「取材の寄り道」は、日本仕事百貨のメールマガジンで連載しているコラムのひとつ。2018年春からはじまり、日本のさまざまな場所へ取材に赴く編集者たちが、何気ないできごとを綴ってきました。その一部をこちらでご紹介します。
「このシャープペン、キャップを閉めるときの『カチッ』という音がたまらないんですよ」
東京・自由が丘のセレクトショップ「katakana」にお邪魔したときのこと。店主の河野さんが、きらきらした表情で教えてくれたのがこのシャープペンシルです。
ぺんてるの『KERRY』。シャープペンに珍しく、キャップを外して使います。万年筆を思わせるデザインで、手に取るとずっしりと重い。聞くと、もう50年近く前に生まれたものだそうです。
さっそくキャップを外してみると、手のひらに響く「カチッ…」という音。目を細めながらわたしの手元を見つめるスタッフの皆さん。こんなに人を笑顔にさせるこのシャープペンって何ものだろう。思わず1本買ってしまいました。
帰りの車中、試しに使ってみることに。驚いたのがその書き心地。するする滑るように紙の上を走って、とても気持ちいい。もっと書きたい!今ではパスポート大のノートに挟んで、公私問わず持ち歩いています。
考えごとをしているときや手持ち無沙汰なとき、気づけば手で探ってしまうこのシャープペン。わたしの好きな言葉に「いい人はいいね」というものがありますが、それはものも同じ。いいものって、いいなあ。
(2018/7/11配信メールマガジンより 遠藤真利奈)
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