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【西粟倉10の生き方:その2】
可能性にあふれた村で
ビジネスの芽を育む番頭さん

「たとえば、大きな家に独りで暮らしているおばあさんがいるとして。使っていない空き部屋を移住者に貸して食事付きの寮にするとか、ゲストハウスとして旅行者に貸し出すとか。それがいくつかあれば、村全体をひとつのホテルのように運用することもできる。アイデアだけなら、100から200は出せますよ」

大きく育ちそうな芽がたくさんあるのに、自分一人の時間と労力だけで経営管理から現場のことまで賄うには限界がある。

そんな状況に頭を悩ませているのは、エーゼロ株式会社の牧さん。岡山県・西粟倉村を拠点に、ローカルベンチャーに取り組み続けてきた人です。

今回は、牧さんの右腕として地域経済を加速させていくための、経営管理部長を募集します。

財務を管理しつつ組織をまとめていく、番頭さんのような役割です。

話を聞くために訪ねたのは、西粟倉村内にあるエーゼロの事務所。廃校となった影石小学校の校舎の2階にある応接室で話を聞く。

代表の牧さんにお会いするのは約半年ぶり。

牧さんはエーゼロとは別に、西粟倉内で木材加工の会社も経営している。さらに北海道の厚真や、滋賀県・高島などほかの拠点のローカルベンチャーもサポートしている。

「最近エーゼロでは、社員との打合わせをひとり30分ずつにさせてもらっていて。それだと1日に15件くらいは打合わせができる計算ですよね…」

相変わらず、かなりお忙しそう。

「僕も大変なんですけど、このままではスタッフにも悪いなあと思うんです。これから会社が成長していくためには、僕との間に立って社員一人ひとりに寄り添いながら、それぞれの事業を支えてくれるような人が必要なんですよ」

エーゼロには、地域の起業家をサポートするローカルベンチャー支援室のほか、移住者の生活を支える不動産事業、さらには自然資本事業としてのうなぎの養殖など、それぞれの部署でいろんな事業が進んでいる。

創業から3年。スタッフが30名を超えた社内だけでも、さまざまなプロジェクトが並行して成長している。さらに、村内外の起業家や自治体との折衝も含めると、経営企画から事業管理まで、代表の牧さんが一人で統括するのは難しい状況になってきた。

しかし牧さんには既存の事業以外にも、まだまだ新しい可能性が見えているという。

「地域経済っていうのは、生態系みたいなもので。大企業が一社で牽引していくものではなくて、小さい事業が有機的に結びつきながら枝葉を伸ばして育っていく。僕が描いているのは、そういうシナリオなんです」

たとえば今の状況だと、どんな“枝葉”の可能性があるんですか。

「まず、うなぎの養殖という事業があったので、その排水を活用して農業をはじめたんです。さらに、そのスタッフが育ってきたので、今年からお米づくりをしていこうとしていて」

「農地を借りるだけでも手続きがいるし、事業を拡大するために放棄農地を買い取るとなると、子会社で農業法人をつくる必要がある。事業を広げるたびに、採用や法的な手続き、いろんな実務が発生する。そこを的確にできる人がいれば、ものごとの進むスピードを上げていけるんですけど」

それが、今回募集する経営管理部長の役割ということですね。

“うなぎ”や“木材”など個々の事業に対する専門性や、牧さんのような新しい事業に対する発想力というよりも、この仕事で必要なのはアイデアを実現するための経営的な視点。

「銀行員として中小企業の融資を担当していた人や、ベンチャー企業で管理の仕事をしていた人とか。要は成長していく会社に、財務の面から関わった経験があるといい。もちろん、財務や総務、労務など、経験としてすべてを網羅していなくても、それぞれの専門家に相談しながら運営を進めていくことはできると思います」

中長期の資本計画を立てたり、採用や人事評価の仕組みを整えたり。

やはり中堅以上の経験者というイメージでしょうか。

「そうですね…。ただ、一概に『若手にはできない』とは言えない。トラブルに直面したときにがむしゃらに頑張っていく体力も必要だし。番頭さん本人に成長する気持ちがなければ、事業は大きくならないですからね」

自分自身も向上心を持って、社内の人事組織を強化していく。

数字だけでなく、働く人が心身ともに健康であることを自分の喜びに変えられるようなマインドも必要なのかもしれない。

「優しく、厳しく、それで実務経験もあるような人…。ちょっと贅沢かな(笑)。もし、そういう人がいてくれたら、地域そのものがよくなるスピードがぐんと上がるんですよね」

ローカルで起業する人を支えたり、村の産業につながりを生み出したり。エーゼロの事業は、言い換えれば地域の経済を支えること。

エーゼロの中核を担う経営管理部長は、会社だけでなく地域のために仕事をしていくような感覚なのだと思う。

「たぶん同じような経営や財務の仕事でも、都市部の会社では味わえないような喜びがある。東京の会社をがんばって成長させても、東京が変わる手ざわりみたいなものは感じにくいですよね」

変わる手ざわり。

「僕らがフィールドにしている西粟倉村の人口は1500人。いろんなものがつながって変化していく実感があって、目の前の人たちとそれを共有できるんです。大きな変化を感じるまでには10年くらいかかるんですけどね」

漠然とした“社会”に対してではなくて、自分も含めて身近な人たちの所属するコミュニティに直接働きかけることができる仕事。

次世代の子どもたちにとってふるさとになる場所を、自分の手で豊かに育むことにもつながる。

過疎というイメージに隠れた無数の可能性と、自分のキャリア、家族の将来。

一つひとつの点がつながれば、地域の仕事はもっとおもしろくなると思います。

(2019/2/4 取材 高橋佑香子)

※エーゼロ株式会社も参加する、西粟倉村内の企業の合同説明会「小さな村のしごとフェス」が3/21に、大阪・心斎橋のW CAFEで開催されます。

日本仕事百貨では、イベントに参加する9つの企業を紹介しています。いろんな仕事があるので、西粟倉のことが気になったら、まずは読んでみてください。

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