少しずつ展開を広げてきた。
国内やアメリカ・ブルックリンでのポップアップ出店のほか、はちみつを使ったチョコレートやバターサンドといったスイーツも開発。
「みんなが気づかないうちに、胃袋の中にはちみつを入れる仕掛けをつくりたくて(笑)。Herbal Honeyを起点に、スイーツや調味料など、より生活に馴染むプロダクトの開発も進めていきたいですね」
売上は毎年着実に伸び、認知も着実に広がっている実感がある。チームは全体で10名ほどで、一人ひとり、はちみつの魅力を届けるプレゼンターのような役割。
お客さんの声を聞くことを大切にしているから、どんな職種であっても入社後はまずお店に立つところから始まる。
これからの成長フェーズを支える仲間には、作業としての仕事ではなく、もっと深い体験をしてほしい。
「自分に向き合い、仲間に向き合い、夢中になる。その先で、まだ見ぬ自分に出会えることが仕事の醍醐味だと思うんです。だからこそ、マニュアルではなく、一人ひとりのらしさを信じることを大切にしています」
「ブランドをつくるのは、やっぱり人。一緒に深く、広く、遠くまではちみつを広められる方に出会えたらうれしいですね」
事務所での話を終え、表参道駅前のGYRE(ジャイル)へ。
地下1階のフロアには、ライフスタイルショップのCIBONEやHAYが展開されていて、その空間の一角にTamituのお店がある。

ディスプレイに並ぶはちみつを眺めていると、店長の中野さんが声をかけてくれた。
「Tamituでは、お客さまのお話を伺いながら、とっておきの一本をおすすめしているんです。ヨーロッパにある、エルボリステリアというハーブ薬局にインスピレーションを受けていて」
「今の気分や、ちょっとしたお悩みなどはありますか?」

最近は出張が続いて疲れがたまっていて、体調を崩さないように気をつけたいと思っていることを打ち明けてみる。
「プロテクトをテーマに調合した“618”はいかがですか? マヌカハニーやレモン、エルダーフラワーが調合されていて、体を労わりたいときにぴったりなんですよ」
おすすめのソーダ割りでいただくことに。
氷と炭酸水が入ったグラスにHerbal Honeyが注がれる。とろりとした琥珀色のはちみつが、サッと溶けていく。
「ほかにも、癒やしがテーマの“512”はお酒によく合いますし、ユーカリと生姜が入った“814”はジンジャーエールのように楽しめるんですよ」
スタッフ同士でも、日々はちみつの楽しみ方を情報交換しているそうで、心からたのしんでいる様子が伝わってくる。

「新卒で入社した前職では、水産加工品など海の幸を使った商品を開発していました。次第に接客への思いが芽生えてきて」
「知り合いから、たまたまTamituを紹介してもらったんです。商品やお店の雰囲気に惹かれるものがあって。運命的な出会いだと思いました」
入社から1年ほどスタッフとして働いたのち、表参道店の副店長に。
店舗での業務と並行して、全国各地で開催されるポップアップも経験し、現在は店長を任されている。
Tamituの接客には、決まったマニュアルがない。会話からその人に合う商品を提案していく。
「商品の美味しさや見た目は簡単に伝えられるけれど、そこにお客さまが共感してくれているかどうかが大切で。会話を重ねると、お客さま自身が気づいていなかったことも言葉になることがあります。そんな接客の奥深さをここで知りました」
たとえその日の販売に繋がらなくても、別の日にギフトを選びに足を運んでくださるお客さんも多い。

「お話しするうち、自然と心の距離も近づいていく。『またお会いしたい』って気持ちが心から芽生えてくるんです。直接は言えないけれど、そんな思いを添えるように、コミュニケーションをとっています」
過去には、ポップアップで出会った名古屋のお客さんが、東京に来るついでにと、会いに来てくれたこともあった。
はちみつは毎日ふれるもので、心身の調子とも結びつきやすい。だからこそ、商品を買いに来るというより、スタッフに会いに、そして自分の話をするようにお店を訪れるのかもしれない。
相手に寄り添い、伝える。現場には、そんな接客を体現している心強い存在がいるという。
中野さんがそう紹介してくれたのは、田鍋さん。

前職も接客業。自分が心から共感し、魅力を伝えたいと思えるものを仕事に選んできた。
「はちみつやハーブって昔からあるものですよね。それを現代のライフスタイルに合わせて、洗練された形で伝えている。歴史を大切にしながら新しいものをつくる姿勢に興味が湧いたんです」
入社後、田鍋さんは自ら企画を提案し、現在は毎週末に店舗のカウンターで「Herbal Honey 調合体験」というワークショップを開催している。
お客さんの体調や好みに合わせて、数種類のハーブエッセンスとはちみつを選び、世界にひとつだけのオリジナルのはちみつをつくる体験だ。

「長く通ってくださる関係になるには、密なコミュニケーションが必要だと思うんですね」
一方的に商品の説明をするのではなく、目の前の相手との会話を楽しむ。
だからこそ、一見商品とは関係のない雑談も、お客さんとの距離を縮め、自然に「はちみつのある暮らし」の提案へとつながっていく。
その姿勢に応えるように、今年から新たに「コンシェルジュ」というポジションが生まれた。
数値管理やマネジメントを通じて、お店を前に進めていくのが店長の役割だとしたら、コンシェルジュはよりお客さんに寄り添って、ブランドらしさを体現して深める役割。田鍋さんらしさが輝くようにと、水谷さんたちが考えてくれた。
「ブランドも、はちみつの新しい楽しみ方も、まだ広く知られているわけではありません。だからこそ、やりがいがあるんです。はちみつの魅力を知って、毎日が少しでもゆたかになる。その喜びを、これからもたくさんの人に届けていきたいですね」
となりで中野さんも続ける。
「私は、将来別の地域に新店舗ができたら、立ち上げメンバーとして行きたいです。ゆくゆくはいろんな店舗を見られるマネージャーにも挑戦してみたい。全国どこに行っても、『中野さんに会いに来たよ』って言ってもらえるようなスタッフになりたいです」

Tamituでは年に一度、キックオフミーティングが行われ、みんなで「数年後、どうなっていたいか」を共有する場がある。そんな時間も、自分たちらしくあるための支えになっているんだと思う。
健やかに、そして美しく。
はちみつを届ける人にも、働く人たちにも向けられたメッセージでもある。
自分らしい働き方を、Tamituで探してみてほしいです。
(2026/03/17 取材 田辺宏太)


