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理論があるから信頼が育つ
都市の未来をブランディング

古民家でカフェをはじめて人が集う場をつくる人、郊外に増える空き家を再生する不動産屋、自治体と一緒にまちの方針を決めていくプロデューサー。

「まちづくり」と一言でいっても、さまざまな関わり方があるように思います。

今回紹介するのは、主に都心にあるオフィスビルのブランディングや運営に携わりながら、そのエリアを魅力的にしていくための裏方として働く仕事です。

株式会社PODは、都心の再開発やエリアマネジメントからシェアオフィスの企画運営まで、幅広くまちづくりに取り組む会社です。

自分たちがプレイヤーとしてまちで活動するというよりも、地道にまちのことを知り、社会動向を見据えた上で、そのエリアを活用する人を増やしていく。その場所のブランド価値を高めていくマーケティングを得意としています。

今回は主に京橋、中野、田町など、東京都心でのプロジェクトを担当し、施設やエリアの企画運営をしていく人を募集中。

まちをつくるというより、まちが動きだす仕組みをつくるような仕事だと思います。



向かったのは、東京・京橋。

地下鉄の駅から地上に上がると、百貨店の紙袋を持って銀座方面へと向かう観光客や早足で歩いていくスーツ姿の人など、さまざまな人が行き交う姿が目に入る。

駅のすぐ上にある東京スクエアガーデンは、PODがブランディングで携わっているオフィスと商業スペースがある複合ビル。

6階にあるコワーキングスペースで、代表の神河さんに話を聞かせてもらう。

「コロナ禍を経て、オフィスビルやエリアのブランディングはこれまで以上に力を入れなければならない状況になりました。そのなかで、僕らの論理に裏付けされた企画が成果を上げてきている実感があります」

「もちろん、大変なこともたくさんありましたよ。クライアントと一緒に汗をかいてきて、信頼関係もより深まりました」

大手不動産会社に入社し、六本木ヒルズの立ち上げなどさまざま開発プロジェクトに携わってきたという神河さん。

2010年に会社を立ち上げてからは、都心の再開発やエリアマネジメント、店舗の企画など、大小さまざまな不動産事業にプロデューサーとして携わってきた。

東京建物が運営する東京スクエアガーデンでは、ビルに入居する会社やテナントの満足度を高めるための企画を実施するとともに、京橋エリア全体のブランディングにも携わっている。

「都市再生でどんどんビルができていくなかで、独自性がないと入居先として積極的に選んでもらえません。ここではビル単体でなにかするだけでなく、地域性を活かすことも重要と考えて、エリア全体のブランディングにも取り組んでいるんです」

PODでは、地域の情報を発信するWebメディア「東京街人」の運営を2017年から担当。この地域で積み重ねられてきた文化や、活躍する人たちを知る機会をつくってきた。

エリアの特性を学びつつ社会の動向を探るなかで、東京スクエアガーデンが取り組むべきことを見据え、さまざまな企画を提案、ともに運営を続けている。

いい流れが生まれていることのひとつが、オフィスエントランスでアート作品を展示すること。

「このあたりは江戸時代に狩野派、当時のモダンアーティストたちが活躍していた歴史があって、今も骨董品店やギャラリーが点在しています。今後この台頭してくるモダンアーティストたちとコラボできる環境をつくったほうがいいだろうと、スペースの活用を企画しました」

セキュリティ面は問題ないか、ビルの顔となる場所で開催してもいいものか。

ビルのオーナーでありクライアントでもある東京建物とともに、さまざまな心配や不安を調整した上で企画展を実現したのは2年前。

オフィスに通う人たちの好みに沿った企画をしたり、地域のギャラリーがあつかう若手アーティストの作品を購入する機会をつくったり。

さまざまな展示を定期的に開催してきたことが評価を受け、今では常設のギャラリースペースとしての運営がはじまっているそう。

その場所を使う人を増やすため、社会を観察して、必要な企画を考える。

クライアントや地域の人など、さまざまな立場の人を巻き込んであらたな挑戦をするには、それぞれが納得できる理由が必要になってくる。

そのとき神河さんの強みになるのが、マーケティング的な視点と論理的に説明する力。

「僕らはマーケティングやブランディングをするのが仕事です。それって結局、使いたい人を増やすってことですよね。今使っている人たちの満足度を上げるというのはあたり前で、それに加えてやらないといけないのは新規の方々を取り込むことなんです」

「この場所を使うコミュニティを増やしていく、それが僕らの取り組むコミュニティ・マーケティングという手法です。地域みんなで仲よくしようっていうことではなくて、アートや写真など、あたらしいコミュニティにどんどん使ってもらうことで、エリアのブランド価値を高めていくことを視野に入れています」



次に話を聞いたのは、このエリアを担当している飯島さん。

聞いたことに対して丁寧に応えてくれるのが印象的な方。

ここで働く前は、雑誌の編集をしたり、産地のブランディングに関わる仕事をしていたそう。

もっとまちづくりに関わってみたいと考えていたとき、日本仕事百貨で掲載していたPODの記事を見つけた。

「正直、オフィスビルのブランディングって言われても最初はピンと来ませんでした。面接で話を聞いているうちに、京橋エリアにすごく興味が湧いてきて。今は八重洲、日本橋、京橋エリアのブランドづくりをメインで担当しています」

「もう6年ほどやっているので、年間のスケジュールは組みやすくなってきました。ただ周りの再開発は進んでいて、外部環境はどんどん変わっています。まちが一丸となって大きなムーブメントを起こせるように、最近はほかの施設と連携をとることに力を入れているんです」

この春に実施したのが「Meet with Flowers in Tokyo YNK」というプロジェクト。

コロナ禍で苦しい状況にある農家さんから花を買い取って無料配布したり、オブジェを展示したり、花をテーマに館内装飾をしたり。

さまざまな施設で花にまつわる企画を同時に開催することで、このエリアを楽しく散策できるイベントになった。

「商業販促の側面が大きい施設もあれば、社会貢献度の高い活動にしたい企業、館内の装飾にお金をかけたい店舗もあって。目的が異なるみなさんに相乗りしてもらいやすいプロジェクトに設計しました。企業の枠を超えてご一緒することでにぎやかなイベントになるし、PR面でも広がりやすくなるんです」

ほかにもマルシェを開催する場を提供したり、クリスマスの装飾を地域の子どもたちと一緒につくるプロジェクトを運営することもあるという飯島さん。

いろいろな可能性があるなかで、どんなことを基準に企画を考えているんだろう。

「私たちのクライアントはディベロッパーさんなので、自分たちのビルを選んでいただくことが大きな目的のひとつです。ここに入居すると、こんなにオフィスライフが充実するコンテンツがあるんだとわかっていただけるように、働く人を意識していることは多いですね」

「このまちでやるからこそのストーリー、筋が通っていないと、私たちの存在価値がないと思うんです。ありきたりなことをしても、ブランドの価値を上げることはできません」

 

最初は神河さんや飯島さんのように、論理的に考えていくのがむずかしかったり、意見を言う事をためらってしまうこともあるかもしれない。まずは2人の考え方や立ちふるまいをよく観察して、PODらしさを学ぶところからはじめてみるのがいいと思う。

「お待たせしました!昨日盆踊りを開催して、今日は朝から片付けをしてたんです。最近ずっと外にいたので、ちょっと日焼けしちゃってて」

入社して1年半になる長嶺さんは、論理的な神河さん、落ち着いた雰囲気の飯島さんとはまた違って、ちょっと人懐っこい感じの方。

「音楽が好きで、10年ほどアーティストのマネージャーをしていました。地方の応援ソングをつくったり、関わっていた人が自治体に転職したりと、まちづくりの仕事をする人と関わる機会があって。なんだかおもしろそうだなと思っていたんです」

主に担当しているのは、中野駅から徒歩5分の場所にある商業オフィスビル、中野セントラルパークの施設運営。

暮らしている人が多い中野というまちにオフィスを置く価値を上げていくため、ランチタイムにはキッチンカーを誘致したり、メーカーが新商品のPRができる場を設けたり。さまざまな企画を支える縁の下の力持ちとして動くのが中野でのPODの役割。

2023年の春からは、となりにある四季の森公園の指定管理者になったことで、できることも広がった。

「まったく経験がなかったので、正直大変ではあります。だけど、施設のブランディングとアーティストのブランディングって、自分のなかでは考え方が近いと感じることもあって。活動しやすい場所をつくるために、いろいろな人と相談、調整していくのが僕の仕事だと思っています」

イベントを開催したい人からの問い合わせに対応することもあれば、やりたいことはあってもどうしたらいいかわからない人の相談に乗ることもある。目の前にいる人たちに応えているうちに、あっという間に時間がすぎていると話す長嶺さん。

さまざまな申請をするための資料を用意したり、施設のルールをはみ出して使っている人を注意したりと、地道な仕事も多いそう。

「僕、会社のなかでもわりと地域の人との距離が近いみたいで。一緒にごはんに行くこともけっこうあります。毎月開催されるフリーマーケットがあるんですけどね。僕はその場を提供する側ではあるんですけど、たまに自分自身も出店して楽しんでいるんです」

「相談されると断れなくて、どうしたらできるだろうって一緒に考えちゃうんですよね。1つのイベントがうまくいくと、その仕事をきっかけに『PODさんに相談してみれば』って紹介してもらう機会が増えたりして。信頼してもらえたんだと思えると、やっぱりうれしいですよね」

中野は今、長嶺さんを中心に2人のチームで運営している。

PODのメンバーはお互いに相談したりすることはあるものの、ふだんはそれぞれの場所で、それぞれの仕事に専念していることが多い。

「ふだんの作業はほぼ1人なので、常に人と関わっていたい人には向かないのかもしれません。手取り足取り教えてもらう感じでもないから、自分なりに試しながらやっています」

「今はイベントを通して地域を盛り上げることに時間を使いがちなので、オフィスブランディングとどうつなげていくか、PODの考え方を学びながら膨らましていきたいですね。今やっていることで50年後のこのまちが変わっているかもしれない。それが、すごくおもしろいなと思っています」

たくさんの人を巻き込みながら、まちが動きだす仕組みをつくる。

そう聞いてワクワクした人は、ぜひPODのみなさんと話をしてみてください。

(2023/8/7 取材 中嶋希実)

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