求人 NEW

柔らかな服の心地よさ
生み出す
芯のある仕事

肌に触れて心地よく、着る人の動きに合わせて優しいフォルムをつくる。

天然素材の温かみと、洗練されたシルエット。つくり手による、日々の小さな改良の積み重ねが、その絶妙なバランスを成り立たせています。

自然豊かな山梨のまちで生まれるevam evaの服。昭和20年に創業した近藤ニットのオリジナルブランドです。ニットメーカーというルーツを生かした環境で、企画と製造の現場がひとつながりでものづくりを進めています。

今回は、企画と販売の2つの職種でスタッフを募集します。それぞれの職域を超えて、服づくりやその魅力を伝えることに、細やかに深く携われる仕事だと思います。

新宿から特急で甲府へ、そこから身延線に乗り換えて30分ほどで、東花輪という駅に着く。駅からはタクシーに乗り、のどかな道を走っていく。

「この辺りはトウモロコシの畑が多いでしょう。昔はこのあたりの家じゃ、みんなお蚕を育てていたんですよ。もう50年くらい前かなあ」

タクシー運転手さんの言葉に耳を傾けながら、なるほど、古くから繊維産業の町だったんだなあと、しみじみ思う。

15分ほどで、evam evaのお店に到着。

大きな門をくぐり、緑に囲まれた庭の石畳を辿りながら進んでいく。

大きな庭のなかに佇むのは3つのお店。evam evaというブランドの世界観を体感できる空間として、洋服以外にも、器などを展示するギャラリーや、食事やお茶を楽しめるスペースもある。

木や土など、自然の素材を感じさせるつくりの建物は、どれも風景に馴染んでいる。

一番手前にあるのが、evam evaの製品を扱う「色」というお店。

統一感のある色調の洋服が並ぶ店内。人工的な色彩はない代わりに、素材ごとにそれぞれ微妙な色味の違いがある。

そして触ってみると、どの服も想像以上に柔らかい。

「気持ちいいですよね。ここにある洋服は、ほとんどが天然繊維でつくられているんですよ」と、店長の石川さんが教えてくれた。

以前はデザイナーズブランドなどでも販売の仕事をしていたという石川さん。

洋服が好きという気持ちはずっと変わらないけれど、evam evaでの仕事をはじめてから、「着飾る」というよりも、「自分の好きなもので包まれる」という意識が服に対して芽生えてきたという。

「私は仕事以外のときもevam evaの洋服を着ていることが多いです。着てみると、見えないところでいろんな工夫がしてあって心地いい。自分が本当にいいと思えるものだからこそ、自信を持って届けられるんです」

evam evaの服づくりは、企画から販売まで自社で一貫して行われている。だからお店に立つ人も、生地のこと、デザインのことなど、つくり手の視点に立って話すことができる。

「たとえば、少し価格の高い製品も『上質なカシミアを使っているから』というように、理由がシンプルなんです。価格に見合う価値をそのままお届けできているところも、いいなと思います」

「仕事って、日々の生活の大きな時間を占めるものだから。正直でいられるってすごく大切なことだと思うんです」

視界の端々に、緑が映える店内。好きなものに囲まれて、本当にいい職場ですね。

「たしかに、この空間にいると、こちらの気持ちも柔らかくなるような感覚はあります。それでもやっぱり、お客さまのニーズに対してきちんとご提案をするとか、自然を生かした空間だからこそ、汚れが付かないようにこまめに掃除をするとか、そういう緊張感は常に持っています」

その日の気温や天気などに合わせて、さりげなく商品の並べ方を調整することもある。

「evam evaっていうブランドは、『柔らかい中にも、一本芯がピンと通ったブランド』っていうふうに私は思っていて。その空気感をつくるために、常にいろいろなところに気を配っていくことが私の仕事なのかなと思っています」

お店を出て次に向かったのは、車で10分ほどのところにある本社。白い建物の、開かれた窓のあちこちで、縫製などの作業をしている人たちの姿が見えた。

迎えてくれたのは、代表の近藤和也さんと、デザイナーの近藤尚子さん。

尚子さんのデザインする服は、山や水など、身近な自然の姿をデザインソースにしたものも多い。

「目に映る自然の美しさを、形あるものに変えていく。シーズンごとにテーマとなるキーワードは違っても、求める価値観はいつもそこにあると思います」

「企画の仕事をする人は、この場所に暮らして一緒に働くということに、ひとつ大きな意味があると思うんです。作業だけならリモートで分業も可能かもしれないけど、それではやっぱりブランドの意味から離れてしまうような気がしています」

窓から、鳥やゆったりとした電車の音が入ってくる。「ここでの生活、悪くないよ。ねえ」と笑うお二人。以前は東京で別の仕事に携わっていた。

尚子さんのご実家でもある近藤ニットを引き継ぐことになったのは、今から20年ほど前のこと。

昭和20年の創業以来、ニット製品のOEMを請け負ってきたものの、引き継いだ当時はいわゆる「斜陽産業」の状況。

納期に追われながら下請けを続けるよりは、自分たちでいいと思えるものをつくろうとはじめたのがevam evaだった。

「ファクトリーブランドだからといって、つくり手の技術を誇示するようなものでは意味がない。本当に着たいと思える服をつくるというのは、常に意識してきたことだと思います」

襟や袖ぐりの広さ、洗濯を繰り返したときの風合いの変化など、柔らかな生地が着る人にしっくりと馴染むように、ささやかな改良を繰り返す。

自分たちがユーザーとして気づいたことを、次の企画に生かしていくことができたのは、企画と製造の現場が隣り合う、この会社の環境があってこそ。

7年前から、パタンナーとして働いている福地さんにも話を聞かせてもらった。

「子どものころからずっと洋服をつくる仕事がしたくて。以前は大手のアパレルメーカーにいました。ただ、そこではすべてが分業制で、売れ筋を追いかけてパターンだけをつくる働き方に違和感を感じるようになったんです」

福地さんは現在「パタンナー」という肩書きではあるものの、パターンをつくるだけでなく、生地選びから生産管理までを広く担っている。

パターンをつくるというよりは、服そのものをつくっている手応えがあるという。

実際に服をつくっていくときは、シーズンごとに尚子さんがテーマを決めて、それに沿って具体的な形を決めていく。

「最初は、どんな提案をしたらいいか迷うこともありました。ただ、尚子さんは必ず、みんなの意見を一度受け止めてくれる。いきなり突き返されるようなことはないので、提案はしやすいと思います」

「尚子さん自身もきっと、みんなでやっていきたいっていう気持ちを持っていると思う。だから、一緒にこの世界観を表現したい、力になりたいっていうふうに思える人だったらいいのかなと思います」

シーズンごとに、テーマに合う素材を選び、その素材を活かすような服の形を考えていく。

「見て心地よく、触れて気持ちいい。天然繊維ならではの柔らかさは生かしつつ、素朴になりすぎないように、というか…。風合いやシルエットが洗練された雰囲気であることも意識するようにしています」

一般的なアパレルの現場では、洋服の設計図であるパターンができたら、あとは生産の現場が引き継いで、細かい調整をしながら服を仕上げていくことが多いのだけど、福地さんの仕事は続く。

自分の考えたパターンが縫製しにくい、などの声が現場から上がれば、状況を見に行きその場で調整することも。

「企画と生産の現場は、それぞれの立場で真剣に仕事をするからこそ、意見が食い違うこともあって。ベテランの先輩にいろんなお願いをしたり、ときにはぶつかったり…。日々いろんなことが起きて、それに対処し続けている感じです」

「楽じゃない面もありますけど、それを繰り返して仕事の場をつくってきた。何より『自分で服をつくれる』っていう手応えがあるので、私はやりがいを感じています。田舎でのんびり働くっていうイメージでは決してないので、『やるぞ』っていう意思みたいなものは必要かもしません」

企画と現場が一体になって、進んでいく服づくり。その世界観を伝えるために、グラフィックデザインなどを通して対外的に発信する仕事をしているのが、青山さん。

今回入る人は、青山さんのようにグラフィックデザインや写真コンテンツなどの制作をメインに担当することになる。

ブランドの世界観を視覚化したり言語化したりして伝える仕事。evam evaらしい伝え方を考えて、写真を用意したり、文章を考えたり。

実際につくったDMを見せてもらった。

「このシーズンは、山の重なりをテーマに、9色のグラデーションカラーを展開したんです。山って近くで見ると緑なのに、遠くから見ると重なりが青く見える。それって、山と自分たちの間に空気の層があるからだよねっていう尚子さんの話から、イメージを膨らませて」

私も、今日この町に来たからこそ、その言葉の意味がわかるような気がします。

みなさんは普段、同じ環境でともに時間を過ごしているから、よりその世界観を共有しながら発信していけるのかもしれませんね。

「現場と企画の距離感もそうだし、一体感のようなものはこのブランドの特徴だと思います。私も、シーズンごとに話し合いが進んでいく輪のなかで発信をしていくので、背景まできちんと理解して伝えられる」

「evam evaのお客さまの中には、服が生まれた背景のストーリーを知りたいという方も多いので、言葉や写真を通して、この世界観を伝えていけたらいいなと思います」

ブランドの世界観を伝えるために、それぞれの仕事に向き合う人たち。まず、この世界観に共感する気持ちは、新しく入る人にも欠かせないものだと思う。

一人の「ファン」から、「スタッフ」に。自分の仕事として形にしていくためには、さらにもう一歩、芯にある意識を共有していくことが必要なのかもしれない。

心地よい服や空間をつくり支えるみなさんの言葉のなかに、そのヒントがあるような気がします。

(2020/6/22 取材 高橋佑香子)

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