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はじまりは、丘のまち
旅するように働き、暮らす

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

ひらけた空となだらかな丘。自然と肩の力がぬけ、ゆっくり深く息を吸い込む。

北海道・美瑛町(びえいちょう)。

見渡す限り丘の風景が広がる「丘のまち」として広く知られています。

農業が盛んなこの地域では、ジャガイモ、アスパラ、トマト、メロンに麦など。「北海道」からイメージされる農産物を幅広くつくっています。

大地から緑が繁り、花がいっせいに咲き、収穫の時期を迎える。刻々と表情を変えるこのまちで、農家さんのお手伝いをする仕事の募集が、今年もはじまります。

春から秋にかけてと、夏から秋にかけて。それぞれの期間で農作業ヘルパーを募集します。

農業にたずさわりながら、数ヶ月間美瑛で暮らす。トマトやアスパラ、ジャガイモ農家さん、そして野菜の加工や選別する施設を訪ね、実際に手を動かします。

環境を変えて新しいことに取り組みたい、食や農に関わってみたい、美瑛で暮らしてみたい。それら全部という人も大歓迎。

毎回、年齢もバックグラウンドもさまざまな人が全国から集まっています。思わぬ出会いや気づきにあふれた仕事だと思います。

 

8月、うだるような暑さのなか、羽田空港から飛行機で1時間半。旭川空港に到着すると爽やかな空気に包まれる。

旭川空港から美瑛へは車で15分ほど。北海道のほぼ真ん中にあり、旭川や札幌へも行きやすい場所です。

駅や病院、スーパーが並ぶ市街地へ。

迎えてくれたのは、ヘルパー事業を担当しているJAびえいの井原さん。

「十勝岳連邦の山麓に広がる美瑛町は、朝と夜の寒暖差が激しい。だから、甘みがあるおいしい作物が育ちます。小麦やビート、ジャガイモに、豆類や、スイートコーン、アスパラ、トマトなど。豊富な野菜に加えて、畜産や酪農も盛んで。オールマイティな場所なんです」

1万1600ヘクタールの広大な農地を持つ美瑛。まちを眺めると、さまざまな農作物がつくりだすパッチワークのような模様が見える。

「このまちの魅力は農業からできているんです。景色も、おいしいものも、すべて農業から。空気も水もいいし、ここの風景と一緒に味わうとおいしさも格別です。農家さんたちがつくるものは、毎日食べていても、やっぱりおいしいなぁって思います」

おいしさや食材の豊富さに魅せられ、東京のブーランジェリーが美瑛にお店を出すなど、さまざまなバイヤーから「美瑛のものを使いたい」と引き合いがある。

「一方で農家さんの数は減っています。機械化もしていますが、そこにもやっぱり人の手が必要で。とくに収穫の時期はどこも人手が足りません」

JAびえいでは、2013年から関連会社の美瑛通運と一緒に、農作業を手伝うヘルパーさんの募集をはじめた。毎回全国から集まり、今回は14人ほどを募る。

井原さんは、面接から関わり、農家とヘルパーさんのつなぎ役や、住宅の手配など生活面のサポートを担当。ヘルパーさんが美瑛ですぐに生活できるよう、必要な家具家電、調理器具もついたアパートを用意している。

「リピーターさんも、農業経験者も来てくれていますが、多くは農業未経験の方です。みなさん真剣に取り組んでくれているので、大変助かっています。農作物と一緒にヘルパーさんも成長しているなと、毎回感じていますね」

 

取材に行った8月は、ちょうどトマト収穫の真っ盛り。ヘルパーさんを受け入れているトマト農家の村中さんに話を聞く。

2019年に美瑛で新規就農した村中さん。3年目になる2022年に、はじめてヘルパーさんを受け入れたそう。今回募集するヘルパーさんは、期間中トマト農家さんを訪ねることになる。

「ハウス5棟で、トマトを6,000株育てています。妻と2人でやってきましたが、収穫時期はどうしてもマンパワーが足りず…。ヘルパーさんに来てもらって、本当に助かっています」

村中さんは以前、東京のクレジットカード会社に勤めていた。40歳を過ぎ、パソコンを使う仕事から離れ、新しいことに挑戦しようと決意し、農業の道に進んだ。

年齢的に受け入れてくれる自治体が少ないなか、奥さんの地元に近いこと、景色やまわりの環境の良さから、美瑛でトマトの栽培をはじめる。

「今は、ヘルパーさんと一緒に葉や脇芽を切る管理作業と収穫をしています。管理作業を並行して進めると、実の付きもよくなるし、収穫もしやすくなる」

「1年目、2年目は収穫に手一杯で、管理作業がおろそかになり、ハウスの中がジャングルみたいになってしまったんですよね。今年はそうはならないぞ、という気持ちです」

ハウスのなかはトマトの木がずらりと並ぶ。ハウスには機械を入れることができないため、トマトの栽培から収穫までを、ほぼすべて手作業で行っている。

4月中旬に苗をハウスに植え替え、成長してきたら枝を伸ばしやすいよう、上から垂らしたヒモで吊り下げる。管理作業をしつつ、6月には収穫がはじまり、秋ごろまで続く。

トマトの状態や色をよく見て、ハサミで傷つけないよう丁寧な作業が求められる。体力と最後までやり遂げる根気強さも重要。

「今回来てくれた浅川さんは本当によくやってくれています。農業に関心があるし、妻のいい話し相手にもなってくれているみたいで。一人で黙々とする作業も多いけれど、協力して作業することもあります。コミュニケーションを楽しめる人だとうれしいですね」

数ヶ月間、同じ農家さんで仕事をしていけば、自然に仲も深くなるだろうし、農作物への興味も湧いてきそう。労働力として期待されている面はもちろんあるけれど、それだけではないのかもしれない。

 

「農家さんや農作物を見る目が変わった」と話すのは、ヘルパーの浅川さん。ヘルパーとして2年連続で美瑛を訪れている。

「農家さんってもっとゆったりと働いていると思っていました。でも実際は、なかなか休めないし、すごく手間もかかる。大変な思いをして収穫したものが、スーパーに並んでいるんだなって」

大学卒業後、旅行会社に就職。いろんなところに住み、働いてみたいと思っていたときに、日本仕事百貨でヘルパーの仕事に出会い、ビビッと来てすぐに応募したそう。

「一人暮らしもしてみたいし、自然に近いところで住んでみたいし。もっと言うと新しいことにチャレンジしたかったので、すべてがドンピシャな仕事でした」

「えいって来てみたら、こっちの生活が私には合っていたみたいで。まちもすごく綺麗だし、市街地をぬけると綺麗な丘陵地帯が見えて、ふらっと出かけるのも楽しい。行ってみたいお店とか場所もたくさんあって、ヘルパー期間中に回りきれなくて、また来ちゃいました」

美瑛に戻ってきたこの年の5月には、アスパラの収穫を経験。

場所によっては傾斜がある畑に、ニョキっと生えるアスパラを鎌で刈りとっていく。

「鎌で切るとジュワッて、アスパラから水分が出てくるんです。アスパラがこんなに瑞々しいなんて知りませんでした」

「外での作業なので、いい風が吹くし、綺麗な山々を一望できて気持ちいい。そのぶん、天気がわるいときの収穫は大変です」

アスパラは、気温が高いと、あっという間に伸びていく。そのため収穫は朝と昼過ぎの2回、同じ畑を回って行う。

「腰がきついって聞いていたので、ドキドキしながら行きました。最初の3日間は大変でしたが、それ以降は慣れてきて。アスパラだけでもまた来たいなって思っちゃいました」

最初に来た年は、別のトマト農家を手伝った浅川さん。同じ農作物でも、行く先の農家さんのやり方や、その年の天候によって、担う作業も違う。

村中さんのところでは、ハウス1棟の収穫と管理作業をメインで行っている。

8時にハウスに来て、収穫作業。お昼休憩をはさみ、午後からは管理作業に取りかかる。午前と午後に1回ずつ休憩をいれ、17時にその日の作業を終える。

「朝早く起きて、体を動かし働いて、夜暗くなったら疲れて寝る。ふつうのことだけど、人間らしい生活が今はできています。週に6日ヘルパーの仕事があるので、生活のリズムができるまでは1週間が長く感じましたが、今はすぐに過ぎちゃって惜しいくらいですね」

「トマトが実をつけていく成長過程を見られるのは面白いです。管理作業では、村中さんから、やり方を教えてもらって、剪定していきます。視界いっぱいにあった葉っぱがスッキリしたときは、ちょっとした達成感があります」

同じ作業の繰り返しのようだけれど、植物は日々成長し、変わっていく。手をかけたぶん、作物への愛着や仕事の手応えも感じられると思う。

「大変なのは、暑さですね」

「ハウスの中だし、体も動かすので余計暑い。熱中症にならないように、水分も食事もしっかりとって、体調管理をしていました」

農家さんが野菜を分けてくれることもあり、たくさん野菜を食べてのりきった。

「私の地元では、人から野菜とかをもらったりするご近所付き合いが全然なかったので、人のあたたかさを感じられたのもうれしくて。すごく良くしてもらっていますが、それが当たり前ではなくて。農家さんによっていろいろなので、求めすぎてはいけないのかなと思います」

「農家さんと仲良くなってくると、気持ちがちょっと緩むこともあって。仕事としてお金をいただいているので、緊張感も大事ですね」

美瑛での暮らしはどうですか?

「市街地がコンパクトにまとまっているので、車がなくても生活はできます。ちょっと都会みたいなところに行きたいって思ったら旭川に電車でいくこともできる。ちょうどいい場所です」

「市街地にある寮には、ほかのヘルパーさんもいるので、朝仕事に行くタイミングで顔を合わせて挨拶したり、ヘルパーさんたちの歓迎会もあります。ヘルパーさん同士で出かけることもありました」

ヘルパーとして参加している人は、20代から60代くらいまでさまざま。一緒にご飯を食べに行ったり、花火を見に行ったりと、ヘルパー同士の交流も生まれている。

農場や加工、選別する施設で、みんなが同じように手を動かす。同じ仲間として、バックグラウンドは関係なく、フラットな関係が築ける雰囲気が生まれるのかもしれない。

「海外でも生活してみたいと思っています。ワーキングホリデーを使って帰ってきたら、また先のことを考える。美瑛で暮らすことも、農業に携わることも、これからの選択肢の1つになりました」

ヘルパーから、JAびえいで働く人、農家さんから直接仕事をもらうようになった人、農家さんと結婚した人など。美瑛に定住しなくても、長く関係を持ち続ける人も多くいます。

「20代のうちにいろいろやってみなきゃって思ってたんですけど、こっちに来てみたら40代50代の人もいて。いつからでもチャレンジできるんだって気付かされたような気持ちです」

 

ヘルパーとして参加する人も、それを裏でサポートする人も。それぞれ思いを持って、このまちに関わっているのがとても印象的でした。

目的はなんでもいいのだと思います。肩の力を抜いて、えいっと飛び込んだ先に、まだ見ぬ出会いがあるように感じました。

(2022/8/18 取材 荻谷有花)

※撮影時はマスクを外していただきました。

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