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仕事も暮らしも
実り豊かに
観光まちづくり

長野県・松川町。

県南部に位置し、中央アルプスと南アルプスに囲まれたこのまちは、どこにいても山々がよく見える。

水はけの良い土壌で、太陽をたくさん浴びて育った果物がこのまちの名産です。

そんな松川町で2016年からはじまっている、観光まちづくり。

恵まれた自然や、そこでの暮らしの楽しみ方など、もともとある資源を生かした観光プログラムを通じて、地域の活性化を目指す取り組みです。

今回は地域おこし協力隊として、松川町の観光まちづくりに携わる人を募集します。

自然体験施設や温泉旅館など、町内のさまざまな観光拠点を舞台に、集客や広報、インバウンド対応、宿泊やアウトドア施設の運営など、自分の興味や得意に合わせて観光プログラムを企画・運営していくことになります。

自然や地域の人との関わりを楽しみながら働きたいなら、きっとこのまちを楽しむことができると思います。



バスタ新宿から、高速バスに乗って3時間半ほど。松川町のバス停に降り立つと、少し空気がひんやりしていて、秋が近づいているのを感じる。

町内にはいたるところにりんごや梨、ぶどうなどの果樹が植えられている。あまり見慣れない風景だけれど、ここでは当たり前のことみたい。

松川町が本格的に観光まちづくりに取り組みはじめたのは、2年前のこと。

果物狩りで人気の農園はもともとあったものの、町内でも一部の地区に偏っている上に、日帰りの観光バスで訪れる観光客と地域の人とが交わる機会は少なかった。多くの地域住民にとって、観光は限られた一部の人たちだけのものだったという。

一過性のイベントや大規模な開発ではなく、豊かな自然を体験したり、地域住民と一緒に過ごしたり。このまちのありのままの姿を魅力に感じてもらえる観光の形をつくりたい。

そんな観光まちづくりを推進してきたのは、一般社団法人南信州まつかわ観光まちづくりセンター。観光案内所の運営をはじめ、観光プログラムの企画・運営を行なっている。

事務局長の片桐さんが、まちを案内してくれた。

「奥にあるのが、まちづくりセンターが運営しているツリードームです。ドームテントを木に吊るした宿泊施設で。5月にオープンして、最近は月の稼働率が8割を超えるようになってきました」

訪れた人たちが、松川町の自然を体験できる新しい宿泊施設。地域おこし協力隊の発案を事業化したものだそう。

「宿泊者の方へのアンケート結果では、ほとんどがはじめて松川に訪れてくださったという方々です。中京圏の方が多いですが、最近では関東圏の方も増えています。このツリードームに泊まることが旅の目的地になっている。これは、地域の人にとって気づきにつながるんですよ」

気づきにつながる?

「自分たちにとっては当たり前だった自然や鳥の声、風の音が、都会の人から見たらすごく価値のあるものなんだって気づく。そして、自信になる。良い観光施設って、地域の人が自分たちのまちを誇りに思うきっかけになると思うんです」

観光を通じて、地域も内側から活気づいていく。ありのままのまちの姿に魅力を感じて、いずれここに住みたいと思う人たちも増えていくかもしれない。

観光まちづくりが目指すのはそんな姿なんだと思う。



地域おこし協力隊の活動場所のひとつが「農業観光交流センターみらい」。パンフレットがたくさん置いてある観光案内所や、観光まちづくりセンターのオフィス、会議室なども備えた施設だ。

ここで話を聞いたのは、案内所の受付を担当している西川さん。1年ほど前から観光まちづくりセンターで働いている。ここに所属する協力隊にとっては、身近な先輩にあたる方。

「松川の観光に関する問い合わせは、なんでも受け付けています。多くは果物狩りのこと。どんな種類の果物をどこの農園で扱っているか、情報をまとめて観光客の方に伝えています」

受付のほかにも、HPやパンフレットを制作するために地域の人に取材に行ったり、農家さん向けに直売所で掲示するポップの書き方講座を開いたりと、幅広く観光まちづくりに関わる。

「担当以外の仕事もいろいろやりますし、まだ組織も新しいので、これから形が変わる可能性もあると思います。私も今は案内所担当だけど、数年後には違うことをしているかもしれないし」

「それに新しいことをやるときには、地域の人や行政との折衝が必要になることもあります。柔軟な姿勢で対応できる人のほうが合っているかもしれません」

西川さんは東京都出身。両親も首都圏の出身で、田舎の環境を知らずに育ったという。

「小さいころから漠然と、山と川のある田舎の風景に憧れがあって。はじめて長野に来たのは、3泊4日の農作業ボランティアがきっかけでした」

その後、縁あってお隣の飯田市に移住。計8年ほど果樹農家で仕事をしていた。

松川町に来たのは、“本当にたまたま”だったそう。

「自分で古民家をリノベーションしたいとか、トレーラーハウスを建ててみたいとか、そんな憧れがあって。松川に住んでいる友人夫婦に話したら、『うちの近くの土地が空いてるよ』って(笑)」

「なかなかないチャンスだし、波に乗ってみるか!と思って、2年かけて松川に通いながら家を建てて、この4月に引っ越してきました」

ご自身で建てたんですか?

「そうです、友人にも手伝ってもらいながら。今も住みながら内装に手を加えたりしています。目の前に山がある風景も、薪割りも、すべてが自分にとってまだまだ非日常で、すごく楽しい。好きでやっているので、全然苦にはならないです」

憧れの田舎暮らしを実現できているおかげか、東京に戻りたいと思うことはないのだそう。

「わたしにとって松川は、たまたま住んだ土地だけど、すごく好きなところなんです。ただ観光名所をつくってお金を使っていただくのではなくて、来てくれたお客さんが心からいいなと思ってくれるように松川を魅力的にしていきたいし、ここに住む仲間ももっと増やしたい」

もともと縁のなかった土地なのに、そこまでの想いが持てるのはどうしてなんだろう。

「人も魅力的だし、果物もいろいろあるし、空気も水も綺麗。アルプスの眺めももちろん良い。松川町の魅力ってあまり知られてないから、それを伝えたいなあってことはつねづね思いますね」

移住してきた人が、まちのことを誇らしそうに話してくれるって、きっと地元の人にとっても嬉しいことだと思う。

次に話を聞いた宮尾さんも、松川町に移り住んできた一人。自然体験施設「フォレストアドベンチャー」でマネージャーを務めている。

今回募集する協力隊も、アウトドアに関心があるなら、まちづくりセンターからここに出向して働くこともできるという。

「大阪から引っ越してきて10年になります。白馬によくキャンプに来ていて、星がきれいだし、涼しいし、良いところだなあって。子育てに良い環境だろうなと思って、長野に移住を考えはじめて。たまたま仕事が決まったのが松川町でした」

当初働いていたのは、この近くの温泉旅館・清流苑。6年前にこのフォレストアドベンチャーができるとき、マネージャーに抜擢された。

偶然が重なり、もともと好きだったアウトドアに関わる仕事に就いている。

「ここは自然の木を生かしたアクティビティを体験できる施設で。命綱をつけて、いろんなスタイルで木の間を渡っていきます。コースはトータル3時間くらい。スタッフはお客さんへの安全講習や、コースの安全管理が主な仕事です」

「もともとは何もない森だったので、毎日ここに来て草を刈って、工事ができるように道をつくるのが最初の仕事でした」

最初は、コースと受付のテントのみでオープン。大工経験のあるスタッフと一緒に、ゲートやウッドデッキなど、一つひとつ手を加えながら運営してきた。

今はもう、施設は完成したんですか?

「それがまだなんです。今のコースは小学4年生以上っていう制限があるので、これからは小さい子も遊べるスペースをつくっていきたくて。自分たちで手を加えられるのが、ここの仕事の楽しさだと思います」

自然のなかで働きたい人はもちろん、自分の手を動かしてものをつくりたい人には、ここでの仕事はいいかもしれない。

ゆくゆくは宮尾さんの後任のマネージャーとして働く可能性も考えられる。

「移住は大きな決断だし、自分も最初はどうなるんかなって思っていましたよ。でも不安なことばかり考えてもなかなかスタートできないんで、まず行動してみようと」

住んでみると、意外に若い家族や移住者も多い。自分の家も建て、ゆっくりと子どもの成長を見られるのが嬉しいという。

「来てからも時間がたくさんあるので、考えながら生活をつくっていける。これは田舎暮らしの良いところだと思いますよ」



最後に訪れたのは、宮尾さんがもともと働いていた清流苑。松川町きっての町営温泉旅館だ。

宿泊という観点から観光を考えたい人なら、この宿の運営を通じて観光まちづくりに関わることができる。

話を聞いたのは、総支配人の北沢さん。松川町出身で、観光まちづくりセンターの理事も務めている。

「観光まちづくりセンターができたことで、それまでバラバラだった松川の観光がつながってきているんです」

「以前みたいに、果物狩りに来て終わりではなくて。たとえば町内のお店で食事をして、フォレストアドベンチャーで遊んで、名産のシードルをお土産に買って、清流苑で温泉に入る。そんな流れがつくれているのは、すごく良いことだと思います」

つながりはじめている、松川町の観光。

そんななかで清流苑は、宿としても新しい方向性を目指していきたいという。

「これから本格的に目指したいのは、心が浄化されるような癒しの場所。派手な目玉で呼び込むんじゃなくて、松川でゆっくりしたい人におすすめできるスポットでいられたらなと」

少し前までは、高級な信州牛を使ったステーキなど、テレビに取り上げられるようなわかりやすい魅力を目玉として打ち出していた。

ただ、ほかの場所にもあるものを置いたところで、お客さんの満足度は変わらなかった。

これからは、ありのままの松川町をゆっくり楽しめる環境として、周囲の森を生かしたツアーの企画などを進めていきたいと考えている。

ツアーという新しいコンテンツ。集客や広報、具体的なコースづくりなど、新しく入る協力隊の視点を生かしながら、考えていきたいという。

「宿泊業の経験者とか、立派な経歴を望んでいるわけじゃなくて。3年間一緒に働いていくなかで、清流苑でこんな宿泊ができたらいいなとか、この事業をもっと大きくしてみたいとか、ふつふつと想いが湧き上がってきてくれる人だったらいいなあと」

「ここは保養の場として町民にも愛されている場。3年かけていろんな地域の人と接点を持って、それを宝物として仕事に生かしていけたらいいんじゃないかな。まちづくりは想いがないとできないからね」



これから仲間に加わる人たちは、松川町の観光まちづくりの流れを加速させていく役割だと思います。

偶然が重なって松川に住んだ人たちの充実した様子が、まちの魅力を表しているように感じました。

このまちを好きになれそうな予感がしたら、ひとつの選択肢として、ぜひ考えてみてください。

(2019/9/13取材 増田早紀)

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