求人 NEW

マルシェ、銭湯、コンビニで
村のもの売って村おこし

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

村に根を張って暮らし、よく話す仕事です。

村に住む人。役場の人。農家さん。観光に訪れた人など。たくさんの人と会って話して、村の魅力を伝えていく。今回は、地域おこし協力隊を募集します。

舞台は長野県南相木(みなみあいき)村。長野県の東南端に位置する、人口およそ950人の小さな村です。

今回募集するのは、南相木村故郷ふれあい公社の物販担当。

南相木村故郷ふれあい公社は、村内の温浴施設「滝⾒の湯」を運営する南相木村の第三セクターです。夏季に開かれるマルシェと、村唯一のコンビニ「Mショップ」も運営しています。

地域おこし協力隊のミッションは、地産品の販売を通して、地域内外から訪れた人へ南相木の魅力を伝えていくこと。

夏は地域でつくられた野菜やくだものを売るマルシェの販売員。それ以外の季節は、滝見の湯の売店と村唯一のコンビニそれぞれにある地産品コーナーの仕入れや売り場づくり、商品開発まで携わります。

あわせて、滝見の湯に併設されたレストランスタッフも募集します。

村に訪れて印象的だったのは、広い空と大きな山々、そして人のあたたかさ。

移住してきた人たちを迎え入れ、サポートしてくれる土台があるように感じました。

 

東京から北陸新幹線に乗って、1時間25分ほどで佐久平(さくだいら)駅に到着。そこから南相木村までは、車に乗ってさらに1時間。

空気が澄んで気持ちいいけれど、山間から吹く風はとても冷たい。

2000 m級の山々に囲まれ、総面積の9割以上を山林原野が占める南相木村。年間平均気温は9度で、厳しい寒さの冬を超えれば、夏は涼しく過ごしやすい。

役場に到着し、最初に話を聞いたのは村長の中島さん。

「今日ははるばるありがとうございます」と元気よく迎えてくれた。

「佐久平から南東方面の山間を進んだ先にある南相木村は、山に突き当たって地理的に抜けていない場所なんです。見てほら、どん詰まりでしょう」

村長が指しているのが、南相木村の最南端あたり。北のほうにある小海町にスーパー、ホームセンターがあって、週末買い込むためには車で20分ほどかかる。

「でもね、だからこそ豊かな自然が残っているのがこの南相木村なんです。村の人が体験してきた手付かずの自然を楽しんでもらえるよう、秘境というキーワードで観光を展開してきた歴史があるんですよ」

「そうだ、カジカって知ってます? ムツゴロウに似た魚なんですけど。今ちょうど産卵する時期なんですよ。昔はね、川でカジカを獲って唐揚げにしたり、石を裏返すとカジカが産みつけた卵があるのでそれも採ったり」

南相木村で生まれ育った中島さん。「川の水が本当に冷たくて…」と実感を伴った昔の話に思わず聞き入る。

そんななか、時代とともに少子高齢化による人口減少が進む。

平成12年、村は観光促進と住民の福祉を目的に故郷ふれあい公社を立ち上げる。翌年10月にオープンしたのが、滝見の湯。

山登りや釣りに訪れる人の利用も増え、年間10万人が訪れる場所になった。

けれどここ数年、近隣のまちで温浴施設が新設・リニューアルしたことで、お客さんが流れてしまうように。コロナ禍も重なり、来館者数は年間約5万人にまで減少した。

そこへ手を差し伸べたのが、地方創生事業の実績がある株式会社さとゆめ。2021年より地域活性化のための伴走がはじまった。

「まずは大きな柱である滝見の湯で働くスタッフのポジションや業務内容を明確化して、働きやすさを見直しました。気持ちよく働いて、きちんと儲ける仕組みをつくろうと」

「そのうえで、また訪れたいと思えるような動線をつくるために、設備の充実に力を入れたんです」

滝見の湯にはイートインスペースが備わっていて、南相木特産の蕎麦をはじめ、地元の食材を使った料理を楽しむことができる。

売店には、カラマツを使ったブロックのおもちゃや、蕎麦を原料にしたコーヒーなど、ユニークな地産品が並ぶ。

今回募集する協力隊は、主に滝見の湯の物販コーナーの仕入れから売り場づくりまでの業務と並行して、滝見の湯施設前にあるマルシェの運営にも携わる。

マルシェが開くのは6月から11月までの期間限定。村内の生産者さんから野菜やくだものを仕入れ、売り上げを集計するなどの販売業務に携わることになる。

滝見の湯の物販、マルシェともに、売上や在庫の管理などの経験がある人が望ましいけれど、必須ではないとのこと。

 

以前ここのマルシェで販売を経験されていたというのが、故郷ふれあい公社物販事業部の野澤さん。役場から車に乗り、5分ほどの物販事業部のオフィスで話を聞く。

野澤さんが寒がりということで、部屋の中はポカポカだ。

もともと、南相木の地域おこし協力隊として3年間活動していた野澤さん。これから入る協力隊にとっては、直属の上司にあたる。

マルシェでの販路の調整や売上の管理など、導入の部分は野澤さんがそばにいてサポートしてくれるそう。

「南相木村に来るまでは、東京でグラフィックデザインの仕事を20年近くやっておりまして」

「際限のないつくり込む系の仕事なので、いつも残業ばかりで。毎晩鍵締めを担当していたら、エースってあだ名がついたぐらいなんです(笑)。仕事は楽しかったけれど、この生活を続けることに漠然と不安を持ち始めて」

“将来、どんな生き方をしたいか?”

そう自分に問いかけたときに、浮かんだキーワードが農業だった。

「中学のときから農業に興味があったんです。せっかくだから、自分のやりたいことに思い切ってチャレンジしてみようかなと」

「そこで人材会社さんが主催する就農フェアに足を運んだところ、出店していた南相木村に興味を持ちました」

2020年の10月に、南相木村の協力隊に着任。

3年間メインで取り組んだのは、地産品の移動販売。自分で栽培していたケール、村の生産者さんからいただいたレタスや白菜、トウモロコシなどを販売。

野澤さんは2023年の10月に協力隊を卒業し、そのまま故郷ふれあい公社の社員に。

現在はグラフィックデザインの経験を活かして、デザインや広報を担当。滝見の湯のポスターや食堂メニューの制作、SNSでの情報発信などで活躍している。

3年間の任期後も、住み続けたいと思う南相木の魅力はどんなところにあるんでしょう。

「ひとつは、人の良さでしたね。行政も、村に住む人も、両方です。体験移住のときから、役場の方も親切にしてくれるし、道ゆく人も挨拶してくれました。受け入れる雰囲気があって、困ったときに相談に乗ってくださる方が多いんです」

「あとは立地も大事で。実家のある埼玉の川越へも、高速を使えば2時間ほど。なにかあったときに陸路で駆けつけられる」

たしかに都心へのアクセスを踏まえると、ちょうどいい田舎と言える気もする。

野澤さんはどんな人に来てもらいたいですか?

「一般的に協力隊っていうと自分のやりたいことをゼロイチで叶えるようなイメージがあるけれど、南相木村では少し違う気がしていて」

「まずは、ふれあい公社が目指していることに足並みをそろえることが大事です」

協力隊の母体であるふれあい公社が目指すのは、南相木村の認知を広めること。

少子高齢化、空き家の活用など。村の抱える課題を解決し、持続的に発展するために、まずは地域とその産業を知ってもらうこと目指している。

「やりたいことをやるっていう理想だけでは語れない現実がある。アイデアベースでぼんやりしているとダメで。ちゃんと企画書に落としたり、収支を考えたりしたうえで、役場と村の人を説得できないと、予算も動かないですから」

「だからこそ、最初は村の人の信頼を得て動きやすい土壌をつくることが大事。村の暮らしに慣れれば、アイデアを形にして収益化するまでを現実的に考えやすくなるはずです」

信頼と動きやすい土壌。それは、行政、村、マルシェや滝見の湯に訪れる観光客など、たくさんの人と言葉を交わしながらできてくるものだと思う。

まずは商品の仕入れから売り場づくり、接客までを担う。新商品の開発など、自分主導でものごとを動かしていくのはその先のこと。

一通り段階を踏めば、商品がお店に並ぶまでに必要な手続きや、どんな困りごとがあるのかを知ることができる。

そのためにもまずは、外向きに情報発信をする野澤さんと一緒に、南相木村をどうPRするか考えるところからはじめてみてもいいかもしれない。

「南相木のそば粉を使った相木そばや、村で採れる松茸。豊かな自然に囲まれているこの村は、考え方次第で生かせるものはたくさんあると思います」

 

「それこそ、この人とならコラボできそうですよ」と紹介してくれたのが、南相木村で夏いちご農園を営む丸山さん。

5年前に南相木村に家族で移住し、野澤さんと同じく協力隊に着任。農家さんのもとで約1年半学び、2021年に自分の農園「大空夏いちご農園」を開業した。

丸山さんの栽培する「サマープリンセス」という品種は、南相木村のふるさと納税の返礼品にも選ばれている。ふれあい公社が企画した、ジャムやジェラート、いちごビールなどの商品開発にも協力してきた。

「まだまだ経営面で課題はありますけども、少しずつ歩みを進めている実感はありますね」

今、独自に取り組んでいるのが、いちごのリキュール。サンプル段階のものを見せてくれた。

品種名のサマープリンセスから、商品名は“苺姫”と名づけられ、パッケージはドレスを着たようなデザインになっている。ネックレスもかけられていて、かわいい。

「地域おこし協力隊の方に入っていただいて、新しい視点や発想で一緒に南相木を盛り上げていきたいと思っています」

「まず必要なことは、野澤さんがおっしゃっていたように、公社のルールに則って、村の暮らしに馴染むこと。そのうえでの新しい取り組みは、私も前向きに考えています。いつかご一緒できたらうれしいですね」

 

丸山さんが移住して新規就農することを決めたのは、農地探しや補助金の申請手続きをするときに、役場の人が親身になってくれたからだそう。

地域おこし協力隊を経て移住した2人が共通して、村が受け入れる柔軟さと、人のやさしさについて話していたのが印象的でした。

村にじっくり住んで、人とたくさん話す。その過程で見つけたアイデアの種を、いつか形にしていく。

すべては人のつながりからはじまるのかもしれません。

(2024/02/09 取材 田辺宏太)

 

南相木村故郷ふれあい公社では、事業プロデュース会社のさとゆめが採用支援に関わっています。どのような考えで、地域おこし協力隊という制度を活用しているのか。コラムで紹介しています。

 

3月21日には、さとゆめの横山さんと一緒に、東京清澄白河のリトルトーキーでしごとバーを開催します配信もあるのでよければ覗いてみてください

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