求人 NEW

五感をフルに働かせ
遊ぶように伝える
大自然のワンダー

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

「ここにいると、日々自然から教えてもらうことがたくさんある。一番教えてもらっているのは、わたしたちなのかなって思います」

生き物の営みに、刻々と表情を変える山の緑や空の青。自然のことを知れば知るほど、自分は生かされているのだ、と感じます。

そんな感動を、みずからの言葉で届けていく仕事があります。

ホールアース自然学校。静岡・富士山麓をはじめとする全国の拠点で、「人と人」「人と自然」をつなぐ活動をしている団体です。

中心となるのは、自然の魅力や面白さを伝えるガイドの仕事。ほかにも、トレッキングやキャンプなどアウトドア体験の提供、企業研修や人材育成、生物多様性の保全などさまざまな事業に取り組んでいます。

今回は、ここで働くスタッフを募集します。

経験がなくても大丈夫。まずは1年間、インタープリテーションを中心に現場経験を積み、本人と組織の双方が希望すれば、修了後も正社員として働くことが可能です。

あわせて、環境・野外教育、ガイドなどの経験者も募集します。

 

ホールアースの本校は富士山にある。最寄りの新富士駅に着くと、スタッフの方が迎えてくれた。

茶畑を横切りながら、黒々とした富士山へと車を進めていく。冬とは違った迫力だ。

50分ほどして、本校へ到着。

最初に話を聞かせてくれたのは浅子さん。ホールアースに勤めて19年になる方。

「取材、楽しみにしてたんですよ」と、明るく声をかけてくれた。

ホールアースの原点は、1982年に創業者夫妻が開いた動物農場。

さまざまな自然体験を提供する組織として、キャンプやトレッキングなどのアウトドア体験、里山保全や有機無農薬農業など、自然を切り口に活動の幅を広げてきた。

「ホールアースの仕事って、参加者はもちろん、僕ら自身も学びながら活動できる場所だと思っていて」

「たとえば今日みたいな晴れた日は、富士山、すごく登りやすいんだけど、逆に雲がなくてめっちゃ暑いし、夜は冷えるんですよね」

一度経験すればどんな装備が必要かわかるし、それをガイドのときに話せば参加者にとっても発見がある。自分の身体で経験したことが、自然の魅力を伝えていくきっかけになる。

「オフィスで働く時間もあるけれど、参加者とフィールドを歩き回ったり、山菜や野草を採ったりして、自然と遊ぶことが僕らの大きな仕事。人生のうち大半を占める仕事で、好きなことをできているのはすごく幸せだなと思います」

活動の基盤にあるのが、学校団体向けに実施している、修学旅行などでのガイド。

同じ地域で活動している団体のなかでも、長い歴史を持つホールアース。体験者の人数だけで数えると、日本に暮らす100人に1人がホールアースのガイドを受けていることになるそう。

学校団体向けのイベントでは、すでにあるメニューのなかから学校の希望にあわせて内容を組み立てることが多い。それに対して、スタッフ自身が企画するイベントもある。

「スタッフはみんな、休日もだいたい自然遊びをしていますね。趣味でトレイルランをする人もいれば、新しいことを始めようとSUPに挑戦してきた、という人もいて」

「僕らは自然と人をつなげることを仕事にしているので。会社で教わることもあるけれど、自分でトレーニングして、人に伝えられるレベルになって初めて企画ができます」

自然のなかでみずから感じたことを、体験として伝えていく。

その基礎が詰まっているのが、学校団体向けのガイド。新しく加わる人には、なによりここを大事にしてほしい、と浅子さん。

「会社としてはもう何年もやっていることなので、どこで何を言うとか、セオリーみたいなものはある。でもそれを普通に言っても、やっぱね、全然伝わんないです」

「僕ら伝え手が大切にしているのは、『伝える』じゃなくて『伝わる』こと。自分の言葉で話せたことって、ちゃんと相手に伝わる。ガイドの仕事は、その鍛錬の場じゃないかな」

 

解説だけでなく、時間内に納めるための進行管理や、参加者の安全確保もガイドの大切な要素。1年間、まずはしっかり目の前のガイドに丁寧に向き合うことで、自然の魅力を伝えるためのスキルが身についていく。

入社して5年目になる小野さんも、そうやってスキルを磨いてきた一人だ。

学校団体向けのガイドは、まずは先輩とコースを回る練習をしたのち、先輩とチームを組んで実践を積んでいく。

「修学旅行のガイドでは、そこまで自然が好きではない子もいる。いろんなモチベーションの生徒がいるなかで、全員に楽しんでもらうのって、なかなかむずかしいんです」

たとえば、列の後ろのほうにいる子に話しかけて仲良くなったり、ムードメーカー的な存在の子どもには洞窟探検のリーダーをお願いしたり。さまざまな方法で参加者との距離を縮め、参加者が主役になれるような時間をつくることが大事だ。

入社1~2か月ほどして慣れてきたら、3時間のプログラムのいちパートだけガイドを担当するなど、できるところから段階的に実践していく。

「五感を大切にしよう、ということはすごく意識しています」

「たとえば、昆虫に興味がなくとも、格好いい形だなとか、この色綺麗だなとか。なにかしら感じることはあるはずだし、本で読むよりも頭に残ると思うんです」

みずから手にとり、観察して、感じたことを言葉にしてみる。生の言葉を届けることで、参加者も興味を持ってくれる。

本校では、子ども向けや親子向けのキャンプを実施することが多く、参加者には動物のお世話を手伝ってもらっている。

「ホールアースでは動物も飼っていて。毎年、卵から雛を孵しているんですけど、ひよこの成長って見ていておもしろいんです。好奇心旺盛な子がいたり、人懐っこい子がいたり、それぞれ違いも見える」

黄色くてふわふわなイメージのあるひよこも、あっという間に白い羽が生えてきて、だんだんと“ニワトリ”に近づいていく。

「人間にとって身近なニワトリも、どんなふうに生きているのか、案外知らないことも多い。すぐ近くで過ごしていると、だんだんわかってくるんです」

触れてみて、一緒に過ごしてみたからこそ、得られる感動も大きい。産みたての卵を見つけると、子どもたちは興奮した顔で知らせに来てくれる。

働いて5年目。「やっと基礎力がついてきた感じがしますね」と、小野さん。

「最初の数年は日々の仕事で精一杯で。今後は、やってみたいと考えていた登山の企画を形にしたいと思っています」

 

自然のおもしろさを、参加者にも感じてもらえる体験に。スキルを磨いて、その想いを形にしているのが、寒河江(さがえ)さん。入社9年目になる。

ホールアースが運営する拠点のひとつ、ビジターセンター「田貫湖ふれあい自然塾」に勤務。いつか自分で企画をしてみたいと考えている人にとって、寒河江さんの話は参考になると思う。

「観光やキャンプのついでに寄られる方も多い場所なので、日常的に自然に触れている方は少なめです。自然に興味を持つ最初の一歩になれたらと、展示は職員で話し合いながらつくっています」

たとえば、キツツキになりきって木のつつくスピードを体験してみるコーナーや、カエルが卵から成体になるまで、数を減らしながら成長していくことを視覚で感じられるゲームなど。

生き物が持つすごさを、身体を使って感じられる仕掛けがあちこちに施されている。

「生き物の魅力を伝えていきたい」と、新卒でホールアースに入社した寒河江さん。

「もともと、自己肯定感が低いほうで。漠然と、自然のことを学びたいと思って進学した先で、それぞれの生き物に役割があって、つながり合っていることを知って。僕自身も自然に生きる存在として、なにか役割があるんじゃないか、と思えるようになったんです」

「僕が生き物に生き方を変えてもらったように、生き物にはすごい力が秘められているんだと、もっと多くの人に知ってほしい。そんなときに知ったのが、自然塾でした」

まずは本校で8ヶ月ほど学校団体や子どもキャンプでのガイドを経験。その後、自然塾へ配属された。

生き物に魅力はあると感じていても、人に伝えるのは初めて。最初のうちは、「うまく伝わらない」とへこむ日々だった。

「ガイド後にはアンケートを書いてもらうんです。先輩宛にはおもしろかったってコメントがあるけれど、僕のは空欄で返ってくることが多かったり、『えびちゃんの素人っぽさがよかった』と言われたり…」

それでも、先輩からアドバイスをもらってほかの説明を考えるなど、試行錯誤するうちに、うれしい感想をもらうことも増えてきた。

「伝える、って効果の見えづらいことだと思うんです。自分の言葉が伝わっているかはわからないですし、これでいいのか、と迷うことのほうが多い。それでも続けられているのって、自分がなんで生き物のことを伝えたいのか、軸をしっかり持っているからだと思っていて」

「そこがなかったらたぶん続けてこれなかったですね。お金をもらっているからいいか、と割り切れる仕事ではない。自分なりの意味や価値を感じていないと、続けていくのはむずかしいと思います」

印象に残っているイベントがある。それは、自ら企画した「ヘビの生きる力に挑戦!」というプログラム。

以前はヘビに苦手意識を持っていた寒河江さん。

「でも、なかには毒のないヘビもいますし、よく見ると可愛い顔をしているんです。腕もないのに木を登れたり、自分の身体よりずいぶん大きいカエルとかでも丸呑みにできちゃう。人間には真似できない、すごい能力を持った生き物なんだと知って」

これまではただ「怖い」で敬遠していた人も、誤解を解いて、適切な付き合い方を知ってもらえれば、ものの見方が少し変わるかもしれない。

「今の自分なら、お金もちゃんといただいたうえで、おもしろさをちゃんと伝えられるんじゃないかと。3時間、いろんな企画をしました」

地域に暮らす毒のないヘビ6種類を、ほかスタッフとともに探して飼育、展示。

ストッキングを腕に通して脱皮体験をしてもらうなど、これまでガイドや展示をつくるなかで培ってきた力を総動員した。

子どもたちは興味津々。付き添いで来た大人からは、「ヘビ嫌いでしたけど、ちょっと興味がわいてきました」という感想も。なかには、このプログラムがきっかけでヘビを飼い始めた家族もいる。

自然と人をつなぐ。その信念のもと、挑戦したいことであればきちんと形にしていける土壌が、ホールアースにはある。

「自然をきっかけに人の暮らしや世の中をよくしていくのがホールアースのひとつの役割だと思っていて。その方向性を大事に、最大限の熱量をもてる人と働きたいですね」

等身大で学び、感じ、人に伝えたことが、巡り巡って世の中を豊かにしていく。

誰かの心に熱を灯し続けていく仕事だと思いました。伝えてみたいと思うことがあれば、ぜひここで挑戦してみてほしいです。

(2023/8/18 取材 阿部夏海)

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