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絶対に伝わるものをつくる

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

美しいもの、かっこいいもの。

自然界でも建築物でも、ひと目見て心動くモノが世の中にはある。

ユハクがつくる製品は、どれもそんな感動を与えるようにつくられています。

2009年に創業したレザーブランドで、特徴は唯一無二の染色技術。絵を描くように、複数の色を手作業で重ねていく独自の技術によって、革の素材感を活かした美しいグラデーションを生み出しています。

また、染色液に浸す一般的な方法と比べて廃液が出ないため、環境への負荷も最小限にとどめることができるそう。

今回は染色職人を募集します。未経験から挑戦可能です。

手先の器用さよりも、色や革に対する好奇心。また、ほかのメンバーとも協力しながら仕事を進めていくので、気遣いも大切なポイントです。

あわせて、銀座の直営店で働く販売員も募集します。

 

横浜駅の東口を出て、平沼橋駅方面へ。

繁華街でにぎわう西口に対して、こちらは落ち着いた住宅街。歩きはじめて10分ほどで、ユハクのアトリエが見えてきた。

中に入るとモノトーンの空間が広がっている。

ゲーミングチェア、アート。ラジオが流れていたり、時折会話する声が聞こえたり。昔ながらの工房ではなく、モダンな感じ。

手前が作業机になっていて、女性の職人さんがまさに染色しているところ。

机上に並ぶさまざまな染料を布につけて、革を染めている。

奥のスペースに案内してもらい、まずは代表の仲垣さんに話を聞く。

「前に取材してもらったのは、2年前ぐらいですかね。それまで百貨店さんを中心にうちの商品を販売してもらっていたんですけど、コロナ禍以降は直営店を増やしていて。より想いを伝えられるような販売形式にシフトしていこうとしています」

前職では靴のデザインをしていた仲垣さん。当時デザインした商品が大ヒットし、ほかのブランドに真似されることもあったという。

そんな背景から、誰にも真似されないオンリーワンのブランドをつくりたいと思うように。

もともと絵描きになりたかったこと、革製品の業界では誰も挑戦していなかったこと。そんな視点の掛け合わせから、染色に特化して技術を開発し、2009年にユハクを立ち上げた。

「グラデーションは単色よりも人間の脳に響きやすいと、脳科学で言われていて。だんだんと明るい色から暗くなっていく夕暮れの空も、すごく素敵な色ですよね。そんな自然の美しさを、革製品に落とし込むようにつくっているんです」

通常のレザーブランドでは、革屋さんがつくった革をつかって、形だけデザインする手法がほとんど。一方ユハクでは、欧州から取り寄せた最高品質の革に、自社の染色職人が手作業で染色して製品をつくっている。

円を描くように色を塗り重ね、磨いていく。手作業のため、グラデーションの表情は一つひとつ違う。

代表的な商品として、ある鞄を見せてくれた。

パッと目を引く、深いエメラルドグリーンのグラデーション。鞄というより絵画のようにも見える。

「この鞄は、どこから見てもグラデーションになっているんです」と仲垣さん。

独自のグラデーションを軸に、商品の形も決めていく。

「鞄の形のデザインはできるだけシンプルにしています。ただ、ほんの少しの加減で見た目の印象も使い心地も変わってしまう。どこにインパクトを持ってくるか。パッと見でかっこよくならなかったら、絶対に世の中に出したくない」

たとえば財布は、お札や小銭、カード類の出し入れのしやすさを徹底的に検証。デザインでは1mm単位、革の厚みに関しては0.1mm単位にまでこだわり抜いている。

染色だけでも突出しているのに、使う人のことまで考えて細かくつくっているから驚きだ。

 

次に話を聞いたのは、入社3年目にして染色室で部長をつとめる富盛さん。もともとは、オーダーメイドの靴屋さんで働いていた。

今回染色職人として加わる人は、富盛さんを含めた染色室のメンバーから学ぶことになる。

以前から革の染色には興味があったそう。面白いレザーブランドを探していたときにユハクに出会う。

「色調整の工程を初めて見たときは、ちょっとビビりましたね」

「一回染めきった後なので、すでに完成されたような綺麗なグラデーションなんです。でも、そこからさらに染料を重ねて色味を調整して、綺麗な自然の美しさを表現しようとしていた。ここまでこだわっているんだ、と驚きました」

手間はかかるけど、オンリーワンの製品は手に取る人の心も動かす。

新しく加わる人は、まずはバフという器具で商品を磨く仕上げの作業から始める。

「そこまで先輩の方々が仕上げてきたものに、傷をつけたらおしまい。最初はめちゃめちゃ緊張しましたね。でも、色の構成とかパーツごとの染色とか。商品の裏側を学ぶ時間になりました」

まずは、大きな革からどこが使えるかを確認する型入れと呼ばれる作業ののち、裁断。手作業による染色をして、グレージングと呼ばれる艶出しまで計15~20の工程をおこなう。

「本当に、すごく細かく調整していくんですよ。『ちょっとここが人工的になっているから、自然な感じになるように、色を重ねてみよっか』、みたいな。ニュアンスなので、覚えていくまでは大変でしたね」

「みんなどんどん革との距離が近くなって、すごく細かいところに目が向いていくんですよ。社長も驚くぐらい」

革と染色と、とことん向き合う仕事。職人のように技を極めていく一方、製品はチームのメンバーと連携してつくり上げていく。

富盛さんは、どんな人と働きたいですか。

「ただ綺麗に染色できればいいわけでもなくて。チームワークを大切にできるというか、報連相がしっかりできる人だとうれしいですね」

生産スケジュールは富盛さんが管理している。進みが早い人は、次の工程を手伝ったり、製作の優先順位が代われば、臨機応変に対応したり。

些細なことでも、コミュニケーションができていないと丸々革を無駄にしてしまうこともあるので、起こりやすいミスの共有も大切なこと。

革を細かく見るように、まわりのことも見て配慮する姿勢が求められると思う。

 

最後に話を聞いたのは、同じく染色職人の小林さん。

2015年から2020年までユハクで勤務。一度は自身のブランド制作に専念するため、ユハクを離れたけれど、2022年に復帰。

いまは週4日勤務するかたわらで、自身の活動もおこなっている。

「ユハクの特徴のひとつとして、フレキシブルさがあるかなと思っていて。僕の例もそうですけど、ARTOCU(アルトカ)っていう取り組みがあったり」

アルトカ?

「Artisan to Customerからつくったブランドネームなのですが、職人が染色のアイデアを発表する場があって。採用されたら開発した職人にインセンティブとして還元されるんです。ものづくりが好きで入ってきているメンバーばかりなので、表現できる場になるというか。魅力的な制度だと思いますね」

グラデーションの構成が大胆だったり、星空を表現したものもあったり。ARTOCUを通じて生まれた製品には、職人の個性とユハクらしさが掛け合わされている。

小林さんは、とくに印象に残っている製品ってありますか。

「VODIVIっていうブランドと限定でコラボしたものは、かなり衝撃的でしたね」

そう言って、いくつかの革を持ってきてくれた。

斜線で構成されたさまざまなグラデーション。

思わず、おおっと声が漏れ出る。

「この商品は、基本的なグラデーションの手法に加えて、テープをつかって養生して染め分ける必要があって」

「いつもは大体3〜4色でグラデーションをつくっていくけれど、この商品は8色ほど使用しました。さらに革の上で混ぜてグラデーションをつくっていくので、より時間がかかったものです」

隣り合う色同士の組み合わせや比率によっても印象はガラッと変わってしまう。色の構成が多くなるぶん、染め重ねる手間も増えるし、各色の境目からほかのスペースに色が染み込まないように、いつも以上に繊細な染色が求められる。

「出来るのかなって不安もあったんですけど、形になったときは、なんだろう。仕事上での評価とかは置いておいて、いい一枚が染められたなって。つくり手としての満足感が大きかったです」

手法も難しいため、15cmほどの革一枚を染色するのに、速い人でも30分ほどかかるという。

聞けば聞くほど、こだわってものづくりをしているのが伝わってくる。

 

創業して15年。

銀座、横浜に直営店を開き、さまざまなアーティストとコラボした製品をつくるなど、着実にブランドを成長させてきたユハク。

あらためて、仲垣さんはどこを目指しているんでしょう。

「たとえば、フランスの革製品のブランドといえばエルメス、みたいにパッと出てくるじゃないですか。でも日本を代表するレザーブランドって、まだ誰も答えられないと思うんですよね。だから、自分たちはそこを目指していて」

「使用している革は、もともと食肉のために育てられた牛の皮を使っていて。自分たちはその副産物をいただいているので、命を大切にしなければならない。何十年も受け継がれるようなものをつくることが、牛に対する敬意だと思っています」

だから細かい傷にも厳しいし、見た目だけでなく実用性も追求する。つかい手もつくり手も、動物の命にも向き合っているんですね。

「そういういろんな背景を汲んでこそ、日本を代表するブランドになると思うし、その姿勢が自分たちの誇りでもあるんです」

パッと見てわかるユハクの製品の土台には、確固たる信念があって、そこがブレないからこそ、人々の心を動かすモノをつくり続けることができるのだと思いました。

(2024/06/27 取材 杉本丞)

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