コラム

話したい、けど話せない3

人に話すほどでもないけれど、ちょっと嬉しい出来事があった。何の気なしに言われた一言が、ずっと心に引っかかっている。誰しも、日々暮らしていくなかで感じ、考えていることがあると思います。

「話したい、けど話せない」では、みなさんが抱くそんな気持ちを共有するラジオみたいなイベントです。日本仕事百貨のナカムラケンタと中野頌子、そしてこのイベントの発起人でもある上本亜季さんで開催しました。

今回は、第三回の様子をまとめたコラムです。イベントの様子は下記からもご覧いただけます。

現在都内の役所で働く社会人一年目の者です。私は今「データ分析」を手段に、「誰かにとってのフィールドを整える」仕事がしたい、そんな思いがあります。ですが統計学やデータ解析に関しては素人同然ですし、具体的に目指したい職業が見えている訳でもないため、転職した後にどうやって動けばいいのか分からず不安です。大学院に通うことも検討していますが、どこかで実務的に経験を積めたらいいのになぁでも仕事を転々としたくもないしなぁなんて頭を悩ませてばかりで足が動かない、もどかしい時期を過ごしています。

 ナカムラ:必ずしもやりたい仕事が見つかるとも限らないし、見つかったとしても環境を変えて新しいことに乗り出すのは勇気がいりますよね。これを読んでどう思いますか?

中野:今の仕事を活かした新しいチャレンジはしやすそうですけど、0からやるのは不安。私も上京した時すごく怖くて。それって、新しい仕事や東京のことを何も知らない0の状態だったからだと思うんですよね。

上本:たしかに、怖いですね。私は、まず足元を見てできることを探すのがいいんじゃないかなと思います。この方だったら、役所での仕事が、データ分析を使った新しい仕事に役立つかもしれないし。

ナカムラ:僕は、逆に今までやってきたことに引っ張られすぎなくてもいいと思っていて。大学とか専門学校を決めたときの自分の判断を信用し過ぎなくてもいいと思うんです。僕は大学で建築を学んだけど、今は編集の仕事をしている。でも小学校の時に作文コンクールで一度入賞したくらいで、編集について実績も経験もあるわけじゃないんです。

経験がないのに雇ってもらえるのかって悩みに関しては、今の仕事を続けながらまずはお金をもらわずやってみることはできると思います。休みの日だけやって経験を積んでみるとか。今すぐにでもできることって結構あると思う。

中野:最近新しいこと始めた知り合いは、やる!って、周りに言ったからもうやるしかないって言ってました。ちょっと強引なやり方にも見えるけど、言葉に出すとそれだけ自分のパワーにもなるし、周りが動いてくれることもある。やりたいって思ったことは口に出すことも大切だと思います。

ナカムラ:そうだね。それに、悩むくらいだったらできるところから始めてみたらいいと思う。みんな最初は素人だから。

上本:私も就活していて、自分のやりたいことがわからなくなることがあって。ある人に、やっていて苦にならないことがやりたいことだよって言われたんです。だから、まずは休みの日にやってみて、気軽に試してみるっていうのはいいなと思いました。

  

こんばんは。初めてメッセージを送ります。

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ヶ月ほど前、友達からあなたって人に興味ないもんねと言われました。なぜそのような発言に至ったのかは忘れてしまったのですが、その言葉だけがずっと忘れられず気になっています。(その人とは今でも仲良しです◎)

たしかに私は人の名前を覚えるのが苦手だったりインドア派だったりと、人付き合いが良いとはいえないところがあります。ですが、特に人に興味がないとか自分だけが良ければ、というふうに考えているわけではありません。そもそも人に興味があるとはどんなことをいうのだろうかと疑問に思いました。一緒に考えていただけたら嬉しいです。

中野:そんなに人に興味あります?(笑)。私は大切にしたい人とか知りたい人に興味は向くけど、あとは自分のことに一生懸命になって、そこまで周り見れません!って思う時も多いです。そもそも私自身が周りの目線とかを気にしなくなっているのかもしれないですけど…。

上本:もしかしたらこの方は、自分の思っていることとか考えを表に出すのが苦手だから、人に興味がないように見えてしまうのかなって思いました。それに、人に興味があるからいい人ってわけでもないし、そこにレッテル貼らなくてもいいのでは。

ナカムラ:僕は、よく飲み屋で人の話を聞かないで喋ってばっかりだから怒られたりしてるんですよ(笑)。昔から人に興味ないって思われているし、たしかに興味はないほうかも。あとは、これを言った友達がアサさんにとってどんな存在なのか気になります。

中野:そこ、私も気になってました!そもそも興味がない人に言われたら、ここまで心に残っていなかったんじゃないかな。仲のいい友達に言われたら、そんなふうに見えてるのか…って、不安な気持ちになると思います。

ナカムラ:なにか引っかかる相手だったのかもね。上本さんは友達に言われたらどう思いますか?

上本:私だったら、人に執着しないで過ごせてるのかなって、プラスに捉えるかもしれません。自立できてるのかもって。

ナカムラ:なるほどね。それぞれ個性とか性格があるし、みんなに好意的に思われようと自分の行動を気にしすぎるのもよくないと思う。もちろん誰かに迷惑かけるのは良くないけどね。

そもそも、“興味を持つ”ってどういうことなんだろう。誰かのことを想像したり、考えたりすることって言ってしまっていいのかな…? これ、自分にとって大切な人と話してみるのも、個性や関係性が現れて面白いかもしれないですね。


はじめまして。現在
23歳です。昨年の月に看護大学を卒業し、月から看護師として働きはじましたが、たったヶ月で退職してしまいました。月からは航空自衛隊で働いているのですが、毎日「辞めたい」「こんなはずじゃなかった」と不満や後悔など、ネガティブな感情に支配されてしまいます。「自分は一体何がやりたいんだろう」と自問自答し続けています。

 周りの人に相談すると「ひとまず◯年はそこで頑張った方がいい」「転職ばかりしていては逃げ癖がついてしまうのではないか」「コロナ禍で安定した仕事があるだけでも幸せだ」などいろいろな意見をいただきます。それらを聞いて「もっともだ」と思う自分がいる一方、「今は手に入れようと思えば何でも得られる時代。生き方や働き方を選べる時代。自分らしく生きたい」と考えます。そんな中で日本仕事百貨さんのサイトに出会い、実際にいろいろな生き方働き方をしている人や会社があることを知りました。自分の暮らし方や働き方を模索している今、いろいろな考えに触れて、今後の糧にしていきたいと考えています。

ナカムラ:看護師として働いてみるけど合わなくて航空自衛隊に転職。それでも今はこんなはずじゃないと考えているんですね。

上本:こんなはずじゃなかったっていうネガティブな感情に支配されながらも、自分で一つ一つの選択をしてきたからこそ、仕事や暮らし方を見つめ直した時に前向きな考えを持つことができているんじゃないかなと思いました。

ナカムラ:何年かはやらないと仕事の本質が見えないとか、周りのアドバイスも一理あるとは思う。一方でね、自分らしく生きたい、という気持ちだってすごく大切だと思うんですよ。

中野:この方は看護師資格を持っているじゃないですか。資格ってその人のお守りのようなものだと思うんです。私も保育の短期大学を出ているので、保育士資格を持っていて。子供が好きなのもありましたが、私にとっては好きなことをやるための保険でもあって。その分チャレンジが怖くなくなりました。

周りの意見も大事だし、言ってくれること自体がありがたいことだと思うけど、資格も持っているんだし、好きなことへ挑戦する準備はすでに自分でつくっていると思いますね。

ナカムラ:仕事がなくなっても、看護師の資格があるというのは心強いかもしれない。不安定な状況になると、正常な判断ができないことがある。そういう時に資格はお守りになるんじゃないかな。

上本:そのお守りのおかげで一歩前に進めるかもしれないですよね。

ナカムラ:判断が難しいけど、仕事を変えずにできるところからチャレンジするのも一つの手だと思う。それにまだ23歳なんだよね。年齢は関係ないところもあるけど、軌道修正はいくらでもできると思います。

チャレンジするなかで、失敗とかこれは違うなって思うこともあるかもしれないけど、それを経験するうちにどんどんやりたいことに近づいていくと思う。たくさん転職していると、よくないイメージもあるじゃないですか。堪え性がないだとか。でも、自分が納得する決断をしたほうがいいと思います。自分のことは自分にしかわからない。アドバイスしてくれる人の話は聞きつつ、自分で考えることも大切にしたいですね。


<中野の感想>

今回のイベントの途中、YouTubeに「『こんなはずじゃなかった』からがスタートだ」というコメントを書いてくれた人がいました。

思いがけず良かったり、逆にわるかったり。どんな結果になってもそれを活かして前に進んでいくことが大事なように感じました。

今回もたくさんの投稿ありがとうございました。

引き続き募集をしていますので、みなさんの話したいけど話せないこと、是非届けてください。

「話したい、けど話せない -クラブハウスにて-」

日時:2021年3月18日 20時〜21時

場所:クラブハウスにて行います。

また、クラブハウスで一緒にイベントで話してくれる方の募集をしています。

こちらのフォームからご連絡ください。

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