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自分の仕事を
秘境の村で発明する

いろんな地域が、人口減少を食い止められずに困っている。

学校や仕事がないから、若い人は離れていく。そしてさらに学校も仕事も減っていく。

日本三大秘境のひとつ、椎葉村もまた同じ課題に直面しています。

けれど椎葉村の人たちは、そこで諦めることはしませんでした。

たとえば村の人と都市部の人がそれぞれの関わり方で一緒に事業をつくったり、村内でテレワーカーの育成を始めたり。

この村に暮らす人たちの話を聞いていると、「都会」や「田舎」という括りはもはや必要ないんじゃないかと思えてきます。どこにいたって、もっと自由に柔軟に、仕事を生み出していくことができる。そんな可能性を感じる村です。

今回は、ここで2つの役割を募集します。

1つ目は、これから村の拠点となる新しい複合施設で、図書スペースを担当する司書。カフェやラボスペース、シェアオフィスなども併設する複合施設なので、本に関することだけでなく、施設全体の運営やイベント企画も含めて広く関わることになりそうです。

2つ目は、村内にある地域資源を発掘し、自ら仕事をつくっていく起業型プランナー。

どちらも経験は問いません。まずは地域おこし協力隊として活動を始め、3年の任期が明けたあとも自身の生業にしてもらえたらと考えています。

椎葉村までは、熊本空港から車で2時間ほど。宮崎空港からも、電車とバスを乗り継いで行ける。

椎葉村を訪れるのはこれで2度目。季節が違うと、村の風景も大きく変わる。山あいを抜けていく道中は、さまざまな表情が見られてとても面白い。

村には、すでに12人の地域おこし協力隊が移り住み活動している。

協力隊のミッションは、一般的に地域を活性化する目的で定められていることが多い。

一方で、椎葉村の掲げるミッションはどれも自分の仕事として続けていけるように考えられている。たとえば村で培ってきた暮らしの知恵を次世代に受け継ぐ「椎葉百姓なりわい塾」を運営したり、雑穀を育てて販売・PRも行う「雑穀女子」になったり。

まずはきちんと生活していける土台をつくること。そうやって初めて地域で生きていくことができると村は考えている。

さらに今年は、Local LAB Shiibaという共同体も発足した。

村で暮らす人たちへの取材・記事作成を通して地域の魅力を発信するプロジェクトや、暮らし方を問い直すシェアハウスのプロジェクトが進行中。

東京をはじめ、全国から人が集まり村の人と一緒に活動している。多様な生き方、働き方に触れられる場所になってきた。

村の中心部に到着。迎えてくれたのは、地域おこし協力隊として活動する朋美さんと上野さん。

2人は、今回募集する司書さんと一緒に、新しい施設の管理運営を担当する予定です。

朋美さんは、1児の母であり、元SE。その経験を生かして、地元のお母さんたちと一緒に、場所や時間にとらわれないテレワーカーとしての働き方を構築してきた。

「村は農業に関わる人が多いんですが、ちょっと手が空く隙間の時間や、子育て中で外では働けない時間も有効に使えないかなと思ったのがきっかけなんです」

パソコンの使い方を習得するために全4回のセミナーを2度開催し、20名以上が無事に卒業。テレワークセンターを立ち上げ、少しずつではあるけれど、個人で仕事を受け収入を得る人も出てきているのだとか。

「それでも、常に仕事があるという状況はまだつくれていなくて。役場や議会からの仕事も入ってきているので、テレワーカーのみなさんに渡す準備をしているところです」

さらに、朋美さんは村内外に椎葉の人の魅力を伝えるプロジェクトのリーダーでもある。最近は村外から訪ねてくる人の対応で、てんてこまいなのだそう。

話を聞いていると、順調に新しい取り組みを根付かせているように思う。だけど、経験もないことを始めるには不安が大きかったという。

「2年前に着任してから、役場や地域の人に協力してもらいながらここまできて。急に訪問者が現れても『うちに泊まっていっていいよ』って声をかけてくれたり、私に余裕がないときはごはんをご馳走してくれたり。自分もこの村でこんなふうに年を重ねていきたいって思います」

「でも、あまりに一気に物事が進んだので、それ以上に怖さもあって。さらに新しい施設ができると聞いて、このまま突き進んでいいのかな、私でいいのかなって。運営者に手を挙げることに、なかなか踏ん切りがつきませんでした」

そんな朋美さんの背中を押したのが、上野さん。

「僕は単純に、すごく楽しそうだなと思って。複合施設ですから、どんな人でも関われる余白があると思ったんです」

上野さんは、宮崎県出身の元銀行マン。いつかは独立して自分の仕事をつくりたいという思いから、椎葉村にやってきた。

「独立はしたいけれど、自分は何をやりたいんだろうとずっと考えていて。渓流釣りや登山とかアウトドアが好きなので、自然の中にいきたいなという思いもありました。すごい安直なんですけど、じゃあ田舎で農業すればいいんじゃないかと。農業って個人事業主だし」

「椎葉の存在は知っていたけど、あんな遠いところよういかんと思っていて(笑)でもちょうど農業の協力隊の募集があったし、村の農家さんは新しい作物の栽培に挑戦しながら、暮らしも楽しんでいて。自分もそんなふうに生きてみたいと思ったんです」

働き始めると、一口に農業といっても、栽培だけでなく販売や総務経理など、個人事業主としてさまざまな仕事をやらなくてはいけないことに気づいた。ならば自分でホームページをつくることもあるかもしれないと、テレワーカーのセミナーにも参加。

協力隊のミッションに縛られずに、さまざまな活動をしている。

「外から見ると、中途半端に手を出しているように見えるかもしれないけれど、自分の仕事をつくっていくにはいろんな経験が必要だと思っています。ここはそういうことも自由にさせてくれるので、すごくいい環境なんです」

朋美さんと上野さんは、これから「UIキャスト」という法人を立ち上げ、村内テレワーカーの育成事業と新たな複合施設の指定管理を担当していく予定だ。

複合施設のオープンは2020年の4月。来年はその準備期間となる。

具体的には、どんな活動をしていくのでしょうか。

答えてくれたのは朋美さん。

「新しい施設はこれから建設予定なんです。まずは先行して稼働しているテレワークセンターに机を構えて、私たち2人と一緒に準備を進めていくことになりますね」

「どんな施設が求められているのか、村の人たちの声を拾うことから始めていて。この前は小学生に、今度は中学生に話を聞きにいくんですけど。どんなやり方ならみんなが意見を言いやすいか、その方法から考えています」

さらに、地域の人たちに施設のことを知ってもらうため、イベントへの出店も企画している。

施設のあり方も、その使い方も模索している真っ最中。一つひとつ試してみながら、何が必要で、どんなことができるのか確かめていく1年になると思う。

上野さんも頷きながら、言葉を続ける。

「だからこの施設が求めている司書っていうのは、本の貸し借りだけをする人ではなくて。この施設全体を管理したり、イベントをつくったり。そういうことを僕らと一緒にやってくれる人に来てもらえたらと思います。隣には保育所もできるんですよ」

子どもを預けたお母さんたちが情報交換をしたり、趣味のサークル活動をはじめたり。キッチンではおばあちゃんが講師になって、村に伝わるお漬物のつくり方を教えてくれる。図書スペースでは小学生たちが勉強をはじめた。

そんなふうに、人が集いつながる場所になればと二人は思い描いている。

「私たちは地域の人が主体的に動くのを促す役割でもある。ずっと運営側が仕切ってもいけないなって。規模が大きくて、想像しにくいかもしれないけれど、楽しみながら挑んでくれる人に来てもらえたらうれしいです」

今回は新しい施設の運営に関わる人のほかに、もう一つ役割を募集します。

決められたミッションを持たずに、自分で生業をつくっていく起業型プランナーという関わり方です。

自由度が高い反面、すべてを自分でつくるのはハードルが高いと感じる人もいるかもしれない。そんなときには、村内の人からヒントをもらったり、一緒に事業を始めることもできそうです。

話を聞かせてくれたのは椎葉昌史さん。

村でお蕎麦屋さんの経営と、蕎麦の実や豆乳など土地の食材を使ったお菓子の製造販売をしている。

一時は東京に出て、料理人として働いていたこともあるのだとか。明るくて、とても気さくに話しかけてくれる方です。

「実は村で農業をやっている生産者さんや、僕らみたいなお菓子をつくる人たちの最大の悩みって、美味しいものをつくることじゃなくて、販売することなんですよ」

販売すること、ですか。

「そう。みんな口下手で新しい売り先を見つけられなかったり、イベントに出展したくても人手が足りなくて行けなかったり。だから生産者と消費者の隙間を埋める人が必要なのかなって思います」

新しく入る人は、たとえば、椎葉村の商品を買い付け、地域商社として活動することもできると思う。仕入れた商品を村外のイベントなどで発信すれば、村にもお金がまわる。

商品を手に取ってくれた人の意見をつくり手に伝えることもできそう。味やパッケージを工夫すれば商品の魅力も増して、さらに手に取ってくれる人が増えるかもしれない。

「展示会に一緒に来てくれたらすごく助かるし、僕の知り合いも紹介できる。そうすると、別の仕事もどんどん生まれると思うんですよ」

「椎葉って売りがないと思われがちですけど、実は結構いろんな素材があって。棚田で育てているお米をブランド米として売り出してもいいだろうし、僕は来年、蕎麦のビールをつくろうと思っていて。ビール3000本を、たった30キロの蕎麦でつくれるらしいんですよ」

少し話を聞いただけでも、昌史さんからは次々にアイデアが湧いてくる。

地域の農業を守り、子どもたちが帰って来る場所を残しておくために。できることから始めていきたいと話してくれた。

このほかにも、たとえば日本酒が好き、郷土料理を残していきたい、など既にやりたいことがあるならこの村で始めてもいいそう。自分の生業をつくっていきたい人にとっては、村内外のアイデアを掛け合わせていろいろな試みができる絶好の機会だと思う。

最後に、朋美さんの言葉を紹介します。

「見たことがないものをつくる、怖さもあるんですけど。いい仲間が揃ってきているなというのは感じていて。上野さんも、役場の人も、地域の人も何かやりたいと思ったときには手を貸してくれたり、アイデアを出してくれたりする人が本当に多いんです」

「だから安心して来てほしいなって思っています」

11/14(水)には、上野さんと朋美さんをお呼びして「しごとバー」も開催します。ぜひ直接、2人と話をしてみてください。

(2018/10/15 取材 並木仁美)

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