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美しいと思うものを
まっすぐ突き詰め、形にする
noguchiのものづくり

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

身につける人にそっと馴染み、魅力を引き出したり、気持ちを明るくしてくれたり。

そんなふうに、持ち主の心を動かすようなジュエリーやアクセサリーをつくっている、『noguchi』というブランドがあります。

noguchiの商品に、なぜ人は心動かされるのか。

取材を通して、わたしは、つくり手のみなさんのまっすぐ製作と向き合う姿勢が、その理由の一つだと感じました。

「つくる人自身が美しいと思うものを突き詰めて、形にしていく。ちょっと違うと思えばやり直しますし、なかなか予定通りにはいきません。でもそれが、僕らの仕事だと思っています」

今回は、noguchiのものづくりを支える、製作スタッフを募集します。

まったくの未経験だと難しいけれど、美術系の専門学校や大学を卒業した人には興味を持ってほしいとのこと。

手間ひまをいとわず、いいと思うものをつくりあげる。

ものをつくるということに本気で向き合える場所だと思います。

 
表参道駅から、アパレルショップなどが軒を連ねる華やかな通りを進んでいく。

根津美術館の交差点で右に曲がり、さらに歩くこと5分。六本木通り沿いに位置するビルに到着。ここの2階にnoguchiのアトリエがある。

トルソーやガラスケースが置かれた室内には、落ち着いた雰囲気が漂う。

自然光の差し込む一室で話を伺ったのは、代表の野口さん。

穏やかな語り口調が印象的。

もともと国内外で洋服づくりを学び、デザイナーを目指していた野口さん。

洋服が好きなことは変わらなかったものの、立ち止まって自らの進路を見つめ直す機会もあったという。

「ファッションにしか興味はなかったから、そのなかで好きな仕事を探していて。あるとき、アクセサリーをつくってみようと思ったんですね」

最初は、当時一緒に暮らしていたおばあさまに、シルバーの指輪を手づくりして贈ったのだそう。

「技術も何もなかったから、非常に簡単なものだったんですけど。思ったよりつくるのが面白くて」

それはどんなところが?

「まず、自分一人の力で完結できるところ。洋服をつくっていたときは、自分がデザインしたあとは、パターンを引いてもらったり、生地屋さんに素材を発注したり。自分でできない範囲がすごく広くて」

「それに比べてアクセサリーは、自分の頭の中にあるイメージと近いものを、形にしやすかったんです」

独学で製作に向き合い続けるうちに、自分の仕事になっていった。

2004年、ジュエリーブランド『noguchi』を立ち上げる。

どの商品も、デザインから商品の原型とファーストサンプルをつくるところまで、野口さんが手掛けている。

一般的に多くのジュエリーブランドでは、デザイン後の製作はデザイナーの手を離れるのが主流のなか、noguchiでは、デザイナー自らが手を動かしている。 

野口さんは、どんなふうに頭の中のイメージをデザインに落とし込み、形にしていくのだろう。

「いつも心に留めているのは、洋服とともにあることというか」

洋服とともにある。

「きらびやかな宝石だけで主張して見せるのではなく、もっとコーディネートの一つとして楽しんでもらえるものがあればいいのにと思っていて」

「女性が好きな服を着たときに、よりコーディネートのバランスが引き締まったり、華やかになったり。持ち主の気持ちを浮き立たせるようなジュエリーやアクセサリーをつくることができたらと思いますね」

デザインは、こんな雰囲気の格好にはこういうピアスが合うんじゃないか、というラフな絵から描きはじめるのだそう。

地金の色や大きさ、素材感など、具体的な要素を検討しつつ、もう少し小さくて厚みがあったほうがいい、丸みを持たせたほうがいいかもしれない… というように、細かなニュアンスまでイメージを膨らませていく。

描いては消してを繰り返すうちに、いろんな商品のデザインができあがる。

デザインをもとに形づくったら、地金を磨いたりバーナーで炙ったり、さまざまな加工を施していく。

「ただ、つくってみたら意外と良くないなと思うものも出てきたりするので。商品化に至らずお蔵入りするものもあります」

そうなんですか。

「はい。そのときにできた良いものだけが、春と秋の年2回発表するコレクションに加わります。だから、種類も個数も毎回同じじゃなくて、非常にムラがあるというか」

良いものかどうかの判断基準はどこにあるのでしょう。

「一つは、いろんなスタッフに試着してもらいます。肌色も髪型も違うなかで、良いものというのは、比較的どんな人が身につけても似合う。逆に良いと思えないものは、どこか違和感があるんです」

「そうなってしまうとやっぱり違うし。発表するわけにはいかないですよね」

売れるように計画して商品をつくるのではなく、本当にいいと思うものを追い求めた先に、商品が生まれていく。その商品を手に取りよろこんでくれるお客さまがいて、自分たちに還元される。

「目先の利益や知名度を得ることより、好きなものをじっくりつくる、ということのほうが大切なのかなと思って」

良いものをつくるためには、製作スタッフの創造性も必要だと、野口さんは話す。

「製作するその人がきれいだと思う形をとことん突き詰める、ということをやってもらっています」

「自分の美意識を探る、というとちょっと大げさなんですけど…。自分が美しいと思うものを見極め、具体的な形にしていくことが僕らの仕事、と言ってもいいのかな」

何かを見て、いいと感じる部分、あるいは何か違うと感じる部分はどこなのか。本当にこれでいいのか。

自分に問いかけながら、試行錯誤して形にする。それを何度も繰り返す。

「そうして、『これはいい』と思えるところまでもっていく。そうすれば良いものはできるのかな、と思っているので」

「製作を通して自分の美意識を深めていき、ゆくゆくは、自分でデザインしたものを形にしていくところまでやってもらいたいです。両方できれば、その人自身の仕事の可能性がより広がりますよね」

そんな考えから、noguchiの製作スタッフには、ジュエリーの製作だけでなく、コレクションやブランドづくりに必要なデザインを幅広く手掛けられるようになることが求められるという。

 
続いて話を伺ったのは、製作スタッフの坂井さん。noguchiのものづくりに対する姿勢に共感して入社した方。

「大学でジュエリーのデザインと製作を学んできて、前職ではデザイン事務所でアクセサリーをつくる仕事に携わっていました」

「ずっと考えていたのは、自分に違和感のないものづくりをするためには、思考と技術の両方を伴う必要があるということ。思考面・技術面ともに、スキルアップしたいという気持ちが強くなりました」

そんな坂井さんが、普段から身につけていたのがnoguchiの指輪だった。

魅力に惹かれて応募。デザイナー自身がつくり手であることを知り、面接でスタッフの人たちと話すうちに、ものづくりのスタンスにも共感する気持ちが生まれていった。

2年ほど前に京都から上京。

会社に入ってからは、まず先輩から商品の仕上げの方法を教わった。

これから入る人も、商品の仕上げ方を覚えるために、最初は修理品の管理からはじめることになる。

商品の状態をチェックし、どういう修理が必要なのか判断できるようになってきたら、実際に手を動かして修理する。

徐々に新作の仕上げにも携わっていく。

「noguchiのジュエリーは、数百種類もある商品一つひとつの仕上げ方が違っていて。なおかつすごく独特なんです。毎日、本当に驚きの連続でした」

たとえば?

「たとえば、一般的には金属を黒くするとき、薬品を使うことが多いんです。それをnoguchiでは、薬品を使わず独自の方法で燻したような黒の陰影を表現しています」

地金の色も、金属の配合による色の違いではなく、たった1種類の金属を加工していくことで、ほんのりとしたピンク色や黄色など、微妙な色味の違いを自分たちでつくっていく。

「商品によっては見分けがつかないほどの色の差だったりするんです。何通りもの色や陰影の雰囲気、テクスチャーの組み合わせ。それぞれの違いに対する感覚をつかむことが最初のステップでした」

「正直、なんでわざわざこんなに面倒くさいことするんだろう?って思うこともありましたね(笑)」

でも、それがいいなと思ったんですか?

「そうですね。やっぱり、人が一個一個仕上げるからこそできることですし。それに、仕上げへのこだわりや手仕事の良さを、働いている人たちみんなが共有できていて。それがすごくいいなと思いました」

製作管理を長く務めている女性スタッフの方もいて、野口さんと3人で過去のサンプルをヒントにしながら、最終的にどう仕上げるかを考えることが多いという。

「野口さんは指示を出すというより、あなたはどう思う?と聞いてくださるので。そういう意味で、思考面もすごく鍛えられます」

現在は、原型の仕上げや修理品の加工のほかにも、ジュエリーに関連したデザインを手掛けている坂井さん。

現在デザインしている最中だという、ブレスレットに入れる刻印のフォントデザインについて教えてくれた。

「アルファベットAからZまでの大文字小文字と、数字をデザインしています」

「最初に野口さんが描いてくださったラフ画を、ペンで濃く描き起こして。それをパソコンでデータ化すると、形は整うものの、最初の印象とギャップが出てくるんです」

文字の厚みや流れを再度見直していく。そもそもこれでいいのかと、大元に立ち返ってみることも。

手書きのようにかすれた感じを出してみよう、小さなドットで表してみたらどうだろうと、あれこれ考えていく。

「ある程度方向性が固まってきてからも、0.1mmほどの単位で、文字の跳ね上がりや傾きを調節していったり。何十回も話し合いましたね」

思わずため息が出そうになるほど、いくつもの段階を経てつくられている。

「野口さんの感覚に近づけていくのは、根気のいることです。でも、こうやってデザイナーと近い距離感でやらせてもらっていることで、自分の感覚も研ぎ澄まされていくというか」

「何を美しいと思うか、その感覚を自分の中でもっと育てて、野口さんの感覚とよりテンポよくすり合わせていけるようになりたいですね」

年に2回、パリでのコレクション発表に加え、急遽イベント出店が決まることもある。それに伴い、製作はもちろん、ブランドイメージに関わるデザインにも携わることになるので、仕事の波は激しいほうとのこと。

坂井さんは、どんな人が向いていると思いますか?

「本当に一点一点向き合ってつくっているので。手間をかけることも楽しめる人。ものづくりが好きな人がいいかなと思います」

美しいと思うものを突き詰めて、粘り強く頭と手を動かしていく。

そんなふうにものをつくる姿勢が、noguchiの世界観をつくっているのだと思います。

( 2018/07/17 取材 後藤響子)

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