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自分を生きる

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

「自分自身がどうありたいか。それは誰かが教えてくれることではなくて、自分で探さないといかんのよね。それがわかれば、自分で決めていくことができるから」

これは株式会社リレイションの祁答院(けどういん)さんが話してくれたこと。

リレイションは徳島県神山町を中心に、地域マネジメントや情報発信、人材育成をしている会社です。

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事業の核となっているのが、7年前から取り組んできた「神山塾」。日本全国から集まってくる塾生に、田舎で暮らし、自分と向き合う機会をつくってきました。

これまでに120人もの人たちがこの時間を過ごし、今、それぞれの道を歩んでいます。

募集するのは職業訓練の制度を使い、今年も開催される神山塾で半年間を過ごす人。神山塾10期生として、自分の「あり方」を見つけていくことになります。

地域で活動するための考え方を学び、イベントや情報発信などで実践をする。

スキルを学ぶというよりも、ここに身を置いてみるというほうが近い時間になると思います。

  
東京から飛行機に乗ると、1時間で徳島阿波おどり空港に到着。

「久しぶりやね、最近どうなん」

徳島市内にあるリレイションの拠点で、代表の祁答院(けどういん)さんが出迎えてくれた。

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徳島市で不動産のコンサルティングをしていた祁答院さんが、車で40分ほど離れた神山町を訪れたのが9年ほど前のこと。

田舎で暮らすおじいちゃんやおばあちゃんの生きる力に魅了され、神山に通うようになったそう。

当時、神山は地元の人たちが立ち上げたNPO法人グリーンバレーの活動が広がり、さまざまな人が出入りする地域になりはじめていたころ。

今では世界中から移住者が集まり、たくさんのプロジェクトが生まれる場所になっている。

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その動きの1つとして、グリーンバレーとともに祁答院さんがはじめたのが神山塾。

地域でプロジェクトを進めるための座学やワークショップ、農作業など地域の手伝いをしながら、神山での生活のなかで、自分と向き合う時間を過ごす。

120人を超える卒業生には、起業や就職をして神山に残る人、違う地域に移り活動をはじめた人、地元に戻り神山に来る前と同じ生活をしている人もいる。

「最初は、なんで草刈りの手伝いなんてするんだって思うかもしれない。何でもやってみないとわからんのよ。頭でぐるぐる考えて諦めるんじゃなくて、まずはやってみる。そうしているうちに、自分のものさしが見えてくるから」

今までとは違う環境に身を置いて、今までと違うことをしてみる。

実際にやってみることで、自分がやりたいこと、やりたくないことの輪郭がくっきりしてくる。

地域のおじいちゃんやおばあちゃん、移住してサテライトオフィスで働く人たち、そして一緒に半年を過ごす塾生。この町で暮らすさまざまな生き方に触れることで、視野が広がっていくんだと思う。

「立ち止まって、自分と向き合う時間が神山塾やから。あらためて自分にとって大切なもの、譲れないものに気がつく機会になればいいと思う。しんどさもあるけどね。まずは自分の直感を信じてみてほしいな」

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「具体的な目標は用意する。ただ、それをやる意味は自分で考えてもらいたいんよね。説明されてわかった気になることと、自分で考えて、経験して腑に落ちたことっていうのはやっぱり違うから」

手取り足取り、なんでも教えてくれる場というわけではない。

自分で考えて動かないと、単なる田舎体験をしているうちに時間が過ぎてしまう。

「まずは自分のために、素直に今を生きてほしい。もちろん自己中心ではなくてね。自分を大切にした上で、自分が一緒に生きたいと思う仲間や場所を選ぶことができるようになっていく姿を見てきたから」

自分の気持ちに正直に。あわただしく過ぎていく日々の中で、後回しにしがちなことかもしれないな。

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神山塾の運営を軸にしてきたリレイションの事業内容は、ここ数年で大きく変わってきている。

「ずっと神山ブランドにぶら下がっているんじゃなくてね。リレイションとしては全国各地に拠点を持ちながら、多面的に仕事をつくっていきたいと思っています」

今は北海道の浦幌町にもスタッフが常駐したり、いくつかの場所で地域を盛り上げるプロジェクトが動いている。まちづくりをする会社のようにも見えるのだけれども、リレイションが行っているのは関係性を育む意識づくり。

「今まで神山で経験してきたことを、ほかの地域でも実践しています。基本的には、そこに集まった人材を活かそうっていうことなんです。年寄りと若者、都会の人と地元の人。それぞれができることを見せびらかすよりも、できないことを認め合うところから共創の関係がはじまるんだよね」

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神山塾を卒業したあと、そのままリレイションの社員になるメンバーも増えてきた。今回の塾生からも、一緒に働けるような人がいたらうれしい。

「お互いさまで助け合いながら、理想を突き詰めていく仲間です。きれい事でいったら、ファミリーみたいな関係をつくっていきたい。僕、基本暑苦しいんで、そのへんは覚悟しといてもらえたら(笑)」

  
そんな祁答院さんと一緒に働いている穴井さんも、以前日本仕事百貨で紹介した「自分で決める」という記事を読み、7期生として神山での時間を過ごした1人。

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「大学は偏差値で、就職はネームバリューで決めました。5年ほど働いたころに、ふと、僕も周りの上司や先輩のようになるのかなって考えたら、つまらないと感じてしまって。自分の好きなように生きようと思いました」

1年間オーストラリアで過ごした後、東北での復興支援もしくは青年海外協力隊に行くことを考え、通過点として参加したのが神山塾だった。

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16人いた7期生は、年齢もそれまでの経験もバラバラ。一緒にイベントを企画するときにも、考えていることをちゃんと伝えないと話が進んでいかなかった。

感覚で話をする塾生に対して、理論的に考える穴井さんは「どうしてちゃんと説明できないの?」と口にしてしまったことがあったんだそう。

「みんなそんなふうに説明できる人ばっかりじゃないんだよって言われて」

「そりゃそうだよねって。どこかでみんな自分と同じ感覚を持っているんだと勘違いしていたんでしょうね。多様性を感じたというか、たくさんあたらしい発見をすることができました」

  
1ヶ月の共同生活が過ぎると、どこに住むかは自由になる。神山町内での民泊や徳島市内から通うことを選ぶ人もいる中で、穴井さんはリレイションが運営するゲストハウス山姥で暮らすことを選んだ。

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神山の中心地からは車で15分の、山の中に佇む築160年の古民家。都会の生活に比べると、不便なことも多いと思う。

「大変なことって忘れちゃうんですよね(笑)夜になったら星がきれいだし、薪でたいたお風呂はすごく気持ちがいいし、近所のおばちゃんたちはおもしろい。あたらしい体験の連続で、本当に楽しかったんですよ」

山姥のオーナーさんは家やサウナなど、なんでも自分たちでつくってしまうご夫妻。

神山では多くの家に自分の畑があるし、ごみの収集頻度が少ないのでコンポストもある。都会では人に任せきりになっていることを自分でやらざるを得ない分、自分でできることが増えていくのかもしれない。

「神山塾は期間が決まっているので、1日1日を一生懸命、集中して過ごしました。その日々の積み重ねが、将来の自分をつくっていくとあらためて感じて。この経験を誰かに伝えることに意味があると思って、次はここで働くことにしました」

  
前田さんも、7期生を経てリレイションで働くことにした人。フランクな穴井さんに比べて、第一印象はきちっとした雰囲気。

「クールに斜に構えてる風なんですけど、装ってるんですよ。本当は(笑)」

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行政書士の資格を持っているという前田さん。どうして神山塾に参加することになったんだろう。

「リゾート開発をする会社で、沖縄の小浜島という場所でホテル立ち上げる仕事を担当しました。地域の人とつながるために飲み会に参加するようになって、ベタな言い方なんですけど、そこで人の優しさに触れたというか。それが地域に関心を持つようになったきっかけです」

地域で働ける仕事を調べていくうちにたどり着いたのが、リレイションだった。

「正直得体の知れない会社だけど、おもしろそうかなって。もともとここで働くことを見据えて、神山塾に参加しました」

「僕、生意気な性格っていう自覚はあって。地域に馴染めないとか、嫌われるようなことも覚悟して来たんです。でも、ここでは本質を見てくれているというか。地域の人たちが気にかけて、応援してくれました」

イベントを開催するときもサポート側にまわるなど、裏方として活動することが多かった前田さん。その姿を知っていて、地域の人が声をかけてくれる。

「ちゃんと自分を見てくれて、塾生を分け隔てなく扱ってくれることが嬉しくて。救われたというか、欠如していた部分が再生されていく期間でした」

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「やったらええんちゃう」

神山を訪れる度に、この言葉を耳にします。

ここには、試してみる人を応援するような空気感が流れている。

やってみてここに残ってもいいし、自信をつけたら新しい場所に行ってもいい。失敗をすることで、学ぶことも多いはず。

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今回の取材では、神山塾を卒業した2人が自分のことを正直に話してくれるのが印象的でした。

それはきっと自分に向き合う時間を過ごして、自分らしくいられる場所を選んだからできること。

自分を大切に生きる時間をここで過ごしてみませんか。

(2017/5/30 取材 中嶋希実)

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