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光を入れる、風を通す

設計図の上に、線を引く。

それは壁を立てるための線でもあり、光を通す余白を生むためでもある。

ジーアイデザインファクトが大切にしているのは「自然を活かす建築」。

大きな窓から光が入ること。風が抜けること。内と外がゆるやかにつながっていること。

話を聞いていると、それは建築だけの話ではない気がしてきました。

この会社は、働き方も“自然体”です。

建築も、人も、無理をすればどこかに歪みが出る。だから、壊れないかたちを探す。当たり前のことを、自然に、ちゃんとやる。

取材を通して、そんな印象を受けました。

 

大阪・天満橋の駅を出て橋を渡る。

この日は快晴で、川沿いの公園の緑が映えて気持ちがいい。

橋を渡って5分ほど歩いたところに、コンクリートづくりのめずらしいかたちの建物が。

この地下一階に、ジーアイデザインファクトの事務所がある。

事務所に入ると、まず天井の高さに目がいく。

壁一面の大きな窓。外から入る光の筋。いわゆる設計事務所の、閉じたアトリエのイメージとは少し違う。

「ここ、打ち合わせスペースなんですよ」

そう教えてくれたのが、代表の鷹取さん。

かつてはこの大テーブルでみんなが図面を広げていたこともあるそう。

今は奥のスペースを作業場にしており、外の光が届かないからどうしようか、と話しているところ。

「やっぱり、光が入るほうが気持ちいいでしょう」

建築の話になると、鷹取さんの言葉は熱を帯びる。

「たとえばね、なるべく外の空気と触れるように中庭をつくるとか、エントランスを広くして、外とつなげるとか。自然を活かすつくりは父の代からずっと一貫してるんです」

ジーアイデザインファクトの始まりは、1972年。鷹取さんのお父さんが個人で内装の仕事を始め、1974年に法人化した。

カーテンを縫い、壁紙を張り替え、カーペットを敷く。当時は建物を設計するというより、空間の中身を整える仕事が多かったそう。

少しずつ依頼が増え、内装の設計と工事をまとめて請けるように。

そんな父親の姿を見てきた鷹取さん。同じ業界の会社で経験を積んだのちに、ジーアイデザインファクトへ。

内装中心だった会社に、建築設計という軸を加え、箱そのものから設計できる体制を整えていく。

「内装って、現場とすごく近いんですよ。自分の描いたものがどうかたちになるか直接見ることができるし、職人さんとも直接話せる。それが面白い」

建築設計と内装施工。どちらかに寄るのではなく、両方に責任を持つ。

図面を描いて終わりではなく、現場でどう納まるかまで考える。

その姿勢が、ジーアイデザインファクトの“ヒアリングから設計、施工と管理、家具づくりとコーディネートまでトータルで請け負う会社”という形をつくってきた。

「建築は、使う人がいて初めて意味がある。満足してもらわなあかんと思うんです」

「図面だけやってたら、設計上は描けるけど、これどうやってつくるんやろって、わからへんこともあるんですよ。うちはそれがないのが特徴ですね」

図面の線が、現場でどう形になるのか。大工がどう納めるのか。電気屋はどこに配線を通すのか。

実際に現場に立つことで、設計が齟齬なく現実になる。

今回も、ヒアリングから設計、施工管理までトータルで担える人を募集したい。

「社長を引き継いだのは、ちょうど今から10年前です。社員も当時は20人くらいいて。会社が拡大していく時期だったと思います」

「ただ、その裏ではいろいろな無理が積み重なってしまっていて」

仕事のハードさに、「40歳、50歳まで働けるイメージが湧きません」と言って辞めていく人がいたり、体調を崩してしまう人が出てきたり。

鷹取さん自身も大病を経験した。

「やっぱり、歪んでいたんですよね」

「そういったことを経験して、売上を伸ばすことを最優先にするのではなく、会社が続くこと、みんなが生活できること、いいものをつくること。そこへと、軸を戻していきました」

仕事のやり方を大きく見直し、個人に負担がかかり過ぎない方向へ。

今はリモートワークを導入し、全員で集まるのは金曜午前だけ。それ以外は働く場所も基本的に自由で、朝夕の定例などもない。

「全部を管理することなんてできないんですよね、みんなひとりの人間やから」

風の通る建築をつくる会社は、働き方も風通しをよくしようとしている。

現在、仕事は歯科医院と美容室の案件が多く、紹介が紹介を呼び、気づけば専門性の高い分野で強みを持つようになった。

とはいえ、鷹取さんの目は、さらに先を見ている。

「本当はね、住宅とかも、もっとやりたいんですよ」

とくに心を動かされているのは、古い木造住宅のリノベーション。

大阪北部や郊外に残る、農家さんの家。空き家を相続したものの、扱いに困っている人が多い。

「昔の家って、自然との距離が近いんですよ。軒が深くて、風が抜けて」

壊して新しく建てるのではなく、今あるものを活かす。柱の傷も、樹液の滲み出た太い梁も、その家が積み重ねてきた時間として残す。

自然を活かす建築。それは、光や風だけでなく、“時間”も含めた自然を大切にする空間なのかもしれない。

農家住宅を改装し、人が集まれる場所にする。住まいを再生し、次の世代へつなぐ。

いくつか具体的な相談も動き始めているという。

 

続いて話を聞いたのは、18年在籍している横山さん。鷹取さんのお父さんの代からジーアイデザインファクトで働いてきた。

「昔はほんまにブラックでしたよ」

笑いながらそう話す横山さん。

「夜の12時、ときには2時まで仕事をして、朝はそのまま現場へ。それが当たり前でした。それでも続けられたのは、やっぱり建築が好きだったからでしょうね」

大学で建築を学んだ横山さん。自然光がたっぷり入る建物が好きだった。

学生時代に、ある美術館を訪ねる。

「照明のない美術館なんです。安藤忠雄が手がけた建築なんですが、太陽が出ている間だけ絵を見ることができる。それは、描いた人もそういう環境だったから。その考え方、いいなと思って」

自然を活かすジーアイデザインファクトの思想と重なる部分を感じ、最初に勤めた建築系の会社から転職。

18年働いていると、一番の古株なのだとか。

ヒアリングから設計、そして現場の施工や家具制作まで、建築仕事の一通りを経験できる環境。同僚のなかには、ここでの経験を活かして独立する人もいた。

横山さんも、10年ほど前に本気で独立を考えたことがあった。事務所用の物件も見に行き、準備も進めていた。

そんなとき、担当していた現場の竣工が年末の最終営業日に間に合わないかもしれない、という事態が起こる。

最終日は毎年恒例の、全員参加ミーティングの日。鷹取さんが声をかけ、社員全員で横山さんの現場へ。

棚をつけ、照明を吊り、商品を並べる。一人では到底できなかった作業を、みんなが夜中まで手伝ってくれた。

「一人で抱え込んでいたんです。自分でやり切らなあかんって」

「そのとき助けてもらって、ほんまにありがたいというか、うれしくて。独立したら自由かもしれないけど、きっと寂しくなるんやろうなって。それで今も残っていますね」

「初めて聞いたわ!」と隣で聞きながら笑う鷹取さん。こんな雰囲気も、居心地の良さにつながっているのかもしれない。

「やりたいことがあれば、『やってみ』と言ってくれる。挑戦したいデザインとか、設計とか。そういったチャレンジをさせてくれる環境ですね」

どんな人がジーアイデザインファクトに合っているでしょうか?

「うーん… 僕が思うのは、合ってるかどうかじゃなく、合わせにいける人がいいのかなって」

合わせにいける人?

「そう。うちはたぶんめずらしい働き方なので、合うというよりは自分でチューニングして合わせていく。そんなイメージなんじゃないかな」

自然は、調和で成り立っている。

独りよがりではなく、まわりとどう共存するか。そんな意識の持ちようが、この会社にいる人の共通点なのかもしれない。

 

最後に話を聞いたのは、渡邊さん。

前の打ち合わせが終わって途中から参加。急いで来てくれたのか、息を整えながら椅子に座る。

「遅くなってすみません。よろしくお願いしますね」

芸大を卒業後、アパレルなどの仕事を経てジーアイデザインファクトへ。

「学校で学んだ設計は、すぐ仕事にはできなくて。でも、諦めていなかったんです」

設計の仕事は、人との関係が重要。数ヶ月、ときには一年以上、施主や職人と向き合う。

アパレルで働くことを選んだのは、コミュニケーション力を鍛えるためだった。

「最初は、図面の意図を職人さんにうまく説明できませんでした」

オフィスのリノベーションを、初めて一人でやり切ったときのこと。

通常は施工や内装まで担当するけれど、この案件は設計のみという変則的なものだった。工務店の職人とも初対面。

「図面を見てもらったら、『こんな図面じゃわからん』って言われたんですよ(笑)」

「最初はパニックになりましたけど、落ち着いて、しっかり説明して。理解してもらえるようにがんばりました」

この現場で実現したかったのは、空間を壁ではなく家具で仕切る設計。現場で寸法を測り、家具の大きさと位置を何度も確認し、ミリ単位で合わせていく。

実際の空間にぴたりと納まったとき、それまであまり話さなかった職人さんが一言。

「ようやったな」

そう言われた瞬間、やっと設計者として認められた気がした。

今は2人の子どもを育てるお母さん。忙しいときは、保育園に迎えに行き、子どもを連れて会社に戻ることもある。会社としても、子どもを連れてくるのは構わないそう。

設計をして、現場にも行く。さらには家庭のこともある。それでもこの仕事を続けているのは、やりたい仕事だから。

「一人で抱えられる量には限界がある。だから相談するし、助けてもらう。先輩にどれだけ助けてもらったかわからないくらいです(笑)」

自然は不揃いで、揺れていて、それが美しい。この会社の空気も、どこかそれに似ている気がする。

「成長するスピードは速いと思います。ただそのぶん、負荷もかかる」

だからこそ、建築も、人も、無理をしない。無理を美徳にしない。壊れないかたちを選ぶ。

「会社はたのしいですよ。年一回の海外旅行もあって、去年はドイツに行きました。ほかにも、遠足で気になる建築を見に行ったり、普通に山登りしたり」

「そんなふうに、たのしいことをちゃんとたのしむ雰囲気はあると思います」

すると、話を聞いていた社長の鷹取さん。

「設計とかは未経験でいいんです。物事をやり切る気持ちがあって、デザインが好きであってほしいな。ここで学びながら成長していけると思うので、素直に人の話を聞いて、嘘をつかない人。そんな人と一緒に働きたいですね」

 

自然を活かす建築をつくるには、まず自分が折れないこと。

風通しの良い空間をつくるには、まず自分に風が通っていること。

建築も、人も。自然でいられるかたちを探しながら。

ここで、一緒に線を引く人を待っています。

(2026/02/19 取材 稲本琢仙)

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