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ずっと残る、心に響く
特別な紙
ものづくりの探求

本や雑誌、手帳。仕事の書類に、箱や包装紙。

「紙を使う機会が減っている」と言われてはいるものの、見渡してみると、紙でできたものはまだまだたくさんあるように思います。

わたしたちの生活において、とても身近な紙という素材。

だからこそ、思ってもみなかった紙の可能性に触れたとき、心打たれるものがあるのかもしれません。

今回紹介するのは、クリエイティブな紙のものづくりを追求している福永紙工株式会社。

さまざまな企業やデザイナーたちと協業することで、大量生産の紙製品とは一線を画した、付加価値のあるプロダクトを生み出してきました。

今回は、紙製品の企画から製造管理までを担う営業職と、クライアントの思い描くイメージを紙に落とし込んでいく企画設計のアシスタントを募集します。

どちらも、紙や印刷、デザインの業界で働いた経験があると取り組みやすいと思います。



新宿からJR中央線で約30分の立川駅。福永紙工へは、ここから15分ほど歩いて向かう。

大きな商業施設に囲まれた駅前を少し離れると、あたりは一軒家の並ぶ住宅街に。公園や緑も多く、穏やかな雰囲気で過ごしやすそう。

静かな通りに面した福永紙工の事務所兼工場に到着し、3階にある事務所を訪ねる。

迎えてくれたのは、代表の山田さん。社内を案内していただきながら、話を聞かせてもらう。

福永紙工は、立川で50年以上続く印刷加工会社。

厚紙へのオフセット印刷や型抜き加工、箔押しや貼り加工を得意としていて、主に多摩地域でのパッケージ製作などを請け負ってきた、いわゆる町の印刷屋さんだった。

アパレル業界出身の山田さんが代表になってからは、デザイナーと協業し、ユニークなプロダクトを自社で開発するように。

「空気の器」や「テラダモケイ」といった福永紙工のオリジナル商品を、ミュージアムショップや雑貨屋さんで目にしたことのある人も多いと思う。

「デザインに力を入れはじめて約13年になります。おかげさまで、紙で面白いことをやるなら福永紙工、と言ってくれるお客さんも増えてきました」

「ただ僕らとしては、『新しい挑戦をしている町の印刷屋さん』っていうところから、次の段階にきている実感があって」

次の段階?

「今僕らが取り組んでいる仕事の多くは、印刷や加工に限ったことではなくて、その前の企画や開発、デザインから関わる仕事がほとんど。印刷屋っていう枠に収まりきらなくなってきているんです」

クライアントの『こんなイメージのものをつくりたい』という要望を、半年から一年という長い時間をかけて一緒に形にしていく。製品をつくる工程だけでなく、販売やマーケティングといった段階まで関わることもあるという。

たとえば、何度も一緒に仕事をしているという、アパレルブランドの“ISSEY MIYAKE”。

「うちが得意とする紙を折って立体化する加工は、折りを特徴とするISSEY MIYAKEさんのコンセプトと共通する部分も大きくて。パッケージ製作やウィンドウディスプレイの装飾など、いろいろなタイミングで声をかけてもらっています」

クリスマスシーズンには、ISSEY MIYAKEとデザイン事務所のTakram、そして紙の設計・製造部分を福永紙工が担当した限定商品を展開。

コサージュを包む紙のパッケージが、大切な人へ気持ちを伝える手紙にもなるというデザインだ。

そのほかにも、美術館から依頼を受けてミュージアムショップのオリジナルグッズをつくったり、お菓子メーカーとともに限定販売のお菓子のパッケージを開発したり。

紙の価値が存分に生きるようなプロダクトを、小ロットで生み出し続けている。

クリエイティブな仕事に力を入れる理由のひとつには、印刷業界の厳しさがあるという。

「紙とか印刷の需要って、やっぱり減ってきているんですよ。そこに早くて安い印刷サービスが出てきて、技術はあっても価格で太刀打ちできない印刷会社は、淘汰されていく一方なんです」

「うちは、そこにしがみつくんじゃなくて、抜け出して違うところにいきたい。特別なときに使われる紙は、これからもきっとなくなることはないし、むしろその価値は上がっていくと思う。そんな“特別な紙”で勝負していきたいんです」

たとえば、手書きのメッセージカード。数万人に一斉に届けたいならSNSで発信したほうが効果的かもしれないけれど、特別な人たちに向けた手書きのメッセージは、きっと心に響くものになる。

商品のパッケージも、限定品や高級な商品を包むためのものにこだわることで、ブランドイメージを向上・定着していく力になれるかもしれない。

身近な紙という素材が、文脈やアイデア次第で特別な意味を持つものになるなんて、なんだか不思議だし、面白いなあと思う。

「ただ、僕らは何が何でも紙や印刷に固執しているわけではなくて。自分たちで扱っていない素材や、自社ではむずかしい加工について、協力会社さんに依頼することもあります」

「小さな会社だけど、いろんなところとコラボして、価値のある、意味のあるものをつくっていくのが大事かな」

この13年間、デザイナーや協力会社とともに、特別な紙を扱う会社としての地位を築いてきた福永紙工。

山田さんいわく、「印刷業界のなかでは天然記念物みたいな存在」なんだそう。

「うちに限らず、デザインに力を入れる気運って、世の中的に少しずつ高まってはいるんですよ。でも、正直まだまだですから」

日本のものづくり業界においては、価格やスペック重視で、デザインはそこまで重視されてこなかった。

一方で世界に目を向けると、アップルやダイソンのようなグローバル企業は圧倒的にデザインに投資している、と山田さん。

「最近になってやっと日本でもデザイン経営、デザイン思考という取り組みがはじまっていて、デザインにちゃんと投資する動きが出はじめてきていると思うんです。その効果ってきっと絶大なはずだから、日本全体が変わっていって、デザイナーやアーティスト、デザインを大切にする企業がちゃんと報われたらいいなって。そんな考えに共感してくれる人と一緒に働けたらうれしいですね」



続いて、実際の仕事内容について教えてもらう。

話を聞いたのは、営業本部の京野さん。今回入る企画営業スタッフの上司になる方で、企画設計の人とも一緒に働く機会は多いと思う。

工場に隣接するショールームを案内してもらうと、福永紙工の手がけた商品がずらり。月に数回はショップとして開放していて、一般のお客さんも商品を購入できるそう。

「ここに置いてあるのは、すべてオリジナル商品です。こういった自社商品を担当するのは『販売部』という別の部署。僕らは『営業本部』で、クライアントさんと一緒に商品を形にしていくのが仕事になります」

「通常、小さな印刷会社は下請けの仕事が多いんですけど、うちの場合はクライアントと直接やりとりをします。求められるレベルも高くて、『福永紙工ならできるだろう』と思って声をかけてくださるので、それに応えていかなきゃというプレッシャーはありますね」

営業本部の担当するプロジェクトは、メーカーの企画開発部やデザイナーから相談を受けるところからはじまる。

まずは打ち合わせに出向き、どんなものをつくりたいのかヒアリングする。ラフスケッチや言葉で伝えられたイメージを紙の構造に落とし込み、サンプルの試作と提案を重ねていく。

京野さんたち企画営業は、お客さんの窓口となり、見積もり作成や量産までのスケジュール管理などを担当。一方の企画設計は、構造の検討や印刷加工の現場とのすり合わせなど、技術面からサポートを行う。

営業担当と設計担当が密に連携し、ひとつの案件を形にしていく。

「うちで働くなら、やっぱりデザインが好きなことが大切だと思います。休みの日も雑貨屋さんや美術館に行って、いろんなものに触れるのが好きな人とか。興味がないと、お客さんと一緒にいいものを追求していけないと思うので」

たとえば、と見せてくれたのは、立川市のプレミアム婚姻届。

二つ折りの台紙の中に複写式の婚姻届が入っていて、提出後もその内容を見返せるものになっている。表紙には写真を入れることができ、自分たちだけの特別な婚姻届として、ずっと手元に残しておくことができる。

デザインを見て、思わず「かわいい!」と口に出してしまったほど。

立川市の担当者と地元のデザイナーと協働で進めたこのプロジェクト。

福永紙工は企画や製造だけでなくプロモーションにも関わり、SNSのアカウント開設やその運用、市役所内の記念撮影ブースのディレクションなども担当した。

さまざまなメディアで取り上げらたことで、婚姻届を買い求めるために全国からカップルが立川を訪れるように。グッドデザイン賞や内閣府の地方創生大賞を受賞し、立川市のブランディングにも効果のある取り組みになったという。

「こういったプロモーションやワークショップのような前例の少ない案件もあって、本当にできるのかなって不安に思うこともあります。でも工場が隣にあるからすぐに相談できるし、クライアントとも直接話せる距離感なので、『要望そのままではむずかしいけれど、こういう方法ならできますよ』というようなすり合わせもしやすいんです」

予算感と納期さえ合えば、断る案件はほとんどないという。

多種多様な仕事に取り組める面白さが、福永紙工の魅力。たとえば印刷会社や紙のメーカーで働いていて、大量生産型のものづくりに違和感を抱いている人や、もっとクリエイティブな仕事に関わってみたい人なら、きっとここでの仕事を楽しめると思う。

営業担当として、普段はどんな仕事をしていることが多いですか?

「問い合わせを受けてお客さまと打ち合わせをしたり、見積もりをつくったり、工場や協力会社さんに印刷加工の手配をしたり。この3つを同じくらいの割合でやっていますかね。営業スタッフは4人いて、それぞれが別の案件を担当しています」

「大変なのは、常に20件くらい並行して進める必要があること。1日が終わってから『今日は何をしていたんだろう?』って思うくらい忙しい日もあります(笑)」

分業制ではないため、企画から制作、最後の出荷まで、プロジェクトの一連の流れに伴走していく。

大変さはあるけれど、ものづくりの最初から最後まで関われることは大きなやりがいになっているそう。

「アイデアが生まれる瞬間に立ち会えるし、それが形になる様子も間近で見られて。納期に間に合わない!ってなったときは、梱包や組み立てを自分でやることもあります(笑)。そのぶん一つひとつに思い入れがあるし、やり遂げたときの達成感は大きいですね」

価値あるものを大切につくっていく、福永紙工のものづくり。

生み出された製品は、きっとこれからもたくさんの人たちを魅了し続けていくと思います。

ぜひここの一員となって、紙やものづくりの可能性を探求していってください。

(2020/2/27取材 増田早紀)

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