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小さな主語が集まり
生まれていくまちの風景
この店で体現していくこと

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

東京都大田区。京浜急行線・梅屋敷駅のほど近くに、「仙六屋カフェ」というお店があります。

ここは飲食店であり、地域の人たちにひらかれた場でもあります。

運営するのは、有限会社仙六屋。この地域で不動産企画・賃貸・管理業やエリアマネジメントも行っている会社です。

「まちの価値は、自分たちの手でつくることができるのか?」

そんな問いを出発点に、実践の場として仙六屋カフェを構えました。

社員3名とアルバイト数名の少数精鋭で、事業も組織も、試行錯誤しながら形にし続けている状態だといいます。

今回は、カフェの店づくりを担う人と、不動産部門スタッフを募集します。あわせて、業務委託としてイベント企画やコンテンツづくりに携わる人も募集中。

お店にとって、まちにとって、よいと思うことを実践すること。同時に、事業としても成立させていくこと。明確な答えがないなかで、日々正直に意見を交わしあい、トライアンドエラーを繰り返す。そんなチームです。

どんな人たちがいるか、続きを読んでみてください。



京浜急行線の梅屋敷駅周辺。

住宅街のなかに町工場や昔ながらの商店が残るこのエリアでは、ものづくりのプラットフォームを育てようと、高架下の開発が進んでいる。仙六屋カフェがあるのも、コンテナハウスでできた店舗やメーカーの工場、シェアオフィスなどが並ぶ一角。

数メートル先を歩いていた二人組が足を止め、ドリンクをテイクアウトしていった。

入り口の扉を開けると、代表の茨田(ばらだ)さんとスタッフの方が迎えてくれた。

パソコン作業に集中している人、ゆっくりお茶している若い二人、ベビーカーを押してやってきた親子。店内にはいろんな人がいる。スタッフとお客さんが「お子さん大きくなりましたね。もう喋ってるなんて!」と会話しているのも聞こえてきた。

ひと段落し、まず話を聞いたのは代表の茨田さん。

お会いするのは3回目。「僕の写真、撮りますか…? 髪を切りに行けなかったんですよ」と控えめに笑う。

大田区で生まれ育ち、地域に根ざした大家として不動産賃貸・管理業を営んできた茨田さん。

建物、お店、そのまちで暮らす人・働く人、土地に根づいた技術…。まちに存在するさまざまな要素を読み解き、うまく結びつける。大規模な開発ではなく、小さな単位でできることから発展させていく。

そうやってまちのDNAをつないでいこうと、大家の職能を広げて活動してきた。

仙六屋カフェのメニューには、茨田さんたちの取り組みを象徴するものがある。それが、福田屋のクリームモナカ。

地元で長年愛され、たくさんの人に惜しまれつつ、2018年に閉業した甘味処・福田屋。

せめて、看板メニューだったクリームモナカだけでも受け継ぎたいと、茨田さんは引退した店主に相談して、製造機とレシピを引き継ぎ、修行期間を経てクリームモナカを復刻。

お客さんから、福田屋をなつかしむ声もよく聞くという。

カフェスペースのほかにイベントスペースも備える仙六屋カフェでは、コロナ禍以前は地域の人が企画を持ち込み、イベントやワークショップをひらく機会も多くあった。

自分たちでも、クリームモナカをモチーフにしたTシャツを企画・販売したり、町工場とクリエイターのコラボレーション作品を展示したり、まちの文脈も意識したアイデアを形にしてきた。

「『まちに資するカフェって、一体どんなお店だろうか?』という問いをもとに、この店を構えてもうすぐ2年半。そろそろ答えを出していくフェーズだと思っていて」

まちの人たちが活動できる場、まちについてのアイデアや情報を蓄積させていく場、不動産の相談の場。新しいことを創造していくタッチポイントとなるような飲食店を、茨田さんは構想している。

「カフェには普段からいろんな人が訪れます。カジュアルかつフラットに話をしながら、お店で働く人や地域にいる人たちが望むようなまちを、ここから自分たちでつくっていけるんじゃないかなと思うんです」

「その狙いをもったうえで、きちんとビジネスとして成功させることも大事だと考えていて」

ただ、現状は不動産部門の収益でお店を維持している状態。さらに来年以降は、仙六屋が運営を担うもうひとつの店舗、大田区総合体育館に併設されたカフェも営業再開を予定している。

直近の目標は、カフェだけで自立できる基盤をつくることだという。

「現場にとっては、肉体労働しながら、ロジカルに仮説と検証を繰り返すって、やっぱり大変なんですよね。僕も口では任せたいと言いつつ、最終的に経営視点で判断するから、なかなかスタッフと噛み合わないということも起きてしまって」

理解しあう努力はしたものの、店を離れた人もいた。チームとして前進していくプロセスも課題のひとつだ。

「痛みも伴いつつ、積み上がってきた手応えはたしかに感じています。まだ全然諦めてないっていうか。スタッフにもぜひ話を聞いてみてください」



カフェチームの小薗さんも、お店をよくしていこうと奮闘している一人。

以前は大阪の食品メーカーに勤めていたそう。

「学生のときから食に携わる仕事がしたいと考えていました。根っこを辿っていくと、小さいころ家でごはんを食べてた時間が、大事なものとして自分のなかにあるなと思って」

「前回の日本仕事百貨の記事を読んだとき、仙六屋は、まちの人たちの食を通じた思い出を残していこうとしているお店だと思ったんです。数字を見るのは得意だから、お店で活かせるかもしれないと、応募しました」

現在は入社して8ヶ月ほど経ったところ。店頭に立ちつつ、売上の分析や計画、仕入れ・発注、在庫管理なども担当している。

「お客さんとの距離も近く、反応がビビッドに返ってくるのは想像以上に面白いです。一方で、小さい組織なので、することは次から次へと出てきますし、考える軸もたくさん。思考回路を切り替えながらいろんなことをするのは難しいなって思います」

回転率を上げるだけが目的ではないとはいえ、売上目標もクリアしたい。

カフェチームで話し合い、たとえば季節限定のフードメニューを増やすなど、策を打ってみて、その効果を数字で拾う。

「定量的な指標は、現場と経営の考えのすり合わせにも役立つと思っていて。まとめたデータは、みんなの見えるところに置いています。そうすると、茨田も気づいたことをその都度フィードバックしてくれて」

話を聞いたうえで自分の考えを伝えたり、茨田さんの意見をチームのメンバーに伝えたり。よかったこともうまくいかなかったことも受け止めて、改善につなげていく。

「『みんなよく話すんです』って前回の記事で読んだ通りのまま、本当によくしゃべります。週1回の定例にはじめて参加したときは、『何時までやるんだ?!』ってびっくりしたけど、今はそれにも慣れました」

「経営も現場も近いし、いろんなお客さんと接するし。言語を使いわけている感じもしますね。とにかくしゃべる…(笑)」

苦になることはないのでしょうか。

「現場と経営、どうしたら双方にうまく伝えられるかという葛藤はあるし、重たく感じることもあります。けど、入りたての自分でも、経営者とこの距離感でフラットに話せること、話を聞いてもらえること。それをよしとする環境って、あんまりないと思うんです」

「それに、カフェのメンバーの主体的な声を身近で聞いているからこそ、経営側に説明できることはいくらでもする!って気持ちがあります。結果として折り合いがつかないことはあっても、伝える手前で止まることはしたくないなって」

通訳のような役割をすすんで担っている小薗さん。お店にはレシピ開発や調理面を引っ張っている人もいる。

それぞれが強みを発揮しつつ、横断的に仕事をするのが、ここでの働き方なんだと思う。

そのなかで今回は、飲食店での勤務経験がありつつ、ブランディングやクリエイティブにも関心のある人が来てくれるとうれしい。

「お店の空気感をつくるのは、そこで働いている人だと思うので。すごく忙しかったり、いろいろな場面があるけれど、それも含めておもしろがれる、笑い飛ばせちゃうくらいの人がいいですね」

「私は入社を機に大阪から引っ越してきて。このお店でお客さんと接点を持つなかで、少しずつ思い浮かぶ顔が増えてきました。まちにある自分の好きなお店の一つとして、選んで来てもらえる場所にしていきたいです」



今度は、不動産チームの山室さんにも話を聞かせてもらう。カフェの立ち上げから関わってきた方。

実は来年3月に仙六屋を卒業し、次の道へ進むことが決まっているそう。

「それまでのあいだで、チームを問わず、新しく来る方にはしっかりバトンをつなぎたいと思っています」

不動産部門の日常的な業務は、自社物件の管理。植栽の手入れや清掃、水漏れなど設備へのクレーム対応、工務店との折衝など。

このほかに、Webサイトの更新や、イベントの準備、カフェの閉店作業の手伝いなども仕事に含まれる。

「仙六屋の管理物件に暮らす入居者の方たちによろこんでもらい、かつ、まちにいい影響を与えるような物件にどう育てていくか。リサーチや企画も担っています」

現在山室さんが主導しているのが、「はんびらき」という活動。まちの人たちが自身の活動を表に出してみる場所として、空き物件など、使われずに閉ざされた状態になっているさまざまな場所を、期間限定で開放する取り組みなのだそう。

いろんな人に場所を活用してもらい、まちにひらかれた場を広げていきたい。

まずは自分たちが実践してみようと、第一弾は山室さんが企画。コロナ禍で閉塞的な生活が続くなか、ちょっとした楽しみを届けられたらと、知り合いのチョコレート屋さんの協力を得て試食会をひらいた。

「手探りしながらの試みだったんですが、いろんな方が来てくれて。仙六屋カフェから離れた場所での開催だったにも関わらず、自己紹介をすると、エリアマネジメントを行う会社として仙六屋を知らなくとも、『あそこのカフェね』って言ってくれる人もけっこういたんです」

「そのとき、不動産とカフェの仕事がむすびついたように感じたんですよね。両輪でやっている意味を実感したというか。自信につながる瞬間でした」

想いをともにする不動産オーナーが増えて、いろんな場所でチャレンジが広がっていったら…。やがてまちに大きなうねりが生まれていくかもしれない。

「仙六屋が大切にしていることって、年月をかけて理解できる部分も多いです。茨田も30年50年とか、長いスパンでものごとを考えるので、その感覚を合わせていく必要もあるかな」

「一方で、常に目の前に課題が現れては改善して…の繰り返しでもある。ドライブ感を持って、自分でなんでもやってみるという環境ですね」

遠くと近くを同時に見ながら、自分たちの手でまちの価値をつくっていく。そのせめぎ合いのなかに、葛藤も手応えも成長も、すべてが詰まっている仕事だと思います。

(2021/8/12取材 後藤 響子)
※撮影時はマスクを外していただきました。

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