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自分をひらく、産地もひらく
焼きものづくりの世界へ
一歩踏みだすインターン

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

長崎県波佐見(はさみ)町。

400年にわたって焼き物をつくってきたまちです。

このまちで生まれた器たちは、歴史的に「有田焼」として流通していました。「波佐見焼」ブランドを1からつくることになったのは、つい20年ほど前のこと。

丈夫な器を量産する技術力。そこに“新しい産地”としての柔軟さがかけ合わさり、さまざまなライフスタイルに合う器を、手に取りやすい価格で生み出してきました。

毎年ゴールデンウィークにひらかれる陶器まつりをはじめ、観光でまちを訪れる人も増えたことで、今では広く知られる産地のひとつとなっています。

そんな波佐見町で実施する滞在型インターンシップ「オープンハサミ」。3回目となるこのプログラムの参加者を募集します。

実施期間は2025年の2/16(日)〜2/21(金)。波佐見町に約1週間滞在し、4社の仕事を日替わりで体験できます。

過去2回のオープンハサミでは、合計20名(各回10名)が参加し、そのうち6名の移住につながっています。同じタイミングで参加した同期や先輩など、移住後に話せる仲間ができることも、このプログラムの大きな特徴です。

参加にあたって、焼き物についての知識や経験は問いません。自己負担は現地までの交通費と食費のみで、宿泊費や参加費は無料です。

ものづくりに携わりたい。新しいことに挑戦したい。

そんな想いを抱えている人にとっては、一歩を踏み出すいい機会になると思います。

こちらの記事では、プログラムの詳しい内容や移住した先輩の声をお届けします。参加企業4社のことや、波佐見町というまちについては、下記の特集ページで紹介していますのでご覧ください。

まず、オープンハサミはどんな経緯ではじまったのか。

日本仕事百貨と二人三脚でプログラムの企画運営を進めてきた、波佐見焼振興会の山下さんと振り返ります。

「つくり手の人材不足は15年ほど前から。明確な数字には表れないものの、『あそこはもう人がいないからやめるらしい』みたいな話をちらほら聞くようになったんです」

山下さん

波佐見焼の大きな特徴のひとつが、分業制。

陶土から器の形をつくる「生地屋」、生地を成形するための型をつくる「型屋」、釉薬をかけて焼く「窯元」、企画・販売する「商社」など。各社がそれぞれの専門性を活かしながら、バトンリレーをするように器をつくってきた。

分業体制のメリットは、質のいい器を安価に量産できること。

一方で、一部の人手不足が全体の生産に影響を及ぼすというリスクもある。

「いよいよ危機感が高まったのが、8年前のことです。生地屋さん97社にアンケートをとったところ、“15年以内にやめようと思っている”と答えた会社が50%近くありました。そのあたりから生産の遅延も出はじめて、いよいよヤバいぞと」

そこで波佐見焼振興会では、生地職人を育てる研修事業を企画。足かけ6年にわたって取り組んできた。

研修を通じて独立した生地職人もいる。ただ、研修後に波佐見を離れる人もいたし、人手不足の課題を根本的に解決するにはスピード感が足りない。

さらに、窯元で絵付けをする職人や釉薬をかける職人など、別の部門でも人手不足が進行。

器の買い方や届け方も多様化して、卸専門だった商社もECサイトを立ち上げたり、窯元も直営店を構えて販売するようになったり、SNSでの情報発信が必要になったり。求める人材もどんどん幅広くなってきた。

「何が必要で、これからどうなっていくのか。コロナ禍も経て、誰も明確な答えを見出せない状況が続いていて」

「ひとつ確かに思ったのは、波佐見焼に興味を持った人が、なるべくハードル低くトライできるような環境をつくりたい、ということです。そんななかで日本仕事百貨さんと出会って、オープンハサミの立ち上げへとつながっていきます」

オープンハサミは、約1週間の滞在型インターンシッププログラム。

初日はお昼に集合して、波佐見のまちを一緒に回る。

「分業制」と言われても、言葉だけではピンとこないかもしれない。山下さんの案内を通して、まちの雰囲気や波佐見焼という産業の全体感がなんとなく掴めてくる。

二日目の2/17(月)は、インターン先となる4社を交えたオリエンテーションからスタート。その後は各社を訪ねて、社長自ら会社を案内してもらう。

夜の懇親会は、インターン先企業で働く人や、すでに移住した先輩たちも集まる。おいしいものを食べて飲んで、ふだんの人となりに触れ、本音もこぼれる時間になると思う。

そして2/18(火)〜2/21(金)の4日間は、各社でのインターン。

どの企業でのインターンに参加するかは、前日夜に参加者同士で話し合って決める。一日ごとに違う会社の仕事を体験することも、同じ会社に続けて通うことも可能。

インターン後は毎日、参加者同士での振り返りをおこなう。異なる環境で働いたり、ほかの人の視点や感想に触れたり。それぞれの会社を多面的に知れるのも、このプログラムの魅力。

10名の参加者は、共同宿舎の「西海ハウス」を6日間シェアして暮らす。

過去2回の参加者からは、「共同生活が応募のハードルだった」と聞く。でも実際に参加してみて、この共同生活がよかったという感想もよく聞く。

リビングでおしゃべりしたり、車で5分の温泉に入りにいったり、自室でゆっくり疲れを癒したり。それぞれのペースを守りつつ、交流も楽しめる人に合ったプログラムかもしれない。

山下さんは、どんな人に来てほしいですか?

「自分はこういう人ですって、ちゃんと表現できる人。とにかくものをつくりたいんですとか、焼き物にすごく興味があってとか。表現してもらえれば、こちらも全力で応えます」

「あと、これは企業さんがどう思うかわからないんですが…」と前置きしたうえで、山下さんはこうも話す。

「波佐見って、みんなで焼き物をつくってきたまちなので、仲がいいんですよ。異業種も含めてつながりが濃い。実際に働いて合わないなと感じたら、地域のなかで転職するのもありだと思います」

たしかに、これだけ同業他社が集まっているにもかかわらず、バチバチとした雰囲気を感じることはない。産地内で転職して働いている人にも出会ったし、パッケージ屋さんや旅行会社、シール屋さんなど、異業種の人たちとも関わりが深い。

「人との距離感も大事な要素かもしれないですね。スーパーで買い物していると、あらゆる町内情報が共有されるので。Yahoo!ニュースより早いですよ(笑)」

 

インターンを経て、そんな環境に飛び込んだ人たちにも話を聞いた。

まずは、中善という窯元で働く佐々木さん。

出身は岩手県。宮城県の専門学校を卒業後、就職で東京、宮城、滋賀と引っ越しを繰り返してきた。

「これまでは印刷物やWeb、雑貨のデザインをしてきたんですが、どれもずっとは残らないものだったんですよね。焼き物なら、変な話、わたしが死んだあとも残っていく。やっぱり自分は残るものをつくりたいなって」

せっかく日本に生まれたのだから、伝統工芸に携わりたいという気持ちもあった。とはいえ、知識もきっかけもないまま、一歩を踏み出すのはむずかしい。

そんななかでオープンハサミを知る。

「一番よかったのは、移住前に1週間滞在できることですね。仕事だけでなく、まちの雰囲気も体験できる。手仕事の世界だと思っていたので、けっこう機械も使うんだなとか、働いてみての新鮮な気づきもありました」

4社での仕事を経験して、最終的に中善へ入社。

午前は現場の仕事に携わりつつ、午後は出向のような形で、型屋や窯元、商社などでも研修させてもらっているそう。さらに週2〜3日は、町内の窯業技術センターで3Dソフトの使い方を学ぶ時間もあるという。

「これまで4回移住してきましたけど、波佐見は一番人と関わる機会が多いです。一生懸命めんどうを見てくれる方ばかりで、仕事面以外のところでも支えてもらっています」

社長の勧めもあって商工会の青年部に所属し、お祭りで出店したり。工業組合主催のろくろ教室で、ほかの会社の人たちとも交流したり。

仕事とプライベートが重なるような時間も多いなかで、自分なりに楽しみを見つけているみたい。

 

続いて、オープンハサミ一期生の大賀さん。

仕事終わりに、会社の近所のスーパー「エレナ」のベンチに腰かけて話を聞いた。

佐々木さんと同じく、引っ越し歴の多い大賀さん。

大学で広島、就職で大阪、そして直近10年ほどは、日本仕事百貨の募集がきっかけで、長崎県の小値賀(おぢか)島に暮らしていたという。

長崎市の出身で、波佐見にも何度か遊びにきたことがあった。直近が離島暮らしだったおかげで生活面の不安もなく、県内に友人もいるので、“移住”という感覚ではなかったそう。

「今の家はスーパーもドラッグストアも、市役所も郵便局も銀行も全部、歩いて行ける距離にあります。波佐見はまちがぎゅっとしてるんで、日常生活は楽ですよ」

「車さえあれば、行動範囲もだいぶ広がります。福岡の九州国立博物館ぐらいまでだったら全然日帰りもできるし、ちょっと疲れたなって日は、仕事終わりに温泉もふらっと行けるし。そういう楽しさはありますね」

大賀さんはインターンを通じて、波佐見の窯元のなかでも随一の生産量を誇る聖栄陶器に入社。現場作業や機械のメンテナンスなどを担当している。

1年と少し経って、どうですか?

「議事録や製造計画がいまだに手書きだったり、作業効率変わらないなら座ってやってもいいんじゃない?って思ったり。気になることはありますよ。人手不足も働き手の高齢化も進んで、この先どうなるんだろうって思うし」

「だけど、変わってきてる部分もあります。有給休暇も取りやすいですし、17時きっかりに終業するので、アフターファイブも楽しめます。ぼくは“就活”のつもりで参加しましたけど、あんまり決意を固めすぎてもしんどい。興味があれば、まずは気楽に参加してもいいんじゃないですかね」

山下さんも話していたように、移住してからもいろんな選択肢があるのが波佐見町。

インターンはそのさらに前段階として、まず参加して手を動かしながら、自分と向き合う機会と捉えてもいいと思う。

「大人になってから、生まれ育った環境も価値観も違う人たちとほぼ1週間同じ屋根の下で過ごす機会って、ふつうないと思うんです。集まる人も、自分の将来のことを考えて来てるから、毎日が濃かったですね。単純にインターンだけでも参加する価値はあると思います」

移住してからのお金のこと、休みの過ごし方、ギャップを感じることなど。

前回のオープンハサミでは、一期生の大賀さんたちが西海ハウスに顔を出して、インターン生からのリアルな質問に答えてくれる時間もあった。

ものづくりの理想と現実。

丸ごと味わうためにも、まずは一歩踏み出してみてください。

2025年1月6日(月)には、東京・清澄白河のリトルトーキョーで、波佐見焼振興会の山下さんと先輩移住者の千葉くんをゲストに迎えたしごとバーも開催します。こちらもぜひご参加ください。

詳細はこちらからご確認いただけます。

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