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絶対にいいものを
未来に残す
風変わりな仕事

産業革命の時代から引き継がれた織機。

老朽化が進み、故障することもしばしば。調子が悪い日はまったく何も織れないときすらある。

それでも続けるのは、自分たちがつくるものに絶対的な自信があるから。

堀田カーペットは、国内では希少なウィルトンカーペットのメーカー。

布地に刺繍するような手法でつくる、タフテッドカーペットとは異なり、タテ糸とヨコ糸で一からつくります。糸の密度が高く、水を弾くほど。耐久性に優れていて、踏み心地も格別。

ウィルトンカーペットをつくり、届ける織工を募集します。

大きくは、織るチームと、できあがったウィルトンカーペットを検反・配送するチームにわかれています。本人の希望と適性によって、配属先が変わります。

働きやすい環境を整えている最中で、2週間に1回のペースで、人事と1on1の機会が。一人前の職人を目指しつつ、商品開発や施工など、新たな道もあるのが面白いところ。先輩の職人も、自分の道を歩もうと試行錯誤しています。

ライフスタイルの変化に伴い、近年ではカーペットの市場は減少。織り手の不足など、つくれない時代に突入しています。

ウィルトンカーペットを未来に残すため。ものづくりが好きな方にぜひ知ってほしい求人です。

 

大阪駅から関西空港方面に向かって電車で40分ほど、和泉府中(いずみふちゅう)駅に到着。

バスに乗り換えて約10分のバス停で降り、少し歩くと、堀田カーペットの工場が見えてきた。数年前に事務所をリニューアルしたばかりで、外装もかっこいい。

階段で2階へあがり、中へ。

昨年の4月ごろに続いて2度目の取材。代表の堀田さんに近況を聞いてみる。

「僕が2008年に入社してから、業界が衰退してる、このままだとウィルトンカーペットがなくなるんじゃないか、っていうのがずっとあって。その状況って大きくは変わってないんですよ」

「それを解決するために、まずは欲しいと言ってくれる人を増やす必要があって。2016年から2024年ぐらいまでは、一言で表現すると、“伝える”っていうことを一生懸命やってきた8年間だったと思います」

2016年には、ウールラグブランド「COURT」を立ち上げ、2017年には堀田カーペットをリブランディング。COURTはインテリアショップを中心に、100店舗ほどで取り扱ってもらうなど、少しずつ市場を広げてきた。

「言葉で伝えるにも限界があるから、体感してもらうことにコミュニケーションの軸を変え始めたのが、2023年あたりから」

中川政七商店と共同出資で新会社を設立。今年の3月に、一棟貸しの宿「TACTILE HOUSE OSAKA」をオープンした。

宿の床にはウィルトンカーペットが使われていて、宿泊した人が実際に商品の良さを体感することができる。

ほかにも、製造体制を維持するため、創業以来60年以上使い続けてきたジャガードをまるっとオーバーホール。全9台あって、1台ずつ入れ替えしている状況。

さらに外部の人事部長も加え、働きやすい環境づくりにも注力している。

「これらのことって新しい発想でもなくて。“ウィルトンカーペットを未来に残していく”っていう、僕らの存在意義みたいなところを達成するために、一個一個、目の前の課題を解決していこうとしているだけなんです」

「正直昨年までは、良い組織とは言えなかった。僕なりに一生懸命やるんですけど、組織を集団として見てるだけだと無理だと思ったんですよね。45人もいるし」

組織は一人ひとりの個人で成立してるから、それぞれときちんと向き合っていかないと、いい組織はつくれない。そこで、組織の課題に人事の面からアプローチするため、外部の会社に相談することに。

 

そうして就任したのが、鎌苅(かまかり)さんだった。

「組織って、常に何かしら問題がある。たとえば、社員同士の信頼関係ができていないとか。それは組織体制が問題なのかもしれないし、個人の思考の癖や感情からきているかもしれない。現状を把握するために、とにかく一人ひとりと喋ることにしました」

「ちょっとモチベーションが上がらない、みたいな個人的な問題も多いんです。そこは会社に求めるのではなく、自分と向き合いましょうってことで1on1をしています。ひとつずつ整理してほぐしていくと、状態も変わっていって」

たとえば、これまでの人生で身についてきた思考や癖がもととなっている人は、まずはそこから向き合う。新しい仕事をつくりたいけど、どう形にすればいいかわからない人は、具体的に一緒に考える。

実際に、新商品の開発をしたい人や、新しくカーペットの施工事業を展開していきたい人なども出てきているのだとか。

現在は、社員との1on1をその人のペースに合わせながら1〜2週間に一度設けつつ、半年に一度、堀田さんも交えた2on1も実施している。今後もメンバーの働き方や、やりたいことの整理に加えて、会社として求めていることやサポートできることを話し合う予定だ。

一人ひとりと向き合ってきた鎌苅さん。堀田カーペットには、どんな人が合いそうですか。

「できるだけ働きやすい環境はつくるけど、業務は危険を伴うし、口調が強い人たちもいる。だから働きやすさよりも、機械を動かすのが好きとか、自分のやりたいことを伸ばしたい人のほうが合うと思います」

「堀田カーペットは絶対にいいものをつくってるので、そこは十分すぎる誇りを持てると思ってます」

 

自分で道をつくろうとしている人。そんな形容がぴったりなのが、都さんだ。

入社して3年目、織工としてカーペットを織る仕事をしている。

織る仕事のスタートは、繰った糸をコマのような形にして手作業で織機にセットするところから。無地のカーペットをつくるとしたら、およそ1200個のコマが必要で、最大で5色・6000個を交換するのだとか。

上下に動く機械に対して、シャットルと呼ばれる装置が左右にヨコ糸を出しながら、「ワイヤー」に糸が絡まることで縦糸が輪状に形成され、ふかふかのカーペットができあがる。

早くて2日、長ければ4日ほどかけてひとつのカーペットが織りあがる。

「初日にシャットルがバーンって飛び出してきて。びっくりしてすぐ機械を止められず、2、3回不完全な形で織りが進んでしまいました。いま思えば大したことないんですけど、慎重な作業が必要な職場だと痛感しました」

織工はそれぞれ自分の機械を持ち、1日のほとんどを機械の前で過ごす。

「2時間ぐらいはずっと機械の前に立ってます。60年以上使っているので、かなりガタが来ていて。調子がわるいと、いつもの半分しか織れないこともある。自分ではどうしようもできないこともありますね」

「でも調子よく織れてる反物って、やっぱりすごくキレイだなって」

いいときとわるいときでは、織る音が異なるのだそう。

「最近ちょっと分かるようになってきたんですけど、タテ糸をヨコ糸のワイヤーが引き抜くとき、何かに干渉してたりすると、『プシュ』って変な音が聞こえるんですね」

「止めて原因を探ってみると、刃先がこぼれていたり。そんなふうに、ちょっとでもできることが増えるとうれしいし、補修場や配送センターの人たちから、『今回の反物はきれいやった』って言ってもらえるとうれしいですね」

都さんは、新商品を開発しようとしている。

「ウィルトンカーペットをどう残していくか考えたとき、ゆくゆくは、社外のメーカーさんとコラボできたらいいなって。そうすることで、より多くの人たちに届けられる。いまは、廃棄してしまう残反や残糸を椅子の座面にするアイデアなどを考え中です」

「形にするために、先輩やほかの部署に聞きたいことがどんどん出てきて。新しい発見もあるんですね。自分から動くと、こんなに楽しいんだって。それは、鎌ちゃんが入ってくれたことも大きいですね」

 

出荷段取りをしている中村さんも、自身の道を考えつつ、日々の仕事に取り組んでいる方。

自転車が好きで、アメリカでプロとして活動していたこともある。帰国後も自転車業界で働いていた。

次のキャリアを考えていたときに、遊びで体験したハンドタフテッドがおもしろかった。そこから気になったカーペット屋さんに電話をかけ続け、堀田カーペットに入社することになった。

「まずはできあがった反物を広げて、裏側に糊を塗って補強します。その加工が終わったら、すぐ近くの配送センターに運んで、傷や汚れがないかの検反作業。問題なければ在庫として保管して、注文が来たらサイズに合わせてカットし、運送会社のトラックに乗せるまでが仕事です」

「納期が決まってるので、それに合わせて逆算して進めていく必要があります。配送センターの規模的にカーペットを広げられるのも1反ずつなので、忙しいときは、ほんとに一日中走りながらやってますね」

ホテルからの注文で、3ヶ月ほどかけて100本ほどを出荷するときもあるという。

「ずっと検反ばかりしていると、どうしても楽しみは見出しづらいんですけど、そこはもう配送センターの宿命というか。30分かかっていたのが、25分でできたのがうれしいとか。純粋に織物が好きとか。そういう気持ちがないとキツいかなと思います」

中村さんは、今後はどういうキャリアを描いていますか。

「配送センターの次は、施工ですね。いまは外部にお願いしている状況で。実際に現場でカーペットを敷き込むところを僕はやりたいです」

「最近は、施工の現場に連れて行ってもらう機会もあるんですけど、つくったものが実際に使われているのを見ると、やりがいにつながりますよね」

「あとは、どこかで織りもやりたいです」と中村さん。もともと織工希望だったものの、会社からの希望もあって配送センターでの勤務になった。

「構造をわかってない人がすることって、限界がある気がしていて。ただ、今はセンターに集中したほうがいいんだろうなって思う。でもやっぱり織りはしたいですよ。1年ぐらいでいいんですけどね(笑)」

 

自分たちがつくるウィルトンカーペットに誇りを持っているからこそ、これからも残していきたい。

堀田さんは経営者として、鎌苅さんは人事担当者として。都さんと中村さんも日々の仕事に向き合いながら、課題に対して取り組んでいる。

いろいろなことが起きて大変だけど、ちょっと前に進むとうれしい。そんな世界観を、一緒に楽しみながら進んでいける人を待っています。

(2025/03/10 取材 杉本丞)

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