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1300人の村で挑む
新しい事業づくり
いちばん大切なのは熱意

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岡山県・西粟倉村(にしあわくらそん)。

岡山県の北東部に位置し、鳥取県と兵庫県に隣接する人口約1300人の村です。

人口減少による過疎化や住民の高齢化にともない、かつては市町村の合併対象になっていた西粟倉。

そんな村を存続させるために掲げたのが「百年の森林構想(ひゃくねんのもりこうそう)」。

村の9割を占める森林から産業を起こすことを目標に、村内外の人や企業の力を借り、さまざまな事業を立ち上げてきました。

木工、酒、衣類、デザイン、コンサルティング、ジビエ、宿など、50社以上ものベンチャー企業が誕生。林業を中心に20億円規模の産業が生まれた「ローカルベンチャーの聖地」と呼ばれています。

そんな西粟倉村を、インフラの分野から長年支えてきた有限会社小松組。

公共事業をはじめ、空き家管理や住宅修理といった地域の暮らしを支える事業。さらにコンテナを活用した地域の課題解決事業、プライベートキャンプ場の運営など、幅広い事業を展開しています。

村の人々の幸せのために、そして西粟倉のより良い未来のために。

会社の使命を見つめ直し、新たな小松組に生まれ変わることを目的としたリブランディングも計画中。

その一歩をともに踏み出す仲間として、新規事業の企画担当者を募集します。

企画や事業づくりの経験があると良いですが、経験は問いません。

起業に興味はあるけれど、一歩を踏み出す勇気が出ない。地域に根ざした暮らしと仕事を大切にしたい。そんな人にぴったりの仕事です。

 

東京駅から新幹線でおよそ2時間半。

姫路駅でスーパーはくとに乗り換えて、45分ほど北に進む。

森や田んぼが増え、周囲の景色が緑に変わっていく様子を眺めていると、大原駅に到着。

さらに車で10分ほど走ると、小松組が手がける「安全第一公園」が見えてきた。

公園内には、コンテナでつくられたレンタルスペースが二棟並び、中にはキッチンやテーブルなどが置かれている。

「ここではフリーマーケットやアート作品の展示、ミュージックBARや村民によるランチ営業など。西粟倉の人たちが集い、交流を楽しめるイベントが開かれているんですよ」

そう教えてくれたのは、小松組代表の小松さん。穏やかな語り口のなかに、熱意を感じる。

「やりたいと思ったことは、どうしてもやらないと気が済まない性格で。事業を形にするプロセスが楽しいんです。社員のみんなにはいつも助けられていて、幸せ者だなと感じています」

もともと、西粟倉で土木建設工事を手がけていた小松組。

小松さんが代表に就任してからは、さまざまな新規事業にチャレンジしてきた。

「そもそも自分はなんのために事業をやるのかと悩んで。考えた末にたどり着いたのが、幸せな人を増やすことだったんです」

そうして村全体に目を向けると、高齢化による住民の暮らしの課題や、移住者の増加による住居不足といった問題があることに気づいた。

「お墓の掃除や庭の草刈り、愛猫の看護など。助けてほしいけど誰に頼んでいいか分からない、小さな困りごとを相談できる窓口になろうと決めて。地域の困りごとを一つずつ拾い上げて、事業化してきたんです」

そんな小松組が近年新たにはじめたのが、コンテナを活用した課題解決事業「小松組コンテナプロジェクト」と、プライベートキャンプ場「森喫(しんきつ)」の運営。

「最初に空き家を再活用する管理事業をはじめて。使われていない古民家を改修したり、家主に交渉して賃貸物件にしたりして、住まいを増やしていきました」

「それでも住居不足が解消されなくて、低コストで建てられる貨物用コンテナを活用したプロジェクトをはじめたんです」

土建屋として長年培った技術を活かし、コンテナを賃貸物件「安全第一団地」に改良。

さらに、村への視察やビジネス客向けの宿泊施設「安全第一客室」。移住者や地域の人たちが集い、語り合えるスペースとして「安全第一公園」をつくった。

「コンテナは耐久性が高くて、住まいとして申し分ない。ほかの地域でもコンテナを活用した施設がきっと役に立つと考えていて。いろんな用途のコンテナを集めた『コンテナビレッジ』をつくろうと、妄想を膨らませているところです」

宿泊施設「安全第一客室」の中は、一般的なワンルームと変わらないつくりになっている。長方形のシンプルな間取りで、思ったよりも過ごしやすそう。

コンテナ事業と同時に始めたのが、プライベートキャンプ場「森喫」の運営。

どうしてキャンプ場をつくることにしたんでしょう。

「仕事で心が折れそうになった時期に、持山の存在を思い出して一人でキャンプに行ったことがきっかけです。本を読んでぼーっと過ごすだけで、自分の心が満たされていくのを感じて。これはすごい体験だなと思いました」

「自分と同じように、日々の忙しさやプレッシャーで息が詰まっている人が、森のなかで何をするでもなく過ごせたら。そんな時間の贅沢さを味わってもらえる場所がつくりたくて、森喫をはじめたんです」

あるがままの自然を楽しんでもらいたい。そんな想いから山には極力手を加えず、設置したのはトイレや水場、薪小屋といった最小限の設備のみ。

そして山を4つのエリアに分けて、各エリアにつき1日1組限定の利用に。お客さんが思い思いの時間を過ごせるよう、できるだけほかの利用者と出会わない設計にもこだわった。

「静かに過ごしたい。でも完全に一人だと怖いし、あまりにも不便だとゆっくり過ごせない。こんなものがあればいいなというものを、森喫には詰め込んでいます」

キャンプ場の目の前には川が流れ、夏はテントサウナを楽しむこともできる。また、一般的にはキャンプ場がオープンしていない冬季も利用が可能。珍しさもあって、キャンプ系Youtuberのヒロシも利用したのだとか。

新しく入る人は、コンテナと森喫の事業を引き継ぎながら、新たな事業をつくっていく。まずは西粟倉や小松組について知ってもらうことからはじめる予定。

車で西粟倉を回りながら、村の方に挨拶をしたり、困りごとの相談にのったり。さまざまな人の声を聞きながら、新しい事業のアイデアを膨らませていってほしい。

「子どもの頃、秘密基地として遊んでいた森の空き地があって。一昨年前に、思い切って土地を購入しました(笑)。ここをどうにか活用したくて、新しく入る人に考えてもらおうと思っています」

その後は、土地を活用した事業計画の立案、採用計画やオペレーションコストの想定など。小松さんの構想を聞きながら、事業を形にする方法を学んでいく。

「将来を見据えて、計画は一人で考えてもらいますが、私も手厚くフォローします。考え方を事前に共有したり、定期的に進捗を確認したり。未経験でも安心して挑戦できる環境を用意しています」

「その上で一番大切にしてほしいのは、事業に向き合い、やりきる熱量です。コンテナプロジェクトや森喫に私が込めた想いを引き継いで、新しい価値を生み出してもらえたらうれしいですね」

とはいえ、未経験から企画を立てることは難しそう。

そう伝えたところ、紹介してもらったのが地域おこし協力隊OBの森本さん。現在は、小松組で働きながら、個人事業主としても活動している。

「奈良の明日香村の出身で、田舎でもやれるぞと証明することが人生のテーマでした。移住フェアで西粟倉を知って、『ゼロから産業が生まれた村って面白そう』とピンときて、移住を決めました」

銀行員として働いた経験を活かし、小松組のほかにも企業の財務をサポートしている森本さん。



事業計画の立て方や、補助金の申請に必要な書類の準備。さらには西粟倉の村民や移住者コミュニティの紹介など、多方面でサポートに入ってもらう予定。

「地域で事業を立ち上げる上では、経営の知識や人とのつながりが課題になると思っていて。私が全面的にバックアップするので、安心して飛び込んでほしいですね」

「デザイン会社や地元の大工さんなど。西粟倉では地域の方々と力を合わせて事業を形にしています。ビジネススキルだけでなく人としても成長できる、かけがえのない経験になると思いますよ」

経営を学ぶ上でも、地域の人たちと信頼関係を築く上でも、森本さんの存在はとても心強い。

森本さんが大切にしていることはありますか?

「どんな些細なお願いも断らないことです。家の工事をしていたら、通りがった人に『うちもやってくれない?』と頼まれて。それがきっかけで、養鶏場の基礎工事といった大型の仕事を任せてもらうこともありました」

「何より、お客さんの喜ぶ顔を間近で見られるのがうれしくて。銀行員時代には味わえなかったやりがいを、日々感じています。そういった身近なところから、新規事業のアイデアが生まれるかもしれませんね」

 

最後に話を聞いたのは、森喫の管理人を務めている植林さん。

新しく入る人は、コミュニケーションをとりながら、ともに事業を育てていくことになる。

「入社してまだ1ヶ月しか経っていませんが、自分の得意なことを活かして、どんどん企画してねと言ってもらって。やってやるぞって気持ちが今は強いです」

もともとは森喫のお客さんだった植林さん。何度も通ううちに、前の管理人から声をかけられて働くことに。

「西粟倉の近くにあるアウトドアショップで働きながら、趣味でいろんなキャンプ場に通っていました。森喫にはオープン直後に来て、すっかり気に入ってしまって。僕の場合、キャンプの良さは頭皮に出るんですよ(笑)」

頭皮に出る?

「ストレスが溜まると、頭皮が固くなって頭痛がするんです。でも森喫で好きなものを食べて、川を眺めながらぼーっとしていると、翌日にはスッキリしていて。すごくリラックスできているんだなって思います」

一般的なキャンプ場では、駐車場にほかの利用者さんの車が並んでいたり、テント場の近くで誰かの声がしたり。静かな時間を味わえる森喫のようなプライベートキャンプ場は貴重なのだそう。

「西粟倉は水が本当においしいんです。釣りも好きなので、近くの渓流でヤマメを釣って、森喫で焼いて食べるのが最高です」

「高速が通っているので関西からも意外と近くて。大阪や岡山から車で2時間ほどで、実家のある兵庫にも帰りやすい。アクセスの良さも、西粟倉の隠れた魅力だと思いますね」

植林さんは、どんな人が合っていると思いますか?

「自然のある生活と仕事を、どちらも充実させたい人ですかね。西粟倉は人口1300人と小さいですが、さまざまな事業が生まれている活気あふれる村です」

「自然のなかでのびのび暮らしつつ、頭を働かせて事業をつくる。ともに努力する仲間がいる環境を大切にする方には、ぴったりだと思いますよ」

西粟倉で新たな挑戦に挑もうとしている小松組。穏やかで熱意あふれる、三人の語り口が印象的でした。

自分も事業づくりに挑戦してみたい。

そんな気持ちが少しでも芽生えたなら、まずは気軽に話を聞いてみてください。

その小さな一歩が、西粟倉の未来を変えるかもしれません。

(2025/03/21 取材 櫻井上総)

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