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1%を追い求める
蒸留の挑戦者

日常で目にする機会は少ないけれど、黒子のような人たちの活躍があって世の中は回っている。求人の仕事をしていて日々感じることです。

今回紹介する、日本リファイン株式会社が取り組む事業もそのひとつ。

私たちの暮らしに欠かせない半導体や医薬品。それらの製造で使われる有機溶剤のリサイクルを通して、資源の再利用に取り組んでいる会社です。

今回はここで働くオペレーターを募集します。

化学に関する知識はなくても大丈夫。ほとんどの人が未経験から始めています。

工場は24時間稼働のため夜勤もありますが、年間休日は154日と多め。休みも取得しやすく、生活と仕事のバランスが取りやすい職場です。

環境にやさしいものづくりを、裏方として支えていく仕事だと思います。

 

日本リファインのはじまりは、水都とも呼ばれる岐阜県大垣市。今では岐阜のほか、千葉、九州にも工場を持ち、中国・台湾にも進出している。

まずは営業の拠点がある東京本社へ。茶色のレンガが印象的なビルの11階で、社長の長谷川さんが迎えてくれた。

前身となる会社から足掛け35年勤続。営業や経理を経験し、生え抜きで代表に。

かちっとした雰囲気もありつつ、話してみると気さくな方。

日本リファインの主な事業は、有機溶剤の再資源化。

有機溶剤とは、アルコールやシンナーなど、ほかの物質を溶かす性質を持つ有機化合物のこと。液晶パネルやリチウムイオン電池の製造にも欠かせない存在だ。

「使用済みの有機溶剤は一般的に焼却処理されることが多く、CO2発生の原因となっています」

「その使用済み溶剤を引き取って、蒸留で不純物を取り除き、もう一度使える溶剤にリサイクルするのが、私たちの仕事。再資源化することで、従来の焼却処理により排出されるCO2を削減することにもつながっています」

100%に近い純度を求めるのか、純度を低めにして製造コストを抑えるのか。お客さんの要望によって、求められるものは異なる。

コストと品質、ニーズにあわせてオーダーメイドできるのが日本リファインの強みだ。

「通常、うちで再資源化する際の純度は、新液と同等の純度99%以上ですが、お客さんの要望によっては、98%や、99.5%などにコントロールすることもあります」

「顧客の求めるものに、そのとき持ちうる技術で、最善最適で応えることを繰り返して、50年以上。結果として、あらゆるお客さんの要望に応えられるようになりました」

費用を抑えつつ、環境負荷も減らすことができる。時代の流れも相まって、ニーズは増え続けている。

使用済み有機溶剤のリサイクル装置を販売・エンジニアリングする事業や、台湾・中国など海外での展開も、お客さんの相談からはじまったそう。

「うちってこんなこともできるんだ、って感じることができるのは面白いですよね。私自身、働き始めてから、世の中にとって必要な会社なんだということをすごく認識しました」

今回募集するのは、溶剤の蒸留精製を担当する製造オペレーター。勤務先となる岐阜・輪之内工場は日本リファインではもっとも大きな拠点で、100人近くが働いている。

「むやみに人を増やしていこうとは思っていないんです。ただ、忙しいときに負担が偏ってしまうことがあって。給与に見合わない、と人が離れた時期もありました」

「安定した工場運営をして、ちゃんと収益を上げる。そして業務負荷のバランスが取れる会社にしていかないとダメだなと」

属人的になっていた作業をマニュアルに落とし込んだり、新たに社内外への情報発信に取り組んだり。全社をあげて、長く働けるような環境づくりに取り組んでいる最中。

「経営目線では、新たに取り組みたいことや、もっと力を入れてほしいことは、もちろんあるんです。ただ、それはさておき、まずはここで一生懸命働いてくれている人たちに報いることが大切で」

報いる、というと?

「安全で、安定した事業を運営して、世の中に知られること。『いいことやってる会社だね』って言われると、仕事に誇りを持てると思うし、みんながそういう気持ちを持てたら、前向きなコミュニケーションが生まれるはずなんですよね」

「いま働いている人に報いることが、これから働く人にとって働きやすい環境づくりにつながる。そんないい循環をつくりたいと思っています」

 

長く働いてきた長谷川さんだからこそ、「報いる」という言葉により実感がこもっているように感じる。

実際にはどんな仕事をするのだろう。別の日、新幹線に乗って岐阜羽島へ。

新しく入る人が働く輪之内工場は、駅から車で15分ほど。

近くには揖斐川、長良川が流れていて、水の気配をそこかしこに感じる。田んぼが広がる風景のなかに、背の高いシルバーの建物を見つけた。

敷地へ入りあいさつをすると、「こんにちは!」と明るい返事が。黙々と作業しているけれど、働いている人たちの雰囲気は穏やかで、気持ちがほぐれる。

事務所で迎えてくれたのは、新しく入る人の先輩となるふたり。左から中山さん、新井さん。

「シルバーの建物、見ました? あれが蒸留塔といって、われわれオペレーターが運転管理をしている機械になります。この工場には10系列あるんですよ」

そう話すのは、入社して30年目になる課長の新井さん。長年オペレーターとして勤め、現在はマネジメント業務を担当している。

「僕が入社したときの工場で働く人って、やっぱりそれなりの見た目というか、みなさん強面で。正直こわかったんです」

「でも、優しく教えていただいたのと、18の若者の意見もしっかり受け止めてくれたのがうれしくて。そんな雰囲気だったから続けてこられましたね」

それを聞いた中山さん、「僕らから見た新井さんもそんな感じでしたよ(笑)」と一言。「そうかあ」と新井さんも笑って返す。

仲、いいんですね。

「歳はだいぶ離れてますけどね。課内でもなるべく壁はつくらないよう心がけてます。課員の方たちに、のびのびと挑戦してほしいんで」

「失敗してもいいから、どんどん攻めた蒸留をしてほしい、とよく言ってるんです」

攻めた蒸留?

「主成分が99.9%になるように精製してほしいというお客さんがいたとして。規格に収めるための手順は製品ごとにマニュアルがあるんですが、原料の成分比率… たとえば含まれる水分量は毎回異なる。同じ原料はひとつとしてないんです」

水分量が異なれば、温度の上がり方も毎回異なる。想定よりも高い温度になることで、主成分が余分に除かれてしまうこともある。

「どのように調整すれば収率が上がり、もっとも原料のロスなく蒸留できるのか。オペレーターはモニターを見ながら温度などを微調整しているんです」

上手な人と苦手な人とでは、1〜2%ほど収率に差が出るそう。

「センスも少しはありますが、経験ですね。小さく挑戦を重ねるうちに、コツがつかめてくると思います」

1案件の蒸留が終わると、収率などをまとめた実績収支が出される。うまくいったか、そうではなかったか。数字にすべて表れるからこそ、次のアクションも明確になる。

「収率が上がっている場合も、下がっている場合も、担当に直接ヒアリングして原因を明らかにします。製品ごとにノウハウブックがあるので、そこに書き出してどんどん更新していく。多いものだと第6版、7版とつくられていて」

「マニュアル通りの操作だと失敗はないけれど、成長はない。こうやって更新されているってことは、それだけみんな挑戦してくれている証拠なので。計画以上にいい収率でつくれた! ってことがあると、やっぱりうれしいですよね」

 

新井さんの話に何度か出てきた、挑戦ということば。なんでそこまで挑戦しようと思うんだろう?

「それはやっぱり、負けず嫌いだからですかね。ほかの人よりできる自分でいたほうが、格好いいじゃないですか」

はにかみながら答えてくれたのは、中山さん。中途で日本リファインに入社、一度辞めてまた戻ってきた方で、あわせて9年目になる。

「一番最初は鉄工所で働いてました。夜勤も別に苦じゃないし、体動かすのは好きやったんで。日本リファインは、求人見て、休み多いのいいなって。嘘じゃないですよね? って面接で聞いたの、すごい覚えてます(笑)」

「蒸留の知識は全然なかったです。覚えることもすごく多くて、やっていけるかなって不安が大きかった。溶剤の種類も多いし、その特性まで覚える必要があって。わからないことが多くて大変でしたね」

数年続けたのち、ほかの仕事もしてみたいと、自動車関係の会社で働いた。

「そこでは、毎日同じことを繰り返すだけのように感じて。オペレーターの仕事は毎回違うものを扱うし、自分で考えてできる。そういう部分でやっぱ楽しかったんだなと。そんなときに今の工場長から声をかけてもらって、戻ってくることにしました」

蒸留塔は基本的に24時間稼働。1案件の蒸留は2〜3日程度で完了することが多く、それを全体で月20〜30件ほど手がけている。

それぞれの塔には担当がつけられ、日勤と夜勤で交代しながら、計画通りに進むよう、生産調整や切り替え作業がおこなわれていく。

「1回の勤務は10〜12時間なんですけど、やることが多いと処理しきれないこともあって。頭のなかでは次の作業を考えて、でもひとつ間違えると事故につながる。要領がよくないとむずかしい仕事だなと思います」

規格に収めるためのマニュアルはあるものの、原料の組成が毎回異なるため、マニュアル通りではうまくいかないこともある。

温度の上がり方はどうか、おかしなところはないか。溶剤の特性や装置の仕組みがわかってこそ、原因を突き止めることができる。

「自分で考えて、前の担当以上にうまく製品にできたときは、すごく気持ちいいですよ。いままで自分がやってきたことが、ちゃんとためになったと感じられる」

「同僚とは話す機会も多いんですけど、そういう雑談から知識を得たり、自分の仕事に活かせたりすることも多くて。チームワークを大事にできる人がいいなと思いますね」

基本的なシフトは、日勤3日・1日休み、夜勤3日・2日休みを繰り返す流れ。

夜勤明けの休みと工場停止日などがうまくつながれば、3〜5連休をとることもできる。

「独身時代は同僚と遊ぶことが多かったです。車で東京とか広島とか、旅行したりして。岐阜って東日本と西日本の中間地点にあるので、どこへでも行きやすいんですよ」

生まれも育ちも大垣だという中山さん。暮らしはどうですか?

「大垣から出たいと思ったことは、正直なくて。水もおいしいですし、不満もとくにないというか。暮らすにはいい場所だと思います」

「子どもが生まれてからは、夜勤で会えない日もあるので、休みは子どもとずっと遊ぶようにしてます。家族の都合で急な休みが必要なときも、休ませてもらえるのはいいですね。そこは人間関係、お互いさまだねって」

働くときは一生懸命働いて、休みは気持ちよく休む。そんな働き方ができるのも、チームで取り組む仕事だからこそだと思う。

 

表立って評価されるというよりは、黒子のような仕事かもしれない。

ただ、世の中をより良い方向へと、確実にすすめていく。この仕事だから感じられるやりがいがあると思いました。

(2024/4/5、30 取材 阿部夏海)

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