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光る色彩の粒
ビーズを撮る

趣味とは、手段が目的化すること。

そんな名言を残した人がいるそうですが、ビーズの場合は手段以前の素材がすでに楽しい。

東京・浅草橋にあるビーズ専門店MIYUKI FACTORYに行ってみれば、その意味がわかると思います。

透明なもの、オーロラのように色が変わるもの、穴の内側から発色するもの、メタリックなもの。何色とも形容し難い、絶妙なニュアンスのビーズの数々に圧倒されるはず。

見ているだけでワクワクする。ところが、これを写真に撮るのはめちゃくちゃ難しい。

そもそもサイズが小さいし、丸みを帯びたガラス製品なので映り込みもある。実物を見て「わあ〜」と心動かされた色や光は、写真ではなかなか再現できません。

今回は、このニッチな課題に向き合いつつ、ビーズの魅力を伝える人を募集します。MIYUKI FACTORYを運営するビーズメーカーMIYUKIの東京支店デザイン室に所属して、商品写真の撮影などをメインに担当します。

実務経験や、手芸やビーズの知識は問いません。趣味でも、カメラとPhotoshopを扱える人は、ぜひ挑戦してみてください。素材や作品に興味を持って、どうすれば魅力が伝わるか探究できる人を求めています。

入社後しばらくは、写真撮影を専門に担当する予定ですが、将来的には動画などほかのメディアにも幅を広げていく方向。考え方次第で、多様なキャリアプランがあり得るポジションだと思います。

 

浅草橋駅の西口から歩いてすぐのところに、MIYUKIの直営店「MIYUKI FACTORY」はある。

迎えてくれたのは、副社長の勝岡隆史さん。1935年から広島県福山市でビーズづくりを始めたMIYUKIの創業者は、勝岡さんの曽祖父にあたる。

ガラスを細いストロー状に加工し、小さくカットしてつくられるビーズ。着色やメッキなど加工のバリエーションによって、さまざまな表情を生み出せる。

並べたときに隙間が出ないよう、断面を真っ直ぐにカットした「デリカビーズ」や、平らな形状で2つ穴のある「ティラビーズ」など、MIYUKI独自の技術でつくりだした製品は世界でも高く評価されている。

お店には海外からのお客さんも多く、「#MIYUKI」で検索するといろんな国にファンがいることがうかがえる。

2026年にリニューアルされたMIYUKIのコーポレートサイトでは、会社や製品開発の歴史についても詳しく紹介されていましたね。

「会社の歴史を調べ始めたのは15年くらい前です。当時、海外メディアからの問い合わせが増えて、必要に迫られて始めたんですが、創業者の日記帳をめくったりしているうちにおもしろくなってきて。10年ほど前にブランドブックにまとめたものを、今回あらためてWebに掲載しました」

ビーズづくりをはじめて90年。歴史が長い会社だからこそ、アーカイブにはさまざまな価値があり、時間もかかる。

今回、撮影担当を専任で募集することになったのも、今までつくってきたものと向き合い、未来につなげていくためだ。

「MIYUKIのビーズは、全部で数万種類あるんですが、MIYUKI FACTORYのオンラインショップではそのうちの一部しか紹介できていません。全部とは言わないまでも、もう少し掲載数を増やしたくて」

「ただオンラインで紹介するとなると、一つひとつの色や質感の微妙な違いがわかる写真が必要になる。条件を揃えて撮影したり、色味を補正したりしていると、画像データを用意するのに結構時間がかかってしまうんです」

母数が多いだけに、かなり先の長い話になりそうですが、いつごろまでに目処を立てたいという目標はありますか?

「特に期限などは決めていません。ただ今回入る人には、展示会で使うチラシやパッケージ用の写真も撮影してもらう予定で、そっちは〆切があります。なので、まずは〆切があるものを優先しつつ、空いた時間でコツコツ、オンラインショップ用の写真を撮影していくイメージですね」

クライアントワークではないぶん、業務量は状況に応じて調整しやすい。

これから入る人の役割についても、その人の経験やほかのスタッフとのバランスを考えて組み立てていく予定。

「当面は、今いるスタッフと分担しながら進めることになるので、ノウハウは共有できますし、逆に経験豊富な方ならこちらで学ばせてもらいたくて。やり方は柔軟に調整できると思います」

 

現在、撮影を担当しているのがデザイン室の山口さん。2024年の春に新卒で入社して、現在3年目。

大学ではデザインを専攻していて、本格的な写真撮影の経験はなかったという。

「入社してから写真の講習会に参加させてもらったり、ウェブサイト用の写真撮影でカメラマンの方が来社されたときにコツを聞いたり。試行錯誤しているうちに、だんだん撮影が好きになっていきました」

撮影は、お店の上階にある一室をスタジオにして行っている。被写体が小さいので、作業はだいたい机ひとつで完結する。

使用する機材は、カメラとレンズがそれぞれ2種類ずつ。

「マクロレンズを使うと、肉眼ではわからないような輝きもよく見えます。最初はそれがあまりにも綺麗ですごく驚きました。ただ、やっぱり難しいのは色ですね。なるべく実物と近い色味になるように補正をするんですけど、撮影そのものより補正のほうに時間がかかります」

自然光で撮影することが多いため、天気や時間帯など条件のいいタイミングにまとめて撮影しておくなど時間配分の工夫もいる。

サイトに掲載したときに統一感が出るように、セッティングの仕方にも気を遣う。

膨大な数のビーズの写真を撮り続けるのは、根気がいりそうですね。

「爪の先で細かくビーズを動かしながら15分、20分格闘する。私はそういう地道な工程も結構好きです。でも、同じ作業の繰り返しで集中力が切れそうなときは、インスタ用の撮影を入れて息抜きもしています」

「お店の引き出しを開けてみたり、販売のスタッフにおすすめを聞いたりして、ちょっと変わったパーツを見つけるのも楽しいです」

MIYUKIではビーズ単体だけでなく、ブローチや指輪など初心者向けのキットも販売している。そのパッケージや販促用のチラシなどに使う写真の撮影も、山口さんの仕事だ。

この秋に発売予定の新商品が、ビーズでブーケがつくれるキット。チューリップやポピーなど数種類のバリエーションがある。

「花の形によって影の入り方が違うので、照明の当て方などを少しずつ変えているんですけど、パッケージとして並べたときには統一感が出るようにしたくて。そのバランスが難しかったです」

ひとつのキットでも、パッケージ用、チラシ用、ウェブ用、さらに展示会で使用する大きなパネル用と、用途によって撮るときのポイントが変わってくる。

特に展示会のパネルは、混み合った会場でのアイキャッチの役割も果たすので、商品を正確に伝えるだけでなく、ブースに立ち寄り、手にとってみたいと思わせる仕掛けが必要だ。大きく出力するために、RAWデータで撮影するのもほかの素材とは異なるところ。

 

「逆に、ビーズを素材として紹介したいときは、なるべく純粋にパーツとして見てもらえるよう意識しています」

「たとえばイヤリングなどの製作例を先に見てしまうと、そのビースの用途のイメージが固定されてしまいますよね。インスタなどでは、あくまでも見た人が『何をつくろうかな』と想像がふくらむところで止める、っていうのは撮影のルールとして意識しています」

そう言って補足してくれたのは、デザイン室長の坂元さん。

坂元さんは7年前に入社し、デザインワークを一手に担ってきた。キットの企画やパッケージ制作、印刷物のデザインのほか、MIYUKI FACTORYのロゴマークも坂元さんがデザインしたもの。

昨年製作したのが、これまで販売してきたキットを一冊にまとめたカタログ。

「最近は手芸店だけでなく、雑貨店などでもMIYUKIのキットを販売していただけるようになったので、ビーズ手芸に馴染みがない方でもわかりやすいように整理しました。刺繍やかぎ針など技法ごとに並べて、キットの難易度を星の数で示すなど、選ぶときの手がかりになる情報も入れています」

「特にこだわってつくったのが、この“ネジッテBONSAI”という商品のページです。全6種類を見開きで横並びに載せるというレイアウト案が先に決まっていて。『印象的な写真にしたい』っていう結構抽象的なリクエストに対して、山口さんが色々工夫して撮影してくれました」

ほかのページでは単体で撮影した画像を組み合わせることが多いのに対して、ここでは小さな鉢植え状のオブジェが並んで置かれた様子を一枚絵で撮影。

端まで歪みなくピントを合わせるなど、単体のカットより調整が必要な点も多かった。

撮影は山口さんがメインで担当しているものの、構図や背景色の相談、あるいはレフ板を持つ係など、坂元さんやほかのデザイン室のスタッフも協力しながら進めている。

メンバーが少ない部署なので、これから入る人も展示会シーズンなどは撮影以外の仕事を手伝うことになる可能性はある。

「もともとデザイン室は立ち上げからしばらく私1人しかいなくて。撮影もデザインもキット開発も自分で考えて形にすることが多かったので、今、相談できる相手が近くにいるのがすごくありがたいです」

「一方で人数も増えて、できることも増えたぶん、欲も出てきてしまって(笑)。山口さんはもともと大学でブックデザインを専攻していたので、今後はもっとデザインを担当する機会を増やしていきたい。撮影担当として入る人にも、スキルや経験を活かした挑戦をしてもらえたらと考えています」

たとえば、今検討していることのひとつが、キットのつくり方を紹介する動画コンテンツの制作。

キットに付属の説明書は日本語表記なので、海外のユーザーが理解するには少し難しい。動画なら手順を動きで説明できるので、より多くの人に届けやすくなる。

写真や動画がどんな場面で必要とされているか。自分が手がけた写真やデザインが、どんなふうに届いているか。

営業やショップのスタッフなど、ユーザーとの接点を持つ担当者の声を聞けるのも、インハウスでデザインに携わるよさのひとつ。

まわりの人と相談しながらアイデアを形にできる人なら、撮影という特技を活かして仕事を広げるヒントが見つかる環境だと思います。

(2026/8/27取材 高橋佑香子)

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