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青い海で、なにをはじめる?
新しい土台から
チャレンジを積み上げる

「ここって、良くも悪くも新しいチャレンジがあまり生まれていない地域なんですよ。自分にはスキルが足りないと感じている人でも、力を発揮できる機会は十分あるし、周りから必要とされる。それって地方で暮らす価値だと思うんです」

これは岩手県洋野町(ひろのちょう)で新たに立ち上がった一般社団法人fumotoの代表である大原さんの言葉です。

大原さんは、今年9月まで洋野町で地域おこし協力隊として活動してきた方。その経験を生かし、民間として協力隊をサポートする仕組みをつくりたいと、一般社団法人fumotoを設立しました。

今回はfumotoのサポートのもと、サーフツーリズムやローカルデザインなど、洋野町に関わるいくつかのプロジェクトで活動する地域おこし協力隊を募集します。

サーフツーリズムは、海を活用した新しいアクティビティの企画やゲストハウスの立ち上げなど、観光に関するコンテンツと受け皿づくりを。

ローカルデザインは、ホームページやパンフレット、チラシなど、町のなかにあるさまざまなデザインのニーズに応えていく仕事です。

元協力隊である大原さんがその経験やつながりを活かし、行政とは違う視点でサポートしてくれる仕組みがあるぶん、いろんなことにチャレンジしやすい環境だと思います。



東京から東北新幹線に乗り、八戸駅へ。八戸線に乗り換え、海沿いを走る電車に揺られること1時間、種市(たねいち)駅に到着する。

改札を抜けた先で待っていてくれたのは、大原圭太郎さん。今年の9月に洋野町の地域おこし協力隊の任期を終え、一般社団法人fumotoを立ち上げた方だ。

「まずは洋野町をご案内しますね」

最初に向かったのは、真っ青な海が一望できるスポット。

「洋野町は東北のなかでもサーフポイントとして有名なんです。今日は波が穏やかなので人も少ないですが、シーズン中はサーファーが結構来るんですよ」

豊かな海で獲れるウニも有名な洋野町。毎年7月に開かれるウニまつりには県外からも多くの人が訪れるという。

「アクティビティがあって食べものもおいしい。山側に行くと高原が広がっていて、すごく気持ちいい。いろんな引き出しがある地域なんです」

大原さんは、もともと仙台と東京で服の企画・販売といったアパレルの仕事をしていたそう。東京で流行ったものに地方の人が夢中になる、そんな図式に疑問を持ち、地方から価値あるものを生み出したいと考えるように。

そんなときに見つけたのが、洋野町の地域おこし協力隊の募集。興味を惹かれて観光推進担当に応募した。

「最初は迷ったんです。このまま地方に行っていいのか、もっと今の場所で頑張るべきじゃないのかって」

「でも採用前に何度か洋野町を訪れたとき、いつも地域の人たちが歓迎してくれて。勝手に自分が必要とされているような感覚になって、もう行っちゃおうって腹が据わったんですよね」

採用後は観光協会のホームページをつくったり、氷を使ったイルミネーションのイベントを協力隊主導で企画したり。観光推進担当としてさまざまな活動をしてきた。

3年間の活動を通じて、見えてきたことがあるという。

「海も山も、食べものも。この町にはせっかく豊富な資源があるのに、それをなかなか活かしきれていませんでした。僕自身、3年の任期を終えたあとで、もっとできたんじゃないかって思うことも多くて」

「観光でもお店でも、なんでもいい。協力隊がこの町で新しいことにチャレンジしやすい環境をつくりたいという想いから、民間で協力隊のサポートをする組織としてfumotoを立ち上げました」

地域でチャレンジする人の土台になって、そこから山が高く伸びていくように。fumotoの名前にはそんな意味が込められているそう。

fumotoがサポートしていくことになる地域おこし協力隊のプロジェクトは、サーフツーリズムとローカルデザイン、そして空き家活用や施設の企画運営など。今後はこれまで町が募集していたプロジェクトもサポートすることになるという。

今回は、そのなかのサーフツーリズムとローカルデザインについて詳しく聞くことに。

まずは、海を活用したサーフツーリズムプロジェクト。

洋野町は東北では数少ないサーフスポットでありながら、海関連のアクティビティや施設がまだまだ少ないそう。

たとえば、サーフィン経験者なら自分でサーフィンスクールを企画してもいいし、より多くのサーファーに来てもらうために、ゲストハウスなどの施設をつくるのもいいかもしれない。

立ち上げるだけでなく、その後の運営も担うことになる。将来的には、それが洋野町での生業になっていくかもしれない。

もうひとつが、ローカルデザインプロジェクト。

具体的には、地域のウェブマガジン、地域企業のホームページやパンフレット、チラシなどのデザインに携わってほしいとのこと。

というのも洋野町では、これまでデザインの仕事は町外のデザイナーに委託することが多かった。町内でデザインの仕事を受けることができるようになれば、地域のなかで経済循環をつくることができるし、より細やかなニーズにも応えやすくなる。

そんな協力隊を、心身両面でサポートしていくのが大原さんの役割。

役場と協力隊員の間に入ってコミュニケーションの手助けをしたり、必要に応じて地域の人を紹介したり。ほかにもfumotoとしてできることがないか、考えているところだという。

「今頭にあるのは、農業、漁業、観光とか、それぞれの分野で頑張っている町の方と協力隊との交流会や研修会をひらこうかと思っていて」

「どうやって起業したか、どのように収益を立てているのかとか、気になりますよね。僕みたいにイベントなどで偶然出会った方と関係をつくっていくのもいいんですけど、地域のことを知っている人に紹介してもらったほうが効率もいいし、より良いマッチングができると思うんです」

町としても、民間団体と組んで協力隊を募集するのははじめての取り組み。

最初はお互いに試行錯誤するかもしれないけど、役場とも地域の人とも違う、同じ立場で応援してくれる人がいるのは心強いことだと思う。

「自分自身が協力隊として活動していたからこそ、僕らは協力隊の人の気持ちに寄り添って、任期後も残るならどういう形がいいのか、そのために今なにをしたらいいのかということも、気軽に相談できる存在になりたいと思っています」



次にお話を聞いたのは、3年半前に東京から洋野町にUターンして、大原さんと一緒にfumotoを立ち上げた眞下(まっか)美紀子さん。

現在は洋野町の水産加工会社で働きながら、立ち上げたばかりのfumotoの運営にも携わっている。

fumotoでは協力隊のサポートのほか、眞下さんを中心に、世代が異なる地域のプレイヤー同士をつなぐことで事業づくりをサポートするプロジェクトにも取り組もうとしている。

「私がやりたいことって、人が自然に育つ土壌づくりみたいなことなんです。地域で頑張りたい人が活躍できるような仕組みをつくるのが大原さんの切り口だとすると、私は潜在的に地域への想いがある人をつなぐことで、それが顕在化していくような仕組みを育てたいと思っていて」

「たとえば、協力隊員の頑張る姿に触発されて、地元の人が新しいことにチャレンジする。地域をつくる予備軍である高校生たちが、大人と一緒に地域のプロジェクトに参画することで地域のことを深く知る。そんな関係性がつくれたらいいなと思うんです」

協力隊として来てくれる人に対しても、これまでの経験や情報の提供、地域の人とつなぐという部分で関わっていきたいと話す眞下さん。

「これやりたいんですけどどうしたらいいですかってなったときに、私たちが持ってる人や場所のインデックスをパラパラっと開くみたいな。それだったらあの人がいいねとか、そういう関わり方ができたらいいですね」



最後に「ぜひ会ってほしい人がいるんですよ」と大原さんに案内してもらい、たどり着いたのは一軒の古民家。

ここは協力隊のひとりが古民家活用のプロジェクトを進めている場所だそう。絶賛改修中で、今は壁を塗り直しているところ。

ここで話を聞いたのは、この古民家活用プロジェクトを進めている地域おこし協力隊の松田直美さんと、役場の企画課で地域おこし協力隊の取りまとめをしている髙橋勝利(かつとし)さん。

洋野町ではこれまでも地域おこし協力隊を採用してきたけど、民間団体との協働は初。今回のfumotoの取り組みはどのように受け取られているのだろう。髙橋さんに聞いてみる。

「今までは協力隊に対して、行政の人手不足を補いつつ、3年後に定住してもらえたらいいなっていう、どちらかというと行政を中心に考えていた部分があって。今は行政としても来てくれる人のことをもっと考えていこうという雰囲気になっているところなんです」

「協力隊を経験した大原さんなら行政とは違う視点を持っているだろうし、一緒にサポートできる体制をつくれるのはありがたいなと感じています」

隣で聞いていた松田さんもうなずく。

「私は子どもたちと一緒に移住してきたんですが、任期が終わってからどうしようっていうのは不安で」

「今までの経験を踏まえて、私のような協力隊の先輩からアドバイスできることもあるだろうし、来てくれる人の不安が小さくなるようにお手伝いできたらと思ってます」

松田さんは移住・定住促進担当として、洋野町への移住を支援するサイト「ここ住むひろの」などを運営してきた。

そして現在力を入れているのが、空き家の活用。

地域住民や近隣の大学生と協力して、半年ほど前から自分たちの手で改修作業を進めている。ゆくゆくはカフェやチャレンジショップのような形で、いろんな人に使ってもらえる場所にしたいそう。

「私は今年度で任期が終わってしまうんですが、空き家活用のことは関わり続けたいと思っていて。たとえば収益化するためにどうすればいいかとか、早くから相談できる人がいたらよかったなと思うので、fumotoを通して任期後を見据えた相談を受けられるのはいいなあと思います」

fumotoの立ち上げや、空き家の活用。洋野町では、少しずつ新しいことが動き始めている。

高橋さんは、どんな人に来てほしいですか?

「なんて言えばいいのかなぁ…。 町の人たちも巻き込んでいけるような熱い人、『これだ!』っていう気持ちで取り組む人が来てくれたら町も少し変わるんじゃないかなって」

隣で聞いていた松田さんも続く。

「コミュニケーションを大切にして、町に馴染む人がいいと思うんです。『困ってるんだけど一緒にやってくれない?』って、周りを巻き込んでいけるような。そのうえで自分のやりたいことをしっかり持っていたらいいなって思います」

すると、ふたりの話を聞いていたfumoto代表の大原さん。

「最初からできなくても、足りない部分は僕らがサポートすればいいと思うんです。たとえば『これをやりたい!』っていう気持ちが先行してまわりの人とうまく噛み合わなかったとしても、僕らが間に入ってコミュニケーションをしていけばいいと思うので」

「洋野町は、まだまだいろんなことにチャレンジする余白がある地域だと思うんです。新たに自分でつくり出して取り組んでいくんだっていう、クリエイティブな気持ちがある人。そんな人と一緒にやっていけたらと思いますね」

豊かな自然に、チャレンジの土台。

自分にもできることがありそうだなと感じたら、ここでのチャレンジはやりがいのあるものになると思います。

大原さんに直接話を聞いてみたい人は、ぜひ11月15日のしごとバーに来てみてください。

元アパレルという切り口から、地方へ移住する不安や住んでみての感想、起業することへの想いなど…。今の仕事や価値観に違和感を感じている人にとっては、ひとつのきっかけになるかもしれません。

(2019/9/31 取材 稲本琢仙)

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