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探して、磨く
圧倒的に得意なこと
120%、突き抜けるものづくり

「今自分の得意なことがわからないなら、とにかくなんでもやってみてほしい。誰かの苦手なことが自分のできることかもしれないし、逆もある。これだと思うことを徹底的に磨いたほうが、価値は生まれると思うんです」

そう話すのは、有限会社ティープラスター代表の水口(みなくち)さん。

ティープラスターは、内装の設計施工や家具製作を主に行う会社。無垢の木材など、天然素材を活かした空間を、一貫して自分たちで手がけています。

一人ひとりが役割を越えて関わりながら、ひとつの空間をかたちにしていくティープラスター。

今回は、業種を特定せず、この会社で自分の得意を見つけ、腕を磨いていきたいスタッフを募集します。

ものづくりの経験は問いません。まずは、領域を横断しながら自分の得意なことや、好きなことを見つけていくことからはじめていきます。

 

横浜・元町中華街駅からバスで15分ほど。

曲がりくねった坂道にある住宅街を進むと、ペイントが施された大きな建物を発見。

本社も兼ねている建物は、地下1階、地上3階建てで、事務所と工房、資材の倉庫が入っている。2階には「レインボー倉庫」というシェアスペースもあり、お店やアトリエとして貸し出しているという。

すぐ隣にある、昨年できた新倉庫に案内してくれたのが、代表の水口さん。

デニムのジャケットとパンツがよく似合う方。古着やバイクが好きで、整備士をしていた経験もある。

ティープラスターは、左官職人だった水口さんが、2008年に独立して立ち上げた会社。

左官で天井や壁を仕上げていくうちに、壁に合うフローリングや家具の相談も増え、現在は店舗や住宅の内装・リノベーションの設計施工から家具製作まで、空間づくり全般を手がけている。

扱う材料も木材や鉄、樹脂など幅広くなり、それぞれに特化したさまざまな仕事が社内にある。

「ティープラスターには、4つ5つぐらいの会社が一緒に入っているような感じで」

「新しく入って来る人は、まず一通り試してもらって。楽しかったとか、好きなことを全力でやってほしいですね。得意なことを圧倒的に磨いた結果が、評価とかお金につながると思っているので」

ティープラスターがつくる空間や扱うものは、素材にこだわり、年月とともに魅力が増していくようにつくっている。

お客さんのほとんどはリピーターで、デザインから家具製作まで一任されることも多い。

美容室の内装を手がけたときのこと。

「あえて、床に分厚いゴツゴツしている材料を使ったんです。本物の素材を使って、経年変化で使えば使うほどいい塩梅になっていくようにしました。60歳になってもかっこいい店主、お店であれるように、どんどん渋みを増していくような店にしようって」

派手な空間を求める人には壁に大胆なペイントを施したり。感性を重視する人には、素材や触り心地を体感できるようにしたり。

「別ジャンルでは絶対できないけど、空間のことだけはつい考えちゃう。365日24時間、海外行っても、どこかで飯を食べていても、このぐらいの照度だと、こういう雰囲気になるのかとか。ずっと空間のことを考えてるから負ける気がしないんです」

「手がけた空間でお客さんの人生が豊かになるように。そして、僕たちもやっていて楽しいこと。それで社会が良くなっていけばいいなって。それは軸としてありますね」

最近は、建材の開発もはじめているという。

見せてもらったのは、現在開発中という材料のサンプル。

「左官に使う材料は、山の土や石を削ってつくるんです。だったら、製造や解体の過程で出てくる陶器、鉄粉、ガラスとか、廃棄するものを建材にできないのかなと試作しているところです」

ないからつくる、という衝動でアイデアを生み出してきた水口さん。

「仕事って、遊びや旅行と一緒なんだよね。見てない景色を見たいじゃん。そのために1歩1歩進んでいくことが楽しい。目標を達成すると、また新しいことをやりたくなっちゃう」

「働いているスタッフもそうで。本気でやってるメンバーばかりだから、熱量にやられちゃうって人もいるかもしれない」

現在、スタッフは20名ほど。もともと飲食やアパレル、事務職で働いていた人もいれば、新卒で入社した人もいるなど、さまざまな経歴の人が働いている。

水口さんも一員として、手をうごかしてきたけれど、ここ5年ほどはスタッフに任せることも増えてきた。

「僕がやらなきゃお金が稼げない、会社として成り立たない状況にはしたくない。スタッフにものづくりのいろんな世界を見てほしいし、責任を持つから成長できると思うんです」

 

作業するスペースがある隣の建物を見学させてもらうことに。

建物内をお客さんに案内して、施工後のイメージとして参考にしてもらうこともあるそう。

地下に続く階段の壁には、棚やクローゼットに使われる取っ手が飾られている。迷路のような、映画のセットのような雰囲気にワクワクする。

階段を降りるごとに、電動工具の音がキーンと大きく響く。

辿り着くと、スタッフさんがそれぞれの持ち場で木材を切ったり削ったり、黙々と手を動かしている。こちらに気づくと、木屑にまみれながらも、気持ちのいい挨拶を返してくれた。

そのなかでも、真剣に研磨作業している姿が印象的だったのが、入社7年目の村田さん。

作業がひと段落ついたところで話を聞く。

先ほどの真剣な表情からパッと和らいで、柔らかな笑顔に。

「いろいろ試して『向いてるんじゃないの』って社長に言われたのが、今メインで担当している『仕上げ』の部分。ほかにも、建材の開発にも携わっています」

先ほど研磨していたのは、ティープラスターのオリジナルのレジンテーブル。無垢材とレジンを組み合わせてつくられる。

「レジンを流し硬化させたあとは、型枠から外して、平らな面にするためにひたすら磨いてくんです。すごく地道な作業で。一気に削るとレジンが欠けてしまうこともあるので、見たり触ったりしながら、片面0.5ミリずつ1時間以上かけて磨いていく。サイズによっては1日がかりですね」

スギやケヤキ、ヒノキといった和の建築によく用いられる木材も、レジンテーブルにすることで洋風の空間にもマッチする。

現代の空間にあわせつつ、材料本来のよさを活かしたものづくりをしていく。

今ある資源を、最大限にどう活かしていくか。命を大切にしたものづくりへの想いも感じる。

「実際やる業務は地道な作業の積み重ねで、つくっているもののかっこよさとはギャップがあるかもしれません。最初は仕事を選ばず、好奇心を持って挑戦したのが今につながっていると思います」

もともとは美術大学でデザインを専攻していたものの、図面を描いて終わることに物足りなさを感じていた村田さん。

そんなとき日本仕事百貨でティープラスターに出会う。ものづくりの最初から最後まで自分たちで担うスタイルに共感した。

入社後は、家具製作や現場の大工仕事、現場監督を経験。新しく入る人も、製材から設計、製作や施工まで、働きながら自分に合うポジションを見つけていく。

「現場監督ってお客さんと業者や職人の調整が基本ですが、ティープラスターだと自分も家具の取り付けをしたり現場で作業するんです。お客さんの細かな要望にも応えやすいんですよね」

「新しいことに挑戦する機会が多い会社なので、1年を通して同じことをしている感覚もなくて。できることも、任されることも増えてきました。責任もそのぶん大きくなりますけど、達成感も大きくなる。飽きない職場だと思いますよ」

 

「熱いものを秘めている」と紹介してもらったのが、野村さん。入社3年目ながら、現場の解体から現場監督など、すでに幅広いジャンルを経験している。

三重県出身で、京都の専門学校でインテリアデザインを学んだのちに、ティープラスターへ。

「学生のころインターンで現場に出たときに、図面を書くよりも、素材に触れてつくることに携わるほうが、自分が生き生きしていて好きなんだと気づきました」

「いくつか京都でインターンしたんですがしっくりこなくて。探して見つけたのがティープラスター。ホームページ見た瞬間に、魂と魂で向き合うとか、本物の素材っていう言葉に惹かれて、横浜まで引っ越してきました」

昨年から担当しているのが家具製作。材料の切り出しから加工、組み立て、仕上げて納品するのが一連の流れ。

黙々とものづくりに向き合う日もあれば、内装工事の現場に入ったり、イベントでお客さんの企業ブースの設営に行ったりすることもある。

ちょうどつくっているのはチーク古材を使ったベンチ。先輩にサポートしてもらいながらも、ほぼひとりでつくっている。

ほかにも、ロッカーやキャビネットも一人で製作。さまざまな仕事を経験しているぶん、製作スピードも速くなっていく。

「合板は形が決まっているので寸法を追いやすい。けれど、無垢の素材は形や年輪の模様も違って寸法を取りにくいんですよね。『木に自分たちが合わせていくんだ』って先輩から教わって」

「反っていたり、この木目を活かしたいからこっちを使おう、と考えながら調整したり。思い通りにいかないこと含めて面白いなと感じますし、本物の生きている素材なんですよね」

うまく話せているかわからないと言いつつも、仕事の話になると目を輝かせる野村さん。普段は自転車で坂道を登りながら通勤し、休日は山登りへ出かけるなど、体力づくりも続けている。

そんな野村さんが印象的だった案件を教えてくれた。

8年ほど前に水口さんが設計施工した住宅。子ども部屋1部屋に2人の子どもが使える間取りだったものの、お子さんが成長したことで、1人部屋にしたいと依頼があった。野村さんは先輩と一緒に解体から家具納品を担当した。

「ティープラスターの家具は、形やサイズをつくり変えていけるように考えられている。だから解体してみることって勉強になるんですよ。つくる逆再生で、こんなふうに組み立ててたんや、とか」

「将来は、ひとりでデザインから仕上げまで、お客さんに出せるくらいのクオリティで形にしたいですね」

水口さんと日々の作業を振り返るなかで、今の課題としてキャビネットをつくることになり、デザインから製作までおこなった。完成したものは、オフィスで実際に使われている。時には同僚とコンペ形式でアイデアを出し合うことも。

自分で動いて考えたぶんだけ、挑戦の機会がある環境。

「お互いに切磋琢磨し合える環境なんですよね。一緒に上を目指して頑張れる人と一緒に働けたらうれしいです」

 

はじめから完璧じゃなくていい。人も木材も、それぞれに個性がある。

不器用でも、試して試して、自分の腕を磨いていく。そうすることで突き抜けるものづくりができるんだと思います。

(2026/03/23 取材 大津恵理子)

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