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ファッションや食べ物、音楽にいたるまで。「エコロジー」という言葉をよく聞くようになりました。
「そのなかでも、『エコロジー建築』は大きなトレンドです。森由来の自然素材を使用すること、エネルギーの無駄使いを抑えるなど、地球環境に配慮した建築を指すんですが、世界で温暖化と言われているなか、建築のトレンドはこの方向に大きく動いている。日本でも素晴らしいプロジェクトがたくさん生まれているんです」
そう話すのは、チャネルオリジナル代表の家山さん。
チャネルオリジナルは、自然素材を取り入れた空間づくりを通じて、サステナブルな社会づくりを目指している会社です。
木材はどこから来ているのか。どう使っていくのか。自然との共生の観点から、川上の林業から川下の商品化や施工まで、さまざまな事業を展開しています。
今回は、会社の想いに伴走し、表現と発信をおこなう広報の募集です。具体的には、Web記事の取材・執筆や、製品カタログをはじめとする販促物の制作などに取り組んでいきます。
チャネルオリジナルの想いを理解し、声として届けていく人を求めています。
JR関内駅の北口を出て、ビル街を歩くこと5分。
神奈川新聞社やテレビ神奈川などのオフィスも入る、13階建ての大きな建物が見えてきた。
このビルの5階にチャネルオリジナルの本社がある。入口で声をかけ少し待っていると、代表の家山さんが来てくれた。
家山さんがチャネルオリジナルを立ち上げたのは、23年前のこと。前職では10年間、バンクーバーやポートランドなどで生活していたそう。
「日本の街並みってすごく整然としていて綺麗なんだけど、“寒いな”って感じたんです。どうしてだろうって考えたときに、全部偽物だからだと思ったんだよね」
「レンガ調、木目調、タイル調って、全ての柄がフェイクなのが当たり前。そんな日本の街の特徴に気づいたとき、僕は変えたいなと思って。会社を辞めて起業して、木の外壁を販売するようになりました」
どうして、木の外壁だったんでしょう?
「京都や金沢を訪れると、なんとなく落ち着きや味わいを感じますよね。日本に昔からある景観って、紐解くと木なんですよ。それに木の外壁って、年月が経つにつれてより美しくなっていくんです」
陽に当たり、風雨にさらされることで、木は茶色から徐々にシルバーグレーへと変化し、エイジングの味わいが生まれていく。
「あるお客さんは、定年を迎えてローンを払い終わった自分の家を見たときに、外壁がシルバーグレーになるまで経た年月と、自分のなかに流れた時間が重なって思えたそうです。これがまさしく、木のよさだよね」
「木はメンテナンスすれば、何十年も使うことができます。長く住むほど外壁は深みが増し、家への愛着もわいてくる。人が家を住み継いでいくことは、将来のまちづくりにもつながる。建築の外観って、コミュニティや人間関係、まちの文化形成などにもつながっているんですよ」
工務店や設計事務所に向けて、主に外壁材や屋根材などの建築資材を販売してきたチャネルオリジナル。
カナダ産の樹齢200年以上の樹木を使い、燃え広がりを防ぐ防火木材外壁「ウイルウォール」を日本で初めて開発。
建物全体を自然素材で構成できるように、エクステリアからインテリアまで、商品展開の幅を広げてきた。
「ウッドデッキやウッドフェンス、床材や壁材、ドアやキッチン…。今では建物一棟建てるのに必要な資材、すべてを賄えるほどになりました」
事業を広げつつ、カナダの大学で実施される森林教育プログラムや、国際的な林業研究機関のセミナーにも参加して、最先端の知見を建築に反映し続けている。
「日本だと、森は荒れないように手を入れる必要があるし、国産材を活用することが大事だってよく言うじゃない? だけどこれって、もともとあった自然林を全部伐って大量に植えた、産業林だけの話なんだよね。自然林は、樹木同士の生存競争や台風などによって、自ずからバランスのとれた森になるんですよ」
「自然のままの森っていうと、荒れた森林を想像する人も多いかもしれません。一方で海外だと、もっと神聖なイメージなんです。森そのものに対する畏敬の念やリスペクトがすごく強い。それは日本との大きな違いだなと感じています」
森林には“木材活用のための産業林”と“生態系を守る自然林”の2つがある。
一元的にどちらかだけを肯定するんじゃなくて、その両方を頭におきながら木材を扱っていきたい。そんな想いを形にしたのが、「屋久島地杉プロジェクト」。
世界自然遺産にも登録され、自然林のイメージが強い屋久島だけど、実は戦後に植えられた産業林も多く存在している。林業の衰退に伴い、森林荒廃の問題が生まれているという。
そこでチャネルオリジナルでは、産業林の木を「屋久島地杉」としてブランド化。油分の多さと耐久性の高さを活かし、風雨にさらされる機会の多いウッドデッキなどの商品を製造・販売している。
「お客さんにこの商品を紹介する際は、屋久島にある2種類の森林について必ずお話しするようにしています。産業林の活用はもちろん、日本の森林について知ってもらう機会にもなったらと思っていて」
「一度、人間が手を加えてしまった産業林は、間伐をおこなわないと荒廃してしまう。人が見守り、手を配り続けていかなければならないんです。今は苗木を育てるところから取り組んでいるんですよ」
産業林というと針葉樹のイメージが強いものの、広葉樹の人工林も同じく課題を抱えている。
北海道の広葉樹はもともと学校の床材や家具としてよく使われていたものの、次第に需要が減り、パルプやチップなど安価な取引が主軸に。制作工場の数も大分減ってしまった。
「多様な樹種があり、森の有効な資産である“国産広葉樹”をもっと有効利用していきたい。そんな想いから、床材を中心とした製品工場をグループとして買い取って、小規模ながら広葉樹の価値を全国に広める販売、活動をおこなっています」
「ものを単純に買って売るだけじゃなくて、自分たちでつくり出す。川上から川下までマーケットをカバーして、独自のチャネルをつくりだすって、この業界では非常に珍しいビジネスモデルなんですよ」
サステナブルで、自然にも優しくあるように。ただ木を使うだけでなく、環境への負荷や未来のことまで見据えて、事業を展開している。
「エネルギー問題にも8年前から取り組んでいます。なるべくエネルギーを使わない、省エネの建物の仕組みづくりですね。いろいろな情報や知識も、自社の特設サイトで発信しています」
たとえば、窓やドアを気密性の高いものに変え、壁などにも断熱材や気密部材をしっかりと入れることで、エアコンや暖房の使用頻度を減らすことができる。
ヨーロッパのメーカーとアライアンスを組み、高い断熱効果を持つトリプルガラスなどの販売もおこなってきた。
素材から建物の設備まで、本当に幅広く扱っているんですね。
「これからも新しい製品や新しい仕組みがどんどんデビューしていく予定なんですよ。昨年からは、社内公募のプロジェクトが10個ほど動いていて。BtoC事業やデジタル系コンテンツ、新商品企画などもいろいろと進んでいるところですね」
今回募集する広報担当者は、これらすべてのプロジェクトの情報も収集し、想いやストーリーを捉えて伝えていくことになる。
「秘書のような役割も担いながら、僕と伴走していく。そうして受け取った想いを、会社の顔として発信していってほしい。外部インタビューを受けて、会社やプロジェクトの説明をする機会も出てくると思います」
プロモーションやイベントの企画、SNS発信やカタログ作成、お客さんへの取材レポートなど。表舞台から縁の下の仕事まで、担当範囲はとても幅広い。
「カメラや文章を書くのが好きで、どんどん発信していくことに喜びを感じる人を求めています。うちの主軸であるエコロジー建築を中心に、興味のアンテナが高くて、フットワークが軽いことも大切。自然への探究心をもてる人に来てほしいですね」
仕事内容についてより詳しく教えてくれたのは、広報の中山さん。営業事務で入社したのち、2年前からひとりで広報を担当している。
「日々いろんなことをやっているので、どんな業務をしてるの?って聞かれると難しいですね(笑)。今日はカタログに掲載する写真撮影のために、床材を自分で組んでいました。結構重たいので、毎回汗だくになっています」
「カタログ写真は、自分で撮影することもあれば、施工後の写真をお客さまからいただくこともあります。それぞれの営業所に『この商品の施工例はありますか?』って集めていくんですが、お客さまからのNGとかもあって、なかなか大変なんです」
どんな写真や説明を入れるのか、デザインはどうするのか。社外の印刷会社とも打ち合わせをしながら決めていく。
「社内メンバーからも、よく商品について教えてもらっています。この前は、新商品のドアの風通しがどうしていいのか、図を使って教えてもらって。実際のカタログでも図解することにしたんですよ」
「お客さまにインタビューした動画をQRコードで掲載することも決まっていて。コロナ禍で今まで通りの営業ができなくなったぶん、新しいことができないかって、営業担当の人と話して決めました」
社内外の多くの人と関わる広報。そのなかでも、家山さんとコミュニケーションをとることが一番多いという。
「いきなり呼ばれて『あのプロジェクトは今こういう状態まで進んでいる』とか『今度はこうしようと思っている』って、よく共有してもらっています。家山の熱い思いをダイレクトに聞かせてもらっているぶん、広報になってから私の意識もすごく変わったというか。会社の取り組みが自分ごとになってきたなと思います」
想いを理解した上で、広報としてどう伝えていくのか。主体的に考えることが大切。
ほかにも、家山さんから頼まれた調べ物をしたり、イベント準備を担当したり。「広報」という一言には収まらない、なんでも屋さんという感じ。
「作業自体は地味なものもあります。だからこそ、会社の取り組みに共感できる人だといいなと思っていて。森や自然環境の現状に関心がある人だったら、チャネルの活動はすごく面白いと思います」
「家山は厳しいときもあります。記事もなかなかOKが出ないし、『本当にお前は…』ってよく言われています(笑)。だけどふとしたタイミングで、すごく私の気持ちを聞いてくれる。それが社員全員に向けられているのを感じていて。みんなのお父さんみたいだなって思ってるんですよ」
家山さんからは、林業における海外のアプローチや、日本にある森林研究データなど、自然環境についてたくさん教えてもらいました。
どんな話だったんだろう?と気になる人は、ぜひ一度家山さんに会いに行ってみてください。森に対して、新たな視点を得られるだろうし、この人と働きたい!という気持ちが必要な仕事だと思います。
(2021/5/6 取材 鈴木花菜)
※撮影時はマスクを外していただきました。