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のびやかな
クラフトマンシップを
一緒に育む

おいしい野菜をつくるには、健全な土壌が必要であるように、いいプロダクトを生み出すためには、つくり手が働く環境の健やかさが欠かせない。

ノルマや売れ筋を意識しすぎると、人の感性は働かなくなってしまうし、つくる人と売る人がお互いの現場を思いやれなければ、気持ちのいい仕事はできない。

製品が生まれる場の空気というのは案外、ものを通じて使い手にも伝わるもの。

菅原工芸硝子の製品から感じるのびのびした印象は、この会社の風土を正直に映していると思う。

今回は、そんな菅原工芸硝子の製品の魅力を伝える営業担当を募集します。

「スガハラ」はすでに多くのファンがいるブランドなので、飛び込み営業で顧客開拓するような仕事はほぼありません。どちらかというと、すべて手作業でつくっている背景を理解して、伝えることがその役割だと思います。

営業担当の東京オフィスは青山にありますが、千葉にある工場とも頻繁にやりとりします。ときには営業担当から「こんな製品をつくりたい」と、職人さんに相談してものづくりに関わることも。

日常を豊かにするガラスの魅力を、一緒につくり伝えていく仕事です。今回は合わせて福岡を拠点に働くスタッフも募集します。



スガハラの製品を生み出す工房は、千葉・九十九里にある。

東京駅から一時間半ほど電車に乗り、最寄りの東金駅からは路線バスに乗って15分ほど。のどかな道を走っていくと、菅原工芸硝子の本社に着く。広い敷地のなかには事務所のほか、カフェやショップも併設されていて、一番奥に見えるのが、製品をつくる工房。

階段で2階に上がると、中央には大きな“るつぼ”がある。ガラスをドロドロに溶かす1400度もの熱で、るつぼの中は真っ赤に燃えていて、工場全体もちょっと暑い。

長い筒を吹いてガラスを膨らませる人、大きなペンチのような道具で造形をしている人も。職人さんたちは、テキパキと仕事を進めていく。

赤い火の玉のような状態から、あっという間に透き通ったガラスに。冷えて固まると加工ができないので、ガラスは時間との勝負。そんななかでも職人さんたちは、見学に来たこちらに明るい表情でアイコンタクトをとってくれる。

私はここに来るのは2回目なのだけど、職人さんの仕事は何度見ても楽しいし、飽きない。案内してくれた代表の菅原さんも、にこやかにその様子を見守っている。

「今ちょうど、来年に向けた新作の開発をしているんですけど、本当に悩ましいですよ。うちの職人たちはみんなとてもユニークなものをつくるので、どれかを選んでどれかを落とすっていうのが辛い。本当は全部商品化したいくらいです」

菅原工芸硝子は、前身の個人商店時代も含めると今年で創業90年。もともとは下請けの加工を主に請け負っていて、オリジナル製品をつくり始めたのは45年前のこと。

今は製品のデザインや開発を、主に職人さんが行っている。

たしかに、その形の伸びやかさや自由さは、ガラスがもともと柔らかいものであることを知っている人だから出せる表情だと思う。

「私は『売れるものをつくりなさい』とは言いません。それって現場にとってはある種の脅迫だと思うから。ノルマや売り上げに締め付けられていると、いいものづくりはできません」

「職人が本当にいいと思うものを形にしていけば、それに共感してくれる人はいる。メーカーがそんな甘いことを言っていていいのか、っていう声もあるかもしれないけど、私は、楽しくやるのが一番だと思うんです。職人たちは素直にそれを実践してくれていると思います」

そんな気持ちに呼応するように、最近は外部のクリエイターやブランドとのコラボレーションも増えてきた。そのアイデアがまた、職人さんたちの刺激にもなっている。

スガハラの製品の自由さを見ていると、器は単なる道具ではなく、何気ない日常を少し楽しくしてくれるものなのだと感じられる。

現在、スガハラのものづくりを担う職人さんは30名ほど。この道60年という大ベテランもいれば、学校を出たばかりの若手もいる。全体の3割は女性スタッフで、産休を経て戻ってきた人も。

体を使う仕事なので、基本的には残業しない。ただ業務とは別に、自分の興味やアイデアを温めるため、休みの日に工房で試作をする人もいるという。



入社20年目で、開発の責任者を務める職人の松浦さんは、日々の生活のなかでもいつも、製作のヒントを探している。

「この前、100円ショップに行ったとき、シュレッダーバサミっていうのを見つけたんです。ハサミの刃が5連に繋がっていて、これでガラスを切ったらどうなるんだろうって興味が湧いてきて。それで生まれたのが、ガラスの羽根っていうオブジェです。普通のハサミよりも細かい表情が出せました」

「ガラスって本当にきれいで、いろんな表情がある。とろとろに溶けてポトンと落ちていくところとか、できることならみんなを工場に連れてきて『見て見て!』って言いたいんだけど、そういうわけにいかないから形にする。その繰り返しですね。20年やっていても、全然飽きないですよ」

もともとは学生時代に趣味としてガラスづくりをはじめた松浦さん。自分の作品をつくるよりも、誰かが使うものをつくるほうが、しっくりくるそう。

アイデアを形にするときは、社内での会話がヒントになる。

たとえばグラスなど、「もう少し大きいほうが洗いやすい」といった営業目線の意見は、ありがたいという。

これから営業担当として着任する人に、つくり手の立場から期待することはありますか?

「まずはスガハラの製品を好きであってほしいなと思うんですが、これ以上、何かしてほしいということはなくて。それよりもっと、のびのびさせてあげたいです」

のびのび。

「営業さんたちは今、少人数でとても頑張ってくれていて。これは僕の勝手な想像なんですが、もし余裕があったら、もっとやりたいことがあるんじゃないかなと思うんです。たとえば、自分の興味のある分野にアプローチしてみるというようなことも、今はやりたくても難しい状況なのかなあって」

「うちはすべて手作業なので、発注から納品まで時間がかかるし、その分、営業の仕事も増える。たとえば注文が来たときに、すぐ出荷できる在庫があれば、営業の仕事も楽になりますよね。そのためには、現場でもっといいものをたくさんつくっていかないとなと思うんです」



この日、普段は青山を拠点に働いている営業の山﨑さんも千葉の本社に顔を見せてくれた。

「コロナもあって千葉に来るのは3ヶ月ぶり。まずは工房に顔を出して、みなさんに挨拶してきました。無理なお願いを聞いてもらうこともあるので、お礼を伝えたり。やっぱり電話でもちょいちょい話はするんですけど、顔を見ると違いますね」

山﨑さんがこれまで担当してきたのは、主に飲食店向けの卸。

レストランなどの取引先から「こんな用途で使える食器が欲しい」というリクエストをもらい、条件に合う商品を探して提案する。

一見シンプルに思えるけれど、4000点にものぼる商品群から相手のニーズに合うものを探すのには工夫がいる。

「たとえばビールグラスで、何ccの容量、予算はこれくらいって、条件に合うものを一生懸命探すんですけど、提案のときたまたま並べていたグラスを見て『あ、やっぱりこれがいいかも!』って言われることがよくあります。ご予算や条件をかなりオーバーしていても、『こっちのほうがお店に合うから』って」

このグラスがあったら楽しいだろうなと、想像をかきたてられる。スガハラの製品には、そんな引力があると思う。

過剰なセールストークで売り込むよりも、お客さんの言葉の根っこにある好みや望みを捉えることが大切。

また、お客さんとの会話を通じて生まれた新製品のアイデアを、現場に届けることもある。

「スガハラにはグラスや器の種類はたくさんあるけれど、そのほかのテーブル小物が少なくて。最近、私が意見を出してナプキンリングとナイフレストを製作してもらいました」

ぐるりと環を描いたような形のナプキンリングは、径の大きさや太さ、ねじりの角度など、現場の職人さんと何度もやりとりを重ね、4ヶ月ほどかけて完成させた。

製品を伝え届けるだけでなく、ときには自ら開発にも携わる。菅原工芸硝子の営業の仕事は幅広い。

山﨑さんは今、飲食店に加えて小売店の担当も兼務しているほか、最近では照明のシェードやガラスタイルなどインテリア向けの商材も扱うようになった。

「もともと、うちの営業は何でも屋さんみたいなところがあって。ポップアップショップなどのイベントがあれば売り場にも立ちます。マニュアルがなくて、判断に迷うこともありますが、自分の裁量で動けるのは楽しいですよ」

入社して2年半。山﨑さんはあらためて、この会社ならではの営業の役割を考えるようになったという。

「スガハラの製品はすべて手作業でつくっているので、量産が難しかったり、若干の個体差が出たり。グラスが一個数千円っていうのも、それだけ聞くと高いと感じる方もいるかもしれません。でも、実際の現場を見ていただくと、ちゃんと理由がわかるはず。むしろ、この価格でいいの?って言われることもあります」

ものを売ってどんどん数字を取っていくことよりも、スガハラの製品の裏側にある思いをしっかりと届けていく仕事。

山﨑さんは、入社前に工場を見学したときの気持ちを今でも覚えているという。

「いわゆる職人の世界を想像していたんです。言葉少なに、黙々と手を動かすような。でも話しかけてみると、基本的なことでもみなさんうれしそうに説明してくださって。ああ、職人さんたちは本当にガラスが好きなんだなって伝わってきました。忙しいときでも、話しかけて嫌な顔をする人は一人もいないと思います」

「その職人さんたちの熱気を肌で感じていたら、『営業さん、これからお願いね』って言われて。これを半端な気持ちで届けていてはいけないなって、思ったんです」



こうして菅原工芸硝子というチームを俯瞰してみると、立場の違うチームメイトに対する思いやりを、それぞれがバトンのように回しあっていることがわかる。

だからこそ、安心してガラスの魅力に向き合うことができるのだと思います。

素直に感じる気持ちを大切に。このガラスを届けてください。

(2021/11/2 取材 高橋佑香子)
※撮影時はマスクを外していただきました。

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