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スタッフと、生徒と、地域と
本気の仲間と
未来をつくる

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

「早く行きたければ一人で行け、遠くに行きたければみんなで行け」

これは、アフリカのことわざなんだそうです。

今回話を聞いたのは、このチームや地域の人たちとならば、みんなで遠くに、そしてよりよい方へ行けると信じて進み続けている人たちです。

島根県立隠岐島前高校は、日本海に浮かぶ離島にある、地域唯一の高校です。

12年前、人口流出や財政難などさまざまな課題を抱え、島から高校がなくなる寸前にまで至りました。

そこではじまったのが「隠岐島前高校魅力化プロジェクト」。生徒が通いたくなる、地域に愛着の持てる学びの場をつくることで、地域に持続的な循環を生み出す取り組みです。

今回はここで、高校や小中学校の教育に関わるコーディネーター、公立塾である隠岐國学習センターのスタッフ、そして長期インターンを募集します。

前例のない道を一緒に開拓していくために、本気で話し合える仲間を探しています。



隠岐島前高校のある海士(あま)町は、日本仕事百貨の取材でも度々訪れている島。

教育に加え観光や漁業など、さまざまなプロジェクトが積極的に行われている地域で、Iターンの移住者も少なくない。

本土の港からフェリーに揺られ3時間ほど。大きな港から見上げると、高台の上に隠岐島前高校が建っている。

公立の塾や島外から生徒を受け入れる寮を設置し、高校のカリキュラムも改定。国内外の人と交流する機会をつくったり、地域全体を学びの場にしたり。

さまざまな挑戦を続けてきた結果、今では日本各地から生徒が集まり、教育やまちづくりの事例として全国から注目されている。とはいえ、プロジェクトはまだまだ発展途上の変革期。

この4月からは体制も変わり、新しくプロジェクトのリーダーを任されることになったのが宮野さん。

「僕、中学時代は勉強も部活もがんばって、すごく充実していたんですね。わりと優等生タイプだったので、生徒会長など“長”がつくものは一通り経験しました。高校に進んだら周りが優秀で、部活も挫折を経験して。そこからは本気で取り組むというより、キャラでやってきたところがあるんです」

ずっと教育に関心があったものの、まずは社会人として経験を積もうと、小売業のニトリに就職した。

「正直、家具やインテリアに関心があったわけではないんです。それでも適当にしていたらだめだと思って、一生懸命働きました。4年目には社内の年間最高評価をもらえるほどになったんですよ」

「そろそろ教育の世界にいきたいと考えるようになったとき、当時魅力化プロジェクトを引っ張っていた岩本悠さんのブログを開いたんです。そうしたら、一番上に出てきたのが日本仕事百貨の記事でした」

縁を感じ、ここで働くことを決めた宮野さん。

生活の準備をするため来島したときのことを、今でもよく覚えている。

「ニトリで働いてたとき、よく仲間と飲みに行ってたんですね。仕事の話をしていると『宮野さん、熱いっすね』とか言われることがあって。だんだん、仕事について語るのは控えるようになっていました」

「島に来たとき、ここでやりたいことを話してみたら、みんなふつうに受け止めてくれて。おもしろがって聞いてくれたんです。ここだったら隠さずに本気でいける、みたいな感じがあったのをすごく覚えています。それは魅力化の雰囲気でもあるし、この地域全体に漂う雰囲気でもあると思います」

最初は隠岐國学習センターで働きはじめた宮野さん。今までと違う場所で違う仕事をするなかで、戸惑う時期もあった。

そんななか立ち会ったのが、新たに建てられた隠岐國学習センターの竣工式。そこで自分がやるべきことの方向性が見えたそう。

「島の内外からたくさんの人が集まるなかで、プロジェクトを立ち上げからつくってきたセンター長の豊田さんが号泣していて。自分はある程度土台ができたところで踊っているんだと気づいたんです」

「土台をつくる大変さを知らないと、今までつくってきた人たちに追いつけないし追い越せない。だから、隣の知夫村で小中学校の魅力化をスタートする担当に手を上げました。海士町よりも小さい島で魅力化をゼロから立ち上げることに挑戦したいと思ったんです」

魅力化に取り組むのは、知夫村でははじめてのこと。

仕組みづくりから地域との関係づくりまで、まさにゼロからの仕事だったそう。

「知夫ではすべてがドラマでした。周りのみなさんに協力してもらいながら、島外から子どもたちがやってくる『島留学』を導入したり、授業のカリキュラムを先生や地域のみなさんと考えたり。島留学に来ていた1期生の卒業式は、もう号泣でしたね」

今ではプロジェクトリーダーを務める宮野さん。

どんなところにやりがいを感じているんでしょう。

「僕、生徒はもちろんですけど、魅力化に関わる大人が変わっていくプロセスが好きなんです。プロジェクトメンバーも、地域の人たちも、やればできるんだって実感し続ける毎日なんですよね」

「知夫での経験も、リーダーとしてこれから取り組んでいくことも、まだ誰も経験していないことを開拓していく仕事です。チャレンジすることで未来が変わっていくのを実感できるし、ここでの実践は回り回って社会の役に立つ。そこが楽しいんじゃないかという気がしています」



そんな宮野さんと一緒に働くメンバーのひとりが、隠岐國学習センターの塚越さん。

塚越さんがはじめて島にやってきたのは、大学3年生のとき。

大学の先生のつながりで、島の高校生との交流プロジェクトに参加したことをきっかけに、島に通うようになった。

高校の授業や隠岐國学習センターの様子を見せてもらうなかで、印象的なことがあったそう。

「高校生の発表に対して『お前は海のことなんて考えてない』って、地域の大人が真正面から怒っているシーンがあったんですね。すごくかっこいいなと思って。話を聞いて、まっすぐに話をしてくれる大人がいるって、すごいなって」

「あと、島のお祭りに参加させてもらったとき、土地の歴史について延々と語ってくれたりするわけですよ。そうやって地元の話ができる人たちが大勢いるってことが、僕にとっては羨ましかったんです。こういう人たちがいる、この場所が好きだなって思うようになりました」

新卒のフレッシュなメンバーとして入ってきた塚越さんも、今は8年目のベテランスタッフ。

仕事は、お昼に出勤してミーティングや教材の準備をするところからはじまる。生徒が集まってきてからは、勉強を教えたり、質問に答えたり。

塚越さんは社会科の担当ではあるものの、今は全員で全教科を対応しているような状況なんだそう。新しく入る人も、自分の得意なことを活かしつつ、幅広く対応することが求められる。

「面談の時間も大切にしています。学習センターの仕事は、一言でいうと、生徒一人ひとりとなにかをつなぐことだと思っています」

つなぐのが、学習センターの仕事?

「学習塾なので、ふつうは勉強のことだけを考えるんですけど。島前高校には勉強をしに来ている子だけではないんですよね。島外からここにやってきて自分の関心を探究したい子とか、島での生活を楽しみたい子もいる。学力もぜんぜん違うんです」

あの大学を狙うならこの勉強法だよね、といった話をする子もいれば、プログラミングに関心がある子、今度の選挙どうだろうね?と面談をする子もいる。

勉強するのはもちろん、一緒に興味関心を探っていくのが、ここで過ごす大切な時間のひとつ。

「自分の発言や態度には責任を持つようにしています。生徒と話すことについては事前にちゃんと調べるようにしていて。僕がなにかをするというよりは、その子自身が自分のやりたいことに気づくことが大切なんです」

感染症の拡大を受けて授業をリモートで行うことが決まり、急遽準備を進めないといけなかったときには、率先して担当をかってでたという塚越さん。

最近は仕事とは別に、地域の方にスマホの使い方を案内する講座をはじめている。

「教えているおじいちゃんが、一緒に働いている先生の兄弟、みたいなことがあるんです。やっぱり僕は、この土地のことを聞かせてもらうのが好きで。そこで聞いた話を生徒に還元していくこともできるんですよ」

「魅力化をやるなかで学んだICTの技術を、土地の人に還していけるってすごい贅沢なことだなって思うんですよね。この土地で、この人たちとやっていきたいという思いは、ずっと変わらないんです」



高校での10年間の取り組みを活かして、5年前からは海士町内の小学校、中学校にも魅力化プロジェクトが広がっている。

当初から小学校の魅力化コーディネーターとして働いている浅井さんは、次の春から産休に入る予定。新しくこのポジションに入る人は、浅井さんの仕事を引き継ぐことになる。

主な仕事は親子島留学の推進と教育ICTの活用支援、そして総合的な学習の時間を使った探究型学習・ふるさと学習を先生とともにつくっていくこと。

「たとえば6年生は、1年かけて『子ども議会』という探究学習に取り組んでいます。子どもが考えるよりよい町・おもしろい町にするためのアイデアを、町長や議員さんに直接提案するというものなんです」

子ども議会自体は、20年近く続けられているもの。町の課題を議員さんに聞くところからはじめ、大人でも解決のむずかしいことを子どもが考えていくという課題解決型のプログラムになっていたそう。

そこへコーディネーターが入り、先生と協議していくなかで昨年からはじめたのが、子ども自身の興味から提案内容を考えていくという進め方。

「天体観測をしてみたいとか、子どもだけで海に行けるような仕組みをつくりたいとか。まずは自分が今どんなことに興味があるのか考えて、町の人とおしゃべりするところからはじめてみたんです」

「いろんな人に話して夢を膨らませながら、それはどうやったら実現できるのか試したり、どうすると町の人も喜んでくれるものになるのか考えたりしていく。子どもたちはすごく自由に提案してくれます。それに大人が感化されることもあって。すごくいい形になってきましたね」

5年間さまざまな取り組みを行ってきた一方で、浅井さん的には歯がゆく感じる日々が続いているという。

「関わる人が多いし、それぞれに考え方が違うところもあります。小中学校の魅力化は、まだまだ土壌ができたと言える状態にはなっていないんじゃないかな。ここで子育てしたい人を減らしたくないし、小さく豊かなこの島島ならではの魅力あふれる学びを追求していきたい。まだまだできることはたくさんあると思っています」

志を高く持つ浅井さんだからこそ、悩むことも多い様子。

それでもこの仕事に向き合っていくエネルギーは、どこから来ているんでしょう。

「一緒に働いている人たちですかね。先生たちが探究学習をおもしろがってくれるのはもちろん、魅力化やコーディネーターを一緒にやっているメンバーと、ああしたい、こうしたいって一緒に話しているときに力が湧いてきます」

「学ぶことが好きな人が多いんですよね。人から学ぶ、事例から学ぶ。前向きで情熱の塊みたいな人たちなんですよ。そんな仲間がいることに救われています」

チームのメンバー、そして地域の人たちと本音で話しながら進んでいけることを楽しんでいる。3人揃ってそう話してくれたのが、とても印象的でした。

目の前の人とまっすぐに話したい、一緒に未来を良くしたい。

そんな人からのご連絡をお待ちしています。

(2021/10/20 オンライン取材 中嶋希実)

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