※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。
最近、いろんなものが自動化され便利になっている一方、「50年後にはなくなる仕事」みたいなフレーズにドキッとすることがある。機械に淘汰されない、人にしかできない仕事ってなんだろう。
そのうちのひとつは、「共感する」ということかもしれない。
今回紹介するのは、国産のガラスビーズの販売を通して、手芸の楽しさを伝える仕事。MIYUKIというメーカーの直営店であるBEADS FACTORYで店舗スタッフとして働く人を募集します。
3万種類という商品を扱う専門店で、覚えることはたくさんある。けれど、まず大切なのは、スタッフ自身がものづくりの楽しさに共感できること。

わかる!それ楽しいよねと、ピンときたら、ぜひ続けて読んでみてください。
ビーズに限らず、刺繍やそのほかのクラフトでも趣味の経験があれば、馴染みやすいと思います。今回はあわせて、ECサイトの担当者も募集します。
老舗の問屋街が多い、東京の東側。そのなかでも浅草橋は、手芸パーツなどの専門店が並ぶ街。
駅に着くと、小雨が降っていた。MIYUKIの直営店であるBEADS FACTORYのお店は、走ればほとんど雨に濡れずに到着できる距離にあるので、傘は開かずに信号を待つ。
取材に来るのはもう3回目。通用口からエレベーターで4階に向かうと、商談室の前で副社長の勝岡さんが待っていてくれた。
お会いするのは1年ぶりですね。お元気でしたか?

「だけど、仕事百貨を通して入社した4人はみんな元気でやっています。後で話を聞いてみてください。今回も、彼女たちみたいにものづくりが好きな人を採用したいと思っているので」
国産ビーズメーカーの老舗として、戦前からガラス製のシードビーズをつくり続けてきたMIYUKI。本社は広島県の東部、福山という街にある。

店内には所狭しとビーズやパーツが並び、限りない組み合わせのなかから、ものづくりの楽しさを提案してきた。
「MIYUKIでつくっているビーズだけでも本当は2万種類くらいあるんです。ただ、今のお店は売り場の面積が小さくて、店頭に並べられるのは5千種類ほど。わざわざ足を運んでくれる人たちが、もっといろんな色や形をその場で見て選べるように、この秋にお店をリニューアルするんです」

いいですね、私も手芸が好きなので、聞くだけでワクワクしてきました。
BEADS FACTORYの店頭には、小分けにパッケージされたものだけでなく、量り売り用に瓶やガラスの器にどっさり入った状態でディスプレイされているものも多く、その光景が手芸好きにはたまらない。今のお店も、長居をしてしまう魅力が十分にある。

売り場面積も広がるにあたってスタッフを増員するのだけど、少し引っかかることがある。
勝岡さん、最初に“商売は厳しい”と話していましたよね。たとえば、人を採用する代わりに、サービスの一部を自動化するっていう方法もあったと思うのですが。
「在庫管理みたいな部分ではシステムを導入できるかもしれないけど、人にしかできない仕事っていうのもやっぱりあると思うんです」
人にしかできない仕事。
「うちのお客さんは、年齢層も手芸の経験も幅広い。つくりかけの作品を持ってきて、『ここ、どうしたらいい?』って質問する人もいますし、Webには馴染めないっていうシニアの方もいる」

趣味の楽しみ方には正解がない。その楽しみを共有したり、ほかの人から気づきをもらったりするのは、たしかに人にしかできないことだと思う。
だからこそ、自分も手芸を楽しむ一人であるという素直な気持ちが、お店の魅力につながっていくのかな。

お店のリニューアルに合わせて、ECサイトも新しく立ち上げる。
なかなかお店に足を運べない人たちが、自宅にいながら買い物を楽しむには、どうすればいいか。専任の担当者としてコンテンツづくりを担っていくスタッフも、新たに募集する。
もちろん、EC運営の経験があれば即戦力になるけれど、勝岡さんはそれだけを求めるつもりはないという。
「やっぱり、ものづくりが好きっていう気持ちがベースにないと難しい。ユーザーが何を楽しいと感じるか、制作のどの工程が難しいか、実感を持ってコンテンツづくりに向き合える人が来てくれるといいなと思いますね」
続けて話を聞いたショップスタッフのおふたりは、まさに「ものづくり好き」の実感を仕事に生かしている。

「わたしは最近ウッドビーズやパールのパーツを担当しているので、刺繍糸のタッセルとウッドビーズを組み合わせてみました」

「いつも袋にたくさん持ってきて、『選んでいいよ』って言ってくださるんです。手が込んでいますよね。『これ、どうやってつくってるんですか?』って、私のほうが質問しちゃうんです」
うれしそうに話す岡田さんを見ていると、作品をお店に持っていきたくなるお客さんの気持ちもわかる気がする。つくったものを一緒に楽しんでくれる人がいるお店って、やっぱりいいですね。
「私はもともと刺繍をやっていたんですけど、自分で手を動かした経験からわかることもあって。たとえば、『このビーズにこの針入りますか?』みたいな質問って、カタログを見ただけでは答えにくいんですよね」
「うちのお店は、とにかく商品の種類が多いので、覚えることはたくさんあります。だけど、それを大変だと思わずに楽しめる人がいいかな。こんな色あったの知らなかった、かわいい!って、プラスに捉えてくれるような」
岡田さんの隣でにこやかに話を聞いている清水さんは、半年前に入社したばかり。

「お客さんがレジに商品を持って来られるとき、完成したものを想像して『この組み合わせ、かわいい!』って、心のなかで思うんです」
「先輩もお客さまも、ものづくりが好きな方ばかりなので、日々お話しするのが楽しくて。ものづくり好きなことは共通しているけど、みんなつくるもののテイストは違うんですよ」
もともとビーズは、刺繍やほかのクラフトの手法と合わせて作品をつくっていくためのパーツでもある。
ビーズ細工は未経験でも、いろんなものづくりのバックグラウンドの異なる人たちが集まってビーズに向き合ったら、それもまたおもしろそう。
「そうですね。いろんな発想を持った人が集まったら、新しい発見がありそうだなと思います」
清水さんと同時期に入社した井口さんは、もともとアパレル店員として働いていたそう。同じ販売の仕事でも、共通点や違うところはありますか?

井口さん自身、もともとものづくりが好きだった。
以前はビーズを選ぶとき、単体でも目を引くような個性的なパーツを選ぶことが多かったけれど、お店で働きだしてからは、シンプルなシードビーズを使ってみようと思うことが増えたという。
「一つひとつ見ていくと、色も奥深い。光の加減で違いが見えてくるし、シンプルなパーツだからこそいろんな使い方ができて、おもしろいんですよ」

「最近まで、お店で販売するキット案のひとつとして、ビーズタッセルのイヤリングをつくっていました。ビーズステッチっていう手法を応用したものなんですが、やり方はここに入ってから覚えたんです。丸一日、研修の時間をとってもらって」
手芸技法の研修。ものづくり好きには、うれしい制度ですね。
「そうですね。これは先輩が副社長に提案してくださって実現したもので。副社長自身も、普段からよく店舗のメンバーに『どう思う?』って意見を聞いてくれます」

ちょうど今は、新しい店舗の準備中ということもあって、イレギュラーな仕事も多いそう。
「この前も、新店舗のギャラリーの壁かけ用フックの位置を考える、っていう仕事を急に任されて。いろいろ考えたものの、一人では難しくて、デザイン室の先輩に手伝ってもらいました。マルチタスクな面もあるんですが、相談できる人が近くにいるので安心感もあります」
以前は、法人向けの販売から個人の相談まで、なんでも店舗スタッフがこなすことが多かった。最近は少しずつ、得意分野を活かした分業も取り入れながら、初心者でも働きやすい環境づくりを進めている。
まずは、ものづくりが好きという気持ちを持ち寄って。
お客さんもスタッフも、お互いにインスピレーションを与えあいながら、新しいビーズ専門店の形を探っています。
(2021/7/9 取材 高橋佑香子)
※撮影時はマスクを外していただきました。