求人 NEW

ラジオもZINEも場づくりも
高島を編集・デザインする

この記事は、高島市地域おこし協力隊募集を行う「オールたかしま」の特集記事です。

「オールたかしま」は、高島のみんなで地域を漕ぎ進めていくプロジェクトです。

タブロイドの編集やロゴマークのデザインはもちろんのこと。人と人が出会う場づくりや、何気ない日常会話まで。

滋賀県高島市というまちを編集・デザインする地域おこし協力隊を募集します。

広域的な視点をもち、デザイン・編集の力をいかして「ひと」「もの」「こと」をつなげる仕事です。実務経験は問いませんが、デザイン・編集のベースのある方が望ましいです。

 

JR湖西線の新旭(しんあさひ)駅前にあるTAKASHIMA BASE。カフェ、書店、リソグラフスタジオからなる場で、築50年の空き家をこつこつとリノベーションし続けている。

訪ねた日には「野菜と一箱古本市」というイベントが行われていた。

子どもから大人まで多年代でにぎわうなかに、高校生からインタビューを受ける瀬川さんの姿があった。

彼がこの場の運営責任者。出身は滋賀県東近江市で、下の名前は「航岸(こうき)」。名前の通り、2025年に琵琶湖の対岸にあたる高島市へ移住した。

今回募集する地域おこし協力隊事業においては「ぼくみん・山笑う共同事業体」のメンバーとして隊員と地域のあいだに立ち、統括コーディネーターを担う。

そんな瀬川さんに話を聞いてみる。TAKASHIMA BASEはどんな場所ですか?

「“関係を編み直す場所”と呼んでいます。同じまちに住んでいても、一人ひとりの価値観や背景は違います。人はそれぞれ、その人にしか生きられない自分の人生を生きているわけで。偶然の出会いが、自分をあたらしいところへ連れていってくれることがあります」

「野菜と一箱古本市」も、TAKASHIMA BASEをつうじた出会いから生まれたイベント。主催者は、高島の農業法人ではたらくすみれさん。同世代の書店員である葉月さんの「本を売るのが楽しい」という声がきっかけで、イベントをすることに。

すみれさんと葉月さんは、2025年にTAKASHIMA BASEで行われた「たかしまマッププロジェクト」の参加者。9人の参加者は全員20代で、職業は農家、漁師、木工作家、介護職、学生…とさまざま。地元のメンバーも、移住者もいる。

全3ヶ月間のプログラムをつうじて、スーパーマーケット、琵琶湖、音のある風景などをテーマに、ZINE(ジン)と呼ばれる小さな本を一人一冊ずつ制作した。

ほとんどの参加者にとって、本づくりははじめての体験。インタビューからデザインデータの作成、さらにリソグラフでの印刷、製本までチャレンジの連続。緊張のあまり、はじめてのインタビューに、涙を流す人もいたという。

この企画をアーカイブした小冊子『ちいきしげんマップ』にこんなフレーズがある。

「本づくりは運動」とは、どういうことだろう。

「特に製本作業は、学校や仕事帰りにTAKASHIMA BASEで集まり、終電ギリギリまで手を動かしました。リソグラフで印刷した誌面をいそいそと机に並べたり、えいっと断裁したり、布を縫うように糸綴じ製本したり。みんなが動き回る様子を見ていたら、TAKASHIMA BASEがジムになって、運動しているみたいだったんです」

ちなみにこのプロジェクトは、地域の孤独・孤立を防ぐリンクワーカーの育成を目的としており、参加費と助成金を財源にしているという。

「人と人が出会うのって、難しいことだと思うんです。けれど、本づくりを通じて人に会い、話を聞き、文章を書いて、人に伝えようとする。そうして人と出会う体づくりに取り組んだ人たちが、高島のいろいろな分野や職場にいてくれたら、地域にポジティブな循環が生まれていくのではないでしょうか」

 

ところでTAKASHIMA BASEは、課題を解決するための場所なのだろうか。

「きっかけは困りごとですが、課題解決を目的として運営している場ではありません。だって、人口減少にも少子高齢化にも人材不足にも『こうしたら治ります』という処方箋はないでしょう?TAKASHIMA BASEが全ての課題を解決できる、なんて思ってはいません」

TAKASHIMA BASEのはじまりは、働き手不足だった。高島市は、滋賀県内でもっとも高齢化率の高いまちで、高齢者や障害者の暮らしを支える介護人材が不足している。

そこで市内の法人が集まり、合同採用プロジェクトに取り組んでも、なかなか結果につながらない。市外から就職しても、数年後には転出してしまうことも。そうしたなか、移住する人も、地元の人もコミュニティを感じられて、だれもが過ごせる場が求められていた。

場づくりにおいて、心がけていることがある。

「『ここ違うな』と思ったら、もう来ないでしょう?いろいろな人がとどまれるように、隔たりのない場をつくることを大切にしているんです」

「たとえば、自分で本をつくれるリソグラフを置いてみる。床張りをするときは先生に来てもらい、ワークショップをひらいて自分たちの手でつくる。そうして、自分たちがつくり手にまわることも心がけています」

2025年10月にはカフェと書店がオープンしたことで、過ごし方がますます多様になった。

地域参加型の対話の場である「未来のジャム」をつうじて、これまでに3人が福祉の仕事に就職しており、その一人は、今やカフェの常連。週に一度、仕事帰りに立ち寄り、家族でお茶の時間を過ごすという。そこへ、移住してベーカリーを立ち上げた店主が仲間入りする。

話を聞いていると、出身地も職業もさまざまな人たちが、高島でそれぞれの舟を漕いでいるようだった。そして、ふと港のように立ち寄るTAKASHIMA BASEで、ともに時間を過ごす。

「港があるから、人は漕ぎ続けていけるのだと思います。どれだけよいものをつくる人でも、一人では行き詰まるときが必ずくる。凪の時間で、偶然出会っただれかとつながり、たまたまなにかが起こったり、なにかが見つかったりして、また舟を漕ぎ出す。場があるから、人はなんでもできる。TAKASHIMA BASEでは、そういうことを編集・デザインと呼んでいます」

 

そんな瀬川さんとともに、活動する仲間がいる。美術大学を卒業して、2026年の春に新卒で高島へやってきた山本さん。

まちのみんなからは「桜さん」と呼び親しまれている。古本市では開店準備をしたり、チャイをいれたり、人と人をつないだりと、八面六臂(はちめんろっぴ)のはたらきぶり。

出身は京都府で、滋賀県内の美術大学に在学中、「たかしまサーカス」をきっかけにTAKASHIMA BASEと関わりはじめてインターンをするように。

「今年の3月までは、週5日、京都から往復3時間かけて通っていました」

地方創生に関わる企業への就職活動を進めるも、どうしてもTAKASHIMA BASEではたらきたいと想いを募らせ、求人は出ていなかったところへ何度もかけあい、とうとう仲間入りした。

そんな桜さんが撮り溜めているという、高島の人たちのポートレイトを見せてくれた。

「ここに来たばかりのころの写真を見返したら、全然人が写っていなくて。ビビって、気配を消してここにいたんだと思います。今は正面から、カメラを向けることができています」

地域おこし協力隊として着任すると、どのようなプロジェクトに取り組んでいくのか。

再び瀬川さんに聞いてみる。

「高島市は、5町1村からなる大きな自治体です。各地域でまちづくりの活動は行われているものの、市全体としての動きは見えにくいのが現状です。TAKASHIMA BASEも、そうして地域にいくつもある点の一つ。だからこそ、地域や立場を越えて、ともに活動していきたいんです」

たとえば雑誌制作。瀬川さんは、この日の古本市で売られていた一冊の古びた雑誌を手に取った。

1986年発行の『暮しの手帖』だ。パラパラめくっていると「電子ジャー炊飯器は役に立つか」という特集に目が留まる。シャープ、象印、東芝、ナショナル、三菱の炊飯器でごはんの炊き比べを行うという企画で、結論はなんと「おすすめするものはない」と、書かれている。

「今の時代だからこそ、こういう忖度(そんたく)のない雑誌をつくってみるという方法もあると思います」

あるいは、福祉×まちづくりの取り組み。

日本の福祉制度は「者別」に設計されてきたと言われることがある。高齢者は高齢者施設に集まり、障害者は障害者施設に集まるといったように。滋賀県内でもっとも高齢化が進む高島市では、社会福祉法人が集まり、あたらしい福祉を模索している。

その一つが「ふくしデザインセンターたかしま」だ。

瀬川さんは、35歳以下の若手ケアワーカーたちが集まり、ともに学ぶプロジェクト「U35アクション」でもコーディネーターを務めている。この取り組みは2026年にはじまったばかり。

TAKASHIMA BASEで過ごしていると、次から次へといろいろな人と出会ったり、隣りに座った人といつの間にか会話がはじまっていたり。あっという間に夜になっていた。

外に出ると、壁に「未」の文字が浮かび上がっていた。

「未」という字は、TAKASHIMA BASEがもっとも大切にしていることの一つだという。関わりしろを表す「未知」、伸びしろを表す「未熟」、そして未来という意味も込められているそう。

オールたかしまは、地域を漕ぎ進める仲間を募集しています。

(2026/9/6 インタビュー 大越 元)

問い合わせ・応募する

おすすめの記事