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地域を盛り上げるため、日本各地でさまざまな取り組みが行われています。役場の中で変わり者と呼ばれながらも突っ走る職員、地域おこし協力隊としてゼロから関係をつくっていく人、自分の得意分野を活かしながらプロジェクトを支える人たち。
多くの人が活躍し、おもしろい動きが地域発ではじまっていくのを連日目にするようになりました。
けれどその裏では、どうにも立ちゆかず人知れず終わっていくプロジェクトや、移り住んだその土地を静かに離れていく人たちの姿があるのも事実です。

サテライトオフィスの誘致やクリエイターズスクールというプロジェクトなどを行い、設立からわずか3年で町の社会人口を増やすことに貢献してきました。
今回はこの株式会社あわえに、広報や企画という役割で参画する人を募集します。
プロジェクトのパートナーとして、あらたな広報の役割を開拓し日本の地方を元気にする仕事です。
徳島空港から山を越え、車で1時間ほど。前回の取材での教訓を活かし早めに美波町に到着した。
うそみたいに青い海を眺めたり、町をぶらぶら歩いていると、やっぱり町の人から話しかけられる。
「東京から来たんか。ここは魚がうまいからな。わたしは嫌いだけど」
そうなんですか、新鮮でおいしいのに。
「父ちゃんが食べるのに毎日さばいとったら、嫌いにもなるでしょうが」
なんだか前からの知り合いと話をしているよう。美波町にまた来たんだな、と実感がわく。
銭湯を改装した事務所「初音湯」に向かうと、取締役の山下さんが出迎えてくれた。

「地域の人たちと、お互いが何者なのかを探りあっていたような3年間でした。今まで心配されてばかりだったのが、飲み会の席でぽろっと相談をし合うようになったり。人の付き合いってそれくらい時間をかけないと、わからないのかもしれませんね」
頼まれれば「なんでもやります!」と応えていた当初とくらべて、町の中で少しずつ役割が定まってきた感覚がある。
それは会社にも同じことが言えるそうだ。
試行錯誤を繰り返しながら、地域の写真をストックするデジタルアーカイブサービスやサテライトオフィスの誘致、都市部から若者を呼ぶクリエイターズスクールの実施など、少しずつ「あわえの仕事」をつくってきた。
「自分たちの仕事の範囲が決まってきたというか、事業の中核が見えてきた。ようやく自信を持って、商品として打ち出せるものができました」

対象になるのは全国各地で地域活性化に本気で取り組む人たち。
「たとえば、やる気はあるけれどどうしたらいいかわからない行政職員の方。そういう人たちを勇気づけて、やり方を学びもどってもらう。ほかに地域おこし協力隊向けのコースもあります」
組織を超えたプロジェクトの進め方、サテライトオフィスの誘致のノウハウや地域で行う広報の考え方など。今まであわえが美波町で経験してきたことをおしみなく伝えていく1週間になるそうだ。
研修の大きなテーマになっているのは、どうやって外から人を呼び、受け入れるか。
「美波町でやってきて、地域の人に1番喜ばれるのはやっぱり人が来たときなんですよ。観光客でも移住者でも、人が来てくれれば地域は元気になるんだと実感してきました」

人が住む場所を決めるのに大きな拘束力を持っているのが、どこで働くか。それを自由に選べる仕組みをつくる1つの方法がサテライトオフィス。
「企業を呼んでくるだけならそれほど難しくないかもしれません。けれどやってきた人たちが地域に馴染んでいくためには、いろいろとコツが必要なんです」
あたらしいことをはじめるときにはあの人に、不動産に関する相談はこの人に。地域にはその地域での役割やプライド、進め方がある。
「受け入れる準備のないところに人が入ると、トラブルが起きると思います。そうなると地元の人はディフェンスするしかなくなる。コンディションを整える方法を研修で学んでもらいます」
やり方がわかれば、いろんなかたちに応用できる。
東京の小学校に通う子どもが徳島で授業を受けても出席扱いになる、サテライトオフィスの学校版のようなこともはじまっているんだとか。

そうせざるを得ないくらい、社会が行き詰まっているということなんでしょうか。
「社会は変わっていくものですよね。それならおもしろいほうがいいんちゃいますか、っていうのが本音です」
なるほど。この真面目だけどあそび心がある感じが、あわえらしさなのかもしれない。
きっと美波町にも、あわえが起こした循環がじわじわと広がっているんじゃないかな。
「日本ってもっとすごい変化を起こすんじゃないかっていうのが根底にあるんです。循環を推進していくサービスを提供する人を育てる。コンサルティングでもクリエイターでもない、コミュニティを変えていくような存在を増やしていきたいんですよね」

今回募集する広報の人には、この研修自体を任せていきたい。
「あわえ自身の広報ももちろんですが、いろんな地域の広報を育てる、一緒に考えていくのが仕事です。地域の取り組みが都市部の人に振り向いてもらうのは、まだまだ難しい。そのために広報っていうのは必要なスキルなんです」
地域の広報は、ただメディアに対してプレスリリースを打てばいい、というわけではない。
SNSやWEBメディアなど情報があふれる今、届けたい相手に的確に情報を伝えるにはいろいろな工夫が必要になる。
1つのセオリーができたとしても、すべてのモノやコト、地域に当てはまるわけでもない。
PRする地域が増えれば、情報が似通ってしまうこともある。けれど地域間でがむしゃらに競争をするのもなんだか違う気がする。
広報というスキルを使って、あらたな領域を開拓していくような仕事なのかもしれない。
「都市部からけっこう冷めて田舎を見る目。逆に地方が大好きでその土地から考える目。どちらも持ち続けることが必要ですね」

そんなことを考えてきた人が仲間になると、心強い。
「広報というよりは、エバンジェリストという職業のほうがイメージに近いかもしれません」
エバンジェリストとは、そのサービスやプログラムを受け入れるとどんなことが起きるのか、未来が想像できるように伝える役割のこと。
「価値観が変化していくとき、どうなるのかを想像できないとこわくて動けない。イノベーションを仕掛ける立場には、どんなふうに変化をしていくのか、未来をちゃんと説明する責任があるんです」
プロジェクトをスムーズに進めるために、ちゃんと関わる人たちに伝えていくのも役割の1つ。
「地域や企業、関わるさまざまな人たちから、どんな利益が求められているのかをきちんと分析する必要がある。それを理解しながら伝えるビジネススキルがないと難しいと思います。僕らのパートナーとして、任せられる人が必要な段階になってきたんです」
今、あわえの広報を担っているのはこの春クリエイターズスクールを卒業した村松さん。

「あわえの広報ってちょっと変わってると思うんです」
たとえば自社のことだけではなく、美波町やサテライトオフィスを構える企業のことも話す。
メディアはもちろん、町民に向けて伝えることを意識している部分が多いのも特徴だと思う。
「協力者を増やしたいんです。なにをやっているのかわからないと『空き家使っていいよ』とか言いづらいですよね。交流のきっかけとして情報提供するのが、ここでの広報の大きな役割です」
頻繁に行われる飲み会や普段の会話、紙媒体を通して伝えていく。メディアに対して話すのと同じ言い回しをしても伝わらないから、ちゃんと工夫して話すことも気をつけている。
「サテライトオフィスとか地域おこし協力隊を呼んだものの、お互い理解できずに解散してしまう地域も少なくない。この場所、美波町を成功例にしていきたいんです」

「東京では仕事で関わる人、休日に遊ぶ友人くらいしか人間関係がありませんでした。ここではどんどんあたらしい人を紹介されるし、オンとオフの区切りがない。どこで誰が見ているかわからないので、人間が試されてるなって緊張感はありますよ(笑)でもそれが、楽しいんです」
サテライトオフィス・コンシェルジュとして働く室賀さんは、この町の人の”かっこよさ”に惹かれていると話してくれた。

最近はこの町にUターンで戻り、ファッションブランドを立ち上げた人も出てきている。
「ちゃんと自分の足で立っているというか。自分が大切にしていることを曲げなくても、しっかり生きている人たちが暮らす町なんです」
「クールな室賀も、今年は町の催事で乙姫役に選ばれてがんばってます。心が図太くないと、田舎でやっていくのは大変でしょうね(笑)」と山下さん。
「あそび心を持ちつつ、この田舎に勝負をしに来て欲しい。自分の可能性を信じて、今までの経験をここで爆発させてください。もちろんそんなに甘くないけれど、乗り越えたら旨い酒と魚。ご褒美は半端ないですよ」

きっとこれから、必要とされる力だと思います。あらたな分野の開拓者として、あわえのメンバーと一緒にチャレンジしてみませんか。
地域に根を張りふんばってきたあわえだからこそ、説得力のあるプロジェクトになると思います。
(2017/1/5 中嶋希実)