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いろんな生き方・働き方を
地域に根ざして編集する
ローカルライターになる

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

パソコンとカメラとレコーダー。

これさえあれば、日本仕事百貨の仕事はだいたいどこでもできます。

北の大地や南の島、全国津々浦々の職場に足を運んで取材し、記事を書いて伝える。そんな旅するような働き方のおかげで、今まで知らなかった日本の魅力を知り、いろんな人生を送っている人たちに出会うことができました。

と同時に思うのは、地域に根ざしながら日本仕事百貨の記事を書く人もいていいんじゃないか、ということです。

“旅人”として、外からの目線で伝えるよさもある一方、その地域に暮らす当事者だからこそ伝えられることもある。それに、まだ知らない地域の仕事に光を当てるきっかけにもなるかもしれません。

そこで今回、ローカルライターを募集することにしました。業務委託契約で、ほかの仕事と組み合わせながら月に1、2本、日本仕事百貨の記事を書く仕事です。住んでいる地域やライター・編集者としての経験は問わず、広くいろんな方に出会いたいと思っています。

 

じつは以前から、「ローカルライターって募集していないんですか?」というご相談を度々いただいていました。

たしかに、働く場所は選ばない仕事だし、出張時の旅費や労力もおさえることができる。何より、ニーズがある。日本仕事百貨の編集者のなかにも地方出身のスタッフが何人かいて、「将来的には地元に戻って働きたい」という話も前々からあったので、ローカルライターの仕組みをいつかつくりたいと考えていました。

ただ、これまでなかなか実現に至らなかった。そこにはいくつかの壁があったからです。

ひとつはコミュニケーションの難しさ。日本仕事百貨の編集者は、個人作業が基本です。だからこそ、対面でのコミュニケーションを大切にしてきました。

たとえば毎週水曜日の定例ミーティングでは、話し合いで物事を決める以外にも近況や体調を共有する時間をとることで、お互いの顔が見えている状態をつくるよう努めています。

できあがった原稿を確認する校正作業においても、原稿を書いた人とペアの編集者が隣同士に座って、同じ画面を見ながら文章についての意見を交わしていきます。

「ペアエディティング」と呼んでいて、赤入れするより効率的だし、より細かなニュアンスを伝えあうことができます。何よりひとりで悶々と考え込まずに済む。

遠隔地にローカルライターが点在していると、対面でのコミュニケーションが難しくなります。オンライン会議のサービスは進歩しているものの、オンライン上のみでのやりとりは不安、というのが正直なところです。

どうしようかと考えて、リトルトーキョーの5階を、ローカルライターが自由に寝泊まりできる場所にすることにしました。リトルトーキョーは、東京・清澄白河にあるわたしたちの拠点です。ローカルライターであれば誰でも、東京への出張時などにここを滞在拠点として利用することができます。

採用が決まったら、最初は研修期間としてリトルトーキョーで一緒に働いてもらいます。取材に同行したり、文字起こしをしたり、自分でも取材に行ったりするなかで、編集についての考え方やスタンスを共有していきます。

リトルトーキョーの1階には、自社運営のお店である「ごはんや今日」があります。金〜日曜のお昼には週替わりの定食を、水〜日曜の夜は居酒屋スタイルでお酒と肴を楽しめるお店です。ローカルライターとなった方には、ここでの飲食を割引で提供したいと考えています。

また、2階と3階はイベントスペースで、日々さまざまなゲストが訪れます。お客さんとしてもここで時間を過ごしてもらいたいし、地域でのつながりを活かしたイベントの会場としてぜひ活用してほしいです。

この場所での出会いがきっかけで、地元に来てくれる人もいるかもしれないし、一緒に仕事をするパートナーが見つかることもあると思います。

4階は日本仕事百貨のオフィスになっています。仕事の相談に限らず、一緒に1階のごはんや今日でご飯を食べたり、新しい企画を考えたりしたいので、気軽に声をかけてもらえたらうれしいです。

普段は離ればなれになってしまうからこそ、顔を合わせて話し合える機会をたくさんつくりたいと思っています。

 

清澄白河というまちもいいところで、ビルのすぐ目の前には銭湯があり、すぐ近くには川が流れていて、気持ちのいい公園やリニューアルオープンした東京都現代美術館もある。昔ながらの豆腐屋さんや酒屋さんなど下町情緒あふれるお店と同じ通りに、カフェやギャラリー、雑貨屋さんなど新しいお店が生まれていて、独特の雰囲気がある。

東京駅にも近いし、隣駅の水天宮前からは羽田空港や成田空港にもバスがたくさん出ているので、アクセスもよいと思います。反対に、わたしたちからローカルライターのみなさんのもとへ遊びに行くような交流が生まれることも、楽しみにしています。

もうひとつ、募集にあたってお伝えしたいのが、日本仕事百貨の独特な編集方針についてです。

日本仕事百貨の編集者は、取材前のやりとりにはじまり、当日のインタビューや写真撮影、音声の文字起こしや記事の作成に至るまで、ひとりの担当者がすべての役割を担います。

一般的には、ライターと編集者がいて、カメラマンがいて、場合によってはインタビュアーが別でいて…と、複数の専門家によるチームで取材を行うことが多いので、珍しく思われるかもしれません。

気になったことを聞き、目にとまった風景を写真におさめ、感じたことを書く。ひとりが一連のプロセスをすべて経験するからこそ、ありのままの現場の様子を伝えることができると考えています。

取材の進め方や記事の書き方についても、マニュアルは設けていません。壁に突き当たったり、判断に迷ったりすることが出てきたら、編集者同士がペアになって行う校正や定例ミーティングの場で共有し、その都度話し合いながら方向性を見出していきます。

研修期間が終わったあとも、月に1回はオンラインミーティングを継続したいと考えていますし、相談したいことがあればいつでも連絡をください。はじめは試行錯誤しながらになると思いますが、気軽に相談できるような体制をつくっていきます。

日本仕事百貨としてはじめてとなる今回の取り組み。まずはいろんな方と出会って、話したり一緒に働いたりするなかで、ともにいい形を探っていくことになると思います。

 

ローカルライターにはどんな可能性があるだろう? 代表のナカムラケンタにも話を聞きました。

「まずは少数精鋭の業務委託契約からじっくりはじめたい。ゆくゆくは地域ごとにローカルライターがいるようになったらいいだろうし、各地に支部ができても面白い」

「あとは法人との提携の可能性もあると思う。地域でメディアを運営している会社と一緒に発信の仕方を工夫したり、場所を持っている企業とイベントを開催したり。地域を超えて、編集について学び合うような新しい共同体が生まれていくかもしれない」

地域で編集・ライティングを仕事にしている人と出会うなかで、「相談相手がいない」という声を度々耳にします。

たとえ都市部でライターや編集者の経験を積んだ人であっても、仕事の進め方など地域ならではのギャップを感じることがあるみたい。そうした難しさややりがいも含め、同じ目線で分かち合える仲間を増やしていくという意味でも、ローカルライターのネットワークをつくっていくことには価値がありそうです。

「晴耕雨読のようなスタイルで、農業をしながら編集の仕事をするのもいい。その人のつくった野菜を使って、1階の『ごはんや今日』で定食を出すこともできるだろうし。単に日本仕事百貨の書き手を増やすというのではなくて、それぞれの強みを活かし合ってより面白いものを生んでいく、エコシステムみたいなものをつくっていきたい」

もちろん農業に限らず、デザインや編集、まったく異なる仕事との複業という形もよさそう。月に1、2本は記事を書いてもらいたいと考えていますが、そのバランスは柔軟に調整できると思うので、まずはいろんな可能性を持った方と出会いたいです。

経験については、どうでしょう。何か書いたり、伝えたりする仕事に関わってきた人がいいと思いますか?

「すでに実績のある方に参加いただくのもうれしいし、未経験でもいいと思う。ぼくは、どちらかというとアウトプットよりインプット、つまり聞く力が大事だと思っていて。人に寄り添って話を聞く姿勢、というのかな」

今の日本仕事百貨のスタッフも、じつは未経験からはじめた人ばかり。ぼく自身、もともとはまったくの未経験でした。

日本仕事百貨で紹介する仕事は、職種も環境もさまざまです。そして仕事のありのままを伝えるというのは、逆に言えば、聞けていないこと・思ってもいないことは書けないということでもあります。だからこそ、まずは何より素直に人の話を聞くことが大切です。

ナカムラが常々口にしているのは、3つの立場を意識するということ。

「求人者」が本当に求めていることはなんなのか。自分が「求職者」だったら、何が知りたくてどんなことを不安に思うか。そして、「自分」はどう感じたか。話を聞いている最中も、記事を書くときにも、その3つの視点を行ったり来たりしながら進めます。

いろんな立場を想像しながら、素直にインプットを繰り返すうちに、働き方や生き方に関するボキャブラリーは増えていきます。それは編集の仕事において役立つだけではなく、きっと自分自身の生き方・働き方を考える手がかりにもなります。

とはいえ、こうした感覚は実践のなかで身についていくものだと思います。より深く知りたい、学びたいという方は、2/14-16に開催する「仕事百貨の編集ゼミ」にご参加ください。

応募にあたって参加は必須ではありませんが、トークや実践を交えながら、日本仕事百貨の編集のエッセンスをお伝えする3日間になると思います。

2020年は、日本仕事百貨として新たな挑戦をいくつか控えています。その第一弾が今回のローカルライターの募集です。

ありがたいことに全国から求人掲載のご依頼をいただいているなかで、すでに地域で活躍されている方の力を借りたいという気持ちもあります。もちろん「我こそは!」という方からのエントリーも期待しつつ、個人的には、未経験でも挑戦したいという方との出会いを楽しみにしています。

ほかの仕事と編集を組み合わせて好きな場所で暮らしたり、地域を超えて交流が生まれたり。自分なりの生き方・働き方を実現していくきっかけとなれば何よりです。

実際にはじまれば、思ってもみなかったことがいろいろと起きると思います。一緒にいい仕組みをつくっていきましょう。

(2020/1/5 中川晃輔)

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